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清水次郎長が胸のすくような喧嘩啖呵!!石松に鬼吉それに法印大五郎も腕まくり。
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[じゃあちゃんと準備をして、明日いただきにこよう。うちにもいたんだけど、いいものは死んじゃって和金が少しいるだけ。][すみませんおじさん、明日また来ます。]3人と2匹は明るい表情をして帰っていった。
[あなたたち、どう、ちゃんと飼って生きているの。][まだ頑張っているジョー。][お父さんとイトミミズ取ってきて、食べさせたら嬉しがっています。][高い金魚なので子供ができたら、売れるかもしれないよ。]
王宮の会議室に10組の露店要員と辰五郎が来ている。[王様、準備が整い全員が揃いました。][みなさんご苦労様、準備ができているということなのであとは行くだけです。現地のほうも受け入れ態勢ができています。宗教グッズは初めての試みですが、大変有望な分野です。皆様と喜びを分かち合えることを期待しています。なお申し添えておきますが、温泉大浴場があり3食のほかに大型冷蔵庫にビニール袋に入ったつまみと、棚に並べてあるお酒はすべて無料です。]
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[毎日を元気で過ごせることを確信しています。それでは頑張ってきてください。]温泉があり酒とつまみが無料と聞いて、それぞれの夫婦は喜びにあふれていた。
露店の組み立てがすべて終わり、各店舗の割り振りと商品の陳列も終了している。どの商品を並べるかは各店舗に任せてあるが最初は薄くほとんどのものを並べ、売れ行きによって売れ筋を多めに揃えるというのがほとんどのようだ。
辰五郎といつもの子供3人の分身がさきほど到着した。1週間ほどの手伝いである。[わぁ~い、こっちにもお父さんお母さんがいるジョー。]ここは固定給なので子供は大人の日当の半分をもらえるようになっている。3人は各店舗の売り切れの商品の補充をすることになった。倉庫から商品を取ってくるのである。辰五郎は露店全体の管理である。各マスコミにはすでにオープン日と販売する商品の内容を知らせてあるので、一般の方々にも広く知れ渡っているようである。
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日蓮さんや各宗派の宗祖が復活しているのである。信者は大興奮状態になっている。お線香担当と統合した仏教グッズ担当チームは大変なことになっているのでお線香の販売員4人のうち2人を電話受けに回すことにした。
[親分お小遣い稼げますね。][あなたたち、1週間だけど一生懸命頑張るのよ。][ボクは金魚代稼ぐジョー。]明日のオープン日は元旦初詣での人出より多いと予想されるので、次郎長も外で石松らとともに交通整理にあたることになっている。
オープン日である、通常10:00からであるが混雑が予想されるので9:30に変更した。9:00なのにすでに露店前が人だかりになっている。このままでは開店がパニック状態になってしまうので、スタートをすることにした。予想通りに日蓮さんのグッズが飛ぶように売れている。生のお題目のCDはほとんどのお客様が購入されていく人気商品になっている。
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それと各宗派の宗祖の古衣で作られたお守りも人気である。意外な人気品が写楽画の各宗祖の浮世絵の似顔絵である。目当てのほかのもの含めて5種類すべても面白がって購入されていくが、これは意外であった。浮世絵で人気の写楽画ということが受けているようだ。
一通り目的のものを購入された後に建物に入ってお線香を買っていくのが基本のパターンになっている。お線香係りには2人しか要員がいないので1階の華器売り場と茶道具売り場より各1名の応援要員を出した。テレビ中継車3台が混雑の様子を伝えている。対馬の仏像の件以来この建物のオーナーで1億円の大井戸茶碗を売った、サンリンポチェの名前は広く浸透しているようである。
[親分、もうへとへとです。][疲れたジョー。][あなたたちは何を言ってるの、まだ始まったばかりでしょう。]すずがペットボトルのお茶を配っている。[あなたたちも頑張っているわね。お疲れ様、はいどうぞ王様からです。]
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[お昼ご飯は食堂ですか。][こういう忙しいときはたぶんおにぎりになるわね。][ぼくはシャケのおにぎりが好きだジョー。]
大寺の僧侶5人が肩を怒らせて建物の中に入ろうとしたが気のバリアーのため全員が足をガクガクさせ、頭が痛くてうずくまっている。石松はいつものようにほっぽっておいているが、入口から動かないので例によって力ずくで脇に追いやったがギャースカ、ギャースカ喚いてうるさいので警備と露店責任者の次郎長がやってきた。
