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最終章~真実の世界~
最終話・その男、凶暴により
「…どういう意味だ?」
階段にうつぶせで、まるで芋虫のようにもがきながら、龍が疑問を口に出した。
「だからね、君達が生きてきた、この世界は僕が作ったんだよ。テレビという媒体すらない、この世界では想像も出来ないだろうが、とあるゲームでね、RPGというジャンルがあるんだけど、そこは良いとして…それをやってみて『作って見たい』と思ったんだよ。」
そして、いまから演説を始めるかのように、立ち上がり手を後ろにやった。
「いやぁ、大変だった。君達を1つの街に集めるのもそうだし、あの街で君達を襲った痛覚のない人間を作るのも、首の骨を折られても動く不死身と呼ばれる人間を作るのも、君達は逢ってないが樺山という3m近い人間を作ったり…なによりも!」
鬼龍が右手の人差し指をピンと立てた。
「身内の同士討ちを避けるため、この世界では【武器は致命傷を与えられないもの】に変えたのがね。剣類は木で作られた『竹光』だし、鉄砲は矢尻のない『弓矢』に変えたり、苦労したもんさ。だって、ゲームの中の鉄砲なんてダメージ与えられるだけだけど、現実なんてこんな風に足を撃ってしまえば、ピクリとも動けないチート能力なんだもの。」
左右に動いていた鬼龍が、玉座の前に戻り、階下の2人に向き合い、両手を広げる。
「でも、その努力の結果はどうだい!?君達は思った以上の動きを見せてくれた!クリア出来るか分からない戦いの中、試練を乗り越え、ここまで来れて、見事なエンディングを見せてくれた!いやぁ、本当に満足だよ!」
『言いたいことはそれだけか?』
その言葉と共に、風切り音が鬼龍に向かっていく。
カッシャン、という音と同時に鬼の仮面が弾き飛ばされる。
「鷹さん!」
入り口から矢を弾き、左手に弓を持った鷹を見て、ネズミが叫ぶ。
「俺達は人形じゃない。自分達で考えて行動する事が出来る人間なんだ。何でもかんでも、思い通りになる…と。」
鷹の言葉が止まる。
仮面から、端整な見慣れた顔が覗く。
「あんた、だったのか…【王】よ!」
龍の声が虚しく、辺りにこだました。
「あら、バレちゃった♪爺!」
その一言で黒いローブの老人が素早く動き、倒れ込んだ男の頭に鉛を撃ち込む構えをする。
どさりと玉座に座り、足を組んで、ゆっくりと王が優しく問う。
「さて、ここからが本題だ。次のゲームの構想はもう考えているんだよ。最初の部屋に未君がいるね。次は十二星座と、十二支の闘いをテーマにしたいと思っていてね?彼は強制参加なんだが…」
『君達はまだ生きていたいかい?ならば、選びたまえ。このまま逆らって憎しみを抱えたまま玉砕するか…それとも、これまでの事を忘れて次のゲームも参加して、一縷の希望を持って生きていくかい?ひょっとしたら、前のゲームの子達に約束したように、こちらの望み通りの活躍したら解放するのも吝かではないんだがね?』
*
「それにしても…うちの【キョウオウ】もえげつない事するよなぁ…」
「本当だよ、また今から新しく建物創るんだろ?今度はコロシアムみたいに全部石造りのヨーロッパ建築にするってよ。」
取り壊された木の家の残骸を運びながらひそひそ話をする、白い服を着た男達。
「あの、『キョウオウ』ってなんですか?」
その話を聞いて、後ろから声がする。
明らかに他の作業をしている白い服の男達より一回り小さい、同じく白い服を着た男がいた。
振り返った2人の内の1人が口を開く。
「そうか、お前はつい先月、ここに配属されたんだっけ?」
「俺達は、王のための『福祉健康促進課』なのは知ってるよな?初めて、ここに配属されて、まさか、あの清廉潔白、質実剛健な王様にこんな趣味があるなんて誰も知らなくて、こうしてコロシアムの観客とか、こういう後片付けとか、王様の裏の顔を見てしまうとな…」
「いつからか【凶王】凶暴な王様って影で言うようになったんだよなぁ…」
「へぇ~…『そんな風に陰で言われてたんだ?知らなかったなぁ。』」
急に小さい男の声がガラリと変わり、2人が目を見開く。
「そ、その声は…王!?何故、こちらに?」
「いやぁ、流石に次のゲームは主要なキャラクターが足りなそうだから、何人かプレイヤーになってもらおうかな~、なんて♪まぁ、俺も【龍】として、この子を動かして、初期から動こうかな~、っとね。」
「そ、そうでしたか…」
「時に二人とも、背格好も似てるし体格も良いね?どうだい、『双子座』の席が空いてるんだけど。」
