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第34回『ヘルメット あてつけ 今更感』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第34回『ヘルメット あてつけ 今更感』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約57分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=DNtrs2snOFA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
──猫だ。
安孫子が車道に立ちふさがる猫に気付いてブレーキを踏んだときにはもう遅かった。
ロックしたタイヤはアスファルトを激しく削り、白煙を出した。
猫をよけようとしてハンドルを切ると、バイクはとうとう姿勢を維持することができなくなり横転した。
バイクは横倒しのまま火花を散らしながら道路を滑り、安孫子はなす術もなく空へと投げ飛ばされた。
安孫子は道路をおろし金にして壊れていく愛車を空から見ながら、飛び散るカウルの破片はあの色が気に入って買ったのにとか、せめてエンジンが無事ならななどと考えた。
保険について考え始めたとき、安孫子の頭に衝撃が走った。
安孫子は車道の脇に座った。
ずきずきと痛む頭を両手で抑えながら状況を整理した。
ここは人通りが少なく、誰かが通る様子はない。
バイクは壊れているが全壊というわけではない。
猫は無事逃げたようだ。
ここから10分ほど歩いた先にバイク屋があるから、安孫子はそこまでバイクを押して行った。
「すいませーん、そこで事故っちゃったんですけど。」
安孫子がバイク屋に入ると、彼の姿を見た店員はびっくりしていた。
「だ、大丈夫ですか? 病院に行ったほうがいいんじゃないですか?」
「だからここに来たんじゃないですか。バイクの病院にね。」
安孫子がウインクをすると、店員は引きつりながら目をそらした。
「で、どうですかね、バイクは?」
バイクを点検し始めた店員に安孫子は聞いた。
「詳しくはお預かりしてからということになりますが、ざっと見た感じでは直せると思いますよ。」
安孫子の顔はパッと明るくなった。
「本当ですかっ?」
「ええ、ただ新車を買った方が安くなると思いますが……。」
「それはしょうがないっすよ。気に入ってるバイクなんで。」
嬉しさのあまり安孫子が口笛を吹き始ると、店員はバイクと彼が手に持っているヘルメットを交互に見た。
彼のヘルメットは事故の衝撃で真っ二つに割れていた。
その無残な有様を見れば、事故を目撃していない店員にも彼が生きていることがありえない奇跡だということは充分にわかった。
「あの、ではサービスとして新しいヘルメットをおつけしましょうか。ほら、この最新のものです。」
店員ライダーたちにとっては有名なメーカーの安全性を最優先としたモデルをおそるおそる差し出した。
重量や閉塞感などの問題はありそうだが、頭を守ってくれそうな安心感は他のどのヘルメットにも負けないものだった。
すると安孫子はかんらかんらと笑い出した。
「いらないですよ。こんな立派なヘルメットいただいたって今更感ハンパないっすよ。僕へのあてつけですか?」
そう言って安孫子は二つに割れたヘルメットをそれぞれかぶった。
「ほら。二つに割れた僕の頭には、この二つに割れたヘルメットがちょうどいいんですよ。」
~・~・~・~・~
~感想~
あてつけは恋愛方面で使うのはやめようという方針をまず立てました。
それからヘルメットをどういうものにするかを考え、バイクのヘルメットにすればあてつけを当てるという流れで使えるかもと思いました。
バイク事故の話にしたのはそのためです。
頭を両手で抑えるという描写はオチの伏線なのですが、伏線はこれだけでは足りないのでもうちょっと増やした方がよかったなと思ってます。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第34回『ヘルメット あてつけ 今更感』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約57分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=DNtrs2snOFA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
──猫だ。
安孫子が車道に立ちふさがる猫に気付いてブレーキを踏んだときにはもう遅かった。
ロックしたタイヤはアスファルトを激しく削り、白煙を出した。
猫をよけようとしてハンドルを切ると、バイクはとうとう姿勢を維持することができなくなり横転した。
バイクは横倒しのまま火花を散らしながら道路を滑り、安孫子はなす術もなく空へと投げ飛ばされた。
安孫子は道路をおろし金にして壊れていく愛車を空から見ながら、飛び散るカウルの破片はあの色が気に入って買ったのにとか、せめてエンジンが無事ならななどと考えた。
保険について考え始めたとき、安孫子の頭に衝撃が走った。
安孫子は車道の脇に座った。
ずきずきと痛む頭を両手で抑えながら状況を整理した。
ここは人通りが少なく、誰かが通る様子はない。
バイクは壊れているが全壊というわけではない。
猫は無事逃げたようだ。
ここから10分ほど歩いた先にバイク屋があるから、安孫子はそこまでバイクを押して行った。
「すいませーん、そこで事故っちゃったんですけど。」
安孫子がバイク屋に入ると、彼の姿を見た店員はびっくりしていた。
「だ、大丈夫ですか? 病院に行ったほうがいいんじゃないですか?」
「だからここに来たんじゃないですか。バイクの病院にね。」
安孫子がウインクをすると、店員は引きつりながら目をそらした。
「で、どうですかね、バイクは?」
バイクを点検し始めた店員に安孫子は聞いた。
「詳しくはお預かりしてからということになりますが、ざっと見た感じでは直せると思いますよ。」
安孫子の顔はパッと明るくなった。
「本当ですかっ?」
「ええ、ただ新車を買った方が安くなると思いますが……。」
「それはしょうがないっすよ。気に入ってるバイクなんで。」
嬉しさのあまり安孫子が口笛を吹き始ると、店員はバイクと彼が手に持っているヘルメットを交互に見た。
彼のヘルメットは事故の衝撃で真っ二つに割れていた。
その無残な有様を見れば、事故を目撃していない店員にも彼が生きていることがありえない奇跡だということは充分にわかった。
「あの、ではサービスとして新しいヘルメットをおつけしましょうか。ほら、この最新のものです。」
店員ライダーたちにとっては有名なメーカーの安全性を最優先としたモデルをおそるおそる差し出した。
重量や閉塞感などの問題はありそうだが、頭を守ってくれそうな安心感は他のどのヘルメットにも負けないものだった。
すると安孫子はかんらかんらと笑い出した。
「いらないですよ。こんな立派なヘルメットいただいたって今更感ハンパないっすよ。僕へのあてつけですか?」
そう言って安孫子は二つに割れたヘルメットをそれぞれかぶった。
「ほら。二つに割れた僕の頭には、この二つに割れたヘルメットがちょうどいいんですよ。」
~・~・~・~・~
~感想~
あてつけは恋愛方面で使うのはやめようという方針をまず立てました。
それからヘルメットをどういうものにするかを考え、バイクのヘルメットにすればあてつけを当てるという流れで使えるかもと思いました。
バイク事故の話にしたのはそのためです。
頭を両手で抑えるという描写はオチの伏線なのですが、伏線はこれだけでは足りないのでもうちょっと増やした方がよかったなと思ってます。
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