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大真珠と海の王様。
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今日はとってもいいお天気。
すーちゃんとみーちゃんはお母さんにお弁当を作ってもらって、海に遊びにやってきました。
青い青いお空は白い雲と白い鳥さんのお庭。
そして、海はふわふわキラキラかがやいています。
すーちゃんとみーちゃんは水着に着替えて波打ち際でお山を作ったり、貝殻を拾ったりして遊びました。
そして、お弁当を食べて、ウトウトと眠り込んでしまいました。
目がさめると、そこは暗い海の底でみーちゃんがサンゴと岩でできた檻に入れられています。
そして槍を持った海老がみーちゃんの檻の前で厳めしくこちらを睨んで立っています。
すーちゃんは
「どうしてみーちゃんを檻に入れるの!出してあげてよ!」
と大きな声で言いました。
すると檻の横にある大きなサンゴの上の台座から紫色の大きなタコが出てきて言いました。
「お前たちは私たちの海で勝手に遊んだだろう!勝手に遊んだものは捕らえられて当然だ!返して欲しければお前の国の女王から、ここから盗んだ大真珠を取り返してこい!あの真珠を失ってからこの海は明かりを失い、皆の心も荒んでしまった。本当はワシはとても優しい王であったのに近頃は優しさがなんであったかも忘れかけている。わしらが優しさを完全に忘れる前にあの真珠をもちかえるのだ!」
タコのお王様はそう言うと台座の向こうに泳いで行ってしまいました。
すーちゃんは浜に上がるとお弁当の片付けをしてトボトボとお家に帰ってきました。そしてお母さんに今日起きたことを話してみました。
するとお母さんは、
「大切なみーちゃんのために、すーちゃん頑張れるかな?女王様に大真珠を返してくださいって、明日お願いに行こうね。お母さんはお仕事でついていけないけれど1人で行ける?」
と言いました。
すーちゃんは1人でできるか考え込んでしまいました。とても怖いし、女王様がどんな人かもわからないからです。でも、もしみーちゃんが帰ってこなかったらこれからお母さんがお仕事の間ずっとひとりぼっちです。それに何よりも大切なお友達をたった一人であの檻の中にずっと置いておくわけにはいきません。二人ともが独りぼっちどうしになってしまいます。
すーちゃんは、朝早くに身支度をするとお城に向かいました。
門番はとても怖い顔をして立っています。
すーちゃんは怖くなって、お家に帰ろうかなとちょっと思いました。でも、みーちゃんが泣いている顔が浮かんできて、勇気を振り絞ると
「女王様にお話があるので合わせてください。」
とお願いしました。
門番は
「女王様に会うには、大臣にお手紙を書いて会議にかけてもらって許可が出ないと会えません。」
と言いました。すーちゃんは、
「そんなことしてたらお友達のみーちゃんがお家に帰れなくなってしまいます。女王様に会えるまでここから動きません!」
と言うと腰に手を当てて門番の前に立ちました。
しばらくの間、門番とすーちゃんの睨み合いが続きました。
すーちゃんは自分ができる一番怖い顔をしてずーっと門番を睨みつけていました。
睨み合いは夕方まで続きました。流石に根負けした門番は、交代の時にすーちゃんをお城に連れて行ってくれました。すーちゃんはずっと怖い顔をしていたのでおでこが痛くて、おでこを揉みながら門番たちが住んでいる部屋に案内されました。もう一人の休んでいる門番がすーちゃんの家にお城で預かりますから安心してくださいと、伝言を伝えに行ってくれました。
睨み合いをしていた門番はのんさんといって、本当はとても優しい人でした。夜ご飯を半分分けてくれて、とにかくもう寝なさいとベッドに寝かせてくれました。
すーちゃんは一日中立っていたのでクタクタでお布団に潜り込むとすぐに眠ってしまいました。
その夜門番ののんさんは大臣に至急のお手紙を書きました。みーちゃんが海の王様に囚われていて、大真珠を返さなければおうちに帰してもらえないこと。そして、すーちゃんが小さいのに一人でこの大役を与えられてとても困っていること。すぐにもこの問題を解決しないと海の王様がこのお城に攻めてくるかもしれないことを丁寧にしたためました。
