Can't Stop Fall in Love

桧垣森輪

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2巻

2-3

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 輝翔さんはセレブだから、小さい頃から豪華なプレゼントをされてたのかと思ってたけど、そこは子供らしく流行はやっていたおもちゃとかゲーム機とかをもらっていたんだって。多忙なご両親も、クリスマスは特別に早く家に帰って家族三人で一緒に過ごしてくれたそうだ。さすがにお料理の準備は間に合わないから、シェフの準備したものを食べていたらしいけど。
 そんな話を聞いたものだから、自分が作った質素なメニューに恐縮してしまった。けれど輝翔さんは、手料理なのが嬉しいと喜んで食べてくれた。
 ……で、食事も終わって片付けも済ませたので、私もお風呂に入ったわけですが。

「さて、どうしたものか……」

 脱衣所にてバスタオルを身体に巻きつけた状態で、私は葛藤かっとうしていた。
 手にしているのはもちろん、沙紀さんと一緒に買ったあのセクシーランジェリーだ。

「うう、ずかしい……」

 意を決して身につけてはみたものの、やっぱり私にはハードルが高すぎたかもしれない。
 沙紀さんに言わせれば『パンチが足りない』赤のベビードールスリップとショーツ。原色バリバリの派手な下着に囲まれていたせいで、シックなワインレッドが落ち着いて見え、つい勢いで購入した。でも、冷静になってみればこれもやっぱりヤル気満々だよね。
 というより、色とかの問題じゃなくて、いつもとは違うセクシーランジェリーを着ようとしてる時点でヤル気満々なんだけど。
 サテン生地のスリップは、ある程度の丈があるお陰でギリギリでショーツは隠れている。胸元から脇の部分にレースの刺繍ししゅうほどこされているのでバストトップは、かろうじて見えない。ただ、日頃はパットのしっかり入った寄せ上げブラをしているから、着ている感覚に違和感がある。おまけに、ショーツはひもパンだ。
 いくらなんでも輝翔さんだって引いちゃうかも……
 クリスマスの夜だからと言って、そういうコトをするとは限らない。逆に、クリスマスじゃなくても、する時はするんだけどね。だから、こんなに張り切らなくてもよかったんじゃないかな。
 でも、ただでさえ色気が足りないんだから、これくらいの努力をしないと飽きられるのも早いかもしれない。特別な日だからこそ、普段とは違う自分を演出できる理由付けにもなるしね。
 ……まあ、しない時は見られることもないから、気にしなくてもいいか。
 そう自分に言い聞かせて、強引に勇気を振り絞ったのは、やっぱりさっきのことがあるから。すん、と鳴らしてみた鼻の奥には、まだバラの香りが残っているようだった。
 さっきはああ言ったけど、たくさん抱えて帰ってきたプレゼントに、やっぱり嫉妬しっとしているのかもしれない。
 輝翔さんは付き合いのあるところから、としか言わなかった。でも、それがすべてお仕事に関わるものではないということは、あの匂いでわかった。
 それに、たとえ輝翔さんが仕事や家同士の付き合いとしか思っていなくても、相手も同じ考えだとは限らない。少なくとも、輝翔さんが無下むげに断れないくらいの人があれだけいるということだ。中には彼に対して、恋愛感情を抱いている人がいても不思議じゃない。だから、なおさら……
 意を決した私は、脱衣所の扉に手をかけた……けど、このまま出ていくのは、さすがに無理。スリップの上にパジャマを着るのは味気ないので、用意しておいたニットのひざ丈ワンピをかぶってみた。Vネックだし、白だし、ベタだけど男受けもいいという沙紀さんの入れ知恵だけど。もしもこのまま寝るのなら、下にショートパンツでも穿けばいいし。
 見せたいのか見せたくないのか、どっちなんだ私……
 あれこれ考えていたから結構な時間が経ってしまった。慌ててリビングに戻ると、スウェット姿の輝翔さんは今日の戦利品プレゼントをテーブルの上に並べていた。