[どうなすったんで。]リーダーと思われる中年の僧侶が、[何で入れないんだ。][さあ、わかりませんね。普通の人はあのように入っていますんで。][責任者と話があるんだが。][私が宗教グッズの責任者ですがなんの要件で。][うちの宗門のグッズ販売のことだ。外ではなく中できちっと話をしたいのだが。][へい、さようですか。入りたければどうぞ入ってください、でも建物に嫌われているようですよ。]
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[おちょくってるのか、われわれは大本山の命令できているんだぞ。][そうですかい、私は山本長五郎というものですが、どこのお寺さんで何様ですか。][そんなことはどうでもいいだろう、大本山の命令と意向を伝えに来たんだ。]
[こっちがきちっと名乗っているのに、そういういいかたはねえだろう。どこの糞坊主でぃ、大本山の名前を言ってみろよ。][それなら言おう、京都の〇恩院だ。][大本山でも小本山でも私どもには関係ございません。なにか道理に外れたようなことをしてますかい。]
[ならば言おう、大本山の許可なしに何で勝手に販売しているんだ。][何であんたらの許可を取らなければならないんですかい。][我々の宗祖様のグッズだろ、許可を取るのはあたり前ではないか。][こんな感じでいろんなところから、リベートを取っているんですかい。申し訳ございませんがビタ一文払いません。][そんなでかい態度でいいのか、商売ができないようにしてやるぞ。]
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[あんたらみたいのが来るのを予想して、各宗祖の前に販売しているグッズを並べて写真を撮ったのを、露店に宗祖直筆の販売許可証とともに提示してある。これでも四の五の言うのかい。][どっちみちそんなもん偽物だろう。全信者に偽物だとメールして商売できないようにしてやる。]
[勝手にやれるもんならやってみなさいよ、別に裁判で決着しても構わんわ。何らここにいるマスコミを入れて大々的にやりますかい。それに商売をできなくするというのは恐喝だわ、あんたが言ったことはすべてここに録音してあるし防犯カメラにも映っている。さ~どうするんで、マスコミを中に入れてガチで勝負するんかど~なんでぃ。さっさと答えやがれ。]
次郎長は出入りの喧嘩と同じ凄まじい迫力で相手をにらみつけた。子分の石松、鬼吉、法印大五郎も腕まくりをしている。[リーダーの後ろから指で小突きながら、ここはいったん帰って態勢を立て直しましょう。][おぼえておけ、このままではすまないぞ。]
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[さ、さ、さっさと帰りやがれ~、このボケナスが~。]面白がって見ていた新聞記者と雑誌記者がやってきた。[いや~ぁ、すさまじい迫力でしたね。お名前は山本長五郎さんと言われましたが清水次郎長さんと関係がおありですか。]
[はい、私が次郎長で、石松、鬼吉に法印大五郎です。][それではあの有名な清水一家のお歴々ですか。][そういうことになります。小堀遠州さんも復活しましたし、私どももこのように復活しました。][ふ~む、奥に秘めたものがこの建物には充満しているようですね。][は、は、は、そんなことはありませんよ、たまたまこうなっただけです。]
露店脇の大きな黒松の下で、子供3人は弁当を広げている。三角おにぎりの包みであるが、それぞれにシャケ、梅干しに昆布が入っている。焼肉もパックに入っていて、たくあんも3切れある。[親分、仕事の後のご飯はおいしいですね。][シャケはうまいジョー。]
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[ター坊やよっちゃんとこのお父さんやお母さんも食べているのかな。][要領いいから大丈夫ですよ。][さっきお母さんが食べながら仕事してたジョー。][忙しいから大変よね。]
ゴン太にユリがやってきた。隣地の野菜畑に行く途中のようだ。[ゴンちゃん遊びに行くの。]焼肉の近くをクンクンと嗅いでいる。[あなたたち、焼肉とご飯を少し分けて出しなさい。][え~、焼肉はおいしいジョー。]ワンワンワン。[早く出しなさい、よっちゃん。]しぶしぶ2人はでして、タエも少し多めに出した。[はい、ゴンちゃんにユリの分よ。]ワンワンワン。尾っぽを振りながら、あっという間に食べてしまった。2匹の頭を撫でたら元気に遊びに行った。
[親分、犬はいいですね、楽しそうで。仕事はつらいな。][仕事は厳しいジョー。]
[お金を貯めていっぱい金魚を買うんでしょ。][ボクはオランダシシガシラに丹頂を飼いたいな。][出目金より高級な頂点眼もいいジョー。]
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[弁当はおいしかったかな。][あっ王様、美味かったですよ。][3時にタイ焼きを2匹ずつ出すからもう少し頑張りなさい。][タイ焼きはうまいジョー。][親分やる気が出ますね。]子供達は元気を出して仕事に戻っていった。
老僧が弟子を一人伴ってやってきた。1Fフロア長の小政が丁重に挨拶をして応接の場所に案内をした。何も言ってなくても雰囲気でそうなってしまったので、なかなかの貫目がある人物である。ゴンちゃんにユリも出てきたが歓迎の様子である。