大臣は、大急ぎで女王にこのことを伝え、明日の朝すーちゃんが謁見できるように取り計らってくれました。
女王は、この大真珠が自分をとても美しく見せてくれるので返したくありません。それで一晩考えに考えました。
次の日の朝、のんさんがとっておきの朝ご飯を作ってくれて、すーちゃんは元気いっぱいで女王様に会いにいきました。
赤い絨毯の向こうの大きな椅子に座った女王様はとても綺麗で優しそうです。そして、女王様のすぐ横には大真珠がキラキラと輝いています。
「女王様、その大真珠を海の王様に返してください。みーちゃんを助けてください。」
すーちゃんがそう言うと、女王様は
「それは大変申し訳ないことをしたわね。これは海の王様にお返ししましょう。それと一緒にこの裏の山の頂上にある金色の林檎の実を3つとざくろの実を3つ持っていくと言うのはどうかしら。それでね、その金色の林檎の木にはてっぺんに虹色に輝く実があるの。それと、ざくろの木には真珠色の実があるのよ。それを私に持って帰ってきて欲しいの。それがあればこの大真珠が無くても私はいつまでも美しいままで居られるのよ。お願いできるかしら?」
そう言いました。
すーちゃんはちょっと不安になりましたが、その実を持って帰ってくれば必ず大真珠を返すと言う約束を信じて裏山へ行くことにしました。
のんさんはとても心配しました。裏山は崖がとても多くて、怖い魔物がいると聞いていたからです。でも、門番の仕事があるのでついて行けません。のんさんはお弁当と一緒に不思議な魔法のドングリが4つ入った袋をすーちゃんに渡し、とても困った時にこのドングリを一個出して
「リグンドテケスタテケスタタッマコ!」
と唱えて投げなさい。と教えてくれました。
裏山はとても険しくて、だんだん足が痛くなってきました。森は暗く、岩がゴロゴロしています。すーちゃんは泣かないように大きな声で歌を歌いながら足を進めました。2時間も歩いたでしょうか、森が少し明るくなったと思ったらいきなり壁のように切り立った崖に行く手を阻まれてしまいました。こんなに高い崖を一体どうやって登ればいいのでしょう。すーちゃんは途方に暮れてしまいました。それで、のんさんがくれたお弁当を少し食べることにしました。のんさんのお弁当は黒パンを分厚く切って白いチーズときゅうりを挟んだサンドイッチと甘い卵焼きと蜂蜜の入ったミルクでした。サンドイッチを半分と玉子を半分ミルクを半分飲むとなんだか元気が湧いてきました。お弁当をカバンにしまおうとした時に袋に入ったドングリを見つけました。
「そうだ!このドングリを使えば崖が登れるかも!」
すーちゃんはドングリを一つ取り出すと
「リグンドテケスタテケスタタッマコ!」
と叫びました。すると体がふわりと浮き上がりスルスルと崖の上まで運んでくれました。
ドングリに心の中でお礼を言うとすーちゃんはまた歩き出しました。
しばらく歩いていると山の中腹ぐらいから
「グルルルルルル~!ギャオギャォギャォォォォ!」
と大きな声が聞こえてきます。すーちゃんは静かにこっそりと声のする方へ近づいて行きました。
声の主は大きな大きな魔物で、とても大きな声で泣いています。涙がポロポロと落ちてきてなんだか足をさすっているようです。
すーちゃんは走って魔物のところまでやってくると
「どうしたの?どこか痛いの?」
と聞きました。すると魔物は涙を流しながら
「木の実を採ろうとしたら落っこちて足の骨が折れちゃったんだ。痛くて痛くて歩くこともできない。おうちに帰ることもできないし、お腹は減っちゃうし。だから誰かが通らないかと思ってもう3日も泣いているのさ。」
と言いました。
すーちゃんはまたドングリを取り出すと
「リグンドテケスタテケスタタッマコ!」
と叫びました。
するとさっきまでポロポロ泣いていた魔物の足から不思議なくらいに痛みが消えました。すーちゃんはお弁当の残りを魔物にあげると今日ここにきた訳を話しました。
魔物は
「金の林檎とざくろの木ならもうすぐ近くにあるよ。僕もそこから落ちたのさ、と教えてくれました。でも、虹色の林檎と真珠色のざくろの実を採ってしまったらその木は枯れてしまうから妖精が怒るかもしれないよ。木のところまでは連れて行ってあげる。そして、一緒にお願いしてあげるよ。でも、もらえるかどうかはわからないよ?」
