天啓の雲

古寂湧水 こじゃくゆうすい

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ついに元大統領を捕まえる。新門子供隊大手柄!

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すかさずタエがゴンタにプーチンチンかどうか確認させると、ワンワンワンと吠えた。3回吠えは間違いないということである。続いてほかの犬にも確認させると全部の犬が3回吠えで尾っぽを振ってきた。[よっちゃんチャルメラを吹いて、聞こえるように3回続けてやってみて。]

すずが部屋の外に出て、大山の配下を待つことにした。[ちょっと届かないかもしれないわね。すずさんのところで吹いてきてくれる。]よっちゃんを護衛して老甲賀者も一緒に出ていった。2・3分待っているとすぐに配下がやってきて、[プーチンチンを捕まえたんですか。]と興奮の面持ちである。

すず[ええ、間違いありません。こちらにどうぞ。]サスケ[事前にプーチンチンの臭いを覚えさせておいて確認させたので間違いありません。プーチンチンはこの人ですよ。]タエ[新門子供隊全員集合。今から勝ちどきをあげますので、私に続いてください。エイエイオー、エイエイオー。]3回勝利の雄たけびは続いていた。
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そして犬達の長い遠吠えも3回続いた。大山大将の配下が7人全員を手錠をかけて連れて行ったので、子供隊はこれにて現地任務が終了した。タエ[本当の任務完了は解散式が終わってからなので、まだ半分は気を緩めないように。]

引き上げの陣太鼓が鳴り、各隊がゾロゾロと引き上げてきた。いずれも血だらけで蓬髪は乱れ、目だけがギラギラしている。桐野[プーチンチンを捕まえたのはどの隊ですか。]村田新八に辺見十郎太もやってきた。いずれも返り血を浴びて真っ赤になり、着衣の破れも多くすさまじい激闘の後がうかがえる。

篠原国幹[子供隊の王様の犬が見つけて、サスケさんが対処した。したがって子供隊の大手柄になる。]桐野[王様の愛犬に先を越されたのならこれはこれであきらめもつく。しょうがないわ。] 新選組も精も根も尽き果てたような格好で引き上げてきた。土方歳三は疲労の色が濃いがさっぱりしたような表情をしている。
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[やぁ~、久々に誠の旗の下で全員で力いっぱい戦ったが、これはこれで満足している。捕まえられることができればもっと良かったが、思う存分暴れることができて気持ちがいいわ。]永倉新八・沖田総司・山崎努・原田左之助などの面々も頷いている。

新門隊も帰ってきて全員が整列した。壇上に指揮官の大山巌大将が上がった[みんなの気合の入った働きで5倍の敵を打ち破り、目的のプーチンチン大統領を捕まえることができた。各部隊の働きと個人の働きは詳細に記録して歴史に刻んでおく。各諸氏の健闘を称えこれにてプーチンチン大統領公邸突入部隊の解散といたします。ご苦労様でした。]

大きな歓声や拍手が湧きあがった。新選組に新門隊など観世音寺山門からサスケに連れられた面々が元の山門前に凱旋して戻ってきた。事前に連絡を受けていたので、王様や志野それにきゃら市市長に上泉道場の関係者が山門前で待ち受けていた。
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戦場からそのままの姿で帰ってきたので、蓬髪は逆立って返り血を浴びて全身が真っ赤で、衣服もズタズタになっている。身体がヨタヨタになりながらも王様や市長がいるので、なんとか整列をした。沿道の観衆には事情を知らされていたので、おびただしい人たちが集まってきて、紙吹雪が舞い拍手喝采である。

市長[ここにいるプーチンチン大統領公邸突入メンバーは身体はボロボロとなろうとも、壮烈な敢闘精神で見事に使命を果たしてきました。郷土の誇りであり、ここに深く栄誉を称えます。どうもご苦労様でした。]

竹中半兵衛の息子長兵衛は王様の意を受けハンドマイクを持って、[皆様お疲れさまでした。王宮より新選組と新門一家には出陣前と同じ場所に勝利の祝い膳が届けられております。尚、子供隊も同様です。]王室より子供隊とサポートをしたサスケにすず、それとまんじゅう屋のおやじに犬達も呼ばれている。[うゎ~い、御馳走が食べられるジョー。]
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[あなた達、家に帰ってお風呂に入って着替えてから来なさい。汚い格好で王宮に行くのは失礼よ。][それじゃあ、準備ができたら親分のところに集合ですね。][ちゃんと犬も連れてくるのよ。]

まんじゅう屋のおじさんが、しきりに首をひねっている。[すずさん本当に王宮で御馳走になれるんですか、信じられませんよ。元々他の甲賀者や伊賀者とで半蔵門を守っていたのですが、一番下っ端の仕事でした。そんな者が王様と一緒に食事ができるなんて、夢のようです。][おじさん、全く心配ないです。たしかに世界トップクラスのお金持ちで、不動産王ですが、感覚は一般庶民と全くかわりません。私もサスケさんも仕事の同僚という感じですよ。]

