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#01・期待の大型ルーキー
「新人指導っていきなりだな……」
NOAHに戻って来たリヒトとイグナシオは、自室に向かって、廊下を歩いていた。
車内で寝ていたイグナシオは寝足りないのか、眠たそうに目を擦っている。
「しかも、今年度最優秀合格者って……」
「どうかしたのか?」
「別に~。ただ、こういう天才っぽい奴が嫌いなだけだよ」
イグナシオは不機嫌そうに頬杖を突いた。
「あの迷子だった奴だろ?ラファエロ=サヴァレーゼって」
「あぁ」
「いかにも変人って感じだったな」
「ただ単にお前が人嫌いなだけだろ」
車椅子を押しながら、リヒトが言うとイグナシオはムッと眉を顰めた。
昔から身体の事で色々と言われてきたイグナシオは、人が元々得意ではない。
それに加え、皮肉屋で思った事は何でも口にしてしまうタチであり、本人も気付かない内に色んな人を敵に回してしまうのだ。
「……まぁ、指導の方はちゃんとやってやるよ。上から言われてるしな」
「そうか。ならいい」
――少しは人と関わろうとしろよな……。
「リヒト!」
リヒトが淡い期待を抱いていると、後ろから誰かが声をかけてきた。
その声に車椅子に座っているイグナシオは「げっ…」っとあからさまに嫌そうな表情を浮かべる。
――アナスタシアか。
アナスタシアというのは、NOAHで受付嬢の仕事をしている非戦闘員で、イグナシオとは犬猿の仲である。
「何か用か?」
「ニコからの伝言!自室に戻る前に病院に寄ってくれって。そこのアホの定期検診の結果が出たんだって」
「お前の方がアホだろうが。ガキのくせに」
「ガキっ!?3歳しか違わないくせに、何大人ぶってんのよ」
アナスタシアはイグナシオの顔を覗き込むように前かがみになると、イグナシオを睨みつけた。
それに負けじとイグナシオもアナスタシアを睨みつけている。
バチバチと火花を散らしている2人とは対象的に、すれ違う人達は「またやってるよ」っと和やかな視線を送っている。
――喧嘩するほどなんとやら………。
「リヒト、行こうぜ。こいつと話すと知能低下する」
「こっちだって!」
「落ち着けよ、お前ら」
見かねたリヒトが、アナスタシアとイグナシオの間に割って入る。
「イグナシオ、大人げないぞ」
「ふん……」
「アナスタシアは受付戻れ。伝言、ありがとうな」
リヒトはそう言うと、すっかり不機嫌になってしまったイグナシオの乗っている車椅子を押した。
「お前、もうちょっと友好的に話せないのかよ」
「話せないね。あんな奴と仲良くなんかなりたくないし」
イグナシオはそっぽを向いたまま、言った。
その様はさながら、不貞腐れた子供のようでリヒトは「お前なぁ……」っと呆れた口調で呟いた。
――こんな調子で新人指導とか、不安でしかないな………。
「とりあえず、ニコのとこに行くぞ」
「へ~い……」
―――――――――――
「来たか」
ノックをした後、診察室に入ると、そこには目つきの悪い、白衣を着た医者・ニコラエヴィッチがいた。
ニコラエヴィッチはNOAH内になる病院の医者で、NOAH隊員の定期検診を任されている人物だ。
「アナスタシアと口喧嘩でもしたか?」
不機嫌そうなイグナシオを見て、ニコラエヴィッチは悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「関係ないだろ」
「……お前も苦労するな、リヒト」
「聞いてんのかよ」
イグナシオがニコラエヴィッチを睨む。
が、目つきの悪さを上回っているニコラエヴィッチは痛くも痒くもないという表情でカルテに目をやっている。
「お前、前よりも体力落ちてるぞ」
「うっ……!」
ニコラエヴィッチの言葉にイグナシオがあからさまに目を逸らす。
「まぁ、元々筋肉付きにくい体質なのもあるがな」
「目を逸らすな」っとニコラエヴィッチが持っていたカルテでイグナシオの頭を軽く叩いた。
「新しいトレーニングメニューだ。目、通しとけ」
「うげっ……!前よりハード……」
「当たり前だろ」