と言い、すーちゃんを肩に乗せると木のところまで連れて行ってくれました。
そこには女王様なんかよりもずっと美しい妖精が2人木のそばのあづま家でおしゃべりをしていました。
すーちゃんは妖精の近くまで行くと
「こんにちは。私は下のお城の女王様のお使いできました、すーといいます。虹色の林檎の実と真珠色のざくろの実とあと金色の林檎3つとざくろも3ついただけないでしょうか。そうでないと女王様は大真珠を海の王様に返してくれなくて、私のお友達のみーちゃんがおうちに帰れないの。お願いします。」
すーちゃんは目に涙を浮かべてお願いしました。すると林檎の妖精が
「あら、困ったことになっているのね。あの女王はいつも美しくありたいと願ってばかり。この虹色の林檎を食べるといつまでも若いままで死ぬことはないのよ。だから欲しいのね。」
と言い、ざくろの妖精は
「この真珠色のざくろを食べるといつまでも誰よりも美しく居られるのよ。だから欲しいのね。困ったわね。この魔法の実をもいでしまうと木は枯れてしまうの。そして、1週間以内に種を蒔かないと私たちも消えてしまうのよ。あの女王がすぐに食べてくれればいいのだけれど。種は私たちで拾いに行くのだから構わないけれど、食べてくれないと種が取れないでしょ?」
すーちゃんは困り果ててしまいました。すると林檎の妖精が
「すーちゃん、あなたカバンの中に魔法の何かを持っているの?出してみて?」
と言いました。
すーちゃんは魔法のドングリを出しました。ドングリはあと2つ残っています。妖精は林檎とざくろの実をもぐとカバンに入れてくれました。そして、
「この一個でお城に帰るのよ。そして、残りの一個は実を渡した後こっそりと唱えて。そうしたら女王はこの実をすぐに食べるでしょう。私たちは種を持ってもっともっと深い森の奥で暮らすわね。この魔物さんも私たちの用心棒に連れて行くわ。」
と言ってくれました。魔物さんが独りぼっちでなくなる事が嬉しくて思わずすーちゃんは2人の妖精さんにハグをしてお礼を言いました。
そして、ドングリを使うとお城に帰ってきました。
女王様は大喜びで大真珠をすーちゃんに渡しました。お城の庭に出たところで最後のドングリを投げて呪文を唱えると、すーちゃんは一目散に海へと向かいました。
砂浜はこの前に来た時とは打って変わって海藻や流木がたくさん打ち上がり水がどんよりと暗くなっています。
慌てて海に入っていくと、ヒトデの兵隊やエビの牢番が悲しそうに座り込んでいます。すーちゃんはサンゴの台座によじ登りカバンの中から大真珠を出すと王様を呼びながら頭の上に持ち上げて薄くさすお日様の光にかざしました。
お日様の光を受けた大真珠は眩しいほどの七色の光を放ち海の中を明るく優しく照らし始めました。
すると元気なく座り込んでいた兵隊たちが立ち上がり、後ろの岩の穴の中から王様が現れました。
王様は
「怒りが支配すると思っておったが、わしらの体からどんどん力が失われたんじゃよ。あと少し遅かったら、わしらもみーちゃんも力を失っておったかもしらん。すーちゃん、わしらを救ってくれてありがとう。みーちゃんはお返ししよう。すまなかったね。この林檎とざくろは持っておかえり。わしらはこの光さえあれば大丈夫じゃよ。」
そういうと、すーちゃんとみーちゃんを海岸まで送ってくれました。
すーちゃんとみーちゃんは砂浜で林檎を半分こして食べると、あとはお土産にすることにしました。
夕日の中、お家の煙突から煙がホワホワと上がっています。2人は手を繋いでお家に帰りました。また、明日遊ぼうねと約束をして。
女王様は虹色の林檎と真珠色のざくろを種を撒き散らしながら急いで食べると、鏡の間へ向かいました。鏡の中の女王様は以前にも増して若く美しくなっています。
「これで私はどこの女王よりも美しい。どこの誰よりもね!」
そう言うと鏡を見つめていました。
妖精は種を拾い集めると、
「そうね、誰よりも美しいわ。でも、あなたは誰よりも孤独に生き続けるの。不死というのは孤独なものよ。その上そんなに傲慢だったらお友達はできないわ。ずーっと孤独で過ごせばいい。魔法の力もなく、ただ、生き続けるだけ。私達を怒らせた罰よ。」