[ほう、この犬が評判になっている犬かな。さすがだわな。]と言いながらお題目を唱えている。[いらっしゃいませ、私が責任者のサン リンポチェです。][いろいろな友人からあなたのことは聞いているが私らの宗門の祖である栄西禅師のグッズがないのは寂しい。それに最澄のもな。][栄西に最澄の両宗祖様は復活して小さな寺にいらっしゃいます。ただ今回は初めてですので5人の宗祖に絞らせていただきました。]
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[様子を見て追加の予定でいましたが、今少しお待ち願えますか。][なるほど、それでは近々同じようにお線香とともに販売するということでよろしいのかな。][はい、その通りです。]
[それはよかった。それで突然だが私のところの寺宝になるようなものを焼いてくれんかな。三島の礼賓の2人は私の友人でな私は礼賓でなく曜変天目茶碗をお願いしたいのじゃ、しかも通常の10倍の大きさのものをな、大きさが10倍だからと言って10倍も出せないが1億5千万円だったらすぐに出せる。これでやってくれんかな。]ふ~むと言って考え込んでしまったが、ゴン太がワンワンワンとOKマークを送ってきた。
[承知しました。やりましょう。][そうか、すぐに作ってくれんか老人は気が短くてな。]ワンワンワン。[わかりました10分間ほどお待ちください。]と言って自分の作業場にこもってしまった。約5分後に大きな天目茶碗を持ってきた。国宝の3椀よりはるかに出来が良い。
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老師[これはちょっと安価すぎたかな。][いえいえ充分です。][それでは金額を振り込んで持ち帰るとしよう。][ありがとうございます。消費税込みで1億6千5百万円になります。すずさんネット振込みの用意をしてください。]その間に共箱を揃え梱包をした。[振り込みを確認しました。][どうもありがとうございました。グッズのほうは用意が整い次第に連絡をさせていただきます。]
入口まですずと見送りに出て、最敬礼で送り出した。[王様、ちょっと安すぎますよ。2.3億円は取れましたよ。][いやいやいいんだよ、友人の繋がりで今回は礼賓2椀に次ぐ3椀目の1億円オーバーになった。また紹介が出るかもしれないので、これくらいでいいのさ。]ワンワンワンワン。ゴン太にユリもOKサインを出している。[そろそろ子どもたちを入れて、みんなにタイ焼きを2匹ずつ行くように出してくれないかな。][はい、わかりました。]
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[親分、タイ焼きおいしいですね。][このたい焼き、あんこが尾っぽまで入っているジョー。][あんこがしつこくなくていいわね。あなたたちタイ焼きではなく金魚焼きでもやったら。][ネコ寺でやったら、お魚だからネコに食べられちゃうジョー。]
東京料飲組合より食器販売の依頼があった。天下の東京にはヤマほどの食器点があるのに品質と価格の割合、いわゆるコスパの高いものは明日香陶芸展が抜群ということでお呼びがかかった。それに伊万里の普及品に魯山人や京焼の普及品で、程度がいいのは弊店だけという評価が定着しているためである。
さっそくいつものサスケ、すず、志野に犬2匹を呼んで作戦会議である。[てんやわんや状態のこの時期に東京料飲組合より食器販売の依頼が来ているが、まず参加するかどうか意見を言ってくれるかな。]サスケ、[ご存知の通りにメチャクチャ忙しいんですが、いつものように分身してやれば問題ありません。]
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サスケ[それに東京料飲組合で評価を得れば実質の食器販売日本一の評価になります。]ここは今まで以上に気合を入れて周到な準備をして、取り掛かるべきです。]すず、[私も賛成ですが、要員を売り場から2人増やしていくべきです。京都の2・3倍の客を覚悟しなければなりません。]
遠州、[私も賛成です私どもの特色をきちっと出すべきです。豊富な普及品が一番の売りですが、今回私が選んだ1点物の懐石食器に王様の四越デパートで人気だった、明色絵と染付の琳派様式の食器は目が肥えて高級もの志向の客には受けると思います。][抹茶茶碗も京都程度は持って行こうかな。]
サスケ、[王様は今までに1億円以上の茶碗を6個売っています。その写真と値段を張り出しておくというのはどうでしょうか。かなりのインパクトだと思います。]すず、[東京は層が厚くどんなお客様が見えるかわかりませんから、面白いんじゃあないんでしょうか。また1億5千万円の天目が売れるかもわかりません。]
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遠州、[いいんじゃあないんですか。一発大当たりの楽しみもあったほうが楽しいです。]ワンワンワン。犬2匹もそうだと言っている。[ではそのようにするか。大井戸は展示はしないが持っていくようにしよう。]志野[卸は今回も私が担当いたします。]
[期間はいつものように3日間ですので、あらかじめその対応でいるように。会場は広いので花器も少し持って行こうか。]京都の飲食組合同様に今回も招待なので、四谷料飲組合ホールの使用料は無料である。[天引きがないのは大きいぞ、四越デパートは売り上げの半分取られたから大きな違いだな。]すず、[売っただけ収入になるのは魅力ですよ。]
