ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった

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15 【薬草 配合師《やくそう はいごうし》】の試験

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  町から出発してレミさんと歩いていたけれど、魔物に遭遇してない。珍しいなと思った。そのことをレミさんに話をした。
 「ああ。それは私のレベルが高いので、弱い魔物が寄って来ないのでしょう」
 レミさんは、サラリと重要なことを言った。

 試験機場までお互いに自己紹介をしたら、レミさんはこの国の王女様の護衛をしたことがあると言った。今は詳しく言えないが、貴族だと話してくれた。
 「えっ? レミさん、俺の護衛をしてもらっていいのですか?」
 遠い国から来た……としか皆に話してないのに。

 「ええ。光栄です」
 ニコッと、レミさんは笑ってくれた。光栄……というのが気になるけれど。

 町の感じもそうだけど風景がもう、ゲームの世界。日本と全く違う。レンガ作りの家があったり、目の前には風車があったりする。
 知らない風景をこうして歩いて行けるなんて夢みたいだ。……俺、このゲームは知っていたかな?

 「見えてきましたよ、レン様」
 「え? あっ!?」
 大きな風車に気をとられていたら真正面に、白い豪華な宮殿みたいな建物が見えた。
 
 「あれが【薬草 配合師やくそう はいごうし】の本部です。そこで試験を受けます」
 「な、なるほど……」
 レミさんの説明で緊張してきた。大丈夫と言われてきたから、大丈夫だよね……?

 
 『ようこそ! 【薬草 配合師やくそう はいごうし】の本部へ』
 中はごみ一つ落ちてない、清潔な建物の中だった。外観も、建物の中も真っ白だった。受付の人は男性で、白衣のような短めのローブを羽織っていた。どこも白かった。
 「あの、試験を受けに来たのですが……」
 俺は受付の人に話しかけてみた。
『おお! 歓迎するよ! こちらへどうぞ』
 俺はレミさんと頷いて、男性について行った。

 床は大理石だろうか? ピカピカに磨かれていて光っていた。案内されて奥のドアの前でとまった。
『エリアマネージャー! 試験を受ける方が見えましたよ』
 トントンと扉を叩いて、返事を聞く前に扉を開けた。いいのか? と心配になった。

 「へ? 試験を受ける方が見えた……?」
 「そうですよ! 久しぶりで、僕、嬉しいですよ!」
 丸い眼鏡をかけた白衣のような短めのローブを着た女性が、大きな机の上で実験のようなことをしている最中だった。よく見ると、俺も薬を作っている時に使っているようなツボだった。俺のよりは大きいけれど。

 「まあ、まあ、まあ、まあ! ようこそ! 【薬草 配合師やくそう はいごうし】の本部へ!」
 俺はとても歓迎されたようだ。

 「最近、薬草 配合師やくそう はいごうしの素質を持った人が少なくてね……。嬉しいわ!」
 「そうです、そうです! 仲間は多いほうがいい!」
 二人の歓迎ぶりに俺は焦った。もしこれでダメだったら困るな。

 「さっそく試験をしましょう!」
 眼鏡のエリアマネージャーと呼ばれた女性はツボのフタを閉めて、机をぐるりと回って俺達の方へやってきた。一緒にきたレミさんが薬草 配合師やくそう はいごうしのエリアマネージャーへ封筒を渡した。
 「エリアマネージャー、これを。知り得た情報は内密にお願いします」
 ピリッと部屋の空気が緊張に包まれた気がした。あの手紙はなんだろう?

 封蝋ふうろうをペーパーナイフで開けて中を取り出した。エリアマネージャーは手紙を読んでこちらを向いた。
 「……了解です」
 何が書いてあったのかわからないけれど、エリアマネージャーの緊張した面持ちを見て重要なことが書いてあったと思った。
 
 「こちらへ。試験は簡単です」
 エリアマネージャーがいた部屋を出て、隣の部屋へ移動した。試験会場の部屋へ入ると薄暗く、中央に大きなツボが置いてあった。

『それでは試験を始めます』
 エリアマネージャーが試験開始の合図をした。どんなことをするのだろう? 何も知らされてない試験なんて聞いたことない。

 「レン様、こちらへ」
 「はい」
 緊張のため、ゴクッと喉を鳴らしてエリアマネージャーの近くへ行った。

 『テーブルの上に色々な薬草が置いてあります。見分けて、なにか作ってください』
 エリアマネージャーはにっこりと微笑んで俺に言った。見分けて、何か作ればいいのか……。
 「わかりました」
 簡単な試験……ではなさそうだ。

 テーブルの上に山のように、草と他の材料が乗せられていた。これを分別して、使えるものと使えないもの、ただの雑草と分けてから薬になるものを作っていく。薬草に詳しくないとダメなものだ。
 チカッ! 
 「ん?」
 何かが光った。暗くて見えなかったけれど、目を凝らして見ると奥に何かの像が飾られていた。

 「んんっ!?」
 急に目の前に、が浮かび上がった。

 テーブルの上に置いてある薬草を見ると、薬草の名前・効能・作り方などが浮かび上がった。
 突然だったから驚いたけど、これって……。【ステータス画面】みたいだ。
 「どうしました?」
 案内してくれた受付の男性が俺に声をかけてきた。ふと見てみると、ステータス画面が消えた。

 あれっ? ステータス画面ってキャラのHP&MPが見られるはずなのだけど、見えなかった。また俺は薬草を見るとステータス画面みたいのが現れた!
 もしかしてこれは、植物専用の画面なのかな?

 ツボを挟んで右側から左を見ると、今度は草の周りが赤くなった。……これって毒草だ。この葉の形、間違いない。

 俺は斜め掛けしているカバンから、手袋を取り出して両手にはめた。毒草を慎重に他の薬草と分けて混ざらないように端に置いた。
 皆、黙って俺の一つ一つの動きを見ていた。集中していたので、それは気にならなかった。

 「薬を作っていきます!」
 俺は慎重に薬草と他の材料をツボの中へ入れた。
 


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