色彩色盲

カミーユ R-35

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副会長再登場

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一方その頃副会長は。
二人を無事に保健室へ運び終え、手当もして安静にベッドに寝かせ終わった後のことだった。
副会長「……ふぅ、これで大丈夫でしょうか」
副会長は額の汗を拭い、ホッと胸を撫で下ろす。骨の折れる作業がようやく一段落がつき、私はほっと一息つく。

副委員長「お疲れ様です。委員長から話は聞きましたよ」
するとそこへ、一人の男子──副委員長が入ってきた。
彼は優しく微笑んで副会長に声をかけてきた。

副会長「……ありがとうございます。貴方が来てくれて助かりました」
副委員長「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。困ったときはお互い様です」
二人は顔を見合わせて笑い合う。
稲嶺 慎也。風紀委員会の副委員長という役持ちで、噂によるとおおらかな性格と優しい顔立ちな為さぞやモテるとの噂だったけど。(見た目通りの人ですね)と言う感想。
お会いするのは今回で4回目くらいで、余り頻繁にお会いする方ではなかったけど、実際に見て噂通りの人だと思った。


副会長「ソレはそうと、事情聴取出来ましたか?」
私が片方をの手当をしている間に彼は、もう片方の生徒から事情聴取していた様で、隣から何やら話し込んだ会話が時々聞こえてきた。

副委員長「ええ、バッチリです。
まぁ、今回の件は少し面倒臭そうな匂いがするくらいで、何とかなりそうです」
疲れた様な顔を一瞬して、またいつもの優しい笑顔に戻す副委員長を見て、少し疑問に思った。(面倒臭そう?)
副会長が硬い表情で聞き返した。
副会長「失礼でなければ、その話し。少しお聞きしても宜しいですか」

副委員長「ええ。まぁ、いずれ生徒会の方にも連絡は行くと思いますが…。
今回の騒動、実は藤宮兄弟だけが悪い訳じゃないようで。先程聞いた生徒によると。被害者にあった生徒がどうも先に彼らにちょっかいかけた様で、ソレを買い言葉に売り事と言う感じで喧嘩に。そこに仲裁に入った生徒が二人を見て、どっちが先に手を出したとか言いがかりをつけたらしく。結局、先に手を出したのは被害者の方だったみたいです……。」


副会長「では、その騒ぎの中心になった生徒に話を聞く事は出来るでしょうか」

副委員長「ええ、彼もどうやら事情を知ってたみたいで。放課後でも良いなら話をしたいとの事ですが────…、あぁすみません。電話です」

断りを入れ、副委員長は胸ポケットからスマホを取り出すと、後ろを向き少し離れた場所に移動した。
小さい声で電話の主と会話を暫くした後、要件が済んだのか通話を切りコチラに戻って来た。

副委員長「すみません途中で遮ってしまって。どうも急用だったもので。事後承諾で申し訳ないのですが……。この話し合いは風紀委員会の方で預かると言うことが決定したみたいです」

「ですので……」と言いづらそうに言葉を選ぶ姿をみて、私は(あぁ、もうこの件には頭を突っ込むな)と言うことだろと感じた。
(言われなくても面倒ごとは嫌いなので)
副会長「分かりました。それでは私はこれで失礼しますね。
何かお手伝いできることがあればいつでもおっしゃってください」

副委員長「すみません…」
申し訳なさそうに苦笑いを浮かべる副委員長に一礼し、私は保健室を後にした。
だが保健室を後にしても、私の足取りは重くはなかった。むしろ浮かれていた。
(正直あの兄弟とも関わりたくなかったのも事実。それに、これ以上面倒ごとを引き受ければ、返って大変ですし。これで良かったんです。)


後日、今回の件は【無事に済んだ】との扱いで終わった事を後で知ることになる副会長であった。
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