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二章
久しぶりの屋敷
先月に屋敷を出てからひと月ぶりに、ユーフォリアは敷地へと続く門を潜った。玄関の扉を開くと同時に鼻に届いた微かな匂いに目を輝かせる。
「今日の夕飯、一番美味しい肉のやつだ」
言い終わると同時に、厨房の方へと続く扉が勢いよく開かれた。
「お嬢様! お帰りは夕方だと、早まられたのであればお教えください! そう気配を殺して帰られては、このシキとしたことがお出迎えをし損じてしまいました!」
「お帰りなさいませ、ユーフォリア様。お勤めはいかがでございましたか?」
狼狽するシキと、微笑みを浮かべるグレアに、ユーフォリアはうんと一つ頷く。
「ただいま、アルベルトは夕飯までに帰るって。荷物を置いたら厨房を手伝ってもいい?」
匂いの発生元の方を見てそう聞くユーフォリアに、まずは湯浴みを先に、とグレアが答えた。指摘された頬をユーフォリアが右手で触ると、すっかり乾いた血泥の汚れが残されている。そういえば討伐の後にそのまま帰ったのだな、とユーフォリアは思い出し、ついに耐えきれずに腹がぐうと音を立てた。
屋敷の広い浴場で、ユーフォリアは頭から湯を被り身体を擦る。詰所の簡素な浴場はどうにも落ち着かず、街の外へと魔獣討伐に出た時などは数日身を清められないこともザラだったので、この慣れ親しんだ湯殿を使うために定期的に帰還したいものだと彼女は思った。
浴場から上がり、新しく用意されたドレスに身体を通していると、扉の向こうに気配が立つ。
「お嬢様、お召し替えをお手伝いさせて頂いても宜しいでしょうか」
「うん、シキも湯船入ってくる? 今日のお湯、良い匂いだったよ」
ユーフォリアの問いに、扉の隙間から苦笑した顔を覗かせながら、とんでもないことだとシキは答えた。
シキの手がユーフォリアの身に上質な布を纏わせていく。小柄な彼女は、今ではすっかりユーフォリアよりも頭一つ小さい。
「大きなお怪我の痕跡は無いようですね。隊士に嫌な者はおりませんでしたか? 素性を勘ぐる不埒な輩は? 詰所の寝所ではちゃんとお眠りになられておりますか?」
矢継ぎ早に質問を繰り返すシキに、一つ一つ答えながら、ユーフォリアは城での生活を思い出していた。アルベルトによって彼女が配された小隊を率いるレオネルという男は、同じ貴族であっても彼とは気質が異なり、少しだけ言動が雑で、そしてアルベルトのことを崇拝しているようであった。そこでふと、レオネルと初めて顔を合わせた時、部屋を出た後で彼が漏らしていた独り言を思い出す。
「ねえシキ、アルベルトって『容姿端麗』なの?」
「お嬢様、私はお嬢様のためではございますが、旦那様の家に仕えている身でございます。主人の容姿にはっきりと言及するのは、使用人として望ましからぬことかと……ところで、どちらの御仁がそのようなことを?」
シキの問いに、ユーフォリアは自分が挨拶に行った時のレオネルの反応と、騎士団に女の隊士が殆どいないのだということを述べた。シキが合点したように頷く。
「ああ、そういうことでございますか。旦那様が組織を立ち上げた当初は何人もいたのですよ。アルベルト様の姿を拝見したいがばかりに入団を希望するご婦人方が。皆、数日も経たぬうちに耐えかねて去っていったそうです」
「なんで?」
「箱入りのご令嬢に務まるような生活ではないからでしょう」
端的な回答を聞いて、ユーフォリアは首を捻る。あの城での生活は、屋敷のものとは大きく違ったが、それでも良いものだと彼女は思った。街を回って狼藉者を捕縛したり、外へと出て人間に危害を与える魔獣を討伐したりする他は、基本的に剣を振っていることが多い。訓練場へ行けば様々な人間と腕を競うことができたし、三食出される食事も屋敷のもの程ではないが相当美味しく、何よりも量が豊富で毎回腹を満たせた。少し硬い寝所はどこか落ち着き、いつもよりもよく眠れるような気さえする。おまけに、顔を合わせることは少ないが、同じ敷地にアルベルトがいるという一点だけでも、ユーフォリアは城での生活を気に入っていた。
