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朽ち行く花の後悔
放課後
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「今日は少し話せないかな?」
すべての授業が終わりみんなが帰りの支度を始める中で、雨車は桜家に話しかけた。
桜家はビクリと肩を震わせ鞄の中に目を落とす。
その様子で雨車は何が起きたのか察しがついた。そういえば今日は昼食を買いに行くと行って教室を出たあとから様子が変だった気がする。
「もしかして、沢谷さんにお金取られたの?」
誰にも聞かれないようにできる限り小さな声で耳打ちする。
桜家は小さく頷くと弱々しく笑ってみせた。しかしその眉にはシワが寄っており、無理をしていることはすぐにわかった。
「今日私の知り合いがケーキとか奢ってくれるの。よかったら一緒に行かない?」
雨車はあえて明るく話しかける。少しでも元気になってほしい。そんな思いでいっぱいだった。
本当は唯理と桜家を会わせることが目的だったのだが、この際後で唯理にお金を払って今日だけは楽しんでもらおうと雨車は決意する。
「そんな……迷惑ですよ、私が行ったら」
しかし、桜家は参加を渋ってしまった。慌てて雨車は言葉を続ける。
「そんなことないよ。それにみんなで食べた方が美味しいと思うよ」
桜家はなおも迷っているようだった。
「それに私一人で会うのはちょっと緊張するから芝蘭ちゃんにそばにいてほしいんだ」
雨車は奥の手を使う。桜家は昔からこういった押しには弱いのだ。
「そこまで言うなら、わかりました。行きます」
やっとその気になってくれた桜家に雨車はほっと胸を撫で下ろすのだった。
待ちあわせの場所に向かいながらスマホで唯理に連絡を取ると、唯理はわかったと応じた。
ケーキを奢るというところには嫌そうな顔をしたのがスマホ越しだが伝わり、無理させちゃったかなと少し罪悪感に駆られる。
それでもこれは芝蘭ちゃんのためだと思い直し雨車は自分を納得させた。
「その知り合いってどういう人なんですか?」
「へ?」
桜家の言葉に思わずうわずった声が出る。そういえば唯理さんのことをなんと説明すればいいのだろう?
友達というわけでもないどころか、自分は唯理のことを全く知らない。
親戚ですというのが最もそれっぽいだろうか? だがそれではよそよそしさが目立ってしまうだろう。
「私の恩人なんだ」
結局そんな曖昧な返答しかできなかった。雨車は怪しまれていないか桜家の目を覗き込む。
案の定桜家は腑に落ちていないようであったが、それ以上詮索しようとはしなかった。
街路樹が風でガサガサと音を立てて、涼しい風が肌を撫でた。
大通りに出たおかげか風が気持ちいい。目的地まではあと少しだった。
正直不安がある。二人を引き合わせたらどうなるか全く予想がつかない。
それでも、今回がきっかけになってなにか改善が見られるかもしれないという期待が強く心臓を脈打たせていた。
それから数分歩いたところで待ちあわせのカフェが見えてきた。最近できた店であり、一面ガラス張りになっているため開放感は申し分なく、店の中の雰囲気もわかって安心できる。
雨車は小走りで近づいて中を確認する。すると、奥の方の席で珈琲をすすり時計をチラチラと確認する唯理を見つけた。
「こっちだよ」
雨車は桜家の手を引いて店の中に入ると、唯理に近づきこんばんはと声をかけた。
唯理もそこで雨車に気づき軽く顔を上げた。唯理は二人の顔を交互に確認して席に座るように促した。
唯理が座っていたのは壁と向かい合う木製の椅子であり、雨車たちは自然と向かい合うように壁に取り付けられた革製の長椅子に座る。
桜家は奥に座ると、気を利かせて荷物はここにまとめていいですよと雨車に告げた。
「こちらが私の恩人の唯理さんです」
