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第一幕
ep.4 暗雲 (3)
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人気のない廊下をルイーゼの執務室の方へと向かいながら、隊士はため息を吐いて隣を歩くルイーゼの表情を伺った。
頭一つ分より下にある彼女の顔は、いつものものと変わらないように見えて、そこにほんの微かな歪みのようなものが見られる。
「俺は、何度も忠告しましたよ。あいつを甘やかすなって」
足を止めないまま、隊士が静かに言った。ルイーゼは視線を正面に向けたまま返答する。
「そのようなつもりはありませんでしたが、言動が不適切でしたね。部下である貴方にフォローさせたことをお詫びします」
「……殿下のお怪我は?」
「問題ありません、既に治させていただきました。貴方の腕は、駄目そうですか」
「ああ。俺としたことが、腱をスッパリやられました。これでは、以前のように剣を握れそうにない」
隊士がそう言って包帯の巻かれた右腕を持ち上げる。握ろうとした指先が痺れていることに小さく舌打ちして、腕を下ろす。
「あいつらには、上手く言ってください。可能であれば、殿下の屋敷の警護に回して貰えると嬉しいんですがね」
「ええ、そのつもりです。片腕が無くとも、貴方の力は十分護衛として信頼出来る」
ルイーゼはそう答えてぴたりと足を止めた。その場で深く頭を下げたことに、隊士が舌打ちする。
「申し訳ありません。私の判断ミスでした。命を預かる上官として失格です」
「ちっ……やめてくださいよこんなとこで。人が見てたらどうすんだ。だからあんたは甘いってんだよ」
男はルイーゼの頭を上げさせると、再び歩みを促す。
しばらく無言で歩を進めた後で、隊士は今度は視線を向けないままで問いかけた。
「なんであいつらに、いつまでもあんたの力のことを伏せてるんですか。『魔力も万能じゃない』でしたっけ? あんたは殿下みたいに、自分の腕力や脚力を強化する術は持っていない。つまり、素のあんたにすらあいつは手も足も出なかったってことだ」
少し呆れたような声で、彼は最後にそう締め括った。
ルイーゼが魔力についてさほど秀でている訳ではないということは、小隊の者であれば皆知っている。しかし、その特性について正しく把握しているのは、彼を含む古くからの隊士のみだった。
男と同様に視線を前に向けたまま、ルイーゼが首を横に振る。
「それを知れば、余計に彼の自尊心は損なわれます。彼は若いが、優秀です。腐らずに磨き続ければ、すぐに私の剣など抜き去るでしょう」
「よく言うぜ、抜かせる気なんかない癖によ」
はっと隊士が鼻で笑う。十年近くを部下として接し、己の一握りで背骨すら折れてしまいそうな女が、その実強靭な牙を持っていることはよく理解していた。
先程の訓練場でのやりとりを思い出し、男はため息を吐く。
「テオ然り、若い奴らは兎角、魔力だなんだに夢を見過ぎてる。ありゃ何でもできる魔法の力なんかじゃない。小隊長が魔力の研究やら魔装具の開発やらに長年拘ってたのも、ご自分の特性が気に食わないからでしょう?」
それでよく『持って生まれたものを磨く』などとご高説を垂れたものだ、と隊士は大袈裟に肩を竦めた。
ルイーゼは足を止めずに、ちら、と隣の隊士の横顔を見上げる。
「貴方は以前から、魔装具の開発には然程乗り気ではなかったですね」
「ええ、そうですね。苦心されていた小隊長には悪いが、戦場で得体の知れない力に命を預ける程怖いことはない。分不相応な力は身を滅ぼすだけだと、歴史が証明してるでしょう」
「貴方はここ数年は特に、実に合理的なものの考え方をするようになりましたね。正直なところ、血気盛んな我が隊に貴方を失うことが、余りにも痛手です」
「そりゃ素直に嬉しいこって。そう見えるのなら、間違いなく、馬鹿真面目なあんたの影響でしょうよ」
そう言って隊士はからからとした笑い声を漏らした。
◇
訓練場からルイーゼの執務室まではかなりの距離があった。
途中何人もの騎士や兵士、貴族たちとすれ違い、再び辺りに人気が無くなったところで、ルイーゼは小声で囁くように隣の男へと告げる。
「……正直なところ、テオの焦りや憤りは私自身理解するのですよ。私の『干渉』の魔力は、稀少といえば聞こえはいいですが、結局のところ相手の身に作用することしかできません。戦場において有利な筋力強化や治癒力強化、せめて宰相殿らのような知力に作用するものであればと思ったことも、一度や二度ではありません」
