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52 緑の精霊 救出
しおりを挟む「やめ、ろ……。他の精霊たちが悲しむ」
『!』
緑の精霊の女の子にそう言うと、少し手を緩めた。どうやら本気で俺を倒そうとは思ってないようだ。
「レン!」
アッシュがいつの間にか俺の近くに来ていて、緑の精霊の女の子に剣を向けたところだった。
「ダメだ、アッシュ!」
ガキ――ン!
「レン様!?」
レミさんが俺の側に走って来てくれた。
俺は、アッシュが緑の精霊の女の子に剣で突き刺そうとしたところをナイフで止めた。途中で俺がナイフを取り出したのが見えたので、アッシュが力を緩めたから止められた。……で、ないと勇者の本気の剣なんて止められない。
「どうして?」
アッシュは剣を下ろした。責めているわけじゃなく、疑問を俺にぶつけた。俺は、コホッ、コホッ! と咳き込んだ。
「君を倒そうとした」
俺は女の子の両手を掴んで、首から離した。アッシュは緑の精霊の女の子を睨んでいた。
掴んだ女の子の精霊の手は震えていた。悲しそうな瞳には涙がこぼれていた。
「この緑の精霊の女の子は、操られている」
「え?」
「え!?」
アッシュとレミさんは、精霊の女の子を観察するようにみた。アンバーはジッと見ていた。
『確かに、この緑の塔の精霊は操られていました……』
アンバーは悲しそうに言った。
「ちょっとルビーを起こしてくるから、この女の子の精霊を見ていてくれる?」
俺はアッシュに、お願い! と頼んだ。今、赤黒い枝やツルの攻撃は止まっている。この隙に俺はルビーの所までダッシュした。アッシュとレミさんは、赤黒い枝やツルと緑の精霊の女の子を警戒している。
入り口まで戻って、寝ているサンをペチペチ叩いて起こした。
『キュ~?』
「精霊のお友達を助けたい。力を貸してくれるかな?」
俺がサンに伝えると、コクリ! と頷いた。
『キュキュ!』
サンはその場で、ピョン! ピョン! とジャンプをした。ふわふわの毛が動いて中から小鳥のルビーが、コロン! と出てきた。
『痛い……。なあに?』
頭をフリフリして立ち上がった。
「ルビー! お友達を助ける手伝いをして欲しい!」
『ピッ!?』
俺は小鳥のルビーを、ガツッ! と掴んだ。少し力が入ってしまった。
『……わ、わかったピ!』
サンも、アンバーも頼む! 俺は三人の精霊にお願いをした。皆、頷いて俺の後についてきてくれた。ルビーは女の子の姿へ戻った。
緑の精霊がいるところから離れて、ルビーに話しをした。
「緑の精霊がいるところを避けて、赤黒い枝やツルを焼き切ることはできる?」
『え? ……難しいけれど、やってみる!』
「魔力の調節が大事だよ。できるね? ルビー」
『うん!』
「アンバーはその足の速さで、ルビーが炎で赤黒い枝やツルを全部焼き切る前に、緑の精霊を助け出して欲しい!」
黄の塔の精霊 犬の姿のアンバーに俺は頼んだ。
『かしこまりました』
「アッシュとレミさん! こっちへきて!」
二人に大声で言うとこっちに来てくれた。赤黒い枝やツルを警戒しながら走って来てくれた。
「なにか作戦を思いついたのかい? レン」
アッシュとレミさんは剣を下ろしていたけれど、まだ警戒は解いてない。俺は皆に作戦を話した。
「ルビーが赤黒い枝やツルを魔法で焼き切って、緑の精霊の所に炎が来ないうちにアンバーが助け出す」
ルビーとアンバーはコクンと頷いた。
「アッシュとレミさんは赤黒い枝やツルを警戒してもらう。その間俺は、緑の精霊の魔のモノの呪いを解くポーションを作る!」
アッシュとレミさんは「「わかった」」と言って頷いた。
「サンは俺と残って」
『キュキュ!』
元気な返事をサンからもらった。
「急いだ方がいい。緑の精霊が魔のモノへなる前に救いたい!」
「「了解!」」
『うん!』『はい!』
『キュキュキュ!』
『炎、怖いけどがまんして! 助けるから! 緑の塔の精霊 お友達だから!』
ルビーはフロアの中央へ立って、緑の精霊に話しかけた。緑の精霊はコクンと頷いた。ルビーは魔法を唱えた。
『炎よ! 赤黒い枝やツルを、焼き切って!』
ボワッ――!
大きな炎が二つ、壁に張り付いている赤黒い枝やツルに向かって飛んでいった!
俺はカバンの中から魔力のツボと材料を取り出した。緑の精霊を救う、ポーションを作り始めた!
『救出してきます!』
アンバーが茶色い毛をなびかせて走っていった。炎の勢いは早く、端から赤黒い枝やツルは炎に焼かれていった。
グギャアアアアアア――!
赤黒い枝やツルの断末魔が聞こえる。炎の勢いは衰えず、緑の精霊の近くまで迫っていた。
最後のあがきなのか、赤黒い枝やツルが俺達にまた襲い掛かってきた。アッシュとレミさんは俺達に赤黒い枝やツルの攻撃が来ないように戦ってくれている!
『背中に乗せます!』
アンバーは緑の精霊の足元まで炎が迫っていたが、腕をくわえて引きはがして自分の背中に乗せて炎から助け出した。すごい速さで緑の精霊を乗せたままこちらへ戻ってきた。
「アンバー、すごいや! ありがとう!」
『仲間を救えて良かったです』
アンバーは緑の精霊を床へ、そっと下ろした。ルビーがこっちへ戻ってきた。
『でも、炎の勢いが激しかったですね』
アンバーがルビーに呆れたように言った。
『ごめんピ!』
ルビーはアンバーの頭を撫でて謝っていた。
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