雨車の紹介に唯理は怪訝そうな顔をした。雨車はなんとか話を合わせてくれるように目で無言の懇願をする。唯理は軽くため息をついて小さくうなずいた。
「はじめまして、黒崎唯理です」
「私は桜家芝蘭といいます。宜しくお願いします」
軽く二人は挨拶を交わすが案の定ぎこちなく、重苦しい雰囲気がテーブルを漂う。
唯理は昨日会った時と同様に冷たい目をしており、まるで楽しいという感情を知らないようだった。それが原因となり近づきがたい雰囲気を醸し出している。
「今日は私も参加させていただいてありがとうございます。ケーキお好きなんですか?」
自分のせいで空気が悪くなったと思い、桜家はまずは唯理との会話を試みる。
「いや、そこまで好きじゃない」
「私がここのケーキ食べたかったからお願いしたんだ」
慌てて雨車は付け加える。内心不安でいっぱいだった。二人ともよく話す方ではない。ならば、自分がなんとか会話の糸口を作るしかないが、そもそも自分も人と喋ることは得意ではない。
結果的に雨車はヘヘッと照れ笑いすることしかできず会話は全く続かなかった。
「そういえば少し聞きたいことがあるんだがいいか?」
ケーキも食べ終わり、食後の珈琲に手をつけたところで唯理は桜家に尋ねる。
桜家は持っていたカップを置いてうなずいた。
「雨車をいじめてる娘がいるって聞いたんだ」
その言葉を聞いた瞬間、桜家はさっと身構えた。全員が一瞬で場の雰囲気が凍ったことを理解する。
雨車は慌てて唯理の様子を伺うが、唯理は全く動じていないらしく、いつものように平然と目の前の少女を観察していた。
そして次第に状況が飲み込めてきた桜家は疑るような視線を唯理と雨車に投げかけた。
「唯理さん! いきなり無神経ですよ」
消え入るような声で雨車は唯理を注意する。しかし、どこまでも冷静な唯理と警戒心をむき出した桜家の気迫に押されそれ以上のことはできなかった。
二人はしばらく無言でにらみ合う。冷たい火花が辺りに散り、全身を巡る寒気に雨車は無意識に腕を握りしめていた。
「沢谷さんのことを聞く、それが狙いだったんですね」
唯理はうなずいて肯定の意図を示す。
「話が早くて助かる、俺はまどろっこしいのは嫌いなんだ」
そう言って視線をこちらに向ける唯理に雨車はびくりと肩を震わせる。だが、勇気を振り絞って口を開く。
「まどろっこしいのが嫌いだからって、もう少し話し方があるでしょう。芝蘭ちゃんは被害者なんですよ!」
「人と人との関係はそうはっきり言えるものじゃない、そうだろ?」
雨車の言葉にかぶせるように言うと、唯理は桜家に向けて眉を上げる。
「……私には何のことを言ってるのかわかりません」
桜家の返答はまるで機械のように感情がこもっていなかった。それを見て、雨車は桜家が二人を拒絶したことを理解した。
「私は確かに沢谷さんにいじめと呼ばれるような行いをされています。しかし、これは私と沢谷さんの問題です。雨車さんならともかく、あなたに話すことは一つもありません」
桜家は立ち上がると、財布からお札を出してテーブルに叩きつけるように置いた。
「私はこれで失礼します」
「ちょっと待って芝蘭ちゃん!」
慌てて雨車も立ち上がる。しかし、桜家の決意は固いらしく振り向く様子もない。
どうしよう……こんなつもりじゃなかったのに……
一縷の望みをかけて唯理の様子をうかがうも、唯理は立ち上がりさえしなかった。
「沢谷が昔はどんな生徒だったかお前は覚えているか?」
唯理は自分の横を早足で過ぎ去ろうとする少女に疑問を投げかける。
「……昔のことなんてよく覚えてるわけないでしょう!」
これ以上はもう話したくないとばかりに桜家は店を飛び出していった。
あまりに急激な展開に雨車は何もできなかった。しかし、動けない体とは裏腹に頭の中では思いが目まぐるしく駆け巡る。
唯理はなぜあんなことを言ったのか? 私のせいで余計に芝蘭ちゃんを傷つけてしまったのではないだろうか?
