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第9回『破壊光線 孤立 先進国』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第9回『破壊光線 孤立 先進国』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約45分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=DjZZCQrctqY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
Q国は独裁者によって統治されていた。
独裁者は国民を弾圧していたので、いつも非難され国際社会から孤立していた。
だが独裁者はこの非難をむしろ軍事力を増強するための好機ととらえた。
「我が国は世界中の国から銃口を向けられている! ならば自衛のために武器を持つしかない! 我が国を敵視する国を圧倒する兵器を造るのだ!」
独裁者は国中の科学者にそうおふれを出した。
科学者たちはこぞってあわてて兵器を造り始めた。
なにせ独裁者が造れと言ったのだ。
造らなかったら家族もろとも命はない。
世界中に送られているスパイたちが集めた情報によると、現在先進国では破壊光線の研究が盛んだとわかった。
当然独裁者も破壊光線を造れと命じた。
スパイが盗んできた資料などに穴が空くほど目を通し、科学者たちは不眠不休で破壊光線の開発を急いだ。
新聞にはやれある国が破壊光線の射程距離を伸ばしただのやれ威力を上げただのという記事が続々と紙面に掲載され、独裁者のイライラは募り、科学者は震えあがる毎日だった。
しびれを切らした独裁者は科学者を呼んだ。
「破壊光線は完成したんだろうな。」
独裁者がこう言ったなら、完成していませんとは言えない。
科学者はまだ開発中の破壊光線を見せた。
「なんだそれは。まるで鉄砲じゃないか。」
「は、はい……。今の技術ではこれが限界で……。」
「威力はどうなのだ。先日のニュースではW国は破壊光線で古い空母を一瞬で塵にしたと書いてあったが。」
「ひ、人一人を殺すのが精一杯です……。」
独裁者は眉をしかめ鼻息をふっふっと2回吹いた。
独裁者が怒ったときに見せる癖だ。
独裁者にこれをさせた者は必ず処刑された。
近臣たちは科学者の無残な最期を想像した。
恐怖に耐えきれなくなった科学者はとっさに破壊光線を自分のこめかみに当てて引き金を引いた。
苦しんで死ぬよりは自らの手で一思いに死んでしまおうと思ったのである。
しかしその科学者の頭は禿頭だった。
破壊光線の光は科学者の頭を破壊することなく反射した。
それた破壊光線はまっすぐ独裁者の頭を貫き、独裁者は死んでしまった。
ああ、かわいそうな独裁者。
本当は彼の頭髪も結構いってるのに、国民の前で見栄を張ってカツラをかぶっていたばっかりに破壊光線を跳ね返すこともできず、その壮大な夢半ばに倒れてしまった。
Q国に平和が戻った。
科学者が町中をパレードすると国中の人たちが集まり喝さいを送った。
科学者がみんなに顔を向け手を振るたびに、太陽光が反射しまぶしかった。
みんなは手をかざしながら笑いあった。
「目を開けてられん。こいつは確かに破壊光線だ。でもこんな破壊光線なら大歓迎だ。」
そう、その日確かに科学者には後光がさしていた。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第9回『破壊光線 孤立 先進国』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約45分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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Q国は独裁者によって統治されていた。
独裁者は国民を弾圧していたので、いつも非難され国際社会から孤立していた。
だが独裁者はこの非難をむしろ軍事力を増強するための好機ととらえた。
「我が国は世界中の国から銃口を向けられている! ならば自衛のために武器を持つしかない! 我が国を敵視する国を圧倒する兵器を造るのだ!」
独裁者は国中の科学者にそうおふれを出した。
科学者たちはこぞってあわてて兵器を造り始めた。
なにせ独裁者が造れと言ったのだ。
造らなかったら家族もろとも命はない。
世界中に送られているスパイたちが集めた情報によると、現在先進国では破壊光線の研究が盛んだとわかった。
当然独裁者も破壊光線を造れと命じた。
スパイが盗んできた資料などに穴が空くほど目を通し、科学者たちは不眠不休で破壊光線の開発を急いだ。
新聞にはやれある国が破壊光線の射程距離を伸ばしただのやれ威力を上げただのという記事が続々と紙面に掲載され、独裁者のイライラは募り、科学者は震えあがる毎日だった。
しびれを切らした独裁者は科学者を呼んだ。
「破壊光線は完成したんだろうな。」
独裁者がこう言ったなら、完成していませんとは言えない。
科学者はまだ開発中の破壊光線を見せた。
「なんだそれは。まるで鉄砲じゃないか。」
「は、はい……。今の技術ではこれが限界で……。」
「威力はどうなのだ。先日のニュースではW国は破壊光線で古い空母を一瞬で塵にしたと書いてあったが。」
「ひ、人一人を殺すのが精一杯です……。」
独裁者は眉をしかめ鼻息をふっふっと2回吹いた。
独裁者が怒ったときに見せる癖だ。
独裁者にこれをさせた者は必ず処刑された。
近臣たちは科学者の無残な最期を想像した。
恐怖に耐えきれなくなった科学者はとっさに破壊光線を自分のこめかみに当てて引き金を引いた。
苦しんで死ぬよりは自らの手で一思いに死んでしまおうと思ったのである。
しかしその科学者の頭は禿頭だった。
破壊光線の光は科学者の頭を破壊することなく反射した。
それた破壊光線はまっすぐ独裁者の頭を貫き、独裁者は死んでしまった。
ああ、かわいそうな独裁者。
本当は彼の頭髪も結構いってるのに、国民の前で見栄を張ってカツラをかぶっていたばっかりに破壊光線を跳ね返すこともできず、その壮大な夢半ばに倒れてしまった。
Q国に平和が戻った。
科学者が町中をパレードすると国中の人たちが集まり喝さいを送った。
科学者がみんなに顔を向け手を振るたびに、太陽光が反射しまぶしかった。
みんなは手をかざしながら笑いあった。
「目を開けてられん。こいつは確かに破壊光線だ。でもこんな破壊光線なら大歓迎だ。」
そう、その日確かに科学者には後光がさしていた。
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