当日の会場設営も終わり、最後の点検をしている。過去に売却済みの1億円以上の6椀が等身大の写真と価格が表示されていが、目を見張るのがなんといっても普通の10倍の等身大の曜変天目茶碗1億5千万円の写真である。なにしろ国宝をはるかに超えた曜変釉は迫力も芸術性も圧倒的である。
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いよいよオープン時間である。時間前に詰めかけるということはなかったが、人出がだんだんと多くなってきたようである。今回も買い物かごを置きレジスターも初めて使用することにしたので、スピーディーに処理できるようになだ。
やっぱり予想通りに古伊万里、魯山人、京焼の普及品がよく売れているようである。2人の補充販売要員は引っ切り無しにレジを打っている。意外だったのは同業者や有名デパートからも仕入れ担当者が多く来ていることである。志野だけでは間に合わずサスケも一緒に応対している。すでに有名食器店とは仕入れの仕切りで同意したようだ。
デパートは売れてからの清算を譲らないので、残念ながら不合意に終わった。無理をしてそんなところで売らなくても、全く問題がないのである。政治家などが利用する老舗料亭の女将は遠州好みのセット、八寸・向付・小鉢・取り皿の1,500万円セットを10セットお買いになった。
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王様の食器は八寸1,000万円を5点、向付250万円5点もすでに売れている。懐石食器はやはり遠州の名前が強いようである。すず、[王様、昼食は何にしますか。][そうだな景気をつけるためエビ3本載せそば、割増料金を払ってできればそれにしてできなければ通常のものにしよう。][必ず3本載せそばにしてきます。][ハッハッハ。]
交代で天ぷらそばを食べて、ポットに入れてきたお茶を飲んでいると英国大使館の職員がやってきて、天目の写真を指差して
[これの作家さんはどちらですか。][はい私ですが、何か御用ですか。][実はこの作品を3点欲しいという方がいまして、あなたのことは充分に調査をして明日には揃えられるので執事がお邪魔するということなんです。]
[ほう、執事と申しますと王族か富豪ですか。][はい、ロスチャコスの執事です。会長がこの作品の写真を見て、3点の購入を決めました。一点は自分で所有し他はエリザベス女王とロックフェラリー会長に送るそうです。
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ただ、価格は1億5千万円では納得していないということです。][3点買うからもっと下げろということですか]
[いえいえ普通でしたらユダヤ商法で厳しい交渉をするのですが、今回は趣味の陶器のことですので芸術品には適正価格を払わなければならないと言っています。]
[いくら払っていただけるのですか。][はい、1億5千万円は確定で、場合によって自分の目利きでそれ以上を支払うということです。][はっはっはっ、面白い方ですね。予定価格以上でしたらこちらが、感謝をしなければならない立場ですよね。わかりました、明日3点をきちっとそろえます。]
[ではよろしく。][ゴンちゃん大丈夫かな。]ワンワンワン。遠州、[王様、何やら面白そうですね。]すず、[問題はいくらかになるかです。これはネタが面白いのでマスコミがほおっておきませんよ。]サスケ、[富豪があんなこと言っているんでしたら、2億以上ですよ。][え~、6億以上ですか。][景気付のエビ店3匹乗せが効いたかなは、は、は。]
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[大きな話がきたけれど、身近な今日の仕事はミスのないようににしてください。]売り切れ品も多くでたが、ほとんどは予約をして帰っていった。[今日の仕事は終了です。ご苦労様でした。]食器は予想以上によく売れて、卸売りの商談も多く収穫の多い一日であった。
10:00のスタート時間前の9:30に会場に着いたがマスコミが多数押し寄せている。ネタ元が毎回面白い話題を提供しているサンリンポチェとあって、早くも興奮状態である。[先生~今回も皆さん期待をしている方々が多いと思いますが、お気持ちはいかがですか。]
[ははは、どんな展開にないきたいと思います。以上もう少し経過をお待ちください。]
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ワンワンワン。ゴン太が吠えて重要人物がきたことを知らせている。部下2人を連れて執事長がやってきた。[こんにちは私は執事長の〇〇と申します。作品は揃いましたか。][はいこの通りです。]
3人で作品を隅から隅まで詳細にチェックをして、[それでは1点2億5千万円で3点いただきます。][マスコミの方も大勢来ていますので、決済処理してから公開いたします。よろしいでしょうか。][はい、すきなようにどうぞ。]部下がすぐに振り込み処理したので、マスコミに公開することにした。曜変天目のあまりのすばらしさに圧倒されているようである。
