帝国の末王子は敵国の王子を愛す

天霧 ロウ

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23*

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 首筋から顔を上げて体を挟むように両腕を横から押さえて身動きとれないようにすれば、自然とティレクは胸を反らす形になる。陵辱されている間ずっとイヤリングを吊り下げられていたせいか、それとも男たちの調教のせいか、ツンと上向きに主張している乳首が目に入った。

「なあ、乳首。舐めていいか」
「わざわざ聞くな」

 先ほどまでの威勢はどこへやら、ティレクは顔を背けていた。だが、嫌がるそぶりはなくぶっきらぼうながらも許可をもらえたことが嬉しくて、乳首へ舌を這わせる。それだけでティレクの腰が少しだけ浮き、湿った吐息が漏れた。
 片手を腕から離してしゃぶっていない乳首へ触れた。

「ぁ、ぐっ、んぁ」

 舌先で舐めあげつつやんわり噛みながら、もう片方も指でこすったり乳首の先を優しく指先で掻いてやる。そうすれば、ティレクの声はさらに熱を増し、アリウスの下で太ももをこすり合わせた。かすかに立ち上がっているティレクの高ぶりからとろーっとたれ落ちた滴がティレクの引き締まったなめらかな腹に薄い水たまりを作る。
 それを指ですくって乳首を指で挟んでこすれば、ティレクが少し汗ばんだ赤い髪を枕へ押しつけ、シーツを握りしめた。

「あまり…、こする、な」
「痛かったか」

 詫びるように口に含んでいる乳首を優しく吸えば、きつく目を閉じたティレクがビクビクとアリウスの下で体を跳ねさせた。ただでさえ艶のいい小麦色の肌がアリウスの刺激でいっそう血色がよくなり、玉の汗を浮かべているのは征服感をジワジワと満たしていく。
 ティレクが重そうに目蓋を持ち上げると、濡れた金色の瞳にアリウスを映した。

「痛くは、ない」
「本当か?」

 乳輪をなぞりピンと立っている乳首ゆっくり舐めあげれば、ティレクは小さく体を震わせた後かすかに頷いた。赤い髪からのぞく耳が髪と同じくらい赤くなっている様にティレクにも羞恥があることを今さら知って感慨深い気持ちになる。
 乳首から口を離して、薄く上下する胸元や薄く割れている腹にキスをしていくと、ティレクの太ももを一撫でする。そうすれば、ティレクが少し身をよじって呟いた。

「腕を離せ」
「お、おう」

 乳首に夢中でまだ片手がティレクの腕を掴んでいたことを忘れていた。そっと手を離せば、ティレクはふっと息を吐いた後、アリウスの枕を抱きかかえてぎこちなくうつ伏せになった。

「こっちの方が、貴様もいじりやすいだろう」
「……お、う」

 さらけ出された尻にごくっと唾を飲み込む。緊張で震えそうになる手でそっとティレクの尻を掴むとゆっくり左右に広げた。そうすれば、縦に割れかけている秘部がアリウスの眼下に晒された。ほかの男の手によって形を変えられて憎いはずなのに、物欲しそうにひくついている秘部から目を離せない。
 熱が集まるのを感じながら、ひくついているティレクの秘部にむしゃぶりついた。

「んぁ゛、ぁ、ふっ、ふー…ぅうっ」

 指が食い込むほど尻を掴み、ひくついている秘部を何度も舐めあげた。続いて唾液ごと舌をねじ込めばティレクのつま先がもどかしそうにシーツをひっかいたと思いきやこれでもか丸めた。

「舌で、なぞるっ、なっ…、んぅう゛」
「もう少し堪能したらやめるから」

 ティレクの高ぶりはベッドに押しつけられてて見えないが、もどかしそうに腰を揺らし、ときおり背をそらす反応は火を見るより明らかだ。なによりすっかり唾液まみれになった秘部が嬉しそうにひくついている。
 舌先を抜き差しすれば、ティレクが枕に顔を押しつけくぐもった声を上げながらブルブルと体を震わし、これでもかと伸ばしていた足からくたっと力が抜ける。そして、重そうに少しだけ枕から顔を上げると振り返らないまま唸った。

「ぃ、つまで、舐めてるつもりだっ…、この変態っ」
「悪かったって」

 アリウスもようやく秘部をしゃぶるのを止めて体を起こした。服を脱ぎ捨て、素肌になるとベッドボードに手を伸ばす。
 引っかかりを指で起こして中に手を突っ込む。そこから透明の小瓶を取り出すと、コルクを噛んで引き抜いた。きゅぽっと小気味のいい音とともにふわりと甘い匂いがあたりに漂った。

「潤滑油いれるぞ」
「ん……」

 汗ばんだ尻を掴んでぐにぃっと広げれば、秘部が横へ広がる。注いだ唾液が垂れ落ちそうになるが、それを押し戻すように小瓶の口を押し込んだ。

「ァ、ぐ…、ん」
「悪い、冷たかったよな」
「へぃき、だ……、ぁ」

 全部注ぎ終えるなり小瓶をベッドの隅へと放り投げる。秘部をひくつかせながらふーっふーっと荒れた呼吸を繰り返すティレクの腰を掴んだ。

「それじゃあ、指いれるな」
「わざわざ言わなくていい」
「言わなきゃ言わないで怒るだろ」

 本音は今すぐいれて腰を打ち付けたいが、ぐっと我慢する。
 まずは人差し指だけ押し込む。意外にもティレクの秘部はアリウスの指をあっさりと受け入れた。少し驚きつつもの中指をさらに入れると、ほんの少し抵抗をしたものの飲み込んだ。
 そもそもティレクは二週間ほかの男に犯され、調教されていたのだ。その成果をこうしてまざまざと見てしまうと内臓を引っかき回されるような不快感がこみ上げてくる。

「くそっ」

 優しくしたいのに思わずやや乱暴に指を抜き差しをしてしまう。そうすれば、ティレクは声を抑えようと枕に顔を押しつけていたが、指を引き抜くたびにもどかしそうに腰をくねらした。

「ぁ…、ふっ、ぅ、んぅ゛」

 切なげな喘ぎとともにぎゅうぅっと秘部が指を締め付けてくれば、びくんっと一段と大きく跳ねて硬直したと思いきやくたりと力が抜ける。
 必死に荒れた呼吸を押し殺すティレクを眺めながら、ゆっくり指を引き抜くと泡だった潤滑油が秘部をぐっしょりと塗らした。

「ティレク」

 中にいれることをあえて言わない代わりに名前を呼んで覆い被さる。かすかにベッドが沈み、ティレクが枕を抱きしめる腕に力を込めた。
 無言の許しに、先走りが垂れ落ちるほどそそり立つ高ぶりをティレクの秘部に押し当てれば、にティレクの体が大きく跳ねる。そのまま無防備に待ち構える秘部へと体重をかけて押し込んでいく。

「ん゛っ、ぐぅ…、はー…っ、ぁ、あっ」
「痛くねえか?」
「予想していた、よりは」

 ティレクの秘部は最初こそ緊張していたものの、アリウスの先端を飲み込めば途端に力が抜け、ねっとり絡みついてくる。それどころかもっと奥へこいと言わんばかりに引き込む柔肉の心地よさにアリウスはぐっと奥歯を噛みしめた。

「くっ、やばいな……」

 奥に突き進むだけでも、気を抜けばすぐ達しそうになるほどティレクの中は心地がいい。ティレクと一つになったという事実だけでもアリウスにとっては十分すぎる刺激なのだ。
 ティレクの後頭部に顔をすり寄せ、ふわりと香る甘苦い匂いを肺一杯に取り込む。そうすれば、アリウスの高ぶりはより膨らみ、ずしっと玉が重くなった。

「あっ、ん゛…、はっ、ぁ」

 ティレクにも伝わったのか、限界まで押し広げられているにもかかわらず媚びるようにきゅうきゅうと締め付け、より大胆に奥へと引き込もうとしてくる。すっかり茹だって興奮した頭では、それが嬉しくて半分ほど残っていた高ぶりをぐんっと押し進めた。

「ん゛っ、ぅ! ァ゛、く…っ」
「悪い、苦しいよな」

 アリウスの茂みがティレクの秘部へと密着すると同時にティレクを抱きしめれば、お互いの汗ばんで火照った肌がぴったりくっついて心地がいい。
 ティレクはビクビクと体を震わし、ふーっふーっと荒い呼吸をしながら枕に顔を押しつけて耐えていたが、重そうに頭を持ち上げた。