「遅かったね。早くこっち来て」

 輝翔さんはソファに座ったまま手招きしている。どうやらプレゼントの中身を一緒に見ようとしているようだ。
 そりゃあ、いただいたものを確認もしないで置いておくのはどうかと思うよ? でも、いくらやましい気持ちがないからと言って、よそ様からのいただき物を彼女の前で見なくてもいいじゃないか。
 それに、私のプレゼントだってまだ渡していない。先に高額な品物を見せられたら、たたまれない。
 憮然ぶぜんとしながらも隣に腰を下ろすと、輝翔さんはテーブルの上のプレゼントをずいっと私の前へと動かした。

「これ、俺からのプレゼント」
「――はい?」

 目を丸くする私に、輝翔さんは少し照れたような笑顔を見せる。そして、大きさも形もさまざまなプレゼントの中のひとつを手に取ると、私の手のひらに載せた。

「今日は美月と過ごす初めてのクリスマスだけど、知り合ったのは随分ずいぶん昔だから。今まで一緒に過ごせなかった分のプレゼントを用意してみた」

 これ、全部、私の……!?
 それにしても、多すぎる。いったい総額いくらになるのさ!?

「私、高価なものはいらないって言いましたよね?」
「うん。だからひとつひとつの値段は抑えておいた。本当は全部まとめて指輪にでもしようかと思ったんだけど、今回は質より量で」

 テーブルの上のプレゼントは、ちょうど十個あった。
 ひとつひとつは安価でも、まとめてしまえば高価になるんじゃないの?
 一緒に過ごせなかった、十年分のプレゼント。物の数で気持ちを測るわけではないけれど、この箱のひとつひとつに、輝翔さんの私に対する想いが詰まっているような気がした。
 出会ってから十年。十年もの長い間、変わらずに私を想い続けてくれていたことを改めて実感して、胸が熱くなった。
 私の二十三回目の誕生日をお祝いしてくれたあの日――輝翔さんが思い切った行動を取ってくれなかったら、私は今でも自分の気持ちにふたをしていただろう。
 それが今、当たり前のように輝翔さんの隣にいて、一緒の時間を過ごしている。本当に夢のようだ。いや、奇跡だ。
 輝翔さんはこんなに私を喜ばせてくれるけれど、私はどうだろう……自分の準備したプレゼントがあまりにもみすぼらしく感じて、急に申し訳ない気持ちになった。
 プレゼントの値段や数もさることながら、向けられている愛情に十分こたえられていないような気がする。

「ごめんなさい。私、ひとつしか用意してなくて……」

 しかもまだ渡してもいない。慌てて取りに行こうとすると、輝翔さんの腕に捕まった。輝翔さんは私の首元に顔を埋めながら、小さくささやく。

「いいよ。美月がいてくれることが、一番のプレゼントなんだから」

 私がいることが、プレゼント……。私が……プレゼント……
 ああ、どうしてこんないいムードの時に、沙紀さんの言葉が頭に浮かぶの!? 言えない、そんなずかしいこと、言えるわけがないのに!

「……で、美月? どうしてこんな格好してるわけ?」

 甘い声からは一転、いつものどうして攻撃が始まる。
 輝翔さんの片手は私の首に回されているけれど、もう一方の手は、ニットワンピの胸元をつまんで広げていた。
 ――み、見られた!?

「たまたま見えたんだけど、見せるつもりで着たんなら、そのままお風呂から出て来ればよかったのに」

 私が呆然ぼうぜんとしているうちに、輝翔さんはニットのすそつかむとそのまま引き上げ、脱がしてしまった。
 あらわになった、スリップ姿の私……

「うわ。エロ……」

 やっぱり、引いてる!? なんとか取りつくろおうとしたものの、あせった私の頭に浮かんだのは、例の言葉だけだった。

「えっと、あの、その、……わ、私が、プレゼントよ、みたい、な?」

 うわぁぁぁん、言ってもうたぁぁぁ!
 絶対に言えないと思っていたのに、まさか自分の口からそんな言葉が出るなんて。まんまと沙紀さんの術中にはまってしまった。さすがの輝翔さんもあきれてしまったかもしれない。
 身体を縮めてチラリと見上げた先で、輝翔さんは目を丸くしたまま固まっていた。でもそれは一瞬のことで、すぐに目を細め……わ、笑った!?

