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二章
ep.6 翼の矜持
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海底宮殿の中を、長い金の髪が揺蕩う。
鼻歌混じりに廊下を泳ぐリュアの姫に、すれ違った給仕の女がくすくすと笑った。
「セレイア姫様、このところ随分とご機嫌なようでいらっしゃいますね」
「ええ、楽しいわ。きっとリュアの未来ももっと素敵なものになるって、そう思うの」
くるりと振り返ったセレイアが、嬉しそうな笑顔でそう答える。
リュアの未来、という表現に、給仕は違いないと頷いた。
「先日の儀式において、姫様の歌声は一層美しく磨かれておりましたから。この海のさらなる繁栄も疑いようがないと、皆も口々にそう申しておりますよ。本当に、セレイア姫様のようなお世継ぎをもたれて、アルヴェニル王もさぞご安心なさっておられることでしょう」
最後にそう付け加えて、給仕は一礼してからセレイアの来た方へと泳いでいった。
彼女の背を見送り、その姿が完全になくなってから、セレイアがふうとため息を吐く。
「そういう意味ではなかったのだけれど……まあいいわ。次にお話するものを準備しておかないと」
軽く首を横に振ってセレイアは一人そう納得する。
鼻歌を再開しながら軽く水を蹴ると、宮殿の長い廊下を滑るように進んだ。
◇
「……これは?」
目の前にずらりと並べられた石の破片に、カイルラスはそう端的に尋ねた。
入り江の岩場に腰掛けたセレイアが、どこか自慢げな表情で胸を張る。
「すごいでしょう? 全部、わたしが集めたの。ただの石じゃないの。人間の文字が描かれているのよ」
見て、とセレイアの指が石の一箇所を指し示す。
夜空を背に浮かんでいたカイルラスが、少しだけ身を屈めて白い指の先をじっと見た。
「この形、ほら、こっちの石にも描かれているわ。全部は持ってこられなかったのだけれど、わたしの部屋にある他の石片にもたくさん見つけたの。だからわたし、きっと特別大事な意味なんじゃないかって、そう思ってるの」
「大事な意味とは」
「そうね……例えば、愛、とか。歌、だとか。家族、種族、仲間、えっと他には……」
セレイアは指を折りながら、その文字が示す意味の候補を挙げていく。
一通り挙げ終えて、もう何も思いつかなくなってから、セレイアはカイルラスの顔を見上げた。
「あなたはどう思う? あなたたちにとって大事なものって何かしら。空とか、風? そのいつも持っている剣?」
自らの全身を巡る視線に、そう見回すなと釘を刺してから、カイルラスは頭上の空を指差した。
「我らヴァレアの民にとって重要なものは、誇りと矜持だ」
「矜持?」
「一族や友は重んじる。剣の腕も、戦士として生涯磨き続けることは当然だが、何よりも己に誠実であらねばならない。誇りを手放した者の翼は、もはや空を切ることは叶わぬ」
「そう、あなたたちは気高さを何より大事にするのね。だからそんなにも美しいんだわ。わたし、いつも海から見上げて思っていたの。澄んだ夜風みたいな、綺麗なヒトたちだなって」
何度か空に向かって歌ったことがあるが、聞こえたことはあるかとセレイアが笑う。
カイルラスはその問いには答えず、とん、と指先で石片を軽く突いた。
「一つ聞きたい。お前が人間や他種族に興味を持っていることは理解したが、何故、この石片を集めようと?」
「だって、こんなに丈夫なものを削ってまで、わざわざ残しておかないといけないものよ。きっと重要な情報に違いないって、そう思ったの。わたしたちも、記憶は鱗に全部刻まれるんだけど、それでも後世に残さないといけない大事なことは、海で一番硬い黒石貝に刻んで――」
セレイアが嬉々として説明を続ける。
