天啓の雲

古寂湧水 こじゃくゆうすい

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露死阿戦に参加する新選組が剣聖上泉伊勢守信綱よ指導を受ける。

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[こんなもん始めちゃってどうしようか、全然ダメだな。]みんな練習をやめて考え込んでいる。[タエお嬢さんにター坊。これどうやったら当たるんだ。若い頭で考えてくれんか。]

[これは源内さんが作ったものですね。アームの長さは一定ですので石のおき場所5つでどこに置くか調整をするだけです。石の置き場所を決めるだけですよ。][なるほどそれで調節ができるわけか。後は練習あるのみだな。][そうですよ。おじさんたちの役目はとても大きいです。]

とび職頭の弟の信蔵がめ組の纏を持ち出して盛んに練習をしている。頭、[なんだそんなもん持ち出して、出初式の稽古でもするのか。][兄貴、こんどの大統領廷突入は一世一代の大勝負ですので、塀の上で纏を纏を振り続けようと思っていますんで。][馬鹿野郎正気か!、矢が雨あられと飛んでくるんだぞ。][それは承知ですけど、サスケさんが朧の術をかけてくれて、矢が通り抜けるようになるので心配はいりません。]
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[新門の親分にも何とか許可を取りましたのでやらさせていただきます。][お~そうか、ならいいが塀から墜落して恥をかかないようにしっかりやりな。]

門前町の上泉伊勢守道場でサスケにすずそれに主だった新選組の面々が集まって、伊勢守から教えを受けている。上泉伊勢守は元大胡城主であって箕輪城の長野業正氏とともにその地域を守り抜き、武田信玄をも何度も撃退したことがある名将である。

近藤、[伊勢守先。こんどの対露四阿戦はどのようになりますでしょうか、ご教示をいただければありがたいです。]伊勢守、[露四阿戦の参謀長は日露戦争でも活躍した児玉源太郎大将ですのでまず大丈夫だと思いますが、露四阿軍の本部はペテルブルグにありモスクワは露四阿軍とは別の国家親衛隊20万人のうち中央地域司令部がモスクワに2個師団を配置している。][クレムリンは26ヘクタールの宮殿の敷地に40棟ぐらいの建物と塔が建っていて、その中に閣僚が詰めている大統領府がある。]
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[ここに本来の大統領公邸があるが、大統領は24km離れたノボオガリェボの公邸で公務をおこなう事が多い。要人を守る警護隊はクレムリンに本部を設けているので、ここと公邸の警護員を制圧することが肝要ですね。

大統領廷に突入する180人の周囲を山川旅団の7,000人が備え、クレムリンには秋山師団15,000人が赤の広場に本営を置き、その一部が戦車に装甲車を交えて大統領府を中心とするクレムリンに突入します。

たぶん突っ込むのは3~4連隊だと思われます。普通だったら国家親衛隊の2個師団が救援に来るのですが、ここにおられるサスケさんとすずさんの超能力で銃火器に兵器車両は異次元に追いやられていますので、丸裸状態です。そのうえ通信に電気も使用できなくして一般の車両のエンジンもかからなくしますので、まずクレムリンの救援要請が届きません。まあ、棒切れを振り回して肉段突撃をしてくるものはいないと思いますね。]
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[もちろん明日香軍の戦車や装甲車などの軍用車両に通信も通常どおりに使用が可能です。こんなところですかねサスケさん。]

サスケ、[それと注意をしなければいこないことは事前に明日香軍が露四阿に進攻することが漏れているということですね。これはどんなに注意をしてもしょうがないことです。ましてや露四阿の情報機関は優秀だと思われますので。伊藤博文副大臣が直接プーチンチンに宣戦布告をしてすぐに、兵器や施設を使えなくしたり300年前の状況に戻したりしますので、相手からの反撃は考えられませんが官邸とクレムリンの要人警護は多人数で固められると思います。]

上泉、[まあ、事前に戦争の用意をしているのが漏れても、明日香国の全土をバリアーで覆ってあるので問題はないかな。]サスケ、[大事なことを忘れていました。白兵戦になった場合ですが大統領警護隊や親衛隊は露四阿武道のシステマを習っています。]
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[これは合気道のような脱力と柔らかな動作が特徴で、槍や棍を用いた攻防術の総合格闘術です。まあ、猛者ぞろいの新選組や薩摩軍の面々には全く問題ないと思います。]

土方、[そうですね。合気道家と剣道いずれも高段者の立ち合いを聞いたことがありますが、竹刀の連続打ち込みを見切ってかわすのはかなりの熟練高段者じゃあないと無理のようですから、何とかなると思います。]斎藤一、[私の得意の突きがかわせるか楽しみですな。]

鈴木意伯、[技の違いもありますが、真剣勝負で必要なのはやはり命を懸ける気構えです。幾多の修羅場をくぐってきた皆さんとは全く違うと思いますよ。それにそれぞれ。薩摩軍は㊉の旗のもとに、新選組は誠の旗それに新門一家はめ組の纏を塀の上で振るそうです。その下では恥ずかしい行動をとれないので、気合満々で突入できると思います。]子供たちは門前町の高級ホテル江戸時雨で、いつもの社食を食べている。
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王様に許可されこことホテル内のまんじゅう屋を自由に利用できるようになっている。厳しい訓練をしてヨタヨタになりながらも、ここで食べることを思い浮かべて頑張ってきたのである。[親分、今日のはいけますね。この甘みその感じがとてもいいです。それに小鉢のフルーツ酢豚もおいしいです。]