本当に『ご高説』を垂れるような立場ではない、とルイーゼは薄く苦笑した。
その表情を斜め上から一瞥し、隊士はまたため息を吐く。
「それで殿下の傷を癒して差し上げられるなら十分じゃないですか」
「現状はその程度の役にしか立ちませんね。尋問や根回しにでも使えればと思いましたが、それ程強い魔力でもありませんので」
「あんたの傀儡にでもするってか? それこそ殿下がお許しにならないでしょうよ。それにあまりそう卑下すると、テオじゃなくともキレられますよ。何も持たない俺らよりはずっとマシでしょう」
「貴方方には腕力があるでしょう?」
「それは、あんたもだろ」
少しだけ低くなった声に、ルイーゼの肩が微かに反応する。
ちょうど辿り着いた執務室に入るよう視線で促し、二人で足を踏み入れて、扉が完全に閉まってから隊士は大きく肩を竦めた。
「あれだけ毎日のように吹き飛ばされてて、いい加減に気が付きますよ。人間の魔力も、獣人の腕力も持ってるとは、随分複雑な生まれのようで。その頭の傷は、耳を切り取った痕ですか?」
白い髪の頭頂部を見ながら隊士が問い掛ける。
ルイーゼは何も答えず、じっと赤い瞳が男を見据えた。
数秒の沈黙の後で、ふと男が苦笑する。
「冗談ですよ。髪に隠れて何も見えません。触らない限り分からんでしょう。最後なので言ってあげますけどね、あんた、いつも済ました顔してるが、昔から大して嘘が上手くないんですよ。殿下の『理想』だって、実はあんた自身、そんなに求めてないでしょう。その忠誠心だけは正真正銘本物みたいですがね」
また数秒黙った後で、ルイーゼは小さくため息を吐く。他に知っているものはあるか、と問うと、話したことはないが自分と同期の隊士であれば気づいていてもおかしくはない、という返答が返った。
ようやく鋭い視線から解放され、隊士が凝ったように肩を回す。ここに入るのも最後かと、さほど興味なさげに室内を見渡し、ふと思い出したようにルイーゼを振り返った。
「そういや――大昔に、一度だけやろうとしてましたよね。魔力を使って死体を操るってやつ。あれ、殿下に咎められたんでしょう?」
さらりと投げかけられた問いに、ルイーゼがため息を吐く。あれはもう何年も前、治癒以外にどうにか魔力を上手く活用できないかと幾つも試行錯誤していたうちの一つだった。
「……ええ。それは理想の為に取るべき手段ではないと、そう言われました。生きている人間を操ったり情報を吐かせたりすることが難しいのであれば、生命の失われたものならと思ったのですがね。正直なところ、手段を選んでいて到達できるものではないと思いますが、それがクラウス殿下のご意志であれば、私はただ従うまでです」
「それはご立派なこって。ですがね、小隊長。もしこの先、俺が命を落とすことがあれば、その干渉とやらを試してみてくださいよ」
「それは……」
眉を顰めたルイーゼに、隊士が思わず吹き出す。常に冷たくあろうとしているらしいこの若い女は、よくよく観察すれば色々な感情を滲ませる。相変わらず自分たちに対して甘い小隊長へ、隊士は怪我をしていない方の手を挙げた。
「いや、死ぬつもりなんざさらさらないですよ。だが、殿下の道には余りにも敵が多い。死体になってでも俺の剣がお役に立つのであれば、俺の魂も浮かばれるってもんです」
そのような話は好まないのではなかったのか、とルイーゼが問うと、殿下は好きそうでしょう、といった返答があった。
隊士は軽く身なりを整えて、その場で深く一礼する。
「改めて、長い間世話になりました。俺は、殿下のことは勿論お慕いしているが、あんたのことも嫌いじゃなかった。最後に余計な忠告をしておくと、あんたはもう少し他人を味方に付ける術を身につけた方がいい。お二人だけで切り開けるほど、改革は生優しい道じゃないでしょう」
「それはどうもありがとう。ですが私は、十六小隊の者たちは皆、殿下の理想を支える同志だと思っていますよ。貴方も、隊を抜けた程度では変わらないと思いましたが、見込み違いでしょうか?」
そう言って片眉を上げるルイーゼの表情は、すっかり普段の小隊長のものへと戻っていた。
それは失礼した、と隊士が顔を上げて肩を竦める。最後に折角だから頭の傷跡に触れてもいいかと彼が尋ねると、ルイーゼはいつもの表情の中に、明らかな不快を滲ませた。