ニコラエヴィッチからトレーニングメニューを受け取ったイグナシオが顔を歪める。
「リヒト達、戦闘員はこれ以上のトレーニングこなしてんだぞ?追いつきてぇなら、泣き言言ってんじゃねぇよ」
「……分かってる。誰もやらないとは言ってないだろ」
イグナシオはそう言うと、改めてトレーニングメニューに目をやった。
そんなイグナシオを見て、ニコラエヴィッチは「素直じゃねぇ奴」っと呆れたような笑みを浮かべた。
「そういや、お前ら、ラファエロ=サヴァレーゼの新人指導、やるらしいな」
不意にニコラエヴィッチがリヒトに尋ねた。
「何だ、ニコ。知り合いか?」
「見た事はねぇが、知ってると言えば知ってる」
「は?」
「そいつの兄貴がここで働いてんだよ。お前らも聞いた事あるだろ?」
「もしかして、その兄貴って、あのアドリアーノ=サヴァレーゼか?」
アドリアーノ=サヴァレーゼ。
NOAHの中で一番の戦闘能力を誇っており、専用特殊武器・ガンブレードの使い手として、有名な戦闘員だ。
ガンブレードというのは、剣の持ち手が銃の形になっている武器の事だ。
しかし、その銃は撃つ事は出来ず、相手に斬りかかる際にトリガーを引き、それによって生じた振動を利用し、戦うという扱いにくい武器として有名である。
それ故にガンブレードを完璧に扱えている、アドリアーノに憧れを抱く隊員も少なくはない。
「偉大な兄貴の方じゃねぇよ。そいつの2つ下の弟の方だ」
「あぁ……、ロベルト=サヴァレーゼか」
ロベルト=サヴァレーゼ。
偉大な兄・アドリアーノの2つ下の弟で、兄同様、戦闘能力に長けたNOAHの戦闘員だ。
近寄り難いアドリアーノとは違い、気さくでムードメーカーなロベルトは何かとアドリアーノと比較されやすく、NOAH内では"残念な弟"として名が知られている。
リヒト自身、アドリアーノ、ロベルトには面識はないが、ニコラエヴィッチいわく、2人は似た者同士だそうだ。
「あいつらの前で兄弟の話はするなよ?長くなるからな」
「……分かった」
「まぁ、遅かれ早かれ、周りもそれに気付くはずだ。兄貴のコネだの何だの言われんのは目に見えてる」
「実際そうなんじゃないか?そのラファエロって奴、強そうには見えなかったし」
トレーニングメニューを見終えたイグナシオが、話をしている2人の方に車椅子を向け、言った。
「お前が言えるのか?見るからに非戦闘員が」
ズバッとニコラエヴィッチが言うと、イグナシオは「あ~!!」っと声を上げ、両耳を両手で押さえた。
「イグナシオみてぇな奴がいた場合、ラファエロを守ってやれるのはリヒト、お前だけだ。それを忘れんなよ?」
「……ニコ、あんたが他人を気にするなんて、珍しいな。どんな風の吹き回しだ?」
「鳥肌が立ったぞ……」っとリヒトは自身の両腕を摩った。
「別に気にしてる訳じゃねぇよ。ただ、才能ある戦闘員が潰されちまうのがおしいだけだ」
ニコラエヴィッチはリヒトの目を真っ直ぐ見て、言った。
何を考えているのか、全く読めないニコラエヴィッチの目にリヒトはキョトンとするしかなかった。
―――――――――――
翌日。
「あ、あの時のお兄さんだ」
ブリーフィングルームに着いた2人の前には、試験会場同様、奇抜な髪型をしたラファエロがいた。
「あの時はありがとう。おかげで助かったよ」
人懐っこそうな笑顔を浮かべたラファエロとは対象的にリヒトの前にいるイグナシオの表情は硬い。
昨日のニコラエヴィッチの話を聞いてから、ずっとこの調子だ。
「僕はラファエロ、ラファエロ=サヴァレーゼ。お兄さん達は?」
「俺はリヒト=ヴォーヴェライトだ。で、こいつが……」
「イグナシオ=ティラドス」
「リヒトとイグナシオ、か。よろしくね」
ラファエロがニコッと笑う。
――可愛いな、こいつ。
「おい、俺ら、お前の先輩なんだぞ。敬語くらい使ったらどうだ?」
車椅子を自身で押し、ラファエロに近付いたイグナシオが強い口調で言った。
「すいません、イグナシオさん。僕、育ち悪くて」
ラファエロは笑顔を崩さないまま、イグナシオに言った。
が、先程の笑顔とは違い、何か黒い陰のようなものを感じたリヒトは「イグナシオといい勝負だな」っと心の中で呟いた。