[どちらも韓国スタイルね。日本のジャージャー麺よりも甘めのみそが掛かっているわ。]3人とも口の周りがみそだらけになっている。[酢豚も玉ねぎやニンジンを入れるよりもフルーツのほうがいいジョー。][ここの料理人さん韓国ドラマのたぶんファンかもしれないわね。]

[親分そろそろ行進の練習もしないといけないですね。][門前駅から観世音寺の山門まで新門の本部員20人と子供隊7人それにまんじゅう屋のおじさんに犬が8匹。旗持がター坊で先頭、その次が私でよっちゃんのおもちゃの刀を借りて指揮刀にするわ。その後に犬とおじさん、そして5人が続くの。こんな感じでいいかな。]
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[日本の自衛隊の観閲式を見て行進の仕方を覚えなさい。こぶしは軽く握って胸の位置まで元気良く上げるの。足は普通で高く上げないようにね。今回は行進曲に日本と同じく扶桑行進曲または抜刀隊とか分列行進曲とか言われている伝統の曲を使用するので、門前小の鼓笛隊ではなく軽トラックにスピーカーをつんでやるようにするの。]

[扶桑行進曲って神宮外苑での学徒出陣で流れた曲ですか。][そうよ。だからタラタラした歩き方なんかしていたら石でも投げられるかもしれないわよ。][ボクは痛いの嫌だジョー。]

夏見の明日香陶芸店の応接コーナーで、王様・志野・サスケに小堀遠州が抹茶を飲んでいる。[王宮の周囲ではかなりざわついてきたようだけど、ここで露四阿のことは離れて休憩できるのはとても骨安めになる。次郎長さんのところは熱心に稽古をしているけどな。][そうですね。ここでしたら本業の陶器のことを中心に考えることができますので、ちょうどいい感じで切り替えができます。]
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[そういえば先日テレビで、若手の清水焼の作家が地元のシェフが使う食器の注文を手軽に受けて、また使い勝手のいいシンプルなものを心がけていて人気で、かなり勢いのある感じだったな。ただ電気釜なので色絵の発色がどぎつくなっている。魯山人のように料理を盛ってはじめて私の食器は完成されるとのたまわっていたな。私とは全く逆の考えで、いい食器は器だけで感動するものだと思うけど違うかな。

もちろん使い勝手は考えるけども、私が作ったものを購入者が好きなように使いが伝手を考えるようにした方が、たとえ安物でも凛としたものができると思うのだけどもどうだろうか。]

志野[私も王様と一緒に見ていましたが、その清水焼の作家はお客様に寄り添って作っていると言っていましたね。自分勝手に最初は作っていたが全然売れなかっので今のスタイルになったようです。作品を喫茶ギャラリーに置いて好みのものに料理を盛ったり、お茶お飲めるようにしていました。]
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[弟子も3人いましたし、とても成功しているようでしたよ。]サスケ[ここの作品をそのようにしたら、面白味がなくなってしまいます。こちらはこちらで多くの料理屋さんに人気なので、これでよいと思います。
それと魯山人の器が人気で値段も高価です。それなりのものもありますが、そんなに大騒ぎするものでないと思います。素人に少し毛の生えた作品も多いです。もちろん若き日の人間国宝である荒川豊蔵も数年いたそうですから、いいものも混じっています。]

すず[王様は大皿一枚3億円の値が付いています。他にそのような陶芸家は現在いません。自分の好きなようにやられたらいかがですか。]

遠州[美濃の鈴木蔵さんは志野をガス窯で焼いて人間国宝になったけど、電気釜で焼いてなった人はいるのかな。茶器には厳しそうだけどね。練り上げの松井さんなんかどうなのかな、ツヤがそのような感じだったな。]
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露四阿戦の出征前のお披露目行進を門前町に住んでいる新選組と新門一家に子供組が門前町から観世音寺山門前まで行うことになって、すでに隊列は先頭の行進曲を流している軽トラックに続いて新選組に新門一家それに子供隊と進んでいる。子供隊の隊列はここず~っと練習をしてきたので、手の上げ下げや足の運びがピシッと揃ってまとまっている。

それに子供や犬が混じっているので好奇の対象になっている。銃を持たないこの行列がまさか露四阿の大統領廷に突入するなんて、とても思われないだろう。もしこの催しを事前に本当のこれからのことをことを告知していたら、各国の記者などのマスコミが多数押し寄せてきたと思われる。

表向きの行進の理由は王宮と門前町の警護員の披露である。新選組は陸軍から有事での特殊任務と王宮警護隊に協力をする任務を与えられた。新門一家は準警察扱いで門前町を縄張りとしているが、門前町の人達に改めてきちっと知らしめるパレードである。


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