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三章~狙われた地平線~
幕間~上の世界で~
龍達と別れてから、一時間ほど。
鷹はとある岩柱の前にいた。
一目見ただけでは分からない程小さなボタンを押すと、ガガガガッと音を立てて柱の一部に木の【うろ】のような空間が出来る。
その空間に入ると、背中で入る前と同じ音が鳴り、密室になる。
次の瞬間。
全身に浮遊感を感じながら、上昇しているが中からは分からない。この状況や今から向かう場所、何もかもに驚いていた最初の事を思い出す。
(あれから3年か…)
●
タッタッタッ…
辺りは人の叫び声、衝撃音、泣き声も発生してる筈なのに自分の足音だけが嫌に大きく耳に響く。
建物の陰に隠れながら撃ち、撃てば直ぐに移動しながら、目につく子供達を見つかりにくい所に隠しながら高所を目指していた。
時間がなかった。だから、いつもならしない一番全景が見える、街の皆が『山』と呼ぶ岩柱に登る事にも躊躇いもなかった。
徒手格闘に自信がない訳ではなかった。
しかし、この状況では…
おかしい事だらけだった。
街に入るには1つの入り口しかなかったはずだ。
『通常』は。
でも、亥と丑が取り逃がしたにしては多すぎる敵が辺りを蹂躙していった。それに街を取り囲む森から湧き出てる様にも見えない。
まさか…と思った。疑いたくなかった。
でも、『俺達』が子供の時に遊んでた場所から入ったとしか考えられなかった。
この街の最奥にある【おばけ民家】の裏手に、街の外に出られる獣道がある。
あそこから…
「誰なんだよ…」
戌のおっさんは知らなかったはずだ、知ってたら絶対あんなところで遊んでた事を怒られたはずだから。
寅より下の世代も知らないと思う。
今、入り口を守ってる亥と丑も除外される。
そこまで思った所で鷹は考えるのを止めた。
もう、二人しか居なかったからだ。
そして、目的の場所を陣取った時に大変な事になってるのを知った。
龍と寅、卯と巳、申とネズミ、午と未と戌。
それぞれが固まっていたが、何処から…いや、何処を『諦めるか』考えた瞬間。
物凄い衝撃を頭に感じ、気付いた時には全てが終わっていた。
●
チンッ、と音がして入ってきた時の空間が開き、外に出る。
目をしばたたかせながら辺りを見渡すと、チュンチュンと小鳥がさえずり、風が吹き、木がそよそよと揺らいでいる。
森と呼ばれる程、生い茂った木々の間を縫う鷹。
数分ほど歩き、目的の場所に辿り着いた。
綺麗に両端に樹木や花々が並び、目の前には噴水がバシャバシャと音を出し、その奥にはシンメトリーの、東欧風の宮殿とでも言えそうな建物が鎮座していた。
建物の入り口までいくと、全身を白でコーディネートされた服装の二人が刀を脇に抱え、背筋を伸ばし佇んでいた。
鷹が二人に頭を下げると、向こうも敬礼を返す。
これが形だけであることを鷹は知っていた。
いつだったか、近衛兵の練習に混ざった時に「なんで【下の世界】の人間が…」「立場弁えて欲しいよな…」と陰口を龍と耳にした事があったからだ。
その気持ちをおくびすら出さないように建物の中に入り、綺麗に磨かれ、鏡の様に反射している赤い床を歩き、目的の場所に向かう。
大理石の階段を上り、建物の3階の大広間の再奥に『彼』は幾人かの人を携えて座っていた。
「おぉ、鷹よ!戻ってきたか!」
その声に呼び寄せられるように近くまで行き、片膝をつき、右こぶしを地面に合わせた。
「只今、戻りました。」
「うむ。龍とは逢えたのか?」
「えぇ…相変わらずでした。…残念ながら仕留め損いましたが。」
やせぎすで白髪の不健康、というより病弱な男性が椅子に座ったままクスクスと笑う。
「本当に、お互い仲が悪いな?お前達は。」
昔から、寅と龍と俺は喧嘩ばかりしてた。
小さい頃は、食べ物の量、誰が足が早いか、なんて他愛のない事で競っていた。
特に三人の中でも、一番年下のはずの龍が生意気で寅と二人で辟易した覚えがある。
だからこそ、つい憎まれ口を叩いてしまう。
ここに居る間もそんな感じで、目の前の『彼』はその様子を微笑ましそうに眺めていたのが思い出される。
ゴホッゴホッ!