「……ありがと、美月」

 輝翔さんの笑みの向こうに黒いものが見えて、背筋がゾゾゾッとした。
 ああ、なんか、やっちゃった気がする……

「せっかくだから、もっとよく見せて?」

 両脇の下に手を入れられて子供みたいに持ち上げられ、ソファに座る輝翔さんの向かいに立たされた。

「あ、あんまり、見ないで、ください……」

 下着姿どころか、その下の素肌や自分でも見たことのない場所まで、もう何度も見られているというのに、どうしても慣れない。輝翔さんの視線を感じるだけで肌が粟立あわだち、体温が上がっていく。
 羞恥しゅうちに耐えられずに懇願こんがんすると、輝翔さんは意地の悪い笑みをたたえながら私を見上げた。

「どうして? 美月自身がプレゼントなんでしょ?」

 ツリーのあかりに浮かび上がる輝翔さんの顔は、ゾッとするほどつややかで色っぽかった。
 輝翔さんに見つめられるのに私が慣れることは、恐らくこの先もないだろう。それだけ私にとって、輝翔さんは特別な存在だ。
 かろうじて太腿ふとももまでの長さがあるスリップのすそを精一杯伸ばし、なんとか身体を隠そうとしていると、輝翔さんは少しだけ困った顔をする。

「その顔、ヤバいね」
「は?」
「真っ赤な顔してうつむきながら耐えてるとか、たまんない」

 そう言って、輝翔さんの指がスリップの生地をすべりながら膨らみをゆっくりとなぞる。円を描くように一周していただきの先に触れられると、身体がピクリと跳ねた。
 指は胸から離れると下へとおりていく。そして、ウエストのくびれや腰骨をなぞり、ショーツを留めている細いひもの上へ辿たどり着いた。そのままひもを解かれるのかと思って身構えたけれど、指はそこを通り過ぎて太腿ふとももの外側をで、今度は内側へと場所を移す。恥丘ちきゅうの中心をう指にまたも身体をふるわせるが、やはり一瞬触れただけで通り過ぎてしまった。
 次いで腹部をった指は谷間をもぐり抜け、鎖骨さこつの上を肩側へと移動する。それから首筋を通り頬やあごをかすめ、さらに反対側のラインも同じように辿たどっていく。私の吐く息は、徐々に甘いものへと変わっていった。
 指で身体をなぞりながらも、輝翔さんの視線はまっすぐに私の顔へと向けられている。輝翔さんは、本当に私のすべてを確認しているようだ。
 全身くまなく指をわせると、今度は両手でスリップの上から膨らみに触れ、包み込むようにやわやわとみ上げていく。

「はあっ……あっ……や、っ……」

 クリスマスツリーのあかりに照らされたリビングに、吐息混じりの声が響く。
 ソファに腰かけている輝翔さんの目の前にある自分の胸が、彼の手によって次々と形を変える。そんな光景に羞恥しゅうちしんあおられて、下腹部がうずいた。

「あ……、輝翔さん……」

 おずおずと名前を呼びながら、輝翔さんの頭へと手を伸ばした。指に触れたふわふわとした髪の感触が気持ちいい。髪の間に指を埋めると、私の胸元で輝翔さんが小さく笑った。
 どうしたことかと首を傾げ、輝翔さんを見下ろす。そこで、彼が笑った理由がなんとなく理解できた。どうやら、輝翔さんの頭を抱いたことで、自分から胸を押し付けるような格好になってしまったようだ。

「どうしたの? いやに積極的だね」

 輝翔さんは間髪容かんはついれずに追い打ちをかける。
 咄嗟とっさに離れようとすると、膨らみを愛でていた指が先端を弾いた。

「ああんっ」

 反射的に、輝翔さんの頭を抱く手に力が入る。触れられていなかったのに、いただきはスリップの上からでもわかるくらいに硬くとがっていた。そのまま指でつまんでこすられると、なんとも言えないしびれが全身に広がっていく。