このような逢瀬はもう何度目かになるが、彼女の興が乗ると話が長くなるのは毎回のことで、カイルラスはもはや慣れたようにそれを遮らずに聞いた。
やがて、海にある貝の違いやその用途についてもキリのいいところまで解説されてから、カイルラスはそうか、と頷いた。
「お前の意図は理解した。その上で、長年の考察を無慈悲に打ち砕くようで悪いが……これは、恐らくは子供が遊びで描いたものだろう」
「えっ?」
「人間社会において、このような石片に重要な情報を記すことはない。厳密には、遥か古代にはそのような時代があったと聞くが、今となっては失われた文化だ」
カイルラスの返答に、セレイアは、それは残念だ、と肩を落とす。
その様子を一瞥し、カイルラスはほんの少し眉を顰めた。
「……すまない。お前の収集自体を否定する意図はなかった。お前の期待するものではないだろうが、児戯とはいえ、人間の文字の類であることには違いはない」
「ううん、教えてくれてありがとう。えっと、あなたは人間の文字が分かるのよね? これ、何が描いてあるのか聞いてもいい?」
セレイアが手のひらに石片を乗せ、カイルラスへと突き出す。
カイルラスは、今度は間を置かずに答えた。
「名前だ。恐らくはそれを描いた者と、その者が欲する者の名だろう」
「……というと?」
「この印は、呪いの一種だ。内に並べて名を描いた者同士が、強い縁によって結ばれるといった類の――」
「素敵! 人間も、魔力に似た力が使えるのね?」
言葉を遮ってはしゃぐセレイアに、カイルラスはため息を吐き、そんなものはないと即座に否定した。
「これは単なる児戯に過ぎない」
「そうなの? それでも、やっぱり素敵だわ」
小さく首を傾げてから、セレイアは石片を大切そうに胸に抱く。
「だって、このおまじないは子供でも描けるように簡単にしてあるもの。そんな風習があるってことは、人間は幼い頃から誰かを大切に思える種族だってことよ。海底で囁かれているような、無慈悲で傲慢な種族なんかじゃないわ」
それならば分かり合えるはずだと頷くセレイアに、カイルラスは眉を寄せた。
彼女の楽観主義は今に始まったものではなく、そう単純な話ではないと何度目かになる釘を刺す。
そうかしら、とセレイアは首を傾げ、濡れた指先で鉤爪の先に触れた。
「人間だけじゃないわ。空のヴァレアだって、こんなにも優しい。さっきだって、わたしががっかりしないように慰めてくれたじゃない。あなたはいつも、とても親切なヒトだわ。この入り江でわたしを助けてくれたことも、すごく驚いたの。あなたたちが人魚族を助けるだなんて、そんなこと思ってもみなかったから」
「……お前の期待を裏切るようだが、あの時はお前がリュアだと判別が付かなかった。空からは、何者かが獣に喰われかけているように見えたまでだ」
「でもわたしを引き出した後も、背中に庇ったまま、置いて去ることをしなかったわ。そういえば、あの時どうしてあんな怪我をしていたのか、聞いてもいい?」
「戦だ。人間同士のな」
カイルラスがそう言って、ふいと暗い海の方へ視線を逸らす。
他の二種族に比べて圧倒的に数の少ない翼人族は、その翼と剣の腕を武器に、多くが騎士として人間に仕えている。
厳密には、この辺りの大陸を治めている帝国と皇帝に忠義を誓っているのであり、必要があれば他国や他部族の人間と剣を交えることもあるのだとカイルラスは続けた。
「――敵の根城に攻め入ったところで、想定に無い反撃があった。俺を含む戦士が傷を負い、そのうち一人が命を落とした」
「それは……なんて言っていいのか……。ごめんなさい、あなたたちにとって、どうやって死を悼むのがいいのか分からなくて」
鎮魂歌が必要かと提案するセレイアに、カイルラスが首を横に振る。