その男、凶暴により【完】
階段にうつぶせで、まるで芋虫のようにもがきながら、龍が疑問を口に出した。
「だからね、君達が生きてきた、この世界は僕が作ったんだよ。テレビという媒体すらない、この世界では想像も出来ないだろうが、とあるゲームでね、RPGというジャンルがあるんだけど、そこは良いとして…それをやってみて『作って見たい』と思ったんだよ。」
そして、いまから演説を始めるかのように、立ち上がり手を後ろにやった。
「いやぁ、大変だった。君達を1つの街に集めるのもそうだし、あの街で君達を襲った痛覚のない人間を作るのも、首の骨を折られても動く不死身と呼ばれる人間を作るのも、君達は逢ってないが樺山という3m近い人間を作ったり…なによりも!」
鬼龍が右手の人差し指をピンと立てた。
「身内の同士討ちを避けるため、この世界では【武器は致命傷を与えられないもの】に変えたのがね。剣類は木で作られた『竹光』だし、鉄砲は矢尻のない『弓矢』に変えたり、苦労したもんさ。だって、ゲームの中の鉄砲なんてダメージ与えられるだけだけど、現実なんてこんな風に足を撃ってしまえば、ピクリとも動けないチート能力なんだもの。」
左右に動いていた鬼龍が、玉座の前に戻り、階下の2人に向き合い、両手を広げる。
「でも、その努力の結果はどうだい!?君達は思った以上の動きを見せてくれた!クリア出来るか分からない戦いの中、試練を乗り越え、ここまで来れて、見事なエンディングを見せてくれた!いやぁ、本当に満足だよ!」
『言いたいことはそれだけか?』
その言葉と共に、風切り音が鬼龍に向かっていく。
カッシャン、という音と同時に鬼の仮面が弾き飛ばされる。
「鷹さん!」
入り口から矢を弾き、左手に弓を持った鷹を見て、ネズミが叫ぶ。
「俺達は人形じゃない。自分達で考えて行動する事が出来る人間なんだ。何でもかんでも、思い通りになる…と。」
鷹の言葉が止まる。
仮面から、端整な見慣れた顔が覗く。
「あんた、だったのか…【王】よ!」
龍の声が虚しく、辺りにこだました。
「あら、バレちゃった♪爺!」
その一言で黒いローブの老人が素早く動き、倒れ込んだ男の頭に鉛を撃ち込む構えをする。
どさりと玉座に座り、足を組んで、ゆっくりと王が優しく問う。
「さて、ここからが本題だ。次のゲームの構想はもう考えているんだよ。最初の部屋に未君がいるね。次は十二星座と、十二支の闘いをテーマにしたいと思っていてね?彼は強制参加なんだが…」
『君達はまだ生きていたいかい?ならば、選びたまえ。このまま逆らって憎しみを抱えたまま玉砕するか…それとも、これまでの事を忘れて次のゲームも参加して、一縷の希望を持って生きていくかい?ひょっとしたら、前のゲームの子達に約束したように、こちらの望み通りの活躍したら解放するのも吝かではないんだがね?』
*
「それにしても…うちの【キョウオウ】もえげつない事するよなぁ…」
「本当だよ、また今から新しく建物創るんだろ?今度はコロシアムみたいに全部石造りのヨーロッパ建築にするってよ。」
取り壊された木の家の残骸を運びながらひそひそ話をする、白い服を着た男達。
「あの、『キョウオウ』ってなんですか?」
その話を聞いて、後ろから声がする。
明らかに他の作業をしている白い服の男達より一回り小さい、同じく白い服を着た男がいた。
振り返った2人の内の1人が口を開く。
「そうか、お前はつい先月、ここに配属されたんだっけ?」
「俺達は、王のための『福祉健康促進課』なのは知ってるよな?初めて、ここに配属されて、まさか、あの清廉潔白、質実剛健な王様にこんな趣味があるなんて誰も知らなくて、こうしてコロシアムの観客とか、こういう後片付けとか、王様の裏の顔を見てしまうとな…」
「いつからか【凶王】凶暴な王様って影で言うようになったんだよなぁ…」
「へぇ~…『そんな風に陰で言われてたんだ?知らなかったなぁ。』」
急に小さい男の声がガラリと変わり、2人が目を見開く。
「そ、その声は…王!?何故、こちらに?」
「いやぁ、流石に次のゲームは主要なキャラクターが足りなそうだから、何人かプレイヤーになってもらおうかな~、なんて♪まぁ、俺も【龍】として、この子を動かして、初期から動こうかな~、っとね。」
「そ、そうでしたか…」
「時に二人とも、背格好も似てるし体格も良いね?どうだい、『双子座』の席が空いてるんだけど。」
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