と言い捨てて深い深い森の奥に消えて行きました。
すーちゃんとみーちゃんはお母さんにお弁当を作ってもらって、海に遊びにやってきました。
青い青いお空は白い雲と白い鳥さんのお庭。
そして、海はふわふわキラキラかがやいています。
すーちゃんとみーちゃんは水着に着替えて波打ち際でお山を作ったり、貝殻を拾ったりして遊びました。
そして、お弁当を食べて、ウトウトと眠り込んでしまいました。
目がさめると、そこは暗い海の底でみーちゃんがサンゴと岩でできた檻に入れられています。
そして槍を持った海老がみーちゃんの檻の前で厳めしくこちらを睨んで立っています。
すーちゃんは
「どうしてみーちゃんを檻に入れるの!出してあげてよ!」
と大きな声で言いました。
すると檻の横にある大きなサンゴの上の台座から紫色の大きなタコが出てきて言いました。
「お前たちは私たちの海で勝手に遊んだだろう!勝手に遊んだものは捕らえられて当然だ!返して欲しければお前の国の女王から、ここから盗んだ大真珠を取り返してこい!あの真珠を失ってからこの海は明かりを失い、皆の心も荒んでしまった。本当はワシはとても優しい王であったのに近頃は優しさがなんであったかも忘れかけている。わしらが優しさを完全に忘れる前にあの真珠をもちかえるのだ!」
タコのお王様はそう言うと台座の向こうに泳いで行ってしまいました。
すーちゃんは浜に上がるとお弁当の片付けをしてトボトボとお家に帰ってきました。そしてお母さんに今日起きたことを話してみました。
するとお母さんは、
「大切なみーちゃんのために、すーちゃん頑張れるかな?女王様に大真珠を返してくださいって、明日お願いに行こうね。お母さんはお仕事でついていけないけれど1人で行ける?」
と言いました。
すーちゃんは1人でできるか考え込んでしまいました。とても怖いし、女王様がどんな人かもわからないからです。でも、もしみーちゃんが帰ってこなかったらこれからお母さんがお仕事の間ずっとひとりぼっちです。それに何よりも大切なお友達をたった一人であの檻の中にずっと置いておくわけにはいきません。二人ともが独りぼっちどうしになってしまいます。
すーちゃんは、朝早くに身支度をするとお城に向かいました。
門番はとても怖い顔をして立っています。
すーちゃんは怖くなって、お家に帰ろうかなとちょっと思いました。でも、みーちゃんが泣いている顔が浮かんできて、勇気を振り絞ると
「女王様にお話があるので合わせてください。」
とお願いしました。
門番は
「女王様に会うには、大臣にお手紙を書いて会議にかけてもらって許可が出ないと会えません。」
と言いました。すーちゃんは、
「そんなことしてたらお友達のみーちゃんがお家に帰れなくなってしまいます。女王様に会えるまでここから動きません!」
と言うと腰に手を当てて門番の前に立ちました。
しばらくの間、門番とすーちゃんの睨み合いが続きました。
すーちゃんは自分ができる一番怖い顔をしてずーっと門番を睨みつけていました。
睨み合いは夕方まで続きました。流石に根負けした門番は、交代の時にすーちゃんをお城に連れて行ってくれました。すーちゃんはずっと怖い顔をしていたのでおでこが痛くて、おでこを揉みながら門番たちが住んでいる部屋に案内されました。もう一人の休んでいる門番がすーちゃんの家にお城で預かりますから安心してくださいと、伝言を伝えに行ってくれました。
睨み合いをしていた門番はのんさんといって、本当はとても優しい人でした。夜ご飯を半分分けてくれて、とにかくもう寝なさいとベッドに寝かせてくれました。
すーちゃんは一日中立っていたのでクタクタでお布団に潜り込むとすぐに眠ってしまいました。
その夜門番ののんさんは大臣に至急のお手紙を書きました。みーちゃんが海の王様に囚われていて、大真珠を返さなければおうちに帰してもらえないこと。そして、すーちゃんが小さいのに一人でこの大役を与えられてとても困っていること。すぐにもこの問題を解決しないと海の王様がこのお城に攻めてくるかもしれないことを丁寧にしたためました。
大臣は、大急ぎで女王にこのことを伝え、明日の朝すーちゃんが謁見できるように取り計らってくれました。