「だーめ、逃げないで。せっかく美月の方から迫ってくれてるんだから」

 セマッテナイ、セマッテナイヨー。
 セクシーランジェリーはともかく、この状況に持ち込んだのはあんたじゃないか!
 こんな格好をして、こんなに反応をしていながら、今さら止めてくれだなんて言わない。だけどさすがに、いつまでも輝翔さんの前に立ったままというのは、ずかしい。

「あ、輝翔さん……、ここじゃ、やだ……っ」

 せめて、ベッドに行きたい。彼の肩をつかんで身体を離そうとすると、ガッチリとホールドされてしまう。それから、なめらかな指で背筋をツツ、となぞられて背中がしなった。

「ひゃあっ……ん」

 ガクンとひざから崩れ落ちてしまった。
 傾いた身体は、輝翔さんの手によってしっかりと受け止められる。

「寝室に行ったら、せっかくのツリーが見えなくなるだろう?」

 輝翔さんは自分の両足を、私の足の間にすべり込ませた。そして、またも両脇に手を入れて私の身体を持ち上げる。すると今度は、ソファに座る輝翔さんの膝の上に、向かい合う体勢で座らされた。

「せっかくのイヴなんだから、今日はこのままここで、ゆっくりと見させて?」

 そう言って、ニッコリと微笑ほほえむ。えっと……あなたが見たいのは、クリスマスツリーじゃない……ですよね?
 手で払われるだけでスリップのひもは簡単に肩からすべり、腰の辺りまでストンと落ちた。肌が外気にさらされ、ふるえる。すると輝翔さんは、すかさず先端へと吸い付く。

「は……あ……」

 熱く濡れた舌が乳首をねる。左右にねっとりと転がしたかと思えば、舌先を硬くしてつついたりしてもてあそぶ。眩暈めまいがしそうなほどの快感。輝翔さんの頭に、必死でしがみついて耐えた。
 輝翔さんの口から漏れる熱い息や唾液の音に、身体がいちいち反応してしまう。輝翔さんのやわらかい髪やシャンプーの匂いが心地いい。穏やかな波のように繰り返される愛撫に、ずぶずぶとおぼれてしまう。
 唇と舌を動かしながらも、彼の手はしっかりと私の背中を支えてくれている。
 意地悪で強引で策士だけど、心底やさしい王子様。彼とのあたたかな触れ合いに酔っていると、私を支えているのとは反対の手が、ショーツの上から秘部に触れた。

「ひゃあ……っ」

 身体がビクンと跳ねる。サテン素材のショーツがクチュリと音を立て、そこがもう十分にうるおっているのがわかった。

「こんなに濡れてたら、下着をつけてるの気持ち悪いでしょ」

 輝翔さんはそう言い、クロッチの脇から指をもぐり込ませる。

「はあ、……あ、ああ……っ、んっ……」

 差し込まれた中指が内壁の浅い場所をこする。そのまま、輝翔さんの指はなぜか浅いところに留まっていた。

「下着をつけたままだと、あんまり奥まで届かないみたい。でも、せっかく美月が俺のために選んでくれたものだから、脱がしたくないんだけど」

 指を前後に動かされるたびに、痛みにも似た快感が生まれる。もどかしさから腰を揺らすと、突然電気のような衝撃が走った。

「んああっ」

 秘部の上にある敏感びんかんな場所に刺激が加わったのだ。
 でも、輝翔さんの親指はただつぼみに触れているだけで、微動だにしない。どうやら自分で腰を揺らした拍子ひょうしに、感じる部分を押し付けてしまったようだ。
 瞬間、輝翔さんの口の端がニヤリと上がる。どうやら王子様は、新たな悪事を思いついたらしい。