NOAHに戻って来たリヒトとイグナシオは、自室に向かって、廊下を歩いていた。
車内で寝ていたイグナシオは寝足りないのか、眠たそうに目を擦っている。
「しかも、今年度最優秀合格者って……」
「どうかしたのか?」
「別に~。ただ、こういう天才っぽい奴が嫌いなだけだよ」
イグナシオは不機嫌そうに頬杖を突いた。
「あの迷子だった奴だろ?ラファエロ=サヴァレーゼって」
「あぁ」
「いかにも変人って感じだったな」
「ただ単にお前が人嫌いなだけだろ」
車椅子を押しながら、リヒトが言うとイグナシオはムッと眉を顰めた。
昔から身体の事で色々と言われてきたイグナシオは、人が元々得意ではない。
それに加え、皮肉屋で思った事は何でも口にしてしまうタチであり、本人も気付かない内に色んな人を敵に回してしまうのだ。
「……まぁ、指導の方はちゃんとやってやるよ。上から言われてるしな」
「そうか。ならいい」
――少しは人と関わろうとしろよな……。
「リヒト!」
リヒトが淡い期待を抱いていると、後ろから誰かが声をかけてきた。
その声に車椅子に座っているイグナシオは「げっ…」っとあからさまに嫌そうな表情を浮かべる。
――アナスタシアか。
アナスタシアというのは、NOAHで受付嬢の仕事をしている非戦闘員で、イグナシオとは犬猿の仲である。
「何か用か?」
「ニコからの伝言!自室に戻る前に病院に寄ってくれって。そこのアホの定期検診の結果が出たんだって」
「お前の方がアホだろうが。ガキのくせに」
「ガキっ!?3歳しか違わないくせに、何大人ぶってんのよ」
アナスタシアはイグナシオの顔を覗き込むように前かがみになると、イグナシオを睨みつけた。
それに負けじとイグナシオもアナスタシアを睨みつけている。
バチバチと火花を散らしている2人とは対象的に、すれ違う人達は「またやってるよ」っと和やかな視線を送っている。
――喧嘩するほどなんとやら………。
「リヒト、行こうぜ。こいつと話すと知能低下する」
「こっちだって!」
「落ち着けよ、お前ら」
見かねたリヒトが、アナスタシアとイグナシオの間に割って入る。
「イグナシオ、大人げないぞ」
「ふん……」
「アナスタシアは受付戻れ。伝言、ありがとうな」
リヒトはそう言うと、すっかり不機嫌になってしまったイグナシオの乗っている車椅子を押した。
「お前、もうちょっと友好的に話せないのかよ」
「話せないね。あんな奴と仲良くなんかなりたくないし」
イグナシオはそっぽを向いたまま、言った。
その様はさながら、不貞腐れた子供のようでリヒトは「お前なぁ……」っと呆れた口調で呟いた。
――こんな調子で新人指導とか、不安でしかないな………。
「とりあえず、ニコのとこに行くぞ」
「へ~い……」
―――――――――――
「来たか」
ノックをした後、診察室に入ると、そこには目つきの悪い、白衣を着た医者・ニコラエヴィッチがいた。
ニコラエヴィッチはNOAH内になる病院の医者で、NOAH隊員の定期検診を任されている人物だ。
「アナスタシアと口喧嘩でもしたか?」
不機嫌そうなイグナシオを見て、ニコラエヴィッチは悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「関係ないだろ」
「……お前も苦労するな、リヒト」
「聞いてんのかよ」
イグナシオがニコラエヴィッチを睨む。
が、目つきの悪さを上回っているニコラエヴィッチは痛くも痒くもないという表情でカルテに目をやっている。
「お前、前よりも体力落ちてるぞ」
「うっ……!」
ニコラエヴィッチの言葉にイグナシオがあからさまに目を逸らす。
「まぁ、元々筋肉付きにくい体質なのもあるがな」
「目を逸らすな」っとニコラエヴィッチが持っていたカルテでイグナシオの頭を軽く叩いた。
「新しいトレーニングメニューだ。目、通しとけ」
「うげっ……!前よりハード……」
「当たり前だろ」
ニコラエヴィッチからトレーニングメニューを受け取ったイグナシオが顔を歪める。
「リヒト達、戦闘員はこれ以上のトレーニングこなしてんだぞ?追いつきてぇなら、泣き言言ってんじゃねぇよ」