「『王』!大丈夫ですか!?」近くにいた白い服の男が駆け寄る。
鷹はとある岩柱の前にいた。
一目見ただけでは分からない程小さなボタンを押すと、ガガガガッと音を立てて柱の一部に木の【うろ】のような空間が出来る。
その空間に入ると、背中で入る前と同じ音が鳴り、密室になる。
次の瞬間。
全身に浮遊感を感じながら、上昇しているが中からは分からない。この状況や今から向かう場所、何もかもに驚いていた最初の事を思い出す。
(あれから3年か…)
●
タッタッタッ…
辺りは人の叫び声、衝撃音、泣き声も発生してる筈なのに自分の足音だけが嫌に大きく耳に響く。
建物の陰に隠れながら撃ち、撃てば直ぐに移動しながら、目につく子供達を見つかりにくい所に隠しながら高所を目指していた。
時間がなかった。だから、いつもならしない一番全景が見える、街の皆が『山』と呼ぶ岩柱に登る事にも躊躇いもなかった。
徒手格闘に自信がない訳ではなかった。
しかし、この状況では…
おかしい事だらけだった。
街に入るには1つの入り口しかなかったはずだ。
『通常』は。
でも、亥と丑が取り逃がしたにしては多すぎる敵が辺りを蹂躙していった。それに街を取り囲む森から湧き出てる様にも見えない。
まさか…と思った。疑いたくなかった。
でも、『俺達』が子供の時に遊んでた場所から入ったとしか考えられなかった。
この街の最奥にある【おばけ民家】の裏手に、街の外に出られる獣道がある。
あそこから…
「誰なんだよ…」
戌のおっさんは知らなかったはずだ、知ってたら絶対あんなところで遊んでた事を怒られたはずだから。
寅より下の世代も知らないと思う。
今、入り口を守ってる亥と丑も除外される。
そこまで思った所で鷹は考えるのを止めた。
もう、二人しか居なかったからだ。
そして、目的の場所を陣取った時に大変な事になってるのを知った。
龍と寅、卯と巳、申とネズミ、午と未と戌。
それぞれが固まっていたが、何処から…いや、何処を『諦めるか』考えた瞬間。
物凄い衝撃を頭に感じ、気付いた時には全てが終わっていた。
●
チンッ、と音がして入ってきた時の空間が開き、外に出る。
目をしばたたかせながら辺りを見渡すと、チュンチュンと小鳥がさえずり、風が吹き、木がそよそよと揺らいでいる。
森と呼ばれる程、生い茂った木々の間を縫う鷹。
数分ほど歩き、目的の場所に辿り着いた。
綺麗に両端に樹木や花々が並び、目の前には噴水がバシャバシャと音を出し、その奥にはシンメトリーの、東欧風の宮殿とでも言えそうな建物が鎮座していた。
建物の入り口までいくと、全身を白でコーディネートされた服装の二人が刀を脇に抱え、背筋を伸ばし佇んでいた。
鷹が二人に頭を下げると、向こうも敬礼を返す。
これが形だけであることを鷹は知っていた。
いつだったか、近衛兵の練習に混ざった時に「なんで【下の世界】の人間が…」「立場弁えて欲しいよな…」と陰口を龍と耳にした事があったからだ。
その気持ちをおくびすら出さないように建物の中に入り、綺麗に磨かれ、鏡の様に反射している赤い床を歩き、目的の場所に向かう。
大理石の階段を上り、建物の3階の大広間の再奥に『彼』は幾人かの人を携えて座っていた。
「おぉ、鷹よ!戻ってきたか!」
その声に呼び寄せられるように近くまで行き、片膝をつき、右こぶしを地面に合わせた。
「只今、戻りました。」
「うむ。龍とは逢えたのか?」
「えぇ…相変わらずでした。…残念ながら仕留め損いましたが。」
やせぎすで白髪の不健康、というより病弱な男性が椅子に座ったままクスクスと笑う。
「本当に、お互い仲が悪いな?お前達は。」
昔から、寅と龍と俺は喧嘩ばかりしてた。
小さい頃は、食べ物の量、誰が足が早いか、なんて他愛のない事で競っていた。
特に三人の中でも、一番年下のはずの龍が生意気で寅と二人で辟易した覚えがある。
だからこそ、つい憎まれ口を叩いてしまう。
ここに居る間もそんな感じで、目の前の『彼』はその様子を微笑ましそうに眺めていたのが思い出される。
ゴホッゴホッ!
「『王』!大丈夫ですか!?」近くにいた白い服の男が駆け寄る。
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