ドレスを纏い終えて、髪を乾かされ、ユーフォリアはようやく厨房を手伝えると頷く。共に向かおうとシキへと振り返り、少し嬉しそうに目を細めた。
「シキの料理、久しぶりだ」
迷わずそう言うユーフォリアに、シキは数度目を瞬かせる。
「……何故、私が作ったものだと?」
「? だって、匂いがしたよ。あの料理に薬草の粉足すのシキだけだ。美味しいから皆真似したら良いのにね」
きょとんと首を傾げてからユーフォリアが答え、自分も倣いたいので分量を教えてくれと続けた。シキは頷き、胸に手を当てて頭を下げる。
「お嬢様に喜んで頂けるのであれば、グレア殿に調理法の改善として提案致します」
ユーフォリアは満足したように頷く。次いで、もう一つ聞いても良いかと問い、シキが勿論だと顔を上げた。
「ずっと気になってた。シキは、どうして私を守ろうとする? シキも私を、愛している? それとも前にアルベルトに言ってた恩人のせい? 母さん、ってどんな人間だった?」
シキが大きく目を見開いた。何故その会話を、とそれだけを絞り出すように呟く。
「? アルベルトと話してるのが聞こえた。難しいところが多かったけど、恩人、は最近本に出てきた」
半年以上前に耳にした会話を思い出しながらユーフォリアが答えた。シキは微かに顔を歪め、気を落ち着かせるために一つ息を吐く。屋敷のどこにいたのかは知らないが、仮に隣室や下階といった場所であれば、ユーフォリアの聴力であれば確かに聞きつけてしまうだろうと思った。息を吐き出し終えると、シキは少し申し訳無さそうに眉根を下げる。
「少しだけ、私自身のお話をさせて頂いても宜しいですか?」
その問いにユーフォリアは頷き、シキはもう一つ深い息を吐いてから続きを話した。
「私は、アルベルト様が仰られたように、ある一族の出なのですが、力が無く、役に立たぬと追放された身なのです。孤児として放浪していたところを、あの屋敷に拾われ、そこでユーフォリア様の母君様がとても良くして下さいました。非常にお美しく、気高く……優しい方でございました」
シキの表情には懐かしさのようなものはなく、ただ何かを堪えているもののようにユーフォリアには思えた。人間であった母は、己を産み落としてすぐに命を落としたと聞いている。優しかったという彼女がどのような人間だったのかは知らないが、きっとシキにとっては大切なものだったのだろうと、そのことは理解が出来た。
「シキの右目、半分くらい見えてないの、魔力のせい? それで追い出された?」
ユーフォリアの問いに、シキが微かに肩を震わせ、すぐにその動揺を覆い隠す。
「いえ、それは……屋敷での折檻にて損傷しただけにございます。私は体内魔力の総量にも劣っております故、治し切ることが出来なかったのです」
「今から私の魔力使っても治せない?」
「はい、既に安定してしまっております。しかしユーフォリア様、簡単に御自身のお力を与えようとなさってはなりません。……先の屋敷にて、あの狼藉者たちに受けていた仕打ちを、忘れられた訳ではないでしょう」
「シキ、前の屋敷の話する時、いつもすごく怒ってるね」
数段声が低くなったシキに、ユーフォリアが首を傾げる。彼女は大体いつも明るく優しかったが、この話題についてだけは苦手なようだとユーフォリアは思った。
あまり長話をしていると夕飯の時間になってしまうと、シキが話を切り上げて廊下への扉を開く。彼女に続いて一歩踏み出してから、ユーフォリアはふと思い出したように言った。
「あ、そういえばもうすぐ、騎士団で仕事したお金が貰えるんだって。世話になった人に何か買ってあげるといいって、レオネルが言ってた。シキ、欲しいもの考えておいてね」
「……はい、ありがとう、ございます……お嬢様」
ユーフォリアの半歩前を歩きながら、目の奥にぐっと力を込めて、振り返らないままにシキはそう答えた。
帰宅したアルベルトも交えて、皆で夕食の卓を囲みながら、ユーフォリアがこの一ヶ月で見聞きしたことを話す。平野での魔獣討伐の話であったり、城での暮らしの物珍しさや、よく会話する隊士のこと、最後に国内の巡回任務について話したところで、少し残念そうに首を傾げた。
「いつも行く店の辺りも何度か回ったけど、グレアたちに会えなかったね」
