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意外な才能
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「アッシュ…」
私は白いフワフワモフモフの猫を触りたい気持ちを抑え、アランさんの後に続き歩き出す。
曲がり角ではクロウさんが私達が来るのを不機嫌そうな顔で待ち構えている。
「遅い。早く来い、あいつは嫌いだ」
アランさんが私に軽く耳打ちをして話す。
「クロウは気に入らないと厄介だから…」
「なんとなく分かります…」
「なにこそこそ話してる?あやか、こっちだ」
首をクイッと横に向け、進む方向を示す。
そして、また私達の前をズンズンと進み出すとある扉の前で立ち止まった。
(どこに向わせてたんだろう…)
ガチャと開けると中にはピアノがあった。
その周りにはバイオリンやサックスなど様々な楽器があり、アランさんが音楽室だと教えてくれた。
「ここで良く弾いたりしてるよ、クロウは」
「ぷっ…」
私は不謹慎ながら笑ってしまった。
「なっ!お前なに笑っているんだ!?失礼すぎるだろ。謝れ!」
「だって、イメージなさすぎです。ツンツンしたイメージしかないのに音楽って…ダメだ、お腹痛いぃ~」
私が盛大に笑う中でクロウさんは顔を赤くして私を睨む。
なかなか笑いが収まらない様子の私をアランさんがまた耳打ちをしてきた。
「あやかさん、クロウが…」
「へっ?」
私がクロウさんを見るとこちらに向かって歩いてくる。
「あ、あの…すみません…」
咄嗟に謝ったが、怒り心頭な感じで私に言う。
「そんなに笑うなら何か弾いてみろ?聞いてやる」
「いや、私は楽器は何も…」
「ちっ。じゃあこっちに来い!」
私の腕を掴み、ピアノ近くの椅子に座らせ、そこで聞くようにキツく言い放つ。
そして、ピアノに座ったかと思ったらすぐに弾き始めた。
その音色は一瞬で私を惹きつけた…。
クロウさんから奏でる音色は力強いが儚く、転調を上手く使い聞く耳を飽きさせない。
ピアノを弾くクロウさんは体も使い、さながらコンサート会場で聴衆を自分に惹きつけるように見せた。
(なんだろう…なんか懐かしい感じもする)
聞いた事ない音色なのに私はしんみりとしてしまい静かに目を閉じた。
しばらくの間、クロウさんが弾くピアノの音が部屋を包み、時間が流れていく。
次第に私はうとうととしてしまい頭を上下していく。
バーン!?
ピアノを激しく打ちつける音。
それに驚き、目を開く私。
視線を感じる方を見るとクロウさんがピアノの鍵盤に手を置いたままこちらを見ていた。
(ヤバイ…寝てた、かな…)
椅子から立ち、私に近づいたと思ったら両肩に手を置き言う。
「惚れただろ、お前?」
「ほ、惚れてなんか…弾けるなんてビックリしたと言うか…」
「いい。照れてるけど、隠そうとしてるんだな。可愛い奴だな」
私がクロウさんに惚れていると勝手に解釈し、ポジティブ思考全開で接して来る。
それに私を急に立たせ、見つめあってきた…。
「あやか…」
真剣な顔で私を見るこの感じは何かあるな…と分かり変な感じになる前に止めようと声を出そうとした。
でも、それより前にアランさんが言う。
「はいはい、そこまで…。俺がいるのを完全に忘れているよ、クロウ。早く離れなよ」
「いい雰囲気を邪魔するな!早く出てけよ!?」
やっぱり何かするつもりだったんだと思い、隙を見て私はクロウさんから離れていった。
私は白いフワフワモフモフの猫を触りたい気持ちを抑え、アランさんの後に続き歩き出す。
曲がり角ではクロウさんが私達が来るのを不機嫌そうな顔で待ち構えている。
「遅い。早く来い、あいつは嫌いだ」
アランさんが私に軽く耳打ちをして話す。
「クロウは気に入らないと厄介だから…」
「なんとなく分かります…」
「なにこそこそ話してる?あやか、こっちだ」
首をクイッと横に向け、進む方向を示す。
そして、また私達の前をズンズンと進み出すとある扉の前で立ち止まった。
(どこに向わせてたんだろう…)
ガチャと開けると中にはピアノがあった。
その周りにはバイオリンやサックスなど様々な楽器があり、アランさんが音楽室だと教えてくれた。
「ここで良く弾いたりしてるよ、クロウは」
「ぷっ…」
私は不謹慎ながら笑ってしまった。
「なっ!お前なに笑っているんだ!?失礼すぎるだろ。謝れ!」
「だって、イメージなさすぎです。ツンツンしたイメージしかないのに音楽って…ダメだ、お腹痛いぃ~」
私が盛大に笑う中でクロウさんは顔を赤くして私を睨む。
なかなか笑いが収まらない様子の私をアランさんがまた耳打ちをしてきた。
「あやかさん、クロウが…」
「へっ?」
私がクロウさんを見るとこちらに向かって歩いてくる。
「あ、あの…すみません…」
咄嗟に謝ったが、怒り心頭な感じで私に言う。
「そんなに笑うなら何か弾いてみろ?聞いてやる」
「いや、私は楽器は何も…」
「ちっ。じゃあこっちに来い!」
私の腕を掴み、ピアノ近くの椅子に座らせ、そこで聞くようにキツく言い放つ。
そして、ピアノに座ったかと思ったらすぐに弾き始めた。
その音色は一瞬で私を惹きつけた…。
クロウさんから奏でる音色は力強いが儚く、転調を上手く使い聞く耳を飽きさせない。
ピアノを弾くクロウさんは体も使い、さながらコンサート会場で聴衆を自分に惹きつけるように見せた。
(なんだろう…なんか懐かしい感じもする)
聞いた事ない音色なのに私はしんみりとしてしまい静かに目を閉じた。
しばらくの間、クロウさんが弾くピアノの音が部屋を包み、時間が流れていく。
次第に私はうとうととしてしまい頭を上下していく。
バーン!?
ピアノを激しく打ちつける音。
それに驚き、目を開く私。
視線を感じる方を見るとクロウさんがピアノの鍵盤に手を置いたままこちらを見ていた。
(ヤバイ…寝てた、かな…)
椅子から立ち、私に近づいたと思ったら両肩に手を置き言う。
「惚れただろ、お前?」
「ほ、惚れてなんか…弾けるなんてビックリしたと言うか…」
「いい。照れてるけど、隠そうとしてるんだな。可愛い奴だな」
私がクロウさんに惚れていると勝手に解釈し、ポジティブ思考全開で接して来る。
それに私を急に立たせ、見つめあってきた…。
「あやか…」
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でも、それより前にアランさんが言う。
「はいはい、そこまで…。俺がいるのを完全に忘れているよ、クロウ。早く離れなよ」
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やっぱり何かするつもりだったんだと思い、隙を見て私はクロウさんから離れていった。
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