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第二部 家庭編
一年後
しおりを挟むあれから一年経った。
相変わらずの五人だが、今日は何かありそうな予感がする。
「ネロ、いるかしら?」
「あぁ、シャル。どうした?」
「報告があるの。聞いてくれる?」
「もちろん。どうしたの?」
「ワタシ、妊娠したみたい‥‥‥」
!!!!
驚きすぎて声が出ない‥‥‥。
いや、する事はしてるからもちろん可能性はあるとは思っていたけど‥‥‥。
「ネロ?」
「あ、ごめん。シャル」
「え‥‥‥?どういう事?」
「え‥‥‥?いや、驚きすぎて」
「嬉しくないの?」
「いや、何というか、実感が湧かないというか‥‥‥」
子供が出来た、嬉しくないって事はない。ただ前世も含めてもちろんだけど、親になった経験がない訳で‥‥‥。
でも、さっきのリアクションはダメだった気がする。
「ネロ、喜んでくれると思ったのに‥‥‥」
シャルが涙を浮かべて、部屋を出て行ってしまった。コレは‥‥‥非常にまずい気がする。
しばらくして、マリアとナタリーが飛び込んで来た。
「ネロ!! 何してんのよ!!」
「ネロくーん、ひどいわよ~‥‥‥」
あ、いや。
決して喜んでない訳では無く‥‥‥。どうしたら良いのかわからない状態になってしまった訳で‥‥‥。
でもこういう時にどうするのがベストだったのか?
あと、久しぶりにナタリーの語尾が伸びてる‥‥‥。声も低っ!
「ごめん、こんな時にどうしたらいいか、わからなくて‥‥‥」
「笑えば良いじゃない! そしてよくやったって言えば良いのよ!」
「そうですよ、それだけで良いんです」
そうか、そうだよな。それで良いんだ。
迷うな、情け無い奴だ!
子供が出来るって良い事なんだ!
ドアを開けて、急いでシャルの部屋へ。
「シャル、開けてくれ。済まなかった。突然の報告で頭が真っ白になって‥‥‥。素直に喜んであげられなくて、‥‥‥ごめん!」
ドアが開く、シャルは泣き腫らした顔だった。俺は黙って、シャルを抱きしめる。
「シャル、ありがとう。俺、父親になるんだよな? もっとちゃんとしなきゃな」
「ネロ‥‥‥。ワタシも突然だったし‥‥‥。ごめんなさい。男の人は戸惑うよね?」
「シャル、すごく大切にするよ。産まれたら子育てだってもちろんするし‥‥‥」
「あ、子育てはいいわ。それは妻の仕事だし」
ん? あれ? 聞き間違い?
「もう一度いい? 子育てはなんだって?」
「妻の仕事。当然でしょ? 貴族でも王族でも普通よ!」
「‥‥‥‥‥‥」
とりあえずこの世界では、女性が望んで妊娠した場合、男性側は喜んでおけば良いらしい。
「あ、名前はネロが付けるのよ! ちゃんと考えるのよ?」
「わかった。最高の名前を考えるよ!」
ネロが出て行った部屋でシャルは独りごちる。
「‥‥‥‥‥‥不安だわ」
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