「左様でございますね。それにしても、充実していらっしゃるようで、何よりでございました」
「うん。すごく忙しい。アルベルトがなかなか帰ってこない理由、分かった」
瞬く間に食事を終えたユーフォリアが、伺うようにグレアの顔を見る。許可を得て厨房へ行き、二杯目のスープとパンを皿に盛って帰ってきた彼女に、グレアは口元を拭ってから尋ねた。
「城での食事は問題ありませんか?」
「うん、美味しい。でも野営の時とか、食べられない時も多いから、食べれる時に腹一杯食べておけって皆言う」
だから毎回沢山盛ってもらっている、と胸を張るユーフォリアに、シキが苦々しい顔で首を振る。
「お嬢様、否定は致しませんが、今後社交の場に出られた際には、そのお話は控えられた方が良いかもしれません」
少し怪訝な表情を浮かべ、手元のパンを千切ったユーフォリアが、その形状を見て何か思い出したように顔を上げた。
「あ、そういえばね。野営中にお腹が空いた時に、虫採って食べようってことになって、これくらいの、地面に埋まってるやつなんだけど、焼いたらすごく美味しかったよ。栄養も多いんだって。この辺りにも売ってる? それとも今度、採って帰る?」
「お嬢様、お気持ちはありがたいのですが、そのお話は食事を終えてからに致しましょう」
かなり久しぶりに見る、グレアのどこか不穏な表情に、どうやらまた作法を間違えたらしい、とユーフォリアはパンを飲み込んでから頷いた。
満月が頭上を少し超えた頃、アルベルトの部屋の寝台で、ユーフォリアは隣に横たわる男にもぞもぞと擦り寄った。
アルベルトとは同じ城の中にいるものの、直接顔を合わせる機会は意外と少ない。仕事に関する連絡も、部隊や小隊を通して渡されることがほとんどで、たまに廊下で姿を見かけても嬉々として話しかけに行ってはいけないのだということは理解していた。結局きちんと話が出来たのは、入団の時と、それから途中に一度あった新月の夜だけで、魔力供給に関する月二回の逢瀬だけは城にいる時でも必ず行う約束をしていた。
「騎士団はどうだ?」
頭上から降ってきたアルベルトの端的な問いに、ユーフォリアはうんと頷き、気に入っていると答えた。
「アルベルトともっと会えたらずっと良い、けど城にはいるからそれで良い。剣もだいぶ覚えてきた」
「時間を作ってやれず、すまないな」
「ううん、騎士団長はいつも忙しいって、皆言ってた」
そう答えながら、ユーフォリアは小隊での会話を思い出す。シキは何やら随分と気になることがあるようだったが、彼らとの接触は存外悪くなく、特に騎士団長の話をしたがる者が多いという点が気に入っていた。
「そういえばアルベルト、嫌われてなかったよ。レオネルも皆もいつもアルベルトの話してる。えっと、清廉実直で、あと稀代の傑物だって。レオネルも副団長になって、アルベルトの助けになりたいんだって。でもなるのは私だって言っといた」
それは恵まれたことだとアルベルトは微かに笑い、ユーフォリアの頭に触れて髪を撫でる。
「小隊の者とは上手くやっているようだな」
その評価に、ユーフォリアは少し自慢げに頷いた。特にレオネルとは共に過ごす時間が長いが、一度最初の頃の態度を謝罪されたことがある。アルベルト騎士団長の追っかけのような扱いをして悪かった、とそう言われたが、何も間違ったところはないのに何を謝っているのかよく分からなかった。その後は彼に紹介されるような形で、主に訓練場にいつも屯している隊士たちと顔馴染みになっている。朝から晩までいつ訪れても、話もそこそこに誰かと剣を打ち合わせることができるあの空間が、ユーフォリアは城砦の中で一番気に入っていた。
「あの小隊の中で、それから訓練場で会った人間の中でも、一番剣が上手いのがレオネルだ。でもアルベルトの方がずっと強い」
それは光栄だ、とアルベルトはまた少し笑う。彼女の話題は、わざわざ調べようとせずとも否が応でも耳に入った。初めはまた冷やかしで騎士団に女が立ち入ったと噂になっていたが、彼女の剣の腕を見るやその評価は一転した。人間離れした身軽さと腕力を持つユーフォリアが、得物を爪から剣に変えたとてさしたる問題ではなく、技術の拙さなど容易に覆い隠す程の暴力的な力で、連日訓練場で男たちを吹き飛ばしているという。
