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男娼の館編
松葉杖
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森の中での一夜が明け、お馴染みの一行が出発のために支度をしている。
おや?キーナの姿が見えない…。
「テ~ル~」
と思ったら木陰から走り出てきた。
手には少し長くて太い木の棒。
テルディアスの側まで走り寄り、
「こんなんどうかしら?」
と見せている。
「ああ、いいな」
木の枝をツタで結んで組み合わせ、なにやら作っていたテルディアスが頷いた。
火の始末をしていたメリンダが、その様子を心配そうに見ている。
「キーナちゃん、少しは元気出たみたいだけど、大丈夫かしら?」
「大丈夫だろ」
メリンダの呟きを聞き、側で地図を眺めていたサーガが答える。
「何でそう言えるのよ!」
「実は夜中に、カクカクシカジカてなことが…」
と、昨夜のことを説明する。
「な」
顔を赤らめるメリンダ。
「なんであたしを起こしてくれなかったのよ!」
あたしも見たかった!と悔しそう。
「俺今、動けねぇんだけど」
見てはいないぞ?と注釈。
「なんであんた知ってるのよ?」
「こういう時、風は便利さね~」
見てはいないけれども、風で声を拾っていたのだ。
あの、聞いていると背中がむずむずしてくるような会話を。
メリンダが何やら考え込む。
「火は無理だと思うぜ?」
一応サーガが注意を入れた。
メリンダがやっぱり?とあからさまにガックリしていた。
火の力でどうにか覗き見なんかできないかしらと考えていたらしい。
「どうだ?」
テルディアスが立ち上がり、作っていた物の強度などを見る。
「おお! すごい!」
キーナが素直にそれを見て声を上げる。
テルディアスが作っていたのは松葉杖。
多少不格好ではあるが、歩行の補助にはなるであろう。
「おい、作ってやったぞ、マヌケ」
相変わらず辛辣な言葉。
「アラ、アリガトウゴザイマス、ミドリ野郎」
こちらもトゲのある言葉。というか棒読み。
嫌々ながらもそれがなければ歩けないので、素直に受け取る。
いざ使ってみようとして、あれ?となる。
松葉杖は脇に挟んで使うものですね。ところが、杖が長すぎて脇の下に挟めない。
「おっとすまん。背が低いことを忘れていた」
と白々しく杖を受け取り、長い部分を切り出しにかかる。
「動けるようになったら覚えてろてめえ…」
沸騰寸前のサーガが木に寄りかかりながら耐えているが、
「ああ、覚えておいてやろう。背が足りなくて足を切らなければならなくなったことを」
と、これみよがしに言い放つ。
ぶっちん。
サーガの堪忍袋の緒が切れた。
「くおおのやろうおおお!!」
「なんだ? やるのか?」
動けない足をカバーし、サーガが宙に舞う。そして風の玉を拵え、テルディアスに向かってぶっ放す。
ところがテルディアスは涼しい顔で、それら全てを避ける。
「やめんか!」
メリンダさんの雷が落ちました。
その場に座らされ、メリンダに説教をくらう二人。
キーナは呆れながらそれを見ていたとさ。
松葉杖を適正な長さにして、サーガが使えるかどうか確認する。
「そういえば、貴様も気付かなかったのだな」
長さが丁度良くなった所で、テルディアスがサーガに問いかけた。
「何がだよ?」
まだちょっとふてくされたままサーガが答える。
「キーナが結界から出たことだ」
そう言われて、初めてサーガ気付いた。
野宿の場合、サーガはいつも風の結界を張って寝る。
それに触れた物がいた場合、サーガは即座に目を覚ます。
ところが、昨夜その結界に、テルディアスが触れたことで気付いたのだ。
だが、その時すでにキーナは姿を消していた…。
サーガの顔が青ざめた。
「い、い、い…、ど、ど、ど…」
いつ?どうやって?と言いたいらしい。
「それが分かれば苦労せん」
キーナがメリンダが始末した焚き火に砂をかけている。キーナなりの事後処理なのか。メリンダが処理したのだから、絶対に安全であるのだが。
「そういえば、てめえも結界張って寝てるんだっけ?」
宿屋では万が一を考え、テルディアスはいつも結界を張って寝ている。
サーガもそれは気付いている。
「結界を張り、扉に鍵をして寝ている。だが…、朝起きると…いる…」
テルディアスの顔が青ざめる。
(そりゃ悲鳴も上げたくなるわな)
毎度何をそんなにびっくりするのかとも思っていたが、今回のことでそれが分かった気がする。
「しかし…」
「ああ…」
サーガとテルディアスがキーナに視線を向ける。
火の始末のはずの砂かけが、いつの間にか山作りの遊びに変更されている。
その姿は砂遊びをする子どもそのものである。
((どうやって?))
