97 / 100
第97話 選んだ道
しおりを挟む
王都からの帰路は、行きとは比べ物にならないほど快適で、そして穏やかだった。
国王が手配してくれた最新式のスプリングが備えられた豪華な馬車。護衛にはリゼットに心からの敬意を抱くようになった王国騎士団の精鋭たちが自主的に名乗り出てくれた。街道沿いの町や村は、俺たちが通ることをどこからか聞きつけ、人々が道端に集まっては英雄の帰還を歓迎してくれた。
「あの馬車に泥の聖者様が!」
「聖女様をお救いくださり、ありがとうございます!」
投げかけられる感謝の言葉と純粋な尊敬の眼差し。俺は、その一つ一つに少し照れながらも手を振って応えた。
「すごい人気だね、ルーク」
向かいの席でノエルが面白そうに言った。
「なんだか、むず痒いですね」
俺は首筋を掻きながら苦笑する。英雄と呼ばれることには、まだどうしても慣れなかった。
「だが、お前はそれに値するだけのことをした。もっと胸を張ればいい」
リゼットが静かに、しかし誇らしげに言った。彼女の腰には国王から授けられた『聖剣騎士』の証である美しい儀礼剣が下げられている。
俺たちは馬車に揺られながら、王都での激闘の日々をまるで遠い昔のことのように語り合っていた。
「しかし、あの教主マハトとかいう奴、とんでもない化け物だったな」
「うん。邪神の力の一端を人間の身で引き出すなんてね。彼の狂信的な信仰心だけは認めざるを得ないかな」
「最後はあっけなかったですけどね」
俺がそう言うと、リゼットとノエルは顔を見合わせてくすくすと笑った。
「あっけないものか。あの最後の光景は私は一生忘れんぞ」
「そうだね。邪神がルークのポーション一滴で消滅するなんて、どんな叙事詩にも書かれてないよ。後世の歴史家は頭を抱えるだろうね」
俺たちは笑い合った。死線を共に乗り越えた仲間だけが分かち合える特別な空気。俺は、この仲間たちと出会えたことを心の底から幸運だと思った。
旅が終わりに近づくにつれて、俺の心は逸る気持ちを抑えきれなくなっていた。
早く帰りたい。
あの村へ。
ミストラル村のあの穏やかな空気の中へ。
そして、出発から十日目の昼過ぎ。
丘を越えた馬車の窓から、見慣れた景色が目に飛び込んできた。
谷間に広がる緑豊かな村。新しく建てられた家々の屋根。そして、村の中心に立つ俺の店の小さな看板。
「……着いた」
俺の口から安堵のため息が漏れた。
村の入り口では見張りの自警団の若者が俺たちの馬車を認め、慌てて村の中へと駆け込んでいく。
「帰ってきたぞー! ルーク様たちが、お帰りだー!」
その声が村中に響き渡る。
家々から人々が次々と飛び出してくるのが見えた。畑仕事をしていた者も店で働いていた者も、皆手にしていたものを放り出し広場へと集まってくる。
馬車がゆっくりと村の広場に入ると、そこは俺たちの帰りを待ちわびていた村人たちの笑顔で埋め尽くされていた。
「おかえりなさい、ルーク様!」
「リゼット教官! ノエル先生!」
「ご無事で何よりです!」
口々に歓迎の言葉が飛び交う。その声の一つ一つが俺たちの疲れた心を温かく癒していった。
俺は馬車から降りた。
その瞬間。
「お兄ちゃーーーーん!!」
人垣をかき分けるようにして、小さな影が弾丸のように俺の胸へと飛び込んできた。
エリアナだった。
「うわっ!」
俺はその勢いにたたらを踏む。彼女は俺の腰に小さな腕で力いっぱいしがみついてきた。
「……おかえりなさい」
俺の胸に顔を埋めたまま、彼女がくぐもった声で言った。その声は涙で震えていた。
「ただいま、エリアナ」
俺は彼女の頭を優しく撫でた。柔らかい髪の感触。懐かしい太陽の匂い。
「寂しかったよお。お兄ちゃんがいないと村が静かで……つまんなかったんだから……」
彼女は嗚咽を漏らしながら、俺の服に涙の染みを作っていく。
俺は何も言わずに、ただ彼女の小さな体を強く抱きしめ返した。
再会の言葉などいらなかった。ただこうして互いの温もりを感じられるだけで十分だった。
「ふん。泣き虫なのは相変わらずじゃのう」
人垣の中からギムリが腕を組みながらぶっきらぼうに、しかしその目には確かな喜びの色を浮かべて現れた。
「ギムリさん! 村は大丈夫でしたか!」
「当たり前じゃ。このわしがおるんじゃぞ。何の問題もないわい。……それより、ご苦労じゃったな。お前さんたち」
彼は俺、リゼTット、ノエルの顔を一人ずつ見回すと、満足げに深く頷いた。
村長もマルタさんも自警団の若者たちも。皆が俺たちを温かい笑顔で囲んでいた。
王都での栄誉も称号も、この光景の前では色褪せて見えた。
俺が本当に欲しかったものは、これだ。
俺が命を懸けて守りたかったものは、このかけがえのない笑顔だったのだ。
俺はエリアナを抱きしめたまま空を見上げた。ミストラルの空はどこまでも青く澄み渡っていた。
「……帰ってきました」
俺は心の中で天国の師匠に報告した。
あなたの教えの通り、俺は俺の選んだ道を歩いています。
たくさんの素晴らしい仲間たちと共に。
俺の本当の人生は、今この場所で再び始まろうとしていた。
国王が手配してくれた最新式のスプリングが備えられた豪華な馬車。護衛にはリゼットに心からの敬意を抱くようになった王国騎士団の精鋭たちが自主的に名乗り出てくれた。街道沿いの町や村は、俺たちが通ることをどこからか聞きつけ、人々が道端に集まっては英雄の帰還を歓迎してくれた。
「あの馬車に泥の聖者様が!」
「聖女様をお救いくださり、ありがとうございます!」
投げかけられる感謝の言葉と純粋な尊敬の眼差し。俺は、その一つ一つに少し照れながらも手を振って応えた。
「すごい人気だね、ルーク」
向かいの席でノエルが面白そうに言った。
「なんだか、むず痒いですね」
俺は首筋を掻きながら苦笑する。英雄と呼ばれることには、まだどうしても慣れなかった。
「だが、お前はそれに値するだけのことをした。もっと胸を張ればいい」
リゼットが静かに、しかし誇らしげに言った。彼女の腰には国王から授けられた『聖剣騎士』の証である美しい儀礼剣が下げられている。
俺たちは馬車に揺られながら、王都での激闘の日々をまるで遠い昔のことのように語り合っていた。
「しかし、あの教主マハトとかいう奴、とんでもない化け物だったな」
