その男、凶暴により

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一章~久方ぶりの土地~

凶器

barのカウンターに座ってる状態ではそこまで分からなかったが、明らかにデカい。
190cmを優に超え、こちらを見下ろしてくる。

掴まれた手を振りながらその男を見上げる。
「ほぉ、なかなかの怪力じゃねぇの。で、今なんて言った?」

サングラスをかけたまま、こちらを一瞥し、無表情のまま同じ言葉を口にする。
「『俺に勝ったら教えてやる』と言ったんだ。」
「という事はネズミの場所を知ってるんだよな?平和的に話し合いで解決しない?」

大男は辺りを見回す。
「平和的に。か…」
「なんだよ?襲ってきたのはそっちだぜ?」

パァァンッ!
咄嗟に防御した男の左腕から乾いた音がした。
「なかなかの反応速度だ。どちらにせよ、ここまでやられて引き下がれんよ。小僧、覚悟しろ。」

「話が通じない奴らだぜ。」
二度三度と、大男の左ジャブが男に襲いかかるが、軽く叩き落とす。

そのまま、大男が突進しながら右フック、左ストレート、左ボディブロー、右アッパー。と様々な箇所を打ち分けてくる、が。


……?
小さな違和感を感じ取った男が、パーリングしながら後退する。
(おかしい…軽すぎる。)
先程の握力に比べると、相手にダメージを与えるというよりは、当てることに意味があるようなコンビネーションの攻撃。

「なぁ、兄ちゃん。何か狙ってない?」
その言葉に呼応するかのように回転率があがっていく。
「良く喋る口だな、そろそろ黙らせてやる。」
そう言うと大男が左足で強く踏み込み、肝臓を狙ったボディブローを仕掛けてきた。
思わず右腕で防御した男の右肩辺りを掴み、大きく右足を前に出す。

「悪いな、俺の武器は『地面』だ」。
そのまま、大男の右足が男の踵を刈り取ろうとした。

    !
   間
  瞬
 の


ザザッ、という何かが地面を擦る音と「ッッッッツ!」という呻き声が小さく聞こえた。

倒れた男の元に寄り添う男。

「危ない所だったな…まさか、『大外刈』を使ってくるなんて。『柔道』だろ?その技。」倒れた大男を見下ろしながら聞く。

「知ってたのか?」息も絶え絶えに絞り出しながら
口を紡ぐ。
「名前と内容くらいはな。大昔に流行ったらしいじゃん。今はボクシングか空手、基本は『総合格闘技』でまとめられちゃったからなぁ…」

よっこいしょ、と大男の横に胡座をかいて座り、何処からか煙草を取り出し火を付ける。

「まさか、足を刈ろうとした瞬間、左のボディブローで合わすなんてな。」震えながら、手をついて立ち上がろうとする大男に「寝とけ」と掌を出し、命令しながら、厳しい目を向ける。

「で、ネズミはどこよ?」

ザッザッ…と、何処からか足音が聞こえて、その音の主が声を出した。

「何が起こった?」


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