「お断りします。淑女たる者、気安く身体に触れさせるべきでないと、昔クラウス殿下に教えられました」
淡々とそう答えるルイーゼに、それは忠義に厚いことだと隊士は声を上げて笑った。
頭一つ分より下にある彼女の顔は、いつものものと変わらないように見えて、そこにほんの微かな歪みのようなものが見られる。
「俺は、何度も忠告しましたよ。あいつを甘やかすなって」
足を止めないまま、隊士が静かに言った。ルイーゼは視線を正面に向けたまま返答する。
「そのようなつもりはありませんでしたが、言動が不適切でしたね。部下である貴方にフォローさせたことをお詫びします」
「……殿下のお怪我は?」
「問題ありません、既に治させていただきました。貴方の腕は、駄目そうですか」
「ああ。俺としたことが、腱をスッパリやられました。これでは、以前のように剣を握れそうにない」
隊士がそう言って包帯の巻かれた右腕を持ち上げる。握ろうとした指先が痺れていることに小さく舌打ちして、腕を下ろす。
「あいつらには、上手く言ってください。可能であれば、殿下の屋敷の警護に回して貰えると嬉しいんですがね」
「ええ、そのつもりです。片腕が無くとも、貴方の力は十分護衛として信頼出来る」
ルイーゼはそう答えてぴたりと足を止めた。その場で深く頭を下げたことに、隊士が舌打ちする。
「申し訳ありません。私の判断ミスでした。命を預かる上官として失格です」
「ちっ……やめてくださいよこんなとこで。人が見てたらどうすんだ。だからあんたは甘いってんだよ」
男はルイーゼの頭を上げさせると、再び歩みを促す。
しばらく無言で歩を進めた後で、隊士は今度は視線を向けないままで問いかけた。
「なんであいつらに、いつまでもあんたの力のことを伏せてるんですか。『魔力も万能じゃない』でしたっけ? あんたは殿下みたいに、自分の腕力や脚力を強化する術は持っていない。つまり、素のあんたにすらあいつは手も足も出なかったってことだ」
少し呆れたような声で、彼は最後にそう締め括った。
ルイーゼが魔力についてさほど秀でている訳ではないということは、小隊の者であれば皆知っている。しかし、その特性について正しく把握しているのは、彼を含む古くからの隊士のみだった。
男と同様に視線を前に向けたまま、ルイーゼが首を横に振る。
「それを知れば、余計に彼の自尊心は損なわれます。彼は若いが、優秀です。腐らずに磨き続ければ、すぐに私の剣など抜き去るでしょう」
「よく言うぜ、抜かせる気なんかない癖によ」
はっと隊士が鼻で笑う。十年近くを部下として接し、己の一握りで背骨すら折れてしまいそうな女が、その実強靭な牙を持っていることはよく理解していた。
先程の訓練場でのやりとりを思い出し、男はため息を吐く。
「テオ然り、若い奴らは兎角、魔力だなんだに夢を見過ぎてる。ありゃ何でもできる魔法の力なんかじゃない。小隊長が魔力の研究やら魔装具の開発やらに長年拘ってたのも、ご自分の特性が気に食わないからでしょう?」
それでよく『持って生まれたものを磨く』などとご高説を垂れたものだ、と隊士は大袈裟に肩を竦めた。
ルイーゼは足を止めずに、ちら、と隣の隊士の横顔を見上げる。
「貴方は以前から、魔装具の開発には然程乗り気ではなかったですね」
「ええ、そうですね。苦心されていた小隊長には悪いが、戦場で得体の知れない力に命を預ける程怖いことはない。分不相応な力は身を滅ぼすだけだと、歴史が証明してるでしょう」
「貴方はここ数年は特に、実に合理的なものの考え方をするようになりましたね。正直なところ、血気盛んな我が隊に貴方を失うことが、余りにも痛手です」
「そりゃ素直に嬉しいこって。そう見えるのなら、間違いなく、馬鹿真面目なあんたの影響でしょうよ」
そう言って隊士はからからとした笑い声を漏らした。
◇
訓練場からルイーゼの執務室まではかなりの距離があった。
途中何人もの騎士や兵士、貴族たちとすれ違い、再び辺りに人気が無くなったところで、ルイーゼは小声で囁くように隣の男へと告げる。
「……正直なところ、テオの焦りや憤りは私自身理解するのですよ。私の『干渉』の魔力は、稀少といえば聞こえはいいですが、結局のところ相手の身に作用することしかできません。戦場において有利な筋力強化や治癒力強化、せめて宰相殿らのような知力に作用するものであればと思ったことも、一度や二度ではありません」
本当に『ご高説』を垂れるような立場ではない、とルイーゼは薄く苦笑した。