いくら考えてもまるで頭に靄がかかったように答えが浮かばなかった。だが、このままではまずい。それだけははっきりとわかっていた。
「追いかけなくていいのか?」
「え?」
唯理の声に気の抜けた声を返してしまう。だが、ぼうっとしているのも一瞬の内だった。
とりあえず謝らなくちゃ! その思いが雨車を突き動かす。
雨車は唯理を一瞥すると、もうすでに遠くに行ってしまった影を求めて店を後にした。
すべての授業が終わりみんなが帰りの支度を始める中で、雨車は桜家に話しかけた。
桜家はビクリと肩を震わせ鞄の中に目を落とす。
その様子で雨車は何が起きたのか察しがついた。そういえば今日は昼食を買いに行くと行って教室を出たあとから様子が変だった気がする。
「もしかして、沢谷さんにお金取られたの?」
誰にも聞かれないようにできる限り小さな声で耳打ちする。
桜家は小さく頷くと弱々しく笑ってみせた。しかしその眉にはシワが寄っており、無理をしていることはすぐにわかった。
「今日私の知り合いがケーキとか奢ってくれるの。よかったら一緒に行かない?」
雨車はあえて明るく話しかける。少しでも元気になってほしい。そんな思いでいっぱいだった。
本当は唯理と桜家を会わせることが目的だったのだが、この際後で唯理にお金を払って今日だけは楽しんでもらおうと雨車は決意する。
「そんな……迷惑ですよ、私が行ったら」
しかし、桜家は参加を渋ってしまった。慌てて雨車は言葉を続ける。
「そんなことないよ。それにみんなで食べた方が美味しいと思うよ」
桜家はなおも迷っているようだった。
「それに私一人で会うのはちょっと緊張するから芝蘭ちゃんにそばにいてほしいんだ」
雨車は奥の手を使う。桜家は昔からこういった押しには弱いのだ。
「そこまで言うなら、わかりました。行きます」
やっとその気になってくれた桜家に雨車はほっと胸を撫で下ろすのだった。
待ちあわせの場所に向かいながらスマホで唯理に連絡を取ると、唯理はわかったと応じた。
ケーキを奢るというところには嫌そうな顔をしたのがスマホ越しだが伝わり、無理させちゃったかなと少し罪悪感に駆られる。
それでもこれは芝蘭ちゃんのためだと思い直し雨車は自分を納得させた。
「その知り合いってどういう人なんですか?」
「へ?」
桜家の言葉に思わずうわずった声が出る。そういえば唯理さんのことをなんと説明すればいいのだろう?
友達というわけでもないどころか、自分は唯理のことを全く知らない。
親戚ですというのが最もそれっぽいだろうか? だがそれではよそよそしさが目立ってしまうだろう。
「私の恩人なんだ」
結局そんな曖昧な返答しかできなかった。雨車は怪しまれていないか桜家の目を覗き込む。
案の定桜家は腑に落ちていないようであったが、それ以上詮索しようとはしなかった。
街路樹が風でガサガサと音を立てて、涼しい風が肌を撫でた。
大通りに出たおかげか風が気持ちいい。目的地まではあと少しだった。
正直不安がある。二人を引き合わせたらどうなるか全く予想がつかない。
それでも、今回がきっかけになってなにか改善が見られるかもしれないという期待が強く心臓を脈打たせていた。
それから数分歩いたところで待ちあわせのカフェが見えてきた。最近できた店であり、一面ガラス張りになっているため開放感は申し分なく、店の中の雰囲気もわかって安心できる。
雨車は小走りで近づいて中を確認する。すると、奥の方の席で珈琲をすすり時計をチラチラと確認する唯理を見つけた。
「こっちだよ」
雨車は桜家の手を引いて店の中に入ると、唯理に近づきこんばんはと声をかけた。
唯理もそこで雨車に気づき軽く顔を上げた。唯理は二人の顔を交互に確認して席に座るように促した。
唯理が座っていたのは壁と向かい合う木製の椅子であり、雨車たちは自然と向かい合うように壁に取り付けられた革製の長椅子に座る。
桜家は奥に座ると、気を利かせて荷物はここにまとめていいですよと雨車に告げた。
「こちらが私の恩人の唯理さんです」
雨車の紹介に唯理は怪訝そうな顔をした。雨車はなんとか話を合わせてくれるように目で無言の懇願をする。唯理は軽くため息をついて小さくうなずいた。