入団前に軽く剣の基礎を教えた時のことを思い出し、アルベルトは彼女に見えないところで微かに眉を寄せた。いかなる者といえども、初めて武器を手に持ち対峙する人間に向けた時、そこに多かれ少なかれ迷いや躊躇いのようなものが生まれる。しかし、彼女の場合には微塵もそのような気配はなく、ただ嬉々として剣先を教えられたように躊躇なく振り下ろした。屋敷に連れて来る前、初めに交わした『意味無く他者の命を奪わない』という約束は、今も彼女は律儀に守り続けており、更には意図せず何かを傷付けることのないよう、自身の動きや力の具合には常に注意を払っている様子でもある。だが屋敷で過ごす中で、更にはこのひと月の間にすら、彼女の身体能力は飛躍的に成長しており、一度訓練場の剣を叩き割った以降は、二度目のないよう特注の剣を使わせていた。
「分かってるよ。訓練場でも、大怪我させるのは駄目。人間はそんなに早く治癒しないから」
いつの間にかアルベルトの腕を抜け出していたユーフォリアが、僅かに身を起こし、彼の顔を見ながらそう告げた。アルベルトは苦笑して彼女の頬を撫で、細い身体を再び腕の中へとしまい込む。先程彼女から受け取ったばかりの魔力が体内には満ち溢れ、異質な程の熱を放っていた。彼女の体内魔力が人並外れて豊富であり、治癒速度にも優れていることは既に隊士たちに知らせてあることだが、この調子で成長を続ければそれもいつまで誤魔化せるだろうかと思う。
「剣の腕や治癒といったことには、私の方でも情報を操作する。だが、くれぐれも魔力の放出には気をつけろ」
「うん、分かった。あの夜、新月で良かったね。アルベルト、殺されるところだった」
小さな欠伸を漏らしながら、ユーフォリアがそう答えた。彼女が初めて城砦に忍び込んだ夜は、彼の策により新月を選ばされていたが、もしも他の夜であれば容易にことは済んでいただろう、と閉じた瞼の下で考える。
「ああ、お前の不勉強に救われたな。今であれば、別の手段を取ったろう」
「喉を裂くか、それか剣を奪ってたと思う。アルベルトが死ななくて良かった」
穏やかな声にそぐわない物騒な内容に、アルベルトは軽く笑って、掛け物を少し引き上げた。
「もう眠るぞ。明日には城に戻る」
「ん……おやすみ、アルベルト。騎士団にしてくれて、ありがと……」
ほとんど眠ったような声でそう呟き、ユーフォリアの吐息はすぐに寝息へと変わる。その後頭部をひと撫でしてから、アルベルトも同じく瞼を下ろした。
「今日の夕飯、一番美味しい肉のやつだ」
言い終わると同時に、厨房の方へと続く扉が勢いよく開かれた。
「お嬢様! お帰りは夕方だと、早まられたのであればお教えください! そう気配を殺して帰られては、このシキとしたことがお出迎えをし損じてしまいました!」
「お帰りなさいませ、ユーフォリア様。お勤めはいかがでございましたか?」
狼狽するシキと、微笑みを浮かべるグレアに、ユーフォリアはうんと一つ頷く。
「ただいま、アルベルトは夕飯までに帰るって。荷物を置いたら厨房を手伝ってもいい?」
匂いの発生元の方を見てそう聞くユーフォリアに、まずは湯浴みを先に、とグレアが答えた。指摘された頬をユーフォリアが右手で触ると、すっかり乾いた血泥の汚れが残されている。そういえば討伐の後にそのまま帰ったのだな、とユーフォリアは思い出し、ついに耐えきれずに腹がぐうと音を立てた。
屋敷の広い浴場で、ユーフォリアは頭から湯を被り身体を擦る。詰所の簡素な浴場はどうにも落ち着かず、街の外へと魔獣討伐に出た時などは数日身を清められないこともザラだったので、この慣れ親しんだ湯殿を使うために定期的に帰還したいものだと彼女は思った。
浴場から上がり、新しく用意されたドレスに身体を通していると、扉の向こうに気配が立つ。
「お嬢様、お召し替えをお手伝いさせて頂いても宜しいでしょうか」
「うん、シキも湯船入ってくる? 今日のお湯、良い匂いだったよ」
ユーフォリアの問いに、扉の隙間から苦笑した顔を覗かせながら、とんでもないことだとシキは答えた。
シキの手がユーフォリアの身に上質な布を纏わせていく。小柄な彼女は、今ではすっかりユーフォリアよりも頭一つ小さい。
