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一章~久方ぶりの土地~
噛みつくナイフ
「何故、寝ている?状況を説明しろ、豊。」
豊と呼ばれた大男が胡座をかいた男の後ろに目をやる。
「ネ、ネズミさん…」
「ほぉ、後ろにいるのがネズミなんだな?」親指を後ろに向けて豊に話し掛ける男。
「誰だ、こいつは?」
「龍だよ。」
豊と呼ばれた男が目を見開く。
「あなたが…」
「良い、どうせ『いつも』のだろ?おっさん、好き勝手やってくれたな?しかも『あの人』の名前を騙りやがって…此処では俺がルールなんだ。今日があんたの命日になる。」
ネズミが喋りながら龍に向けて右手を振り下ろす。
シュッ!
凄まじい風切り音が聞こえてきた瞬間、龍は胡座をかいたまま両手を地面につけそのまま右足で水面蹴りを繰り出した。
それに気付いたネズミが一歩下がったのを追随するように龍が地面を右手で支え、左足がネズミの側頭部に襲いかかるが右手でガードされる。
そのまま立ち上がり、首を回しながら龍がネズミを睨み付ける。
「特訓はサボってなかったみたいだな、ネズミ。ただ…こいつらは何だ?俺達はこの街の自警団じゃなかったのか?人のものを奪い、あまつさえ命を盗ろうとすることなんて教えたか?」
「『あの人』と同じような事を言いやがる。モノマネも大概にしろよ、てめぇ…」左耳にある、金色のイヤーカフを撫でながら吐き捨てる。
茶髪がかった長い髪をだらりと伸ばし、白いTシャツに黒のYシャツを羽織り袖から出ている右手にはシースナイフを逆手に持ち、ダメージジーンズの先にある左足は苛立ちを隠せないように小刻みにゆらしていた。
「もう、龍さんはいない!あの人は『あの時』死んだんだから!だから…だから俺がこの街を守るため、この街に来たヤツの金品を奪い取ってこの街の恐ろしさを広めていく。お前みたいなヤツが来たら…あの人を騙る奴が来たら…殺す」
ネズミが龍に向かい地面を這うようなアッパーを繰り出す。
もちろん、ナイフを持った右手で。
「昔から大振りすんな、って言ってんのに変わらねぇな。」
左に一歩動き、ナイフをかわした龍がネズミの右脇腹めがけてボディブローを食らわせようとしたけれど、左足を踏み出した瞬間、両手を地面につき飛び込み前転の要領で身を投げ出した。
そのまま龍がボディブローをしていたら首筋があったであろう場所に振り上げたナイフをネズミが右に振り下ろしていた。
「モノマネ野郎にしては反射神経良いじゃねえか。まぁ、龍さんなら俺のナイフより先に脇腹抉られてたけどな。」
立ち上がり、少し笑いかけながら龍がネズミに話しかける「美化しすぎだよ、昔の俺ならそのナイフの餌食になってたぜ。強くなったな。」
少し呆けた顔をした後で、長い髪をかきむしるネズミ「…ち、違う。違う!龍さんは死んだんだ!もういないんだ!そんな顔で俺を見るな!」
ようやく、立ち上がれる程に回復した豊が2人のやり取りを見て口を開いた。
「ネズミさん。多分、本物の龍さんです…柔道も知ってたし、何より見てください。」
最初にやられた3人もいつの間にか豊の後ろにおり、固唾を呑んで見守っていた。
「誰も致命傷をおってません。」
空中で蹴りを繰り出した男が口を出す。
「俺は頭から叩き付けられたはずなんですけど…多分、足を頭と地面の間に入れて防いでくれました、その人。」
「余計な事を言わなくて良いんだよ…なぁ、ネズミ。やっと戻って来れたぜ、お前の力がいる。襲ってきたあいつらをぶちのめしに行かないか?」
かきむしっていた手を止めて、全員の顔を見て…一瞬の逡巡。
その後、力強くナイフを握り締めファイティングポーズをとった。
「どいつもこいつもうるせえよ…本当に龍さんなら、俺が憧れたあの人なら…俺を止めてみろ。」
「しょうがねぇ…目を覚まさしてやる。」
同じようにファイティングポーズを取る龍。
豊と呼ばれた大男が胡座をかいた男の後ろに目をやる。
「ネ、ネズミさん…」
「ほぉ、後ろにいるのがネズミなんだな?」親指を後ろに向けて豊に話し掛ける男。
「誰だ、こいつは?」
「龍だよ。」
豊と呼ばれた男が目を見開く。
「あなたが…」
「良い、どうせ『いつも』のだろ?おっさん、好き勝手やってくれたな?しかも『あの人』の名前を騙りやがって…此処では俺がルールなんだ。今日があんたの命日になる。」
ネズミが喋りながら龍に向けて右手を振り下ろす。
シュッ!