「自分で動いて」

 悪魔のような一言に、耳を疑った。

「む、無理っ、できない……っ」

 身を引いて逃げようとしたが、背中の手に制される。そうして輝翔さんは、押し当てた指をゆっくりと動かした。でるだけの軽い刺激にも甘い吐息が漏れてしまう。

「はぁ、ん、……あ、や……あ」
「ほら、美月。こうやって……動いて?」

 私が戸惑っている間にも、輝翔さんの指は感じる場所を何度もかすめる。なんとも言えないれったい感覚が全身を支配する。
 嫌なのに、ずかしいのに。意に反して、身体は更なる刺激を求める。必死で理性を保たないと、自分から動いてしまいそうだ。

「大丈夫だから。美月が感じてるところ、俺に見せて……?」

 麻痺まひした頭に、輝翔さんの声がやさしく響いた。腰に回された手にうながされる。
 ゆるゆると腰を動かすと、こすりつけた場所からしびれるような快感が広がった。

「ああ、はあ、あ……ん、んんっ……」

 数回動いただけなのに、身体中から汗が噴き出す。これは私の意思じゃない、と心の中で言い訳しながらも、腰の動きを止められない。水音が段々と大きくなっていくのが自分でもわかった。

「気持ちいい? ねえ、美月、すごくいやらしいよ。自分で動いて気持ちよくなってるって、わかってる?」
「や、言わないでぇ……っ」

 自分がみだらな行為をしていると思い知らされて、羞恥しゅうちしんから逃げ出したくなった。
 だけど、もうあらがえない。
 私は、この先にある快感を知っているから。

「輝翔さん……、お願い……」

 一度崩れた理性は、羞恥しゅうちしんをも忘れさせる。輝翔さんの身体にすがり付きながら懇願こんがんすると、彼はちょっとだけ辛そうな顔をして、溜め息を吐いた。

「直に触ってあげたいのはやまやまなんだけど、両手がふさがってるんだよね……」

 そう言って、輝翔さんはまたも意地悪く笑った。
 ――だったら、背中を支えなくていいように、横にならせてよ。
 ソファに横たえてくれれば済むのに、輝翔さんにその気はまったくないらしい。
 このに及んで、まだいじめるか。涙目でにらむと、輝翔さんはよいアイデアが浮かんだかのような表情になる。……恐らく、演技だ。

「そうだ。俺の両手はふさがってるから、美月が自分で下着を外したら?」

 その一言に、ふたたび耳を疑った。
 ――な、なんですと!?

ひもパンのひも、美月が自分で解けばいいんだよ。ね?」

 もう十分ずかしい思いをしたのに、その上まだ、自分から服を脱げと言うのですか!?
 脱がされるのと自分から脱ぐのではわけが違う。触って欲しいとは思ったけれど、がっついていると思われたくない。輝翔さんの上で腰を揺らして自分からショーツのひもを外すだなんて、それこそ、ヤル気満々じゃないか。

「ほら、早く」
「ああんっ!」

 敏感びんかんな場所を爪で引っかれ、身体が跳ねた。
 ……多分、言う通りにするまでこの状況は続くのだろう。観念して、片方のひもに手を伸ばす。せめてひもを外すところを見られないようにと身体を密着させようとする。けれど輝翔さんはそんな時に限って私の身体からグイと離れた。
 くそぅ、この色欲王子め。
 勢いで一気に引き抜くべきか、少しずつゆっくりにするべきか。ほんの少しだけ躊躇ちゅうちょした後、握りしめたひもを思い切って引っ張った。
 秘部をおおい隠していた布が、はらりとがれて片足に引っかかる。輝翔さんがどんな顔をしていたのかはわからないけれど、ひゅっと息を呑む音は聞こえた。

「かわいい、美月。最高のプレゼントだ」
「あああぁ……っ!」

 途端に、指が奥深くまで突き立てられる。じゅっとあふれ出した蜜が、輝翔さんの手を流れ落ちていく。

「やっ……、イ、く……イっちゃう、輝翔さ……んっ!」

 輝翔さんの指は、私の一番感じる最奥に辿たどり着いて攻め立てる。同時に敏感びんかんつぼみを強く押し込まれ、くすぶり続けた身体は一気に昇り詰めてしまった。
 だらりと倒れ込んだ私を輝翔さんは抱きしめ、頬にやさしくキスした。朦朧もうろうとする頭で、そういえば今日は、まだ深いキスをしていなかったということに気付く。けれど、そんなことすらどうでもいいように思えた。


