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いつもの感じじゃない…
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これだけ頭を下げてお願いする人が今までいただろうか…。
少しだけ不安も残ったが、頭を上げるようにお願いした。
「いいのか…?」
「今は、です。もし手なんか出したら2度と口も聞きません。
そして、わたしはこの国を出ます」
出たところで私には行く場所なんて無いが、それでもそう言うしか無かった。
嘘も方便だ。
「分かった、誓う」
私の震えはいつの間にか治まっていた。
「…とりあえず、こっちに座ってくれ」
立ち上がると椅子を引きここに座るように促す。
クロウさんはお茶でも飲み、まずは落ち着く事が大事だと言い、カップを用意した。
一つ息を吐き、立ち上がった私は言われた椅子に腰掛けお茶を入れている様子を見ていた。
あれから変えてないんだろう…昼間に溢したアールグレイのシミはそのままだ。
「…昼と違う」
「あ、あぁ…。同じだと嫌な感じを思い出させてしまうからな、変えてみた」
カップに注がれるのはアールグレイではなくダージリンだ。
クロウさんなりの気遣いなんだろう。
芳醇な香りが立ち上り、気持ちを落ち着かせていく。
ダージリンを入れたカップをスッと私の前に出し、飲むように言う。
「…美味しい」
クロウさんも椅子に座り、カップから一口、口に含んだ。
「…話したくないと思うが、何故アランが?」
「急に部屋の前にいました。
運良く起きましたが、寝てままだったら…」
私はゆっくりと起きた出来事を話し始めた。
その中で鍵の掛け方を教えず部屋を使っている事をまず謝ってきた。
「鍵…掛かるんですか?」
「すまない…ここにいる人間は知っている事だったが、お前が知らないのは当然だよな、外から来た人間だから」
スッと立つと扉の元に歩み、私を呼び寄せる。
しかし、私は扉に近くのは嫌だった。
まだ息を潜めて廊下におり、気配を感じたらまた叩き出すんじゃないかと思ったからだ。
そんな私を思い、クロウさんは扉をグッと抑えつけ私に言う。
「何かあったら躊躇なくアランを切る、信じろ」
抑えつけている手とは逆の手で腰に携えた剣を握る。
不安もあったが、鍵の掛け方を知らないままでは同じ繰り返しだと思い扉に近づいた。
「いいか?ここだ。これを押すんだ」
教えてくれたのはノブの根元にある小さな押しボタンみたいなもの。
これをグッと押せば鍵が掛かる。
外からは入れないよう鍵穴はなく、これが存在するのだと教えてくれた。
そして出る時はまた同じ場所を押すと解除されるとも教えてくれた。
「なるほど…中から掛けれて外からは入れないのは安心ですね。
良かった…」
「すまない、もっと早く教えれば…」
「今、教えてくれたのでこれからは安心して休めれます」
「明日まであまり時間がない、早く休んだ方がいい。
送る」
意外だった…。
いつもならこのまま危ないからこの部屋にいろ!と言うと思ったが、私の部屋まで送ると言う。
不思議に思い、私はクロウさんを見た。
少しだけ不安も残ったが、頭を上げるようにお願いした。
「いいのか…?」
「今は、です。もし手なんか出したら2度と口も聞きません。
そして、わたしはこの国を出ます」
出たところで私には行く場所なんて無いが、それでもそう言うしか無かった。
嘘も方便だ。
「分かった、誓う」
私の震えはいつの間にか治まっていた。
「…とりあえず、こっちに座ってくれ」
立ち上がると椅子を引きここに座るように促す。
クロウさんはお茶でも飲み、まずは落ち着く事が大事だと言い、カップを用意した。
一つ息を吐き、立ち上がった私は言われた椅子に腰掛けお茶を入れている様子を見ていた。
あれから変えてないんだろう…昼間に溢したアールグレイのシミはそのままだ。
「…昼と違う」
「あ、あぁ…。同じだと嫌な感じを思い出させてしまうからな、変えてみた」
カップに注がれるのはアールグレイではなくダージリンだ。
クロウさんなりの気遣いなんだろう。
芳醇な香りが立ち上り、気持ちを落ち着かせていく。
ダージリンを入れたカップをスッと私の前に出し、飲むように言う。
「…美味しい」
クロウさんも椅子に座り、カップから一口、口に含んだ。
「…話したくないと思うが、何故アランが?」
「急に部屋の前にいました。
運良く起きましたが、寝てままだったら…」
私はゆっくりと起きた出来事を話し始めた。
その中で鍵の掛け方を教えず部屋を使っている事をまず謝ってきた。
「鍵…掛かるんですか?」
「すまない…ここにいる人間は知っている事だったが、お前が知らないのは当然だよな、外から来た人間だから」
スッと立つと扉の元に歩み、私を呼び寄せる。
しかし、私は扉に近くのは嫌だった。
まだ息を潜めて廊下におり、気配を感じたらまた叩き出すんじゃないかと思ったからだ。
そんな私を思い、クロウさんは扉をグッと抑えつけ私に言う。
「何かあったら躊躇なくアランを切る、信じろ」
抑えつけている手とは逆の手で腰に携えた剣を握る。
不安もあったが、鍵の掛け方を知らないままでは同じ繰り返しだと思い扉に近づいた。
「いいか?ここだ。これを押すんだ」
教えてくれたのはノブの根元にある小さな押しボタンみたいなもの。
これをグッと押せば鍵が掛かる。
外からは入れないよう鍵穴はなく、これが存在するのだと教えてくれた。
そして出る時はまた同じ場所を押すと解除されるとも教えてくれた。
「なるほど…中から掛けれて外からは入れないのは安心ですね。
良かった…」
「すまない、もっと早く教えれば…」
「今、教えてくれたのでこれからは安心して休めれます」
「明日まであまり時間がない、早く休んだ方がいい。
送る」
意外だった…。
いつもならこのまま危ないからこの部屋にいろ!と言うと思ったが、私の部屋まで送ると言う。
不思議に思い、私はクロウさんを見た。
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