「うん。邪神の力の一端を人間の身で引き出すなんてね。彼の狂信的な信仰心だけは認めざるを得ないかな」
「最後はあっけなかったですけどね」
俺がそう言うと、リゼットとノエルは顔を見合わせてくすくすと笑った。
「あっけないものか。あの最後の光景は私は一生忘れんぞ」
「そうだね。邪神がルークのポーション一滴で消滅するなんて、どんな叙事詩にも書かれてないよ。後世の歴史家は頭を抱えるだろうね」
俺たちは笑い合った。死線を共に乗り越えた仲間だけが分かち合える特別な空気。俺は、この仲間たちと出会えたことを心の底から幸運だと思った。
旅が終わりに近づくにつれて、俺の心は逸る気持ちを抑えきれなくなっていた。
早く帰りたい。
あの村へ。
ミストラル村のあの穏やかな空気の中へ。
そして、出発から十日目の昼過ぎ。
丘を越えた馬車の窓から、見慣れた景色が目に飛び込んできた。
谷間に広がる緑豊かな村。新しく建てられた家々の屋根。そして、村の中心に立つ俺の店の小さな看板。
「……着いた」
俺の口から安堵のため息が漏れた。
村の入り口では見張りの自警団の若者が俺たちの馬車を認め、慌てて村の中へと駆け込んでいく。
「帰ってきたぞー! ルーク様たちが、お帰りだー!」
その声が村中に響き渡る。
家々から人々が次々と飛び出してくるのが見えた。畑仕事をしていた者も店で働いていた者も、皆手にしていたものを放り出し広場へと集まってくる。
馬車がゆっくりと村の広場に入ると、そこは俺たちの帰りを待ちわびていた村人たちの笑顔で埋め尽くされていた。
「おかえりなさい、ルーク様!」
「リゼット教官! ノエル先生!」
「ご無事で何よりです!」
口々に歓迎の言葉が飛び交う。その声の一つ一つが俺たちの疲れた心を温かく癒していった。
俺は馬車から降りた。
その瞬間。
「お兄ちゃーーーーん!!」
人垣をかき分けるようにして、小さな影が弾丸のように俺の胸へと飛び込んできた。
エリアナだった。
「うわっ!」
俺はその勢いにたたらを踏む。彼女は俺の腰に小さな腕で力いっぱいしがみついてきた。
「……おかえりなさい」
俺の胸に顔を埋めたまま、彼女がくぐもった声で言った。その声は涙で震えていた。
「ただいま、エリアナ」
俺は彼女の頭を優しく撫でた。柔らかい髪の感触。懐かしい太陽の匂い。
「寂しかったよお。お兄ちゃんがいないと村が静かで……つまんなかったんだから……」
彼女は嗚咽を漏らしながら、俺の服に涙の染みを作っていく。
俺は何も言わずに、ただ彼女の小さな体を強く抱きしめ返した。
再会の言葉などいらなかった。ただこうして互いの温もりを感じられるだけで十分だった。
「ふん。泣き虫なのは相変わらずじゃのう」
人垣の中からギムリが腕を組みながらぶっきらぼうに、しかしその目には確かな喜びの色を浮かべて現れた。
「ギムリさん! 村は大丈夫でしたか!」
「当たり前じゃ。このわしがおるんじゃぞ。何の問題もないわい。……それより、ご苦労じゃったな。お前さんたち」
彼は俺、リゼTット、ノエルの顔を一人ずつ見回すと、満足げに深く頷いた。
村長もマルタさんも自警団の若者たちも。皆が俺たちを温かい笑顔で囲んでいた。
王都での栄誉も称号も、この光景の前では色褪せて見えた。
俺が本当に欲しかったものは、これだ。
俺が命を懸けて守りたかったものは、このかけがえのない笑顔だったのだ。
俺はエリアナを抱きしめたまま空を見上げた。ミストラルの空はどこまでも青く澄み渡っていた。
「……帰ってきました」
俺は心の中で天国の師匠に報告した。
あなたの教えの通り、俺は俺の選んだ道を歩いています。
たくさんの素晴らしい仲間たちと共に。
俺の本当の人生は、今この場所で再び始まろうとしていた。
40
あなたにおすすめの小説
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」
Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。
しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。
彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。
それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。
無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。
【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。
一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。
なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。
これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。
元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜
☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。
しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。
「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。
書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。
だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。
高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。
本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。
その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる