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光の聖女は、闇に落ちる。
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その日は、透き通るくらいの青く晴れた日だった。
王太子の結婚式のために王都ではパレードが行われ、国中でお祭りがおこなわれた。
パレードには、婚約者の聖女を一目見ようと、王都中の国民が集まっていた。
婚約者である聖女は、国民にとても人気があった。
傍にはいつもフードを被った付き人がいたが、慈愛あふれる姿に国民は心を奪われ気にする者は誰もいない。
もうかつての聖女を覚えている者は誰一人としていなかった。
パレードが終わり、教会で結婚式が行われた。
全ての人が祝福を待っていた。
二人がバージンロードを進むんだ先には、教皇がいる……、はずだった。
そこに立っていたのは、聖女の付き人。
誰もが忘れた、元聖女。
そして、すべての人が困惑する中、フードを外した。
そこにいたすべての人が言葉をなくした。
それはかつて聖女と呼ばれた女だった。
伝承によると光の聖女は、金色の髪を持ち、赤の瞳を持つ。
しかし、そこに立っているのは……、
白銀の髪に、紫の瞳を持つ巫女だった。
伝承には人々が忘れた続きがあった。
闇の巫女は、白銀の髪を持ち、紫の瞳をもつ、と。
その者が現れたとき、世界は闇に沈む、と。
かつて、彼女を貶めた者たちは過ちに気付いた。
「もう、遅いけどね。」
冷たい眼差しで彼女は言った。
「かつての私は、愚かでした。
あなた方のせいで家族も失ったのに、光の精霊が私を選んでくれたことが嬉しくて、怒りをなかった
ことにしてしまった。」
彼女は空を見上げる。
「でも、あなた方は私よりも愚かだった。
そのおかげで、私は気づくことができた。それだけは感謝しています。」
彼女はもう一度前を向き、静かに燃える怒りを瞳に宿し、その場のすべての人に向けて言った。
「私は闇の巫女、かつて聖女であったもの。
私の存在は人間が精霊を侮辱した罪の証です。
光の精霊は聖女を教えたことを悔いて、その身を世界に溶かしました。」
人間達は己の罪を思い知ることになる。
「光は消え、闇が生まれた。
これから、この世界には新しい種族が生まれるでしょう。
人間には優しくないかもしれませんが……、頑張ってくださいね?」
次の瞬間、彼女の後ろに黒い扉が現れた。
扉が開くと、その先には人影が一つ。
黒い髪と瞳を持ち、角を持った背の高い美しい女性だった。
闇の巫女を腕の中に迎え入れ、こちらを見る。
楽しそうに黒い笑顔を浮かべ、
「愚かな人間。たった一つの選択がこの結果を生んだのよ。」
言葉を残して扉は締まり、消えた。
のちに、世界には魔物と呼ばれるものたちが生まれた。
王太子の結婚式のために王都ではパレードが行われ、国中でお祭りがおこなわれた。
パレードには、婚約者の聖女を一目見ようと、王都中の国民が集まっていた。
婚約者である聖女は、国民にとても人気があった。
傍にはいつもフードを被った付き人がいたが、慈愛あふれる姿に国民は心を奪われ気にする者は誰もいない。
もうかつての聖女を覚えている者は誰一人としていなかった。
パレードが終わり、教会で結婚式が行われた。
全ての人が祝福を待っていた。
二人がバージンロードを進むんだ先には、教皇がいる……、はずだった。
そこに立っていたのは、聖女の付き人。
誰もが忘れた、元聖女。
そして、すべての人が困惑する中、フードを外した。
そこにいたすべての人が言葉をなくした。
それはかつて聖女と呼ばれた女だった。
伝承によると光の聖女は、金色の髪を持ち、赤の瞳を持つ。
しかし、そこに立っているのは……、
白銀の髪に、紫の瞳を持つ巫女だった。
伝承には人々が忘れた続きがあった。
闇の巫女は、白銀の髪を持ち、紫の瞳をもつ、と。
その者が現れたとき、世界は闇に沈む、と。
かつて、彼女を貶めた者たちは過ちに気付いた。
「もう、遅いけどね。」
冷たい眼差しで彼女は言った。
「かつての私は、愚かでした。
あなた方のせいで家族も失ったのに、光の精霊が私を選んでくれたことが嬉しくて、怒りをなかった
ことにしてしまった。」
彼女は空を見上げる。
「でも、あなた方は私よりも愚かだった。
そのおかげで、私は気づくことができた。それだけは感謝しています。」
彼女はもう一度前を向き、静かに燃える怒りを瞳に宿し、その場のすべての人に向けて言った。
「私は闇の巫女、かつて聖女であったもの。
私の存在は人間が精霊を侮辱した罪の証です。
光の精霊は聖女を教えたことを悔いて、その身を世界に溶かしました。」
人間達は己の罪を思い知ることになる。
「光は消え、闇が生まれた。
これから、この世界には新しい種族が生まれるでしょう。
人間には優しくないかもしれませんが……、頑張ってくださいね?」
次の瞬間、彼女の後ろに黒い扉が現れた。
扉が開くと、その先には人影が一つ。
黒い髪と瞳を持ち、角を持った背の高い美しい女性だった。
闇の巫女を腕の中に迎え入れ、こちらを見る。
楽しそうに黒い笑顔を浮かべ、
「愚かな人間。たった一つの選択がこの結果を生んだのよ。」
言葉を残して扉は締まり、消えた。
のちに、世界には魔物と呼ばれるものたちが生まれた。
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