その男、凶暴により

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最終章~真実の世界~

かつての君達だったもの

薄暗い穴ぐらの中、一本道を数分進み、漸く前方に明かりが見えてきたが、誰一人として一言も発しなかった。

光の中へ、一人、また一人と入っていく。

全員が中に入ると入り口が締まり、カシャンと鍵がかかる音がする。
中は正方形の、一辺が30mほどの白を基調としたタイル張りの部屋だった。

『ようこそ、ラストステージへ!ここには、この部屋を含め3つの部屋がある。一時間以内に最後の部屋まで行き、憎き君達の宿敵である【色龍】のボス【黄龍】を倒せば、このゲームは終わる!是非、君達の平和を!矜持を!鬱憤を!ぶつけて欲しい!勿論、今回は負ければ…君達の命は我々のモノだ!』

目の前には2人、赤く長い髪、赤いワンピースと赤一色の女性。
短髪の緑髪に緑色の頭部なしクルセイダーの男性が待ちかまえていた。
その2人の後ろ、10数m先に次への扉が見てとれる。

『第一の部屋、【朱龍】【緑龍】』
そのアナウンスに何人かがピクリと反応する。

「行きたいやつは先の部屋に行きな。あの2人には話したい事がある。」
巳の言葉に龍がまず動き出した。

「任せたぞ。」

それを見て、ネズミと豊がついていく。
「龍さん、言ったよね?最後まで一緒だからね?豊は一緒に来なくても良いんだよ?」
「俺はあの日からネズミさんの強さに惚れたんですよ、お供します。」

頭を掻きながら鷹もゆっくりと動き出す。
「お守りは必要だろう?」

赤一色の朱龍が薙刀を中段に構え、半身になった。
「貴方達、勝手に話を進めてるけど、通れると思っているの?」

「俺達も負けられないんでね…恨みはないが悪く思わないでくれ…」
緑龍も両手に大太刀を構え、臨戦態勢に入る。

その姿を見て、豊が口を開く。

「おい、お前達。『蜂谷』もしくは『黄土』って奴を知ってるか?」
2人が目を見開き、豊を睨む。
「黄土と戦ったのはお前か?」

豊は足を止め、2人から目を背けず、喋り出す。
「ここに来る前に戦った。あの子はまた、皆と逢える為にと戦っていた。だから、俺はあんたたちを傷付けたくない。」

「あの子は昔から仲間思いだったからね。」
「あぁ…だから、あいつの想いは無駄にしたくない。お前達もそうだろう?」2人が改めて武器を握り直す。

その隙に、龍が動いた。
続いて鷹が、一歩遅れてネズミが駆け出す。
壁側ギリギリを走り、一気に扉へ向かう。

「だから、通さない。って言ってるじゃない!」
2mを越える薙刀を持ったまま回転し、遠心力で威力を付け、そのまま振りかぶる。
その刃の先にネズミ。

「ぐっ!!」
音もなく刃物が獲物を捕らえた。

左の手首から先が目の前、地面に落ちて少しずつ床が赤く染まる。

「豊!なんで…」
ネズミが叫び、豊が右手で左腕を抑えた。

薙刀が当たる直前に、ネズミを突飛ばし、前のめりになった豊が口を開く。

「俺の事は良いから早く先へ!」
「でも…」
「最後まで龍さんと行くって行ったのはアンタでしょうが!?置いて行かれたくないなら走れ!」

3人が先へ進み、静寂が辺りを包む。

「とりあえず、お前には聞きたい事があるけど、まずは動けなくなってもらうぞ。」緑龍が大太刀を構え、豊の足を狙う。

そこへ、巳の鞭が緑龍の左腕に絡んだ。
「させないよ、卯!」
張りつめた鞭の上に卯が乗り、そのまま綱渡りの様に緑龍へ走り、真空飛び膝蹴りを繰り出す。

「豊さん、今の内にこっちへ!」未の手招きで豊が走り出す。

「行かせないわ!」
再び、薙刀を振りかぶり、走り出そうとした朱龍へ、鞭を持ったまま、そちらへ向かい横蹴りをする巳。

「とりあえず、応急処置だけね。」
そう言って、豊のアロハシャツの右側だけ脱がし、その服で左腕を止血する。

「すまない。」
「謝るのはあとで!あの2人には豊さんが敵と話してる時に作戦を伝えたから、豊さんにも聞いて貰う。負傷してるし、ネズミの所に行きたいだろうけど、悪いが俺達と戦ってもらうよ?」

「あぁ、勿論だ。貰った命は返せたからな。俺は何をすれば良い?」
「まず、あの2人の武器は重いから、初動に時間がかかる。そこを…」



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