凄まじい風切り音が聞こえてきた瞬間、龍は胡座をかいたまま両手を地面につけそのまま右足で水面蹴りを繰り出した。
それに気付いたネズミが一歩下がったのを追随するように龍が地面を右手で支え、左足がネズミの側頭部に襲いかかるが右手でガードされる。
そのまま立ち上がり、首を回しながら龍がネズミを睨み付ける。
「特訓はサボってなかったみたいだな、ネズミ。ただ…こいつらは何だ?俺達はこの街の自警団じゃなかったのか?人のものを奪い、あまつさえ命を盗ろうとすることなんて教えたか?」
「『あの人』と同じような事を言いやがる。モノマネも大概にしろよ、てめぇ…」左耳にある、金色のイヤーカフを撫でながら吐き捨てる。
茶髪がかった長い髪をだらりと伸ばし、白いTシャツに黒のYシャツを羽織り袖から出ている右手にはシースナイフを逆手に持ち、ダメージジーンズの先にある左足は苛立ちを隠せないように小刻みにゆらしていた。
「もう、龍さんはいない!あの人は『あの時』死んだんだから!だから…だから俺がこの街を守るため、この街に来たヤツの金品を奪い取ってこの街の恐ろしさを広めていく。お前みたいなヤツが来たら…あの人を騙る奴が来たら…殺す」
ネズミが龍に向かい地面を這うようなアッパーを繰り出す。
もちろん、ナイフを持った右手で。
「昔から大振りすんな、って言ってんのに変わらねぇな。」
左に一歩動き、ナイフをかわした龍がネズミの右脇腹めがけてボディブローを食らわせようとしたけれど、左足を踏み出した瞬間、両手を地面につき飛び込み前転の要領で身を投げ出した。
そのまま龍がボディブローをしていたら首筋があったであろう場所に振り上げたナイフをネズミが右に振り下ろしていた。
「モノマネ野郎にしては反射神経良いじゃねえか。まぁ、龍さんなら俺のナイフより先に脇腹抉られてたけどな。」
立ち上がり、少し笑いかけながら龍がネズミに話しかける「美化しすぎだよ、昔の俺ならそのナイフの餌食になってたぜ。強くなったな。」
少し呆けた顔をした後で、長い髪をかきむしるネズミ「…ち、違う。違う!龍さんは死んだんだ!もういないんだ!そんな顔で俺を見るな!」
ようやく、立ち上がれる程に回復した豊が2人のやり取りを見て口を開いた。
「ネズミさん。多分、本物の龍さんです…柔道も知ってたし、何より見てください。」
最初にやられた3人もいつの間にか豊の後ろにおり、固唾を呑んで見守っていた。
「誰も致命傷をおってません。」
空中で蹴りを繰り出した男が口を出す。
「俺は頭から叩き付けられたはずなんですけど…多分、足を頭と地面の間に入れて防いでくれました、その人。」
「余計な事を言わなくて良いんだよ…なぁ、ネズミ。やっと戻って来れたぜ、お前の力がいる。襲ってきたあいつらをぶちのめしに行かないか?」
かきむしっていた手を止めて、全員の顔を見て…一瞬の逡巡。
その後、力強くナイフを握り締めファイティングポーズをとった。
「どいつもこいつもうるせえよ…本当に龍さんなら、俺が憧れたあの人なら…俺を止めてみろ。」
「しょうがねぇ…目を覚まさしてやる。」
同じようにファイティングポーズを取る龍。
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