女王は、この大真珠が自分をとても美しく見せてくれるので返したくありません。それで一晩考えに考えました。
次の日の朝、のんさんがとっておきの朝ご飯を作ってくれて、すーちゃんは元気いっぱいで女王様に会いにいきました。
赤い絨毯の向こうの大きな椅子に座った女王様はとても綺麗で優しそうです。そして、女王様のすぐ横には大真珠がキラキラと輝いています。
「女王様、その大真珠を海の王様に返してください。みーちゃんを助けてください。」
すーちゃんがそう言うと、女王様は
「それは大変申し訳ないことをしたわね。これは海の王様にお返ししましょう。それと一緒にこの裏の山の頂上にある金色の林檎の実を3つとざくろの実を3つ持っていくと言うのはどうかしら。それでね、その金色の林檎の木にはてっぺんに虹色に輝く実があるの。それと、ざくろの木には真珠色の実があるのよ。それを私に持って帰ってきて欲しいの。それがあればこの大真珠が無くても私はいつまでも美しいままで居られるのよ。お願いできるかしら?」
そう言いました。
すーちゃんはちょっと不安になりましたが、その実を持って帰ってくれば必ず大真珠を返すと言う約束を信じて裏山へ行くことにしました。
のんさんはとても心配しました。裏山は崖がとても多くて、怖い魔物がいると聞いていたからです。でも、門番の仕事があるのでついて行けません。のんさんはお弁当と一緒に不思議な魔法のドングリが4つ入った袋をすーちゃんに渡し、とても困った時にこのドングリを一個出して
「リグンドテケスタテケスタタッマコ!」
と唱えて投げなさい。と教えてくれました。
裏山はとても険しくて、だんだん足が痛くなってきました。森は暗く、岩がゴロゴロしています。すーちゃんは泣かないように大きな声で歌を歌いながら足を進めました。2時間も歩いたでしょうか、森が少し明るくなったと思ったらいきなり壁のように切り立った崖に行く手を阻まれてしまいました。こんなに高い崖を一体どうやって登ればいいのでしょう。すーちゃんは途方に暮れてしまいました。それで、のんさんがくれたお弁当を少し食べることにしました。のんさんのお弁当は黒パンを分厚く切って白いチーズときゅうりを挟んだサンドイッチと甘い卵焼きと蜂蜜の入ったミルクでした。サンドイッチを半分と玉子を半分ミルクを半分飲むとなんだか元気が湧いてきました。お弁当をカバンにしまおうとした時に袋に入ったドングリを見つけました。
「そうだ!このドングリを使えば崖が登れるかも!」
すーちゃんはドングリを一つ取り出すと
「リグンドテケスタテケスタタッマコ!」
と叫びました。すると体がふわりと浮き上がりスルスルと崖の上まで運んでくれました。
ドングリに心の中でお礼を言うとすーちゃんはまた歩き出しました。
しばらく歩いていると山の中腹ぐらいから
「グルルルルルル~!ギャオギャォギャォォォォ!」
と大きな声が聞こえてきます。すーちゃんは静かにこっそりと声のする方へ近づいて行きました。
声の主は大きな大きな魔物で、とても大きな声で泣いています。涙がポロポロと落ちてきてなんだか足をさすっているようです。
すーちゃんは走って魔物のところまでやってくると
「どうしたの?どこか痛いの?」
と聞きました。すると魔物は涙を流しながら
「木の実を採ろうとしたら落っこちて足の骨が折れちゃったんだ。痛くて痛くて歩くこともできない。おうちに帰ることもできないし、お腹は減っちゃうし。だから誰かが通らないかと思ってもう3日も泣いているのさ。」
と言いました。
すーちゃんはまたドングリを取り出すと
「リグンドテケスタテケスタタッマコ!」
と叫びました。
するとさっきまでポロポロ泣いていた魔物の足から不思議なくらいに痛みが消えました。すーちゃんはお弁当の残りを魔物にあげると今日ここにきた訳を話しました。
魔物は
「金の林檎とざくろの木ならもうすぐ近くにあるよ。僕もそこから落ちたのさ、と教えてくれました。でも、虹色の林檎と真珠色のざくろの実を採ってしまったらその木は枯れてしまうから妖精が怒るかもしれないよ。木のところまでは連れて行ってあげる。そして、一緒にお願いしてあげるよ。でも、もらえるかどうかはわからないよ?」
と言い、すーちゃんを肩に乗せると木のところまで連れて行ってくれました。