「大きなお怪我の痕跡は無いようですね。隊士に嫌な者はおりませんでしたか? 素性を勘ぐる不埒な輩は? 詰所の寝所ではちゃんとお眠りになられておりますか?」
矢継ぎ早に質問を繰り返すシキに、一つ一つ答えながら、ユーフォリアは城での生活を思い出していた。アルベルトによって彼女が配された小隊を率いるレオネルという男は、同じ貴族であっても彼とは気質が異なり、少しだけ言動が雑で、そしてアルベルトのことを崇拝しているようであった。そこでふと、レオネルと初めて顔を合わせた時、部屋を出た後で彼が漏らしていた独り言を思い出す。
「ねえシキ、アルベルトって『容姿端麗』なの?」
「お嬢様、私はお嬢様のためではございますが、旦那様の家に仕えている身でございます。主人の容姿にはっきりと言及するのは、使用人として望ましからぬことかと……ところで、どちらの御仁がそのようなことを?」
シキの問いに、ユーフォリアは自分が挨拶に行った時のレオネルの反応と、騎士団に女の隊士が殆どいないのだということを述べた。シキが合点したように頷く。
「ああ、そういうことでございますか。旦那様が組織を立ち上げた当初は何人もいたのですよ。アルベルト様の姿を拝見したいがばかりに入団を希望するご婦人方が。皆、数日も経たぬうちに耐えかねて去っていったそうです」
「なんで?」
「箱入りのご令嬢に務まるような生活ではないからでしょう」
端的な回答を聞いて、ユーフォリアは首を捻る。あの城での生活は、屋敷のものとは大きく違ったが、それでも良いものだと彼女は思った。街を回って狼藉者を捕縛したり、外へと出て人間に危害を与える魔獣を討伐したりする他は、基本的に剣を振っていることが多い。訓練場へ行けば様々な人間と腕を競うことができたし、三食出される食事も屋敷のもの程ではないが相当美味しく、何よりも量が豊富で毎回腹を満たせた。少し硬い寝所はどこか落ち着き、いつもよりもよく眠れるような気さえする。おまけに、顔を合わせることは少ないが、同じ敷地にアルベルトがいるという一点だけでも、ユーフォリアは城での生活を気に入っていた。
ドレスを纏い終えて、髪を乾かされ、ユーフォリアはようやく厨房を手伝えると頷く。共に向かおうとシキへと振り返り、少し嬉しそうに目を細めた。
「シキの料理、久しぶりだ」
迷わずそう言うユーフォリアに、シキは数度目を瞬かせる。
「……何故、私が作ったものだと?」
「? だって、匂いがしたよ。あの料理に薬草の粉足すのシキだけだ。美味しいから皆真似したら良いのにね」
きょとんと首を傾げてからユーフォリアが答え、自分も倣いたいので分量を教えてくれと続けた。シキは頷き、胸に手を当てて頭を下げる。
「お嬢様に喜んで頂けるのであれば、グレア殿に調理法の改善として提案致します」
ユーフォリアは満足したように頷く。次いで、もう一つ聞いても良いかと問い、シキが勿論だと顔を上げた。
「ずっと気になってた。シキは、どうして私を守ろうとする? シキも私を、愛している? それとも前にアルベルトに言ってた恩人のせい? 母さん、ってどんな人間だった?」
シキが大きく目を見開いた。何故その会話を、とそれだけを絞り出すように呟く。
「? アルベルトと話してるのが聞こえた。難しいところが多かったけど、恩人、は最近本に出てきた」
半年以上前に耳にした会話を思い出しながらユーフォリアが答えた。シキは微かに顔を歪め、気を落ち着かせるために一つ息を吐く。屋敷のどこにいたのかは知らないが、仮に隣室や下階といった場所であれば、ユーフォリアの聴力であれば確かに聞きつけてしまうだろうと思った。息を吐き出し終えると、シキは少し申し訳無さそうに眉根を下げる。
「少しだけ、私自身のお話をさせて頂いても宜しいですか?」
その問いにユーフォリアは頷き、シキはもう一つ深い息を吐いてから続きを話した。
「私は、アルベルト様が仰られたように、ある一族の出なのですが、力が無く、役に立たぬと追放された身なのです。孤児として放浪していたところを、あの屋敷に拾われ、そこでユーフォリア様の母君様がとても良くして下さいました。非常にお美しく、気高く……優しい方でございました」