二人の問いに答えられる者はいなかった。
コツン、コツン、コツン
一定のリズムでその音が鳴る。
サーガがほぼ動かない足をなんとか引きずりながら歩く。
(やっぱ歩きにくいな~)
不格好な松葉杖のせいもある。と心の中で呟く。
「サーガ。大丈夫?」
キーナが心配そうに声を掛けてきた。
「ああ、一応歩けるぜ」
大丈夫ではないが、歩けてはいる。
というか歩かなければ前に進めない。前に進めないと言うことは、医者に診せることも叶わない。
もちろんのことだが、この状態で風の結界で移動なんて、無理な話である。
怪我などをしている場合の魔力の行使は、普通の状態の時よりも体に負担をかける。
多少の怪我ならまだしも、こんな大怪我ではまともに結界を作れるかも怪しい。
「ゴメンね。僕が治してあげられたら良いのに…」
今キーナはショックによるものか、ストレスによるものか、魔法が使えなくなってしまっている。
いつもならばものの数秒でこんな大怪我でも治してあげられることができるのに。
唇を噛む。
「ん? ああ、治してくれるんなら楽だったけどな。でもしょーがねーだろ。お前今できねーんだし」
その言葉に俯いてしまう。
「できねー時にできねー事しようとしても、しゃーねーだろ。できる時にできる事すりゃいいんだよ」
キーナが顔を上げた。
「人間なんだから、誰だって不調な時はあんだろ。だから別に気にするこっちゃねーよ」
当たり前だろ、とばかりにサーガが言った。
キーナはその言葉に胸を打たれた。
できない自分を責めるではなく、気遣ってくれる。
何気にサーガはその辺り、本当にいい人だ。いい男では無い。
キーナが感動を覚えていると、その肩にメリンダが手を置いた。
「そうそう、気にしなくて良いのよ、キーナちゃん」
「メリンダさん…」
「あれはあいつがヘマした結果なんだから、キーナちゃんが責任感じることはないのよ」
まーそれはそーなんだけど。もう少し俺を気遣ってくれても良くない?
とサーガがブチブチ呟いていると、
「そうだぞ。キーナ」
と今度はテルディアスが肩に手を置く。
「あれは奴がマヌケだから起きた事だ。お前が気にかける必要は全くない」
二人共、サーガの扱いがちょっと雑でない?とキーナが苦笑いした時、
「てめえにマヌケ呼ばわりされる筋合いはねー!!」
とサーガがぶち切れ、再び風を纏う。
「マヌケをマヌケと呼んで何が悪い」
迫り来る風の玉を素早いステップで躱していくテルディアス。
「やめなさい!!」
本日二回目のメリンダさんの雷が落ちました。
二人は教室で立たされた男子生徒よろしく、メリンダの説教を受ける事となりました。
キーナはこの二人は仲が良いのか悪いのかよく分からん、と首を傾げていた。
説教がすんで再び歩き始める一同。
「そういえばさあ、テル?」
キーナがテルディアスのマントを引っ張る。
「なんだ?」
「サーガの足を治すために向かってる街って、テルの生まれ故郷なんだって?」
その言葉を聞き、なんとなくギクリとなるテルディアス。
キーナは何を言いたい?聞きたい?のか。
「もしかしたら会えるのかな~? テルの剣のお兄さん?とか、お手伝いのお婆さんとか…」
おぼろげながら、テルディアスが話してくれたことを覚えていたようだ。
ところが次に出て来た台詞で、テルディアスが焦る。
「初恋の人?とか」
「ちょっとまて!」
向こうでメリンダとサーガがキュピーン!と瞳を輝かせてこちらを見ている。
やはり話を聞いていたか。
「何をどうしたらそういう風に脳内変換されるんだ?」
キーナのおでこを人差し指でグリグリしながら、アホな事は言うなと暗に含めるが、もちろんキーナには分からない。
「え? 違うの?」
やはり分かっていない。
「なんだっけ? シアさん?」
「ティ・アだ!」
言ってテルディアスは気付いた。自分から白状してしまった事に…。
メリンダとサーガがにやにやしながらこちらを見ていた。
「そーそー、そのティアさんがテルの初恋の人じゃなかったっけ? ? テル?」
テルディアスが木陰でうずくまっている。
いつの間に、どうしたの?とキーナが声を掛けるが、ほっといてくれ、と意気消沈。
背後ではメリンダとサーガが良い事聞いた、さすがキーナちゃん、とぼそぼそ言い合っていた。
おや?キーナの姿が見えない…。
「テ~ル~」