「だ、まれっ! き、さまは…、けものみたぃに…ッ、腰を振って、ぃろっ」
「――っ」

 アリウスが抱きしめる腕に力を込めてさらに腰を押しつければ、先端が深く入りビクッビクッとアリウスの下でティレクの体が何度も跳ねた。

「ひっ、んぁ゛…、はっ、ぁ」

 ちゅうちゅうと吸い付く奥にグリグリと腰を押しつけながら、耳の形をたどるように舌でなぞると「ひっ」とひときわ高い声がティレクの唇から上がった。

「あ゛っ、ァ――、ん、ぅう゛」

 自分の手で快感を得ているのが嬉しい一方で、やはりほかの男の手で快楽を感じるようになったと思うと悔しくてしょうがない。グルグルと胸の中を渦巻く不快感から目を背けるために、枕から顔を上げて素直に喘ぐティレクの首筋に顔を埋めた。

「ぐっ、う゛ぅ……、ん゛…っ、ぅ゛」

 引き抜こうとすれば、無意識なのか追いすがるようにティレクが腰を押しつけてくる。怜悧な容貌や無機質な金色の瞳は今やなりを潜め、顔を紅潮させながらふだんつりあがっている目尻を下げて喘ぐ姿はまるでアリウスの知るティレクとは別人にすら思える。

「ティレク…っ」

 ぎゅっと抱きしめ、奥を先端でえぐるように押しつけ一度目の熱をこれでもかと吐き出す。
 こうしてティレクを犯して、ティレクの矜持を踏みにじる自分はアギルやホプルに命じられてティレクを犯したものたちと何が違うだろう。お互いの肌が触れあう心地さを覚えながら、結局そんな彼らと同じ自分に反吐がでる。
 視界がぼやけ、たまった涙が流れ落ちそうになった時、熱を持ったティレクの手がアリウスの腕をすがるように掴んでくる。

「お前はあいつらと、一緒じゃ、ない」

 とろけつつも芯の残った声がアリウスの鼓膜を貫く。アリウスは目を大きく見開くとぎゅっと力強く目蓋を閉じてティレクのうなじに顔を押し当てた。

「……一緒だろ」
「一緒なものか。この、ばかもの」

 ティレクは熱のこもった吐息混じりにアリウスの腕に爪を立てくる。
 切り傷に汗が染みてぴりっと痛みが走る。眉をしかめながら顔を上げれば、ティレクの澄んだ金の瞳が肩越しに睨みあげてきた。それははじめて出会った時――アリウスの心を鷲掴んで離さない――静かでまっすぐな光を宿していた。

「あいつらは…、私を使って自慰にふけってただけ、だ。この行為だって内臓がかき回されるみたいで、気持ちよくなんか、ない」
「なら、なんで俺に犯されてんだよ」

 ティレクの言ってることは滅茶苦茶だ。ティレクは自ら語らなければ、アリウスも必要以上に聞くこともなかった。けれど、傲慢すぎるほどの自尊心を持つティレクがわざわざ自ら苦痛に追い込むような被虐趣味を持ち合わせていないのは知っている。
 だからこそ、ティレクがアリウスに犯されることを甘んじているのかがわからない。
 アリウスの問いにティレクはアリウスを見据えたまま応えた。

「そもそも私は男で、お前を受け入れられる体の作りじゃない。だから気持ちよくないのはあたりまえ、だろ」

 そこで一度区切るとティレクは寄りかけていた眉間を緩めて続けた。

「それでも、私が望んだからしてるんだ。でなければ、こんな非生産的な苦痛を誰が受けたいと思うか」
「それって、つまり」
「自惚れるな。何度も言うが私は貴様が嫌いだ。ただ、貴様が私以外に心身どちらかでも潰されるのが気に食わぬだけだ」

 真っ正面から受け止めれば、誰がどう見ても拒絶だろう。しかし、アリウスにとって、ドロリとした甘みを含んで絡みつく愛のように思えた。
 視界がぼやけて鼻の奥がツンと痺れ、うなじへ伝染していく。表しようのないむず痒さを覚えながらぎゅうっとティレクを抱きしめて涙混じりに返す。

「そうかよ」
「そうだ、わかったならせいぜい苦しむんだな」

 用は済んだといいたげに、ティレクはふいっと視線を外して再び枕に顔を埋めた。アリウスは熱を持って腫れぼったい目尻を下げて自分でもはじめて聞く優しい声音で囁いた。

「じゃあお前が苦しまないように抱いてやるよ」
「……勝手にしろ」

 ティレクの顔は枕に埋められてどんな表情をしているかわからない。けれど、髪の隙間からのぞく耳先やうなじがいつになく赤く染まり、期待するようにアリウスの高ぶりをしめつけてきたのが答えなのは明白だろう。
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