アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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新居編

決闘を終えて

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 ウィリスとの決闘が終わった。と思ったら力が抜けてしまった。

「あぎゃぁ!!!!」
そしていつもの地獄の筋肉痛からは逃れられない。

「ど、どうしたんだ、アル!? お前すごいな、あんな事が出来たのかよ!? 知らなかったぜ」
「‥‥‥ほんのちょっとの時間だけ強くなれるんだ。その後はすごい痛みに襲われるし臭くなるし‥‥‥」
 そういえばルーナには見せてなかったんだっけな。寿命も少し縮む‥‥‥のはまぁ言わなくていいか。

 痛みに耐えながらヨロヨロと立ち上がる。ポーションを使用したがそれでもやはりふらふらする。だがよろけそうになったところにルーナが肩を貸して支えてくれた。

「臭いが移るからさ、近づかない方がいいよ」

「‥‥‥アタイの為に戦ってくれたんだもん。臭くなんかないよ」
 ルーナは浴室まで運んでくれた。そして汚れた服を脱がせようとしてきた。

「こ、これ以上はいいよ!」
「このままじゃ身体も服も洗えないだろうが! 恥ずかしがってんじゃねえよ!」

 こっちは全身痛くて力が入らないので抵抗出来なかった。服を強引に脱がされる。
「きゃあー!!」

「なんじゃなんじゃ!?」
「どうしました? っ!?」
 留守にしていたはずのソフィアとミリアがちょうど帰宅していたようで俺の悲鳴を聞いて浴室に突入してきた。
 事情を知らなければルーナが俺を襲っているかのように見えるだろう。

「なーにしとるんじゃ、お主らは?」
「ルーナさん! アル様を襲うなんて‥‥‥ズルい!!」
 ミリアの反応はそっちなの!? 

「ち、ち、違うぞ! アルが汚れちまったから身体を洗おうと‥‥‥」
「アル殿を汚しちまった‥‥‥?」
「身体で洗おうと!?」
 違う!! 
 絶妙な聞き間違いで意味が壮大に変わる!!

 ぎゃあぎゃあ騒いでいたものだから結局ムーに怒られた、俺まで‥‥‥。理不尽だ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

(ルーナ視点)

 なんだかんだあったがアルは寝かせた。二人にかくかくしかじかと事の次第を説明する。

「そんな事があったのですか‥‥‥」
「その執事、是非手合わせしてみたいのう」
 やっぱりソフィアはバトルジャンキーだな。この話で食いつくの、そこなのかよ。

「ミリアはアルのあの力の事は知ってたのか?」
「ええ、初めて出会った時にお使いになりました」
 ミリアとアルの出会いって確か弓で射られたって言ってたよな‥‥‥。

「そう、思えば大変失礼な事をしました‥‥‥エルフの里の掟とは言え‥‥‥」

「我も知っておったぞ。あの力でワイバーンの群れを討伐してくれたんじゃ」
「そっか‥‥‥、この中じゃ知らなかったのはアタイだけか‥‥‥」
「あの力を使った後はあんな状態になりますからね、それであまり使えなかったのだと思います」
 それもそうか。

「ただいまっす」
「戻りました。あれ、みんなお揃いで。アルくんがいませんね」
 ジャックとアリウスの二人も戻ってきた。

 この二人にはどう言おう‥‥‥? どうせバカにされるだろうし、言い出しにくいなぁ。
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