[先生、これはすごいものですよ。天下の名品です。国宝の曜変天目の数倍の価値のあるものです。]東京料飲組合の招待展示販売は京都の3倍の売り上げを記録して終了した。大成功である。仏教グッズは多少喧騒が収まってきたがまだまだ来場者が多く、ネット販売も切れ目のない状態である。
[じゃあちゃんと準備をして、明日いただきにこよう。うちにもいたんだけど、いいものは死んじゃって和金が少しいるだけ。][すみませんおじさん、明日また来ます。]3人と2匹は明るい表情をして帰っていった。
[あなたたち、どう、ちゃんと飼って生きているの。][まだ頑張っているジョー。][お父さんとイトミミズ取ってきて、食べさせたら嬉しがっています。][高い金魚なので子供ができたら、売れるかもしれないよ。]
王宮の会議室に10組の露店要員と辰五郎が来ている。[王様、準備が整い全員が揃いました。][みなさんご苦労様、準備ができているということなのであとは行くだけです。現地のほうも受け入れ態勢ができています。宗教グッズは初めての試みですが、大変有望な分野です。皆様と喜びを分かち合えることを期待しています。なお申し添えておきますが、温泉大浴場があり3食のほかに大型冷蔵庫にビニール袋に入ったつまみと、棚に並べてあるお酒はすべて無料です。]
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[毎日を元気で過ごせることを確信しています。それでは頑張ってきてください。]温泉があり酒とつまみが無料と聞いて、それぞれの夫婦は喜びにあふれていた。
露店の組み立てがすべて終わり、各店舗の割り振りと商品の陳列も終了している。どの商品を並べるかは各店舗に任せてあるが最初は薄くほとんどのものを並べ、売れ行きによって売れ筋を多めに揃えるというのがほとんどのようだ。
辰五郎といつもの子供3人の分身がさきほど到着した。1週間ほどの手伝いである。[わぁ~い、こっちにもお父さんお母さんがいるジョー。]ここは固定給なので子供は大人の日当の半分をもらえるようになっている。3人は各店舗の売り切れの商品の補充をすることになった。倉庫から商品を取ってくるのである。辰五郎は露店全体の管理である。各マスコミにはすでにオープン日と販売する商品の内容を知らせてあるので、一般の方々にも広く知れ渡っているようである。
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日蓮さんや各宗派の宗祖が復活しているのである。信者は大興奮状態になっている。お線香担当と統合した仏教グッズ担当チームは大変なことになっているのでお線香の販売員4人のうち2人を電話受けに回すことにした。
[親分お小遣い稼げますね。][あなたたち、1週間だけど一生懸命頑張るのよ。][ボクは金魚代稼ぐジョー。]明日のオープン日は元旦初詣での人出より多いと予想されるので、次郎長も外で石松らとともに交通整理にあたることになっている。
オープン日である、通常10:00からであるが混雑が予想されるので9:30に変更した。9:00なのにすでに露店前が人だかりになっている。このままでは開店がパニック状態になってしまうので、スタートをすることにした。予想通りに日蓮さんのグッズが飛ぶように売れている。生のお題目のCDはほとんどのお客様が購入されていく人気商品になっている。
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それと各宗派の宗祖の古衣で作られたお守りも人気である。意外な人気品が写楽画の各宗祖の浮世絵の似顔絵である。目当てのほかのもの含めて5種類すべても面白がって購入されていくが、これは意外であった。浮世絵で人気の写楽画ということが受けているようだ。
一通り目的のものを購入された後に建物に入ってお線香を買っていくのが基本のパターンになっている。お線香係りには2人しか要員がいないので1階の華器売り場と茶道具売り場より各1名の応援要員を出した。テレビ中継車3台が混雑の様子を伝えている。対馬の仏像の件以来この建物のオーナーで1億円の大井戸茶碗を売った、サンリンポチェの名前は広く浸透しているようである。
[親分、もうへとへとです。][疲れたジョー。][あなたたちは何を言ってるの、まだ始まったばかりでしょう。]すずがペットボトルのお茶を配っている。[あなたたちも頑張っているわね。お疲れ様、はいどうぞ王様からです。]
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[お昼ご飯は食堂ですか。][こういう忙しいときはたぶんおにぎりになるわね。][ぼくはシャケのおにぎりが好きだジョー。]
大寺の僧侶5人が肩を怒らせて建物の中に入ろうとしたが気のバリアーのため全員が足をガクガクさせ、頭が痛くてうずくまっている。石松はいつものようにほっぽっておいているが、入口から動かないので例によって力ずくで脇に追いやったがギャースカ、ギャースカ喚いてうるさいので警備と露店責任者の次郎長がやってきた。