と思ったら木陰から走り出てきた。
手には少し長くて太い木の棒。
テルディアスの側まで走り寄り、
「こんなんどうかしら?」
と見せている。
「ああ、いいな」
木の枝をツタで結んで組み合わせ、なにやら作っていたテルディアスが頷いた。
火の始末をしていたメリンダが、その様子を心配そうに見ている。
「キーナちゃん、少しは元気出たみたいだけど、大丈夫かしら?」
「大丈夫だろ」
メリンダの呟きを聞き、側で地図を眺めていたサーガが答える。
「何でそう言えるのよ!」
「実は夜中に、カクカクシカジカてなことが…」
と、昨夜のことを説明する。
「な」
顔を赤らめるメリンダ。
「なんであたしを起こしてくれなかったのよ!」
あたしも見たかった!と悔しそう。
「俺今、動けねぇんだけど」
見てはいないぞ?と注釈。
「なんであんた知ってるのよ?」
「こういう時、風は便利さね~」
見てはいないけれども、風で声を拾っていたのだ。
あの、聞いていると背中がむずむずしてくるような会話を。
メリンダが何やら考え込む。
「火は無理だと思うぜ?」
一応サーガが注意を入れた。
メリンダがやっぱり?とあからさまにガックリしていた。
火の力でどうにか覗き見なんかできないかしらと考えていたらしい。
「どうだ?」
テルディアスが立ち上がり、作っていた物の強度などを見る。
「おお! すごい!」
キーナが素直にそれを見て声を上げる。
テルディアスが作っていたのは松葉杖。
多少不格好ではあるが、歩行の補助にはなるであろう。
「おい、作ってやったぞ、マヌケ」
相変わらず辛辣な言葉。
「アラ、アリガトウゴザイマス、ミドリ野郎」
こちらもトゲのある言葉。というか棒読み。
嫌々ながらもそれがなければ歩けないので、素直に受け取る。
いざ使ってみようとして、あれ?となる。
松葉杖は脇に挟んで使うものですね。ところが、杖が長すぎて脇の下に挟めない。
「おっとすまん。背が低いことを忘れていた」
と白々しく杖を受け取り、長い部分を切り出しにかかる。
「動けるようになったら覚えてろてめえ…」
沸騰寸前のサーガが木に寄りかかりながら耐えているが、
「ああ、覚えておいてやろう。背が足りなくて足を切らなければならなくなったことを」
と、これみよがしに言い放つ。
ぶっちん。
サーガの堪忍袋の緒が切れた。
「くおおのやろうおおお!!」
「なんだ? やるのか?」
動けない足をカバーし、サーガが宙に舞う。そして風の玉を拵え、テルディアスに向かってぶっ放す。
ところがテルディアスは涼しい顔で、それら全てを避ける。
「やめんか!」
メリンダさんの雷が落ちました。
その場に座らされ、メリンダに説教をくらう二人。
キーナは呆れながらそれを見ていたとさ。
松葉杖を適正な長さにして、サーガが使えるかどうか確認する。
「そういえば、貴様も気付かなかったのだな」
長さが丁度良くなった所で、テルディアスがサーガに問いかけた。
「何がだよ?」
まだちょっとふてくされたままサーガが答える。
「キーナが結界から出たことだ」
そう言われて、初めてサーガ気付いた。
野宿の場合、サーガはいつも風の結界を張って寝る。
それに触れた物がいた場合、サーガは即座に目を覚ます。
ところが、昨夜その結界に、テルディアスが触れたことで気付いたのだ。
だが、その時すでにキーナは姿を消していた…。
サーガの顔が青ざめた。
「い、い、い…、ど、ど、ど…」
いつ?どうやって?と言いたいらしい。
「それが分かれば苦労せん」
キーナがメリンダが始末した焚き火に砂をかけている。キーナなりの事後処理なのか。メリンダが処理したのだから、絶対に安全であるのだが。
「そういえば、てめえも結界張って寝てるんだっけ?」
宿屋では万が一を考え、テルディアスはいつも結界を張って寝ている。
サーガもそれは気付いている。
「結界を張り、扉に鍵をして寝ている。だが…、朝起きると…いる…」
テルディアスの顔が青ざめる。
(そりゃ悲鳴も上げたくなるわな)
毎度何をそんなにびっくりするのかとも思っていたが、今回のことでそれが分かった気がする。
「しかし…」
「ああ…」
サーガとテルディアスがキーナに視線を向ける。
火の始末のはずの砂かけが、いつの間にか山作りの遊びに変更されている。
その姿は砂遊びをする子どもそのものである。
((どうやって?))