シキの表情には懐かしさのようなものはなく、ただ何かを堪えているもののようにユーフォリアには思えた。人間であった母は、己を産み落としてすぐに命を落としたと聞いている。優しかったという彼女がどのような人間だったのかは知らないが、きっとシキにとっては大切なものだったのだろうと、そのことは理解が出来た。
「シキの右目、半分くらい見えてないの、魔力のせい? それで追い出された?」
ユーフォリアの問いに、シキが微かに肩を震わせ、すぐにその動揺を覆い隠す。
「いえ、それは……屋敷での折檻にて損傷しただけにございます。私は体内魔力の総量にも劣っております故、治し切ることが出来なかったのです」
「今から私の魔力使っても治せない?」
「はい、既に安定してしまっております。しかしユーフォリア様、簡単に御自身のお力を与えようとなさってはなりません。……先の屋敷にて、あの狼藉者たちに受けていた仕打ちを、忘れられた訳ではないでしょう」
「シキ、前の屋敷の話する時、いつもすごく怒ってるね」
数段声が低くなったシキに、ユーフォリアが首を傾げる。彼女は大体いつも明るく優しかったが、この話題についてだけは苦手なようだとユーフォリアは思った。
あまり長話をしていると夕飯の時間になってしまうと、シキが話を切り上げて廊下への扉を開く。彼女に続いて一歩踏み出してから、ユーフォリアはふと思い出したように言った。
「あ、そういえばもうすぐ、騎士団で仕事したお金が貰えるんだって。世話になった人に何か買ってあげるといいって、レオネルが言ってた。シキ、欲しいもの考えておいてね」
「……はい、ありがとう、ございます……お嬢様」
ユーフォリアの半歩前を歩きながら、目の奥にぐっと力を込めて、振り返らないままにシキはそう答えた。
帰宅したアルベルトも交えて、皆で夕食の卓を囲みながら、ユーフォリアがこの一ヶ月で見聞きしたことを話す。平野での魔獣討伐の話であったり、城での暮らしの物珍しさや、よく会話する隊士のこと、最後に国内の巡回任務について話したところで、少し残念そうに首を傾げた。
「いつも行く店の辺りも何度か回ったけど、グレアたちに会えなかったね」
「左様でございますね。それにしても、充実していらっしゃるようで、何よりでございました」
「うん。すごく忙しい。アルベルトがなかなか帰ってこない理由、分かった」
瞬く間に食事を終えたユーフォリアが、伺うようにグレアの顔を見る。許可を得て厨房へ行き、二杯目のスープとパンを皿に盛って帰ってきた彼女に、グレアは口元を拭ってから尋ねた。
「城での食事は問題ありませんか?」
「うん、美味しい。でも野営の時とか、食べられない時も多いから、食べれる時に腹一杯食べておけって皆言う」
だから毎回沢山盛ってもらっている、と胸を張るユーフォリアに、シキが苦々しい顔で首を振る。
「お嬢様、否定は致しませんが、今後社交の場に出られた際には、そのお話は控えられた方が良いかもしれません」
少し怪訝な表情を浮かべ、手元のパンを千切ったユーフォリアが、その形状を見て何か思い出したように顔を上げた。
「あ、そういえばね。野営中にお腹が空いた時に、虫採って食べようってことになって、これくらいの、地面に埋まってるやつなんだけど、焼いたらすごく美味しかったよ。栄養も多いんだって。この辺りにも売ってる? それとも今度、採って帰る?」
「お嬢様、お気持ちはありがたいのですが、そのお話は食事を終えてからに致しましょう」
かなり久しぶりに見る、グレアのどこか不穏な表情に、どうやらまた作法を間違えたらしい、とユーフォリアはパンを飲み込んでから頷いた。
満月が頭上を少し超えた頃、アルベルトの部屋の寝台で、ユーフォリアは隣に横たわる男にもぞもぞと擦り寄った。
アルベルトとは同じ城の中にいるものの、直接顔を合わせる機会は意外と少ない。仕事に関する連絡も、部隊や小隊を通して渡されることがほとんどで、たまに廊下で姿を見かけても嬉々として話しかけに行ってはいけないのだということは理解していた。結局きちんと話が出来たのは、入団の時と、それから途中に一度あった新月の夜だけで、魔力供給に関する月二回の逢瀬だけは城にいる時でも必ず行う約束をしていた。