[どうなすったんで。]リーダーと思われる中年の僧侶が、[何で入れないんだ。][さあ、わかりませんね。普通の人はあのように入っていますんで。][責任者と話があるんだが。][私が宗教グッズの責任者ですがなんの要件で。][うちの宗門のグッズ販売のことだ。外ではなく中できちっと話をしたいのだが。][へい、さようですか。入りたければどうぞ入ってください、でも建物に嫌われているようですよ。]
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[おちょくってるのか、われわれは大本山の命令できているんだぞ。][そうですかい、私は山本長五郎というものですが、どこのお寺さんで何様ですか。][そんなことはどうでもいいだろう、大本山の命令と意向を伝えに来たんだ。]
[こっちがきちっと名乗っているのに、そういういいかたはねえだろう。どこの糞坊主でぃ、大本山の名前を言ってみろよ。][それなら言おう、京都の〇恩院だ。][大本山でも小本山でも私どもには関係ございません。なにか道理に外れたようなことをしてますかい。]
[ならば言おう、大本山の許可なしに何で勝手に販売しているんだ。][何であんたらの許可を取らなければならないんですかい。][我々の宗祖様のグッズだろ、許可を取るのはあたり前ではないか。][こんな感じでいろんなところから、リベートを取っているんですかい。申し訳ございませんがビタ一文払いません。][そんなでかい態度でいいのか、商売ができないようにしてやるぞ。]
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[あんたらみたいのが来るのを予想して、各宗祖の前に販売しているグッズを並べて写真を撮ったのを、露店に宗祖直筆の販売許可証とともに提示してある。これでも四の五の言うのかい。][どっちみちそんなもん偽物だろう。全信者に偽物だとメールして商売できないようにしてやる。]
[勝手にやれるもんならやってみなさいよ、別に裁判で決着しても構わんわ。何らここにいるマスコミを入れて大々的にやりますかい。それに商売をできなくするというのは恐喝だわ、あんたが言ったことはすべてここに録音してあるし防犯カメラにも映っている。さ~どうするんで、マスコミを中に入れてガチで勝負するんかど~なんでぃ。さっさと答えやがれ。]
次郎長は出入りの喧嘩と同じ凄まじい迫力で相手をにらみつけた。子分の石松、鬼吉、法印大五郎も腕まくりをしている。[リーダーの後ろから指で小突きながら、ここはいったん帰って態勢を立て直しましょう。][おぼえておけ、このままではすまないぞ。]
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[さ、さ、さっさと帰りやがれ~、このボケナスが~。]面白がって見ていた新聞記者と雑誌記者がやってきた。[いや~ぁ、すさまじい迫力でしたね。お名前は山本長五郎さんと言われましたが清水次郎長さんと関係がおありですか。]
[はい、私が次郎長で、石松、鬼吉に法印大五郎です。][それではあの有名な清水一家のお歴々ですか。][そういうことになります。小堀遠州さんも復活しましたし、私どももこのように復活しました。][ふ~む、奥に秘めたものがこの建物には充満しているようですね。][は、は、は、そんなことはありませんよ、たまたまこうなっただけです。]
露店脇の大きな黒松の下で、子供3人は弁当を広げている。三角おにぎりの包みであるが、それぞれにシャケ、梅干しに昆布が入っている。焼肉もパックに入っていて、たくあんも3切れある。[親分、仕事の後のご飯はおいしいですね。][シャケはうまいジョー。]
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[ター坊やよっちゃんとこのお父さんやお母さんも食べているのかな。][要領いいから大丈夫ですよ。][さっきお母さんが食べながら仕事してたジョー。][忙しいから大変よね。]
ゴン太にユリがやってきた。隣地の野菜畑に行く途中のようだ。[ゴンちゃん遊びに行くの。]焼肉の近くをクンクンと嗅いでいる。[あなたたち、焼肉とご飯を少し分けて出しなさい。][え~、焼肉はおいしいジョー。]ワンワンワン。[早く出しなさい、よっちゃん。]しぶしぶ2人はでして、タエも少し多めに出した。[はい、ゴンちゃんにユリの分よ。]ワンワンワン。尾っぽを振りながら、あっという間に食べてしまった。2匹の頭を撫でたら元気に遊びに行った。
[親分、犬はいいですね、楽しそうで。仕事はつらいな。][仕事は厳しいジョー。]
[お金を貯めていっぱい金魚を買うんでしょ。][ボクはオランダシシガシラに丹頂を飼いたいな。][出目金より高級な頂点眼もいいジョー。]
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[弁当はおいしかったかな。][あっ王様、美味かったですよ。][3時にタイ焼きを2匹ずつ出すからもう少し頑張りなさい。][タイ焼きはうまいジョー。][親分やる気が出ますね。]子供達は元気を出して仕事に戻っていった。
老僧が弟子を一人伴ってやってきた。1Fフロア長の小政が丁重に挨拶をして応接の場所に案内をした。何も言ってなくても雰囲気でそうなってしまったので、なかなかの貫目がある人物である。ゴンちゃんにユリも出てきたが歓迎の様子である。