そこには女王様なんかよりもずっと美しい妖精が2人木のそばのあづま家でおしゃべりをしていました。
すーちゃんは妖精の近くまで行くと
「こんにちは。私は下のお城の女王様のお使いできました、すーといいます。虹色の林檎の実と真珠色のざくろの実とあと金色の林檎3つとざくろも3ついただけないでしょうか。そうでないと女王様は大真珠を海の王様に返してくれなくて、私のお友達のみーちゃんがおうちに帰れないの。お願いします。」
すーちゃんは目に涙を浮かべてお願いしました。すると林檎の妖精が
「あら、困ったことになっているのね。あの女王はいつも美しくありたいと願ってばかり。この虹色の林檎を食べるといつまでも若いままで死ぬことはないのよ。だから欲しいのね。」
と言い、ざくろの妖精は
「この真珠色のざくろを食べるといつまでも誰よりも美しく居られるのよ。だから欲しいのね。困ったわね。この魔法の実をもいでしまうと木は枯れてしまうの。そして、1週間以内に種を蒔かないと私たちも消えてしまうのよ。あの女王がすぐに食べてくれればいいのだけれど。種は私たちで拾いに行くのだから構わないけれど、食べてくれないと種が取れないでしょ?」
すーちゃんは困り果ててしまいました。すると林檎の妖精が
「すーちゃん、あなたカバンの中に魔法の何かを持っているの?出してみて?」
と言いました。
すーちゃんは魔法のドングリを出しました。ドングリはあと2つ残っています。妖精は林檎とざくろの実をもぐとカバンに入れてくれました。そして、
「この一個でお城に帰るのよ。そして、残りの一個は実を渡した後こっそりと唱えて。そうしたら女王はこの実をすぐに食べるでしょう。私たちは種を持ってもっともっと深い森の奥で暮らすわね。この魔物さんも私たちの用心棒に連れて行くわ。」
と言ってくれました。魔物さんが独りぼっちでなくなる事が嬉しくて思わずすーちゃんは2人の妖精さんにハグをしてお礼を言いました。
そして、ドングリを使うとお城に帰ってきました。
女王様は大喜びで大真珠をすーちゃんに渡しました。お城の庭に出たところで最後のドングリを投げて呪文を唱えると、すーちゃんは一目散に海へと向かいました。
砂浜はこの前に来た時とは打って変わって海藻や流木がたくさん打ち上がり水がどんよりと暗くなっています。
慌てて海に入っていくと、ヒトデの兵隊やエビの牢番が悲しそうに座り込んでいます。すーちゃんはサンゴの台座によじ登りカバンの中から大真珠を出すと王様を呼びながら頭の上に持ち上げて薄くさすお日様の光にかざしました。
お日様の光を受けた大真珠は眩しいほどの七色の光を放ち海の中を明るく優しく照らし始めました。
すると元気なく座り込んでいた兵隊たちが立ち上がり、後ろの岩の穴の中から王様が現れました。
王様は
「怒りが支配すると思っておったが、わしらの体からどんどん力が失われたんじゃよ。あと少し遅かったら、わしらもみーちゃんも力を失っておったかもしらん。すーちゃん、わしらを救ってくれてありがとう。みーちゃんはお返ししよう。すまなかったね。この林檎とざくろは持っておかえり。わしらはこの光さえあれば大丈夫じゃよ。」
そういうと、すーちゃんとみーちゃんを海岸まで送ってくれました。
すーちゃんとみーちゃんは砂浜で林檎を半分こして食べると、あとはお土産にすることにしました。
夕日の中、お家の煙突から煙がホワホワと上がっています。2人は手を繋いでお家に帰りました。また、明日遊ぼうねと約束をして。
女王様は虹色の林檎と真珠色のざくろを種を撒き散らしながら急いで食べると、鏡の間へ向かいました。鏡の中の女王様は以前にも増して若く美しくなっています。
「これで私はどこの女王よりも美しい。どこの誰よりもね!」
そう言うと鏡を見つめていました。
妖精は種を拾い集めると、
「そうね、誰よりも美しいわ。でも、あなたは誰よりも孤独に生き続けるの。不死というのは孤独なものよ。その上そんなに傲慢だったらお友達はできないわ。ずーっと孤独で過ごせばいい。魔法の力もなく、ただ、生き続けるだけ。私達を怒らせた罰よ。」
と言い捨てて深い深い森の奥に消えて行きました。
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