「我らは戦士の死を悲しむことはない。だが……争いの最中に、骸が海に飲まれた。空に還るべき魂を連れ帰れなかった、そのことについては、一族の長として悔いねばならない」
カイルラスの表情に、確かに悲しみの類は一切感じられない。
ただ、鋭い眼光が暗い海の底をじっと見据えていた。
セレイアは、そう、とだけ答えて、カイルラスの視線の先の海を黙って見つめた。
鼻歌混じりに廊下を泳ぐリュアの姫に、すれ違った給仕の女がくすくすと笑った。
「セレイア姫様、このところ随分とご機嫌なようでいらっしゃいますね」
「ええ、楽しいわ。きっとリュアの未来ももっと素敵なものになるって、そう思うの」
くるりと振り返ったセレイアが、嬉しそうな笑顔でそう答える。
リュアの未来、という表現に、給仕は違いないと頷いた。
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「そういう意味ではなかったのだけれど……まあいいわ。次にお話するものを準備しておかないと」
軽く首を横に振ってセレイアは一人そう納得する。
鼻歌を再開しながら軽く水を蹴ると、宮殿の長い廊下を滑るように進んだ。
◇
「……これは?」
目の前にずらりと並べられた石の破片に、カイルラスはそう端的に尋ねた。
入り江の岩場に腰掛けたセレイアが、どこか自慢げな表情で胸を張る。
「すごいでしょう? 全部、わたしが集めたの。ただの石じゃないの。人間の文字が描かれているのよ」
見て、とセレイアの指が石の一箇所を指し示す。
夜空を背に浮かんでいたカイルラスが、少しだけ身を屈めて白い指の先をじっと見た。
「この形、ほら、こっちの石にも描かれているわ。全部は持ってこられなかったのだけれど、わたしの部屋にある他の石片にもたくさん見つけたの。だからわたし、きっと特別大事な意味なんじゃないかって、そう思ってるの」
「大事な意味とは」
「そうね……例えば、愛、とか。歌、だとか。家族、種族、仲間、えっと他には……」
セレイアは指を折りながら、その文字が示す意味の候補を挙げていく。
一通り挙げ終えて、もう何も思いつかなくなってから、セレイアはカイルラスの顔を見上げた。
「あなたはどう思う? あなたたちにとって大事なものって何かしら。空とか、風? そのいつも持っている剣?」
自らの全身を巡る視線に、そう見回すなと釘を刺してから、カイルラスは頭上の空を指差した。
「我らヴァレアの民にとって重要なものは、誇りと矜持だ」
「矜持?」
「一族や友は重んじる。剣の腕も、戦士として生涯磨き続けることは当然だが、何よりも己に誠実であらねばならない。誇りを手放した者の翼は、もはや空を切ることは叶わぬ」
「そう、あなたたちは気高さを何より大事にするのね。だからそんなにも美しいんだわ。わたし、いつも海から見上げて思っていたの。澄んだ夜風みたいな、綺麗なヒトたちだなって」
何度か空に向かって歌ったことがあるが、聞こえたことはあるかとセレイアが笑う。
カイルラスはその問いには答えず、とん、と指先で石片を軽く突いた。
「一つ聞きたい。お前が人間や他種族に興味を持っていることは理解したが、何故、この石片を集めようと?」
「だって、こんなに丈夫なものを削ってまで、わざわざ残しておかないといけないものよ。きっと重要な情報に違いないって、そう思ったの。わたしたちも、記憶は鱗に全部刻まれるんだけど、それでも後世に残さないといけない大事なことは、海で一番硬い黒石貝に刻んで――」
セレイアが嬉々として説明を続ける。
このような逢瀬はもう何度目かになるが、彼女の興が乗ると話が長くなるのは毎回のことで、カイルラスはもはや慣れたようにそれを遮らずに聞いた。
やがて、海にある貝の違いやその用途についてもキリのいいところまで解説されてから、カイルラスはそうか、と頷いた。