[ほう、この犬が評判になっている犬かな。さすがだわな。]と言いながらお題目を唱えている。[いらっしゃいませ、私が責任者のサン リンポチェです。][いろいろな友人からあなたのことは聞いているが私らの宗門の祖である栄西禅師のグッズがないのは寂しい。それに最澄のもな。][栄西に最澄の両宗祖様は復活して小さな寺にいらっしゃいます。ただ今回は初めてですので5人の宗祖に絞らせていただきました。]
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[様子を見て追加の予定でいましたが、今少しお待ち願えますか。][なるほど、それでは近々同じようにお線香とともに販売するということでよろしいのかな。][はい、その通りです。]
[それはよかった。それで突然だが私のところの寺宝になるようなものを焼いてくれんかな。三島の礼賓の2人は私の友人でな私は礼賓でなく曜変天目茶碗をお願いしたいのじゃ、しかも通常の10倍の大きさのものをな、大きさが10倍だからと言って10倍も出せないが1億5千万円だったらすぐに出せる。これでやってくれんかな。]ふ~むと言って考え込んでしまったが、ゴン太がワンワンワンとOKマークを送ってきた。
[承知しました。やりましょう。][そうか、すぐに作ってくれんか老人は気が短くてな。]ワンワンワン。[わかりました10分間ほどお待ちください。]と言って自分の作業場にこもってしまった。約5分後に大きな天目茶碗を持ってきた。国宝の3椀よりはるかに出来が良い。
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老師[これはちょっと安価すぎたかな。][いえいえ充分です。][それでは金額を振り込んで持ち帰るとしよう。][ありがとうございます。消費税込みで1億6千5百万円になります。すずさんネット振込みの用意をしてください。]その間に共箱を揃え梱包をした。[振り込みを確認しました。][どうもありがとうございました。グッズのほうは用意が整い次第に連絡をさせていただきます。]
入口まですずと見送りに出て、最敬礼で送り出した。[王様、ちょっと安すぎますよ。2.3億円は取れましたよ。][いやいやいいんだよ、友人の繋がりで今回は礼賓2椀に次ぐ3椀目の1億円オーバーになった。また紹介が出るかもしれないので、これくらいでいいのさ。]ワンワンワンワン。ゴン太にユリもOKサインを出している。[そろそろ子どもたちを入れて、みんなにタイ焼きを2匹ずつ行くように出してくれないかな。][はい、わかりました。]
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[親分、タイ焼きおいしいですね。][このたい焼き、あんこが尾っぽまで入っているジョー。][あんこがしつこくなくていいわね。あなたたちタイ焼きではなく金魚焼きでもやったら。][ネコ寺でやったら、お魚だからネコに食べられちゃうジョー。]
東京料飲組合より食器販売の依頼があった。天下の東京にはヤマほどの食器点があるのに品質と価格の割合、いわゆるコスパの高いものは明日香陶芸展が抜群ということでお呼びがかかった。それに伊万里の普及品に魯山人や京焼の普及品で、程度がいいのは弊店だけという評価が定着しているためである。
さっそくいつものサスケ、すず、志野に犬2匹を呼んで作戦会議である。[てんやわんや状態のこの時期に東京料飲組合より食器販売の依頼が来ているが、まず参加するかどうか意見を言ってくれるかな。]サスケ、[ご存知の通りにメチャクチャ忙しいんですが、いつものように分身してやれば問題ありません。]
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サスケ[それに東京料飲組合で評価を得れば実質の食器販売日本一の評価になります。]ここは今まで以上に気合を入れて周到な準備をして、取り掛かるべきです。]すず、[私も賛成ですが、要員を売り場から2人増やしていくべきです。京都の2・3倍の客を覚悟しなければなりません。]
遠州、[私も賛成です私どもの特色をきちっと出すべきです。豊富な普及品が一番の売りですが、今回私が選んだ1点物の懐石食器に王様の四越デパートで人気だった、明色絵と染付の琳派様式の食器は目が肥えて高級もの志向の客には受けると思います。][抹茶茶碗も京都程度は持って行こうかな。]
サスケ、[王様は今までに1億円以上の茶碗を6個売っています。その写真と値段を張り出しておくというのはどうでしょうか。かなりのインパクトだと思います。]すず、[東京は層が厚くどんなお客様が見えるかわかりませんから、面白いんじゃあないんでしょうか。また1億5千万円の天目が売れるかもわかりません。]
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遠州、[いいんじゃあないんですか。一発大当たりの楽しみもあったほうが楽しいです。]ワンワンワン。犬2匹もそうだと言っている。[ではそのようにするか。大井戸は展示はしないが持っていくようにしよう。]志野[卸は今回も私が担当いたします。]
[期間はいつものように3日間ですので、あらかじめその対応でいるように。会場は広いので花器も少し持って行こうか。]京都の飲食組合同様に今回も招待なので、四谷料飲組合ホールの使用料は無料である。[天引きがないのは大きいぞ、四越デパートは売り上げの半分取られたから大きな違いだな。]すず、[売っただけ収入になるのは魅力ですよ。]