[へぇ~、江戸の殿様とは全く違いますね。]王宮の食堂に招待された面々が揃っている。初参加のまんじゅう屋と職人町の4人は緊張の面持ちである。サスケ[それでは祝杯をあげますので酒にジュースを注いでください。お疲れ様でした。カンパーイ。]
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[遠慮はいりません。自由に飲んだり食べて結構ですよ。おじさんと職人町の4人は初めての招待ですけど、タエちゃん達3人組と同じように気軽にお願いしますね。]4人は料理を見ているだけだったが、我慢できなくなりすぐにパクツクようになった。まんじゅう屋のおじさんは何度も頷くように食べている。

[異次元カメラでプーチンチン大統領公邸突入を見ていたけれども礫打ちが見事に決まっていたな。あれが無ければ石松や鬼吉が大けがをしていた。]すず[落ち着いて日頃の訓練の成果がよく出ていたと思います。]

[そうだなよくやった。露四阿戦が終わったのでタエちゃん達の3人組は王宮の武道場で合気武道を練習することになっているけども、月謝がタダで稽古着もプレゼントをするが参加するかな。これからきゃら市で同じ年頃の子供を、50人募集することになっている。あなたたち4人はいっしょに子供隊で戦ったということで、特別推薦でOKだ。]
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[この50人については将来の就職や進学についても優遇をするつもりだ。どうかな。][はい、ぜひ参加したしたいですけど、親と相談してから決めたいと思います。][それは当然だ。結果はタエちゃんに伝えてくれるかな。それからまんじゅう屋のおじさんはとても手裏剣がうまく、効果的に味方を助けていたね。]

[どうも恐れ入ります。お恥ずかしい技ですが手裏剣打ちは得意です。][みんな精いっぱい頑張っていたけども、国定一家が正門前に突撃していく姿があっぱれだった。やられてもやられてもひるまずに進んでいく姿は見事な気合を示してくれた。]

サスケ[そうですね。敢闘精神は立派で表彰されてもいいと思います。][ああ結果的に一番に表彰されるのはサスケさんにゴン太だと思うけど、これは当たり前という感じもする。サスケさんはなんか褒美の希望があるかな、あれば精いっぱい努力するぞ。][いえいえそういう希望は全くありません。王様のそばで仕事ができるだけで満足です。]
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初招待の5人は感動をしたようにうなずいている。[それと犬達には王室狩猟場から送られてきた猪肉を、たっぷり食べさせているので満足していると思うぞ。]

タエ[すみませんが王様にお願いがあるのですが。][なにかな、何でも言ってみなさい。][ター坊とよっちゃんと話したんですが、門前町の私たちは予定通りに朝も学校帰りも。日曜日を抜かして練習をさせていただきますが、できれば3人とも分身をして夏見の調理場で料理修行をしたいのです。これから日本ともより活発に貿易が進むことを見越して、明日香王国で作った料理や弁当を瞬間移動で出前をしたいのです。]

[いいところに目を付けたぞ。これから北方四島返還で日本と厳しい交渉が待っている。予定しているのがお金は一切取らずに、同国のような感じで貿易や医者や弁護士の資格者を自由に活動させることなどいろいろあるが、タエちゃんに関してのことは関税や検疫なしでそのまま宅配を送れて、商売ができるようになることかな。
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[でも目いっぱいこちらに有利になるように、細かく決めるつもりだから4・5年はかかるかな。][それくらいでしたら、ちょうどいいです。私たちも修行をして準備をしなければいけないので。][志野さんはどのように思われますか。][私は賛成です。新門グループが発展すればこちらにもメリットがあるので、全面的に協力するべきです。]

[よっちゃんとター坊は夏見にも分身の両親がいて、泊まるところがあるけれどもタエちゃんは従業員部屋が空いてればそちらに入って、なければVIPルームがたくさんあるのでそっちでもいいよ。どっちみち辰五郎もちょくちょく来るようになると思うのでな。それから3人とも両親にはきちっと話を通すようにな。]

[VIPルームなんてもったいないです。どこか相部屋でももぐり込めればそれでいいです。][ボクんとこに来ればいいんじゃない。子供だから相部屋でも構わないでしょ。][それができればそれでもかまわないわね。]
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[サスケさんとすずさんは国定一家の表彰をどのようにするか考えてくれるかな。予算についての制限は特にありません。それからそれぞれにお土産が用意してあります。お寿司と料理ですがタエちゃんは6人前を持ち帰って、北斎親子・広重・写楽さんたちに届けて担当者が展示会のことで打ち合わせに行くことを伝えてください。

職人町の4人はそれぞれ5人前を持ち帰って家族で分けてください。おまんじゅう屋さんは料理と寿司を2人前でサスケさんとすずさんも同じです。それではこの辺でお開きですが何かありますか、それではこれで解散です。]子供7人がお土産を抱えて帰りを歩いている。

[親分サスケさん、ご褒美を断っちゃってもったいないですね。][それがサスケさんの賢くていいところなのよ。][ボクだったらいっぱいもらうジョー。][手柄を他の人に譲って控えめにしていれば信頼感をゆるぎないものにするし、とても大事なことをお願いするときにかなえられやすいでしょ。]
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