キーナの魔法

小笠原慎二

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地底宮の冒険

ゴーレムの倒し方

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祭壇の裏にメリンダとキーナは隠れていた。
そしてキーナは、

「ゴーレムの生成方法は術士が念でその形を留めるか、あるいは媒体となる核を利用してその形を維持するはず。つまりは何処かに核となる物が埋め込まれているはずだからそれさえ破壊できれば…」

と何やら寄せ集め異世界知識をブツブツと呟いていた。

「キーナちゃん?」

キーナの異様な雰囲気に、メリンダが心配になって話しかけるが聞いちゃいない。

(サーガは風だからやりにくそうだけど、核さえ見つければ破壊できなくもないはず。テルはオールマイティだけど、さっきから大きな魔法使ってるからそろそろMP残量がやばいはず…)

MP言うな。

(とにかく核さえ見つければ!)

キーナの中でそう結論づけられた。
核となる場所には、それと分かるように何かしらの目印がつけてあるのが大体お約束。
有名なお話しでいうと、ゴーレムの額にある「emeth」と言う文字の、頭の「e」を削ると壊れるというアレ。
気になる人は調べてみよう。
キーナ、実は漫画でこの話を知っていた。
その他の漫画にも出てくるゴーレムにも、皆一様に核となる場所、または弱点などに必ず印があったのだ。
漫画様々。
となれば話は簡単。

「メリンダさん」
「はい?」
「援護よろしく!」

そう言って祭壇の裏からダッシュで飛び出していく。

「キーナちゃん?!」

メリンダにはキーナの素早さは追いつけなかった。

「こっちだ! こっちにもいるぞ!」

祭壇の前でキーナが声を上げた。

((キーナ?!))

男二人がぎょっとする。
何故あやつがこの場に出てくる?
キーナは確かに素早い奴ではあるが、男達のような脚力を持っているわけではない。
と、一体の土人形が声に反応したのか、キーナに近づいて行った。

(あのバカ!!)

テルディアスが慌ててキーナの元へ走ろうとするが、あまりにも離れすぎているのと、3体の土人形に阻まれ、進めなかった。

「く…、どきやがれてめーら!」

サーガもキーナの元へ行こうとするが、土人形の頭の上からなかなか降りることができなかった。

(動きは遅いのだから避けられる!)

キーナが床を蹴る。
確かに土人形の動きはそこまで早くはない。
だがしかし、そこまで遅くもなかったのだ。
これが直線の通路をただ追いかけっこするだけならば、キーナでも逃げることが出来たかもしれないが、ここは部屋の中。
逃げるには土人形の足元をちょこまかと動き回らなければならない。
と、足元ならば、土人形も手を伸ばすだけでいいわけで。

(れ?)

キーナの目の前に、大きな掌が迫ってきた。
その時。

ゴウ!

突然土人形の足が燃え始めた。

「キーナちゃん!」
「メリンダさん!」

メリンダの炎だった。

「キーナちゃんに…、手を出すんじゃないわよ! この、木偶野郎!!」

台詞を吐き捨てると同時に火力も上がる。

(魔力…、封じられてるよね?)

サーガ冷や汗。
魔力を封じられてあの威力?
封じられてなかったら、本当に土人形なんか一瞬で燃え上がっていたかもしれない。
メリンダの炎に炙られ、土人形の足元がぐらつき始める。

ズズン

「わ」

足が焼け落ちた土人形が、キーナの前に倒れかかってくる。

「!」

それを見上げていたキーナ、その小さな印に気がついた。
目はいいのだ。
土人形の胸の上の辺り、丸い円の中に双葉のような模様が描かれている。

「あれだ!」

なんの確証もなく言い切ってしまう所がさすがである。
掌に火の力を集める。

「火《イラ》…矢《ロア》!!」
キーナの放ったは炎の矢は、過たずその印を射貫いた。

ズドオ!

次の瞬間、

ガラガラガラガラ…

あっという間に土人形が崩れ落ちた。

((!))

それを見たテルディアスとサーガが息を呑んだ。
倒せるのか、あれを…。

「テル! サーガ! 胸の上の方に印がある! そこを狙って!」

キーナが叫んだ。

「なるほど」
「了解!」

テルディアスとサーガの足に力が入った。















テルディアスが土人形の腕を伝って駆け上がる。
そして剣を抜き、火の力を集め出す。

「火剣《イライサ》…」

火の力を剣に集め、即席火剣を作り出す。
肩の手前で胸に向かって飛ぶ。
目を凝らせば、キーナの言う通り、小さな印があった。

(これか!!)

その印に向かって思い切り剣を突き刺す。

ズド!

ガラガラガラガラ…

またもやあっという間に土人形が崩れ落ちた。
壊し方さえ分かってしまえば…。
テルディアスは次に向かって駆け出した。















「フ―――――――――」

サーガが長い息を吐いた。

(ただでさえ、
・地下
・密閉空間
・淀んだ空気 
と悪条件が重なってるっつーに)

いつもよりも気合いを込め、風の力をその手に集め始める。
肩から頭に蹴上がり、さらに頭から飛び上がる。

(アレか?!)

なるほど、よく見れば確かに小さな印のようなものがある。

(こいつを貫くのにどんだけいるんだ?)

どんなに強い風でも、強固に出来た蔵を壊すのは難しい。
サーガは落ちるに任せ、掌に風を集中させる。
とにかく出来うるだけの力を持って穿つしかない。

「サーガ!」

キーナの悲鳴が聞こえた。
気付いた時には遅かった。

「っべ…!」

土人形の掌が、サーガを襲った。

ヅドオ!

掌にはじき飛ばされ、サーガは壁に激突した。

「!」
「サーガ!」

メリンダが声を上げた。
崩れた壁の間から、サーガの足が見えるが、ピクリとも動かない。
それを見たメリンダの、全身から赤い光が立ち上った。
ギョッとなるキーナ。
メリンダの顔つきがおかしいことに気付く。
あ、あれはブチ切れてるんじゃ…。

「サーガに…」

メリンダが両手を上げる。
その掌に炎の塊が現われ、渦を巻く。

「何してくれてんのよ…」

渦を巻いていた炎が前後に伸び、矢の形になっていく。

(矢っていうより、銛だよね…)

なんとなく怖くなったキーナ、安全と思われる隅にさっさと避難する。

「この…、クズ野郎!!」

メリンダが掌の先に出来た、巨大な矢を、思い切り土人形に向けて投げた。
矢は一体目の土人形の胸を貫通し、その後ろにいた土人形の胸に刺さり、爆発四散した。

ガラガラガラガラ…

あっという間に2体の土人形が崩れ去って行った。








(……。俺達の苦労って…)

それを見ていたテルディアス。
なんだか虚しくなって溜息を一つついたとさ。














「メリンダさん!」

立っていることの出来なくなったメリンダが、祭壇にしがみついていた。

「あたしは大丈夫! 先にサーガを!」

そう言ってサーガを指さす。
キーナは一瞬迷ったが、頷いて、サーガの元へと走った。
腕の力も入らなくなっていったメリンダが、ずるずると祭壇の裏に崩れ落ちていく。

(こんな所で、あんな大きい術を使えば…、こうなるのも、当然…よね…)

体を起こしていることも出来なくなり、メリンダは祭壇の裏に倒れ込んだ。
そして、そのまま目を閉じた。
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