「お前の意図は理解した。その上で、長年の考察を無慈悲に打ち砕くようで悪いが……これは、恐らくは子供が遊びで描いたものだろう」
「えっ?」
「人間社会において、このような石片に重要な情報を記すことはない。厳密には、遥か古代にはそのような時代があったと聞くが、今となっては失われた文化だ」
カイルラスの返答に、セレイアは、それは残念だ、と肩を落とす。
その様子を一瞥し、カイルラスはほんの少し眉を顰めた。
「……すまない。お前の収集自体を否定する意図はなかった。お前の期待するものではないだろうが、児戯とはいえ、人間の文字の類であることには違いはない」
「ううん、教えてくれてありがとう。えっと、あなたは人間の文字が分かるのよね? これ、何が描いてあるのか聞いてもいい?」
セレイアが手のひらに石片を乗せ、カイルラスへと突き出す。
カイルラスは、今度は間を置かずに答えた。
「名前だ。恐らくはそれを描いた者と、その者が欲する者の名だろう」
「……というと?」
「この印は、呪いの一種だ。内に並べて名を描いた者同士が、強い縁によって結ばれるといった類の――」
「素敵! 人間も、魔力に似た力が使えるのね?」
言葉を遮ってはしゃぐセレイアに、カイルラスはため息を吐き、そんなものはないと即座に否定した。
「これは単なる児戯に過ぎない」
「そうなの? それでも、やっぱり素敵だわ」
小さく首を傾げてから、セレイアは石片を大切そうに胸に抱く。
「だって、このおまじないは子供でも描けるように簡単にしてあるもの。そんな風習があるってことは、人間は幼い頃から誰かを大切に思える種族だってことよ。海底で囁かれているような、無慈悲で傲慢な種族なんかじゃないわ」
それならば分かり合えるはずだと頷くセレイアに、カイルラスは眉を寄せた。
彼女の楽観主義は今に始まったものではなく、そう単純な話ではないと何度目かになる釘を刺す。
そうかしら、とセレイアは首を傾げ、濡れた指先で鉤爪の先に触れた。
「人間だけじゃないわ。空のヴァレアだって、こんなにも優しい。さっきだって、わたしががっかりしないように慰めてくれたじゃない。あなたはいつも、とても親切なヒトだわ。この入り江でわたしを助けてくれたことも、すごく驚いたの。あなたたちが人魚族を助けるだなんて、そんなこと思ってもみなかったから」
「……お前の期待を裏切るようだが、あの時はお前がリュアだと判別が付かなかった。空からは、何者かが獣に喰われかけているように見えたまでだ」
「でもわたしを引き出した後も、背中に庇ったまま、置いて去ることをしなかったわ。そういえば、あの時どうしてあんな怪我をしていたのか、聞いてもいい?」
「戦だ。人間同士のな」
カイルラスがそう言って、ふいと暗い海の方へ視線を逸らす。
他の二種族に比べて圧倒的に数の少ない翼人族は、その翼と剣の腕を武器に、多くが騎士として人間に仕えている。
厳密には、この辺りの大陸を治めている帝国と皇帝に忠義を誓っているのであり、必要があれば他国や他部族の人間と剣を交えることもあるのだとカイルラスは続けた。
「――敵の根城に攻め入ったところで、想定に無い反撃があった。俺を含む戦士が傷を負い、そのうち一人が命を落とした」
「それは……なんて言っていいのか……。ごめんなさい、あなたたちにとって、どうやって死を悼むのがいいのか分からなくて」
鎮魂歌が必要かと提案するセレイアに、カイルラスが首を横に振る。
「我らは戦士の死を悲しむことはない。だが……争いの最中に、骸が海に飲まれた。空に還るべき魂を連れ帰れなかった、そのことについては、一族の長として悔いねばならない」
カイルラスの表情に、確かに悲しみの類は一切感じられない。
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