二人の問いに答えられる者はいなかった。
コツン、コツン、コツン
一定のリズムでその音が鳴る。
サーガがほぼ動かない足をなんとか引きずりながら歩く。
(やっぱ歩きにくいな~)
不格好な松葉杖のせいもある。と心の中で呟く。
「サーガ。大丈夫?」
キーナが心配そうに声を掛けてきた。
「ああ、一応歩けるぜ」
大丈夫ではないが、歩けてはいる。
というか歩かなければ前に進めない。前に進めないと言うことは、医者に診せることも叶わない。
もちろんのことだが、この状態で風の結界で移動なんて、無理な話である。
怪我などをしている場合の魔力の行使は、普通の状態の時よりも体に負担をかける。
多少の怪我ならまだしも、こんな大怪我ではまともに結界を作れるかも怪しい。
「ゴメンね。僕が治してあげられたら良いのに…」
今キーナはショックによるものか、ストレスによるものか、魔法が使えなくなってしまっている。
いつもならばものの数秒でこんな大怪我でも治してあげられることができるのに。
唇を噛む。
「ん? ああ、治してくれるんなら楽だったけどな。でもしょーがねーだろ。お前今できねーんだし」
その言葉に俯いてしまう。
「できねー時にできねー事しようとしても、しゃーねーだろ。できる時にできる事すりゃいいんだよ」
キーナが顔を上げた。
「人間なんだから、誰だって不調な時はあんだろ。だから別に気にするこっちゃねーよ」
当たり前だろ、とばかりにサーガが言った。
キーナはその言葉に胸を打たれた。
できない自分を責めるではなく、気遣ってくれる。
何気にサーガはその辺り、本当にいい人だ。いい男では無い。
キーナが感動を覚えていると、その肩にメリンダが手を置いた。
「そうそう、気にしなくて良いのよ、キーナちゃん」
「メリンダさん…」
「あれはあいつがヘマした結果なんだから、キーナちゃんが責任感じることはないのよ」
まーそれはそーなんだけど。もう少し俺を気遣ってくれても良くない?
とサーガがブチブチ呟いていると、
「そうだぞ。キーナ」
と今度はテルディアスが肩に手を置く。
「あれは奴がマヌケだから起きた事だ。お前が気にかける必要は全くない」
二人共、サーガの扱いがちょっと雑でない?とキーナが苦笑いした時、
「てめえにマヌケ呼ばわりされる筋合いはねー!!」
とサーガがぶち切れ、再び風を纏う。
「マヌケをマヌケと呼んで何が悪い」
迫り来る風の玉を素早いステップで躱していくテルディアス。
「やめなさい!!」
本日二回目のメリンダさんの雷が落ちました。
二人は教室で立たされた男子生徒よろしく、メリンダの説教を受ける事となりました。
キーナはこの二人は仲が良いのか悪いのかよく分からん、と首を傾げていた。
説教がすんで再び歩き始める一同。
「そういえばさあ、テル?」
キーナがテルディアスのマントを引っ張る。
「なんだ?」
「サーガの足を治すために向かってる街って、テルの生まれ故郷なんだって?」
その言葉を聞き、なんとなくギクリとなるテルディアス。
キーナは何を言いたい?聞きたい?のか。
「もしかしたら会えるのかな~? テルの剣のお兄さん?とか、お手伝いのお婆さんとか…」
おぼろげながら、テルディアスが話してくれたことを覚えていたようだ。
ところが次に出て来た台詞で、テルディアスが焦る。
「初恋の人?とか」
「ちょっとまて!」
向こうでメリンダとサーガがキュピーン!と瞳を輝かせてこちらを見ている。
やはり話を聞いていたか。
「何をどうしたらそういう風に脳内変換されるんだ?」
キーナのおでこを人差し指でグリグリしながら、アホな事は言うなと暗に含めるが、もちろんキーナには分からない。
「え? 違うの?」
やはり分かっていない。
「なんだっけ? シアさん?」
「ティ・アだ!」
言ってテルディアスは気付いた。自分から白状してしまった事に…。
メリンダとサーガがにやにやしながらこちらを見ていた。
「そーそー、そのティアさんがテルの初恋の人じゃなかったっけ? ? テル?」
テルディアスが木陰でうずくまっている。
いつの間に、どうしたの?とキーナが声を掛けるが、ほっといてくれ、と意気消沈。
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