 私は、ようやくソファへと下ろされた。
 重い身体をずるずると傾けて横になり、目を閉じる。暗闇の向こうで、なにかを取り出して破く音がしている。
 輝翔さんの準備が整うのを待つ、この時間が嫌だ。まな板の上のこい、状態のこの時間が――
 準備を終えた輝翔さんは私の腕をつかんで引き起こし、またも私を自分のひざへと座らせた。しかも、腰に引っかかったままのスリップはおろか、片側だけ外れたショーツもそのままで……

「も……これ、やだぁ……」
「今度は俺が美月のプレゼントになる番だ」

 ニヤリと笑った輝翔さんは、私の手をつかむと下へといざなう。

「ほら。自分で入れてみて……?」

 導かれた先で、熱いかたまりがドクドクと脈打っていた。

「やだ、やだっ、輝翔さんのバカぁ!」

 慌てて手を振り払うと、無我夢中で輝翔さんの首にしがみついた。
 ――触ってしまった、触ってしまった!
 手の平には、薄いゴム越しではあるが生々しい感触が残っている。あれを自分で導き入れるなんて、絶対無理!

「じゃあ、仕方ない。自分で入れるのと自分からキスするの、どっちがいい?」

 輝翔さんは楽しそうな口調で、私に選択を迫った。
 自分からキスをしたことは、今まで一度だってない。まして自分から入れるなんて、できるわけがない!
 本当に、なんて意地悪で腹黒い人なんだろう。
 きっと輝翔さんは、私がどちらを選ぶかわかっている。この場合に私が選ぶのは、キスしかない。首に回した手に力を入れ、おおいかぶさるように唇を重ねる。その瞬間、突き上げるように熱棒が入り込んだ。

「ふ、んん、っ……」

 反射的に引きそうになった頭と腰を、強引に押さえつけられる。衝撃で漏れた声は輝翔さんの口の中に吸い込まれた。

「美月、舌、伸ばせ」

 唇を合わせたまま、輝翔さんが珍しく命令する。舌を差し出すと、輝翔さんの舌に絡め取られた。
 上になっているのは私だけど、主導権は完全に輝翔さんにあった。ねっとりとした舌が私の舌の表面をい、歯列をなぞり、口腔内をで回す。口づけが深くなるほど身体から力が抜けて腰が下がり、熱棒は徐々に埋まっていく。口を開いたまま下を向いているものだから、私の唾液が輝翔さんの口の中へと流れてしまう。彼はそれを、喉を鳴らしながら躊躇ちゅうちょなく呑み込んだ。

「やっ、あっ、あん、あ……ダメっ、ああっ」

 革張りのソファが、ぎしぎしと音を立てた。そして私は、貫かれるたびにあえぎ続ける。

「んあっ、あああっ!」
「ああ、ここがいい?」

 がくがくと揺すぶられながら、首を大きく縦に振って応えた。けれど、輝翔さんは私の顔を抱き寄せて耳元で不満そうにつぶやく。

「美月、口でちゃんと言って」

 ……なんてことを要求するのだろう。今日の輝翔さんはいつにもまして意地悪だ。かぶりを振って拒否したが、言い出したらきかない輝翔さんは譲らない。

「言わないと、止めるよ?」

 そう言って輝翔さんが腰の動きを止めると、身体がビクンとふるえた。

「……や、だぁ」
「じゃあ、言って」

 散々ずかしいことをさせられているのに、まだやれというか。
 輝翔さんが欲しくてたまらないと思っているみだらな自分を、これ以上知られるのが怖い。
 何度も首を横に振ると、あふれた涙がこぼれ落ちた。輝翔さんは頬に唇を寄せて涙をめ上げる。その唇はやさしいのに、一向に要求を取り下げる気配はなく……

「美月、言って」


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