「……分かってる。誰もやらないとは言ってないだろ」
イグナシオはそう言うと、改めてトレーニングメニューに目をやった。
そんなイグナシオを見て、ニコラエヴィッチは「素直じゃねぇ奴」っと呆れたような笑みを浮かべた。
「そういや、お前ら、ラファエロ=サヴァレーゼの新人指導、やるらしいな」
不意にニコラエヴィッチがリヒトに尋ねた。
「何だ、ニコ。知り合いか?」
「見た事はねぇが、知ってると言えば知ってる」
「は?」
「そいつの兄貴がここで働いてんだよ。お前らも聞いた事あるだろ?」
「もしかして、その兄貴って、あのアドリアーノ=サヴァレーゼか?」
アドリアーノ=サヴァレーゼ。
NOAHの中で一番の戦闘能力を誇っており、専用特殊武器・ガンブレードの使い手として、有名な戦闘員だ。
ガンブレードというのは、剣の持ち手が銃の形になっている武器の事だ。
しかし、その銃は撃つ事は出来ず、相手に斬りかかる際にトリガーを引き、それによって生じた振動を利用し、戦うという扱いにくい武器として有名である。
それ故にガンブレードを完璧に扱えている、アドリアーノに憧れを抱く隊員も少なくはない。
「偉大な兄貴の方じゃねぇよ。そいつの2つ下の弟の方だ」
「あぁ……、ロベルト=サヴァレーゼか」
ロベルト=サヴァレーゼ。
偉大な兄・アドリアーノの2つ下の弟で、兄同様、戦闘能力に長けたNOAHの戦闘員だ。
近寄り難いアドリアーノとは違い、気さくでムードメーカーなロベルトは何かとアドリアーノと比較されやすく、NOAH内では"残念な弟"として名が知られている。
リヒト自身、アドリアーノ、ロベルトには面識はないが、ニコラエヴィッチいわく、2人は似た者同士だそうだ。
「あいつらの前で兄弟の話はするなよ?長くなるからな」
「……分かった」
「まぁ、遅かれ早かれ、周りもそれに気付くはずだ。兄貴のコネだの何だの言われんのは目に見えてる」
「実際そうなんじゃないか?そのラファエロって奴、強そうには見えなかったし」
トレーニングメニューを見終えたイグナシオが、話をしている2人の方に車椅子を向け、言った。
「お前が言えるのか?見るからに非戦闘員が」
ズバッとニコラエヴィッチが言うと、イグナシオは「あ~!!」っと声を上げ、両耳を両手で押さえた。
「イグナシオみてぇな奴がいた場合、ラファエロを守ってやれるのはリヒト、お前だけだ。それを忘れんなよ?」
「……ニコ、あんたが他人を気にするなんて、珍しいな。どんな風の吹き回しだ?」
「鳥肌が立ったぞ……」っとリヒトは自身の両腕を摩った。
「別に気にしてる訳じゃねぇよ。ただ、才能ある戦闘員が潰されちまうのがおしいだけだ」
ニコラエヴィッチはリヒトの目を真っ直ぐ見て、言った。
何を考えているのか、全く読めないニコラエヴィッチの目にリヒトはキョトンとするしかなかった。
―――――――――――
翌日。
「あ、あの時のお兄さんだ」
ブリーフィングルームに着いた2人の前には、試験会場同様、奇抜な髪型をしたラファエロがいた。
「あの時はありがとう。おかげで助かったよ」
人懐っこそうな笑顔を浮かべたラファエロとは対象的にリヒトの前にいるイグナシオの表情は硬い。
昨日のニコラエヴィッチの話を聞いてから、ずっとこの調子だ。
「僕はラファエロ、ラファエロ=サヴァレーゼ。お兄さん達は?」
「俺はリヒト=ヴォーヴェライトだ。で、こいつが……」
「イグナシオ=ティラドス」
「リヒトとイグナシオ、か。よろしくね」
ラファエロがニコッと笑う。
――可愛いな、こいつ。
「おい、俺ら、お前の先輩なんだぞ。敬語くらい使ったらどうだ?」
車椅子を自身で押し、ラファエロに近付いたイグナシオが強い口調で言った。
「すいません、イグナシオさん。僕、育ち悪くて」
ラファエロは笑顔を崩さないまま、イグナシオに言った。
が、先程の笑顔とは違い、何か黒い陰のようなものを感じたリヒトは「イグナシオといい勝負だな」っと心の中で呟いた。
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