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ウェストール辺境爵

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「昼食のご用意が整いましたのでご案内致します」
「わかりました、行きます」
 メイドさんが呼びにきてくれた。どんなお昼が出るのかな、楽しみだ。

 俺とティナ、ロキソとイブが一列になって歩く。廊下の調度品とかも品があっていい感じだ。
 さすがは当代一の英雄だ。

 扉の前で止まるメイドさん。扉をノックする。
「ゲオルグ様、エドガー様御一行をお連れ致しました」
「うむ、入ってもらえ」

 メイドさんが扉を開けると眩しいくらいの明るい部屋だった。

 すらっとした初老の男性が立っていた。
 こちらを待ち構えていたようだ。

「ようこそ、我が邸へ。主のゲオルグ•ウェストールだ」

 俺たちは急いで臣下の礼の姿勢を取る。

「この度はお招きいただきありがとうございます。テオドール村のエドガーと申します」
「ティナと申します」
「ロキソじゃ」
「イブよ」

 ドワーフ達はいつも通りの挨拶だな。

「あぁ、楽にしてくれ。私‥‥‥オレも堅苦しいのは苦手でね。席に座って昼メシでも食べようじゃないか」

 あ、こういうタイプの貴族様か。
 こちらとしては助かる。

「ドワーフのお二人よ、もちろん昼からでも飲むだろう? オレも少し飲ませて貰う」

「ゲオルグ様‥‥‥まだ午後にも御政務がございますよ」
 ゲオルグ様がセバスさんに嗜められる。

「まぁ、たまにはいいじゃないか。少しだけだよ」
「‥‥‥かしこまりました」
 諦めたようなセバスさんは向こうの部屋に行った。
「随分と理解のある貴族様だの」
 ロキソが呟いた。酒好きの人は理解がある、らしい。ドワーフジャッジ。
 
「さて、テオドール村についてだが。なんだか立派な要塞を拵えてくれたって事だけど? キミが主導したって聞いたけど本当かい?」

「まぁ、一応そうです。モンスターの襲撃に備えて作りました。やはりまずかったでしょうか?」
「あ、いやいや。あそこに要塞を作るという発想自体がなかったのでな。しかもなんだか形状も変わっているって?」

 端紙をいただき簡単に絵に描いて説明する。
くそう、絵描きのドローがいれば良かったのに!

「‥‥‥これをキミが考えたのか? 他にも変わった魔道具で戦ったとか聞いたぞ?」
「発想は私ですが、魔道具を作ったのはこちらのロキソです」

 話を振られると思ってなかったロキソは焦って弁明する。
「いやいや、この坊の言う通りに儂は作っただけで‥‥‥」

 ライフルと弾薬の説明をする。

「‥‥‥エドガーくん、いや、エドガーと呼ばせてもらおう。エドガーよ、キミは何者だ? その歳でこれだけの物の発明をするなんて事が‥‥‥」
 核心を突く質問だ。

 だがティナが手を挙げる。
「ゲオルグ様、従者の身分で発言してもよろしいでしょうか?」
「‥‥‥許す、なんだ?」

「ありがとうございます。先程の質問の答えですが‥‥‥簡単です。エドガー様だからです!!」
 ティナがドヤる。

「ぷっ!! ふはははっ!!!! なるほど、俺はエドガーに対しての理解が足りてないという事か!!」
 なんかご自分で納得したみたいだ。

「その通りです。エドガー様とじっくりと話せばその天才ぶりに舌を巻く事でしょう!!」
 やめろ、ティナ。
 ハードルを上げるな‥‥‥。
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