当日の会場設営も終わり、最後の点検をしている。過去に売却済みの1億円以上の6椀が等身大の写真と価格が表示されていが、目を見張るのがなんといっても普通の10倍の等身大の曜変天目茶碗1億5千万円の写真である。なにしろ国宝をはるかに超えた曜変釉は迫力も芸術性も圧倒的である。
376
いよいよオープン時間である。時間前に詰めかけるということはなかったが、人出がだんだんと多くなってきたようである。今回も買い物かごを置きレジスターも初めて使用することにしたので、スピーディーに処理できるようになだ。
やっぱり予想通りに古伊万里、魯山人、京焼の普及品がよく売れているようである。2人の補充販売要員は引っ切り無しにレジを打っている。意外だったのは同業者や有名デパートからも仕入れ担当者が多く来ていることである。志野だけでは間に合わずサスケも一緒に応対している。すでに有名食器店とは仕入れの仕切りで同意したようだ。
デパートは売れてからの清算を譲らないので、残念ながら不合意に終わった。無理をしてそんなところで売らなくても、全く問題がないのである。政治家などが利用する老舗料亭の女将は遠州好みのセット、八寸・向付・小鉢・取り皿の1,500万円セットを10セットお買いになった。
377
王様の食器は八寸1,000万円を5点、向付250万円5点もすでに売れている。懐石食器はやはり遠州の名前が強いようである。すず、[王様、昼食は何にしますか。][そうだな景気をつけるためエビ3本載せそば、割増料金を払ってできればそれにしてできなければ通常のものにしよう。][必ず3本載せそばにしてきます。][ハッハッハ。]
交代で天ぷらそばを食べて、ポットに入れてきたお茶を飲んでいると英国大使館の職員がやってきて、天目の写真を指差して
[これの作家さんはどちらですか。][はい私ですが、何か御用ですか。][実はこの作品を3点欲しいという方がいまして、あなたのことは充分に調査をして明日には揃えられるので執事がお邪魔するということなんです。]
[ほう、執事と申しますと王族か富豪ですか。][はい、ロスチャコスの執事です。会長がこの作品の写真を見て、3点の購入を決めました。一点は自分で所有し他はエリザベス女王とロックフェラリー会長に送るそうです。
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ただ、価格は1億5千万円では納得していないということです。][3点買うからもっと下げろということですか]
[いえいえ普通でしたらユダヤ商法で厳しい交渉をするのですが、今回は趣味の陶器のことですので芸術品には適正価格を払わなければならないと言っています。]
[いくら払っていただけるのですか。][はい、1億5千万円は確定で、場合によって自分の目利きでそれ以上を支払うということです。][はっはっはっ、面白い方ですね。予定価格以上でしたらこちらが、感謝をしなければならない立場ですよね。わかりました、明日3点をきちっとそろえます。]
[ではよろしく。][ゴンちゃん大丈夫かな。]ワンワンワン。遠州、[王様、何やら面白そうですね。]すず、[問題はいくらかになるかです。これはネタが面白いのでマスコミがほおっておきませんよ。]サスケ、[富豪があんなこと言っているんでしたら、2億以上ですよ。][え~、6億以上ですか。][景気付のエビ店3匹乗せが効いたかなは、は、は。]
379
[大きな話がきたけれど、身近な今日の仕事はミスのないようににしてください。]売り切れ品も多くでたが、ほとんどは予約をして帰っていった。[今日の仕事は終了です。ご苦労様でした。]食器は予想以上によく売れて、卸売りの商談も多く収穫の多い一日であった。
10:00のスタート時間前の9:30に会場に着いたがマスコミが多数押し寄せている。ネタ元が毎回面白い話題を提供しているサンリンポチェとあって、早くも興奮状態である。[先生~今回も皆さん期待をしている方々が多いと思いますが、お気持ちはいかがですか。]
[ははは、どんな展開にないきたいと思います。以上もう少し経過をお待ちください。]
380
ワンワンワン。ゴン太が吠えて重要人物がきたことを知らせている。部下2人を連れて執事長がやってきた。[こんにちは私は執事長の〇〇と申します。作品は揃いましたか。][はいこの通りです。]
3人で作品を隅から隅まで詳細にチェックをして、[それでは1点2億5千万円で3点いただきます。][マスコミの方も大勢来ていますので、決済処理してから公開いたします。よろしいでしょうか。][はい、すきなようにどうぞ。]部下がすぐに振り込み処理したので、マスコミに公開することにした。曜変天目のあまりのすばらしさに圧倒されているようである。
[先生、これはすごいものですよ。天下の名品です。国宝の曜変天目の数倍の価値のあるものです。]東京料飲組合の招待展示販売は京都の3倍の売り上げを記録して終了した。大成功である。仏教グッズは多少喧騒が収まってきたがまだまだ来場者が多く、ネット販売も切れ目のない状態である。
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