「はじめまして、黒崎唯理です」
「私は桜家芝蘭といいます。宜しくお願いします」
軽く二人は挨拶を交わすが案の定ぎこちなく、重苦しい雰囲気がテーブルを漂う。
唯理は昨日会った時と同様に冷たい目をしており、まるで楽しいという感情を知らないようだった。それが原因となり近づきがたい雰囲気を醸し出している。
「今日は私も参加させていただいてありがとうございます。ケーキお好きなんですか?」
自分のせいで空気が悪くなったと思い、桜家はまずは唯理との会話を試みる。
「いや、そこまで好きじゃない」
「私がここのケーキ食べたかったからお願いしたんだ」
慌てて雨車は付け加える。内心不安でいっぱいだった。二人ともよく話す方ではない。ならば、自分がなんとか会話の糸口を作るしかないが、そもそも自分も人と喋ることは得意ではない。
結果的に雨車はヘヘッと照れ笑いすることしかできず会話は全く続かなかった。
「そういえば少し聞きたいことがあるんだがいいか?」
ケーキも食べ終わり、食後の珈琲に手をつけたところで唯理は桜家に尋ねる。
桜家は持っていたカップを置いてうなずいた。
「雨車をいじめてる娘がいるって聞いたんだ」
その言葉を聞いた瞬間、桜家はさっと身構えた。全員が一瞬で場の雰囲気が凍ったことを理解する。
雨車は慌てて唯理の様子を伺うが、唯理は全く動じていないらしく、いつものように平然と目の前の少女を観察していた。
そして次第に状況が飲み込めてきた桜家は疑るような視線を唯理と雨車に投げかけた。
「唯理さん! いきなり無神経ですよ」
消え入るような声で雨車は唯理を注意する。しかし、どこまでも冷静な唯理と警戒心をむき出した桜家の気迫に押されそれ以上のことはできなかった。
二人はしばらく無言でにらみ合う。冷たい火花が辺りに散り、全身を巡る寒気に雨車は無意識に腕を握りしめていた。
「沢谷さんのことを聞く、それが狙いだったんですね」
唯理はうなずいて肯定の意図を示す。
「話が早くて助かる、俺はまどろっこしいのは嫌いなんだ」
そう言って視線をこちらに向ける唯理に雨車はびくりと肩を震わせる。だが、勇気を振り絞って口を開く。
「まどろっこしいのが嫌いだからって、もう少し話し方があるでしょう。芝蘭ちゃんは被害者なんですよ!」
「人と人との関係はそうはっきり言えるものじゃない、そうだろ?」
雨車の言葉にかぶせるように言うと、唯理は桜家に向けて眉を上げる。
「……私には何のことを言ってるのかわかりません」
桜家の返答はまるで機械のように感情がこもっていなかった。それを見て、雨車は桜家が二人を拒絶したことを理解した。
「私は確かに沢谷さんにいじめと呼ばれるような行いをされています。しかし、これは私と沢谷さんの問題です。雨車さんならともかく、あなたに話すことは一つもありません」
桜家は立ち上がると、財布からお札を出してテーブルに叩きつけるように置いた。
「私はこれで失礼します」
「ちょっと待って芝蘭ちゃん!」
慌てて雨車も立ち上がる。しかし、桜家の決意は固いらしく振り向く様子もない。
どうしよう……こんなつもりじゃなかったのに……
一縷の望みをかけて唯理の様子をうかがうも、唯理は立ち上がりさえしなかった。
「沢谷が昔はどんな生徒だったかお前は覚えているか?」
唯理は自分の横を早足で過ぎ去ろうとする少女に疑問を投げかける。
「……昔のことなんてよく覚えてるわけないでしょう!」
これ以上はもう話したくないとばかりに桜家は店を飛び出していった。
あまりに急激な展開に雨車は何もできなかった。しかし、動けない体とは裏腹に頭の中では思いが目まぐるしく駆け巡る。
唯理はなぜあんなことを言ったのか? 私のせいで余計に芝蘭ちゃんを傷つけてしまったのではないだろうか?
いくら考えてもまるで頭に靄がかかったように答えが浮かばなかった。だが、このままではまずい。それだけははっきりとわかっていた。
「追いかけなくていいのか?」
「え?」
唯理の声に気の抜けた声を返してしまう。だが、ぼうっとしているのも一瞬の内だった。
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