その表情を斜め上から一瞥し、隊士はまたため息を吐く。
「それで殿下の傷を癒して差し上げられるなら十分じゃないですか」
「現状はその程度の役にしか立ちませんね。尋問や根回しにでも使えればと思いましたが、それ程強い魔力でもありませんので」
「あんたの傀儡にでもするってか? それこそ殿下がお許しにならないでしょうよ。それにあまりそう卑下すると、テオじゃなくともキレられますよ。何も持たない俺らよりはずっとマシでしょう」
「貴方方には腕力があるでしょう?」
「それは、あんたもだろ」
少しだけ低くなった声に、ルイーゼの肩が微かに反応する。
ちょうど辿り着いた執務室に入るよう視線で促し、二人で足を踏み入れて、扉が完全に閉まってから隊士は大きく肩を竦めた。
「あれだけ毎日のように吹き飛ばされてて、いい加減に気が付きますよ。人間の魔力も、獣人の腕力も持ってるとは、随分複雑な生まれのようで。その頭の傷は、耳を切り取った痕ですか?」
白い髪の頭頂部を見ながら隊士が問い掛ける。
ルイーゼは何も答えず、じっと赤い瞳が男を見据えた。
数秒の沈黙の後で、ふと男が苦笑する。
「冗談ですよ。髪に隠れて何も見えません。触らない限り分からんでしょう。最後なので言ってあげますけどね、あんた、いつも済ました顔してるが、昔から大して嘘が上手くないんですよ。殿下の『理想』だって、実はあんた自身、そんなに求めてないでしょう。その忠誠心だけは正真正銘本物みたいですがね」
また数秒黙った後で、ルイーゼは小さくため息を吐く。他に知っているものはあるか、と問うと、話したことはないが自分と同期の隊士であれば気づいていてもおかしくはない、という返答が返った。
ようやく鋭い視線から解放され、隊士が凝ったように肩を回す。ここに入るのも最後かと、さほど興味なさげに室内を見渡し、ふと思い出したようにルイーゼを振り返った。
「そういや――大昔に、一度だけやろうとしてましたよね。魔力を使って死体を操るってやつ。あれ、殿下に咎められたんでしょう?」
さらりと投げかけられた問いに、ルイーゼがため息を吐く。あれはもう何年も前、治癒以外にどうにか魔力を上手く活用できないかと幾つも試行錯誤していたうちの一つだった。
「……ええ。それは理想の為に取るべき手段ではないと、そう言われました。生きている人間を操ったり情報を吐かせたりすることが難しいのであれば、生命の失われたものならと思ったのですがね。正直なところ、手段を選んでいて到達できるものではないと思いますが、それがクラウス殿下のご意志であれば、私はただ従うまでです」
「それはご立派なこって。ですがね、小隊長。もしこの先、俺が命を落とすことがあれば、その干渉とやらを試してみてくださいよ」
「それは……」
眉を顰めたルイーゼに、隊士が思わず吹き出す。常に冷たくあろうとしているらしいこの若い女は、よくよく観察すれば色々な感情を滲ませる。相変わらず自分たちに対して甘い小隊長へ、隊士は怪我をしていない方の手を挙げた。
「いや、死ぬつもりなんざさらさらないですよ。だが、殿下の道には余りにも敵が多い。死体になってでも俺の剣がお役に立つのであれば、俺の魂も浮かばれるってもんです」
そのような話は好まないのではなかったのか、とルイーゼが問うと、殿下は好きそうでしょう、といった返答があった。
隊士は軽く身なりを整えて、その場で深く一礼する。
「改めて、長い間世話になりました。俺は、殿下のことは勿論お慕いしているが、あんたのことも嫌いじゃなかった。最後に余計な忠告をしておくと、あんたはもう少し他人を味方に付ける術を身につけた方がいい。お二人だけで切り開けるほど、改革は生優しい道じゃないでしょう」
「それはどうもありがとう。ですが私は、十六小隊の者たちは皆、殿下の理想を支える同志だと思っていますよ。貴方も、隊を抜けた程度では変わらないと思いましたが、見込み違いでしょうか?」
そう言って片眉を上げるルイーゼの表情は、すっかり普段の小隊長のものへと戻っていた。
それは失礼した、と隊士が顔を上げて肩を竦める。最後に折角だから頭の傷跡に触れてもいいかと彼が尋ねると、ルイーゼはいつもの表情の中に、明らかな不快を滲ませた。
「お断りします。淑女たる者、気安く身体に触れさせるべきでないと、昔クラウス殿下に教えられました」
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