「騎士団はどうだ?」
頭上から降ってきたアルベルトの端的な問いに、ユーフォリアはうんと頷き、気に入っていると答えた。
「アルベルトともっと会えたらずっと良い、けど城にはいるからそれで良い。剣もだいぶ覚えてきた」
「時間を作ってやれず、すまないな」
「ううん、騎士団長はいつも忙しいって、皆言ってた」
そう答えながら、ユーフォリアは小隊での会話を思い出す。シキは何やら随分と気になることがあるようだったが、彼らとの接触は存外悪くなく、特に騎士団長の話をしたがる者が多いという点が気に入っていた。
「そういえばアルベルト、嫌われてなかったよ。レオネルも皆もいつもアルベルトの話してる。えっと、清廉実直で、あと稀代の傑物だって。レオネルも副団長になって、アルベルトの助けになりたいんだって。でもなるのは私だって言っといた」
それは恵まれたことだとアルベルトは微かに笑い、ユーフォリアの頭に触れて髪を撫でる。
「小隊の者とは上手くやっているようだな」
その評価に、ユーフォリアは少し自慢げに頷いた。特にレオネルとは共に過ごす時間が長いが、一度最初の頃の態度を謝罪されたことがある。アルベルト騎士団長の追っかけのような扱いをして悪かった、とそう言われたが、何も間違ったところはないのに何を謝っているのかよく分からなかった。その後は彼に紹介されるような形で、主に訓練場にいつも屯している隊士たちと顔馴染みになっている。朝から晩までいつ訪れても、話もそこそこに誰かと剣を打ち合わせることができるあの空間が、ユーフォリアは城砦の中で一番気に入っていた。
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入団前に軽く剣の基礎を教えた時のことを思い出し、アルベルトは彼女に見えないところで微かに眉を寄せた。いかなる者といえども、初めて武器を手に持ち対峙する人間に向けた時、そこに多かれ少なかれ迷いや躊躇いのようなものが生まれる。しかし、彼女の場合には微塵もそのような気配はなく、ただ嬉々として剣先を教えられたように躊躇なく振り下ろした。屋敷に連れて来る前、初めに交わした『意味無く他者の命を奪わない』という約束は、今も彼女は律儀に守り続けており、更には意図せず何かを傷付けることのないよう、自身の動きや力の具合には常に注意を払っている様子でもある。だが屋敷で過ごす中で、更にはこのひと月の間にすら、彼女の身体能力は飛躍的に成長しており、一度訓練場の剣を叩き割った以降は、二度目のないよう特注の剣を使わせていた。
「分かってるよ。訓練場でも、大怪我させるのは駄目。人間はそんなに早く治癒しないから」
いつの間にかアルベルトの腕を抜け出していたユーフォリアが、僅かに身を起こし、彼の顔を見ながらそう告げた。アルベルトは苦笑して彼女の頬を撫で、細い身体を再び腕の中へとしまい込む。先程彼女から受け取ったばかりの魔力が体内には満ち溢れ、異質な程の熱を放っていた。彼女の体内魔力が人並外れて豊富であり、治癒速度にも優れていることは既に隊士たちに知らせてあることだが、この調子で成長を続ければそれもいつまで誤魔化せるだろうかと思う。
「剣の腕や治癒といったことには、私の方でも情報を操作する。だが、くれぐれも魔力の放出には気をつけろ」
「うん、分かった。あの夜、新月で良かったね。アルベルト、殺されるところだった」
小さな欠伸を漏らしながら、ユーフォリアがそう答えた。彼女が初めて城砦に忍び込んだ夜は、彼の策により新月を選ばされていたが、もしも他の夜であれば容易にことは済んでいただろう、と閉じた瞼の下で考える。
「ああ、お前の不勉強に救われたな。今であれば、別の手段を取ったろう」
「喉を裂くか、それか剣を奪ってたと思う。アルベルトが死ななくて良かった」
穏やかな声にそぐわない物騒な内容に、アルベルトは軽く笑って、掛け物を少し引き上げた。
「もう眠るぞ。明日には城に戻る」
「ん……おやすみ、アルベルト。騎士団にしてくれて、ありがと……」
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