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第114回『腹黒 ひまわり 赤字』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第114回『腹黒 ひまわり 赤字』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約54分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=j6jeDdlPaek
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
菱川は美術商をやっていて、郊外に小さな画廊を営んでいた。
ある日、一人の男がやってきた。
彼は一枚の油絵を大事そうに抱えていた。
それはかの有名なゴッホのひまわりであり、最近彼の父が10億円ほどで購入したと言う。
しかし菱川は一目見てこの絵が贋作だと見抜いた。
男はがっくりと肩を落としたが、菱川にしばらくこの絵を預からせてほしいと言われ、了解した。
どこか寂しげな排気音を出しながら男の車が走り去ると、菱川の助手はどうするつもりなのですかと尋ねた。
「これは最近美術界に現れたある贋作画家のものだろう。本物を見るのは初めてだが特徴は一致している。いや贋作だから実物と言った方がいいかな。」
少し冗談を交えた口調だったが、助手の目に映る菱川の横顔は真剣そのものだった。
というのも、その画家によるものと思われる贋作はゴッホだけに留まらずピカソやルノアールなど多岐にわたっていたからだ。
偽物を警戒して、本物でも購入を躊躇する者も出てきていた。
「いい機会だ。せっかくだからこの贋作画家のことを調べよう。使用している絵具やキャンバスから手癖まで全てだ。」
「それでこのニセモノをとっ捕まえるんですね。」
助手は拳をにぎったが、菱川はすまして言った。
「何を言ってるんだよ。うちは画商だよ。絵を調べるだけさ。」
菱川たちの鑑定作業が始まった。
絵具のメーカー、キャンバスの年代、筆の動きの特徴、下絵には何が描かれているか……。
時には専門機関に化学的な検査を依頼することもあった。
そしてそれらの鑑定結果から、全国の画商や美大関係者など様々な人に会って、心当たりがないか聞いた。
通常の業務と並行しての鑑定は多忙を極めたが、1年後、ついに贋作画家個人を特定するにまで至った。
ある朝、新聞には贋作画家の逮捕を告げる記事が載っていた。
助手は新聞を畳むと、菱川に言った。
「ちゃんと警察に報告するなんて、菱川さん、やっぱり捕まえる気だったんじゃないですか。」
菱川はやはりすまして答えた。
「捕まえるのは警察さ。だから画商のうちは調べただけだろう?」
助手は笑った。
「ま、今回は相手が未熟だったことも幸いしたな。仲介していた業者にも安く買いたたかれていたみたいだし、前科もつくし、贋作作りなんてマイナスにしかならないんだよ。」
「儲けを夢見た青写真が赤字になって、腹黒な贋作画家は今頃顔面蒼白になってるでしょうね。」
菱川も笑った。
「そうだね。これで美術界の未来もバラ色になるといいんだが。」
~・~・~・~・~
~感想~
腹黒と赤字でどちらも色が入ってるとこから話を考えていきました。
オチとのギャップのために画商をモノクロ写真専門にしようかとも考えてえたのですが、そんあもんあるとは思えなかったので普通の画商にしたら、なんとも唐突なオチになってしまいました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第114回『腹黒 ひまわり 赤字』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約54分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=j6jeDdlPaek
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~・~・~・~・~
菱川は美術商をやっていて、郊外に小さな画廊を営んでいた。
ある日、一人の男がやってきた。
彼は一枚の油絵を大事そうに抱えていた。
それはかの有名なゴッホのひまわりであり、最近彼の父が10億円ほどで購入したと言う。
しかし菱川は一目見てこの絵が贋作だと見抜いた。
男はがっくりと肩を落としたが、菱川にしばらくこの絵を預からせてほしいと言われ、了解した。
どこか寂しげな排気音を出しながら男の車が走り去ると、菱川の助手はどうするつもりなのですかと尋ねた。
「これは最近美術界に現れたある贋作画家のものだろう。本物を見るのは初めてだが特徴は一致している。いや贋作だから実物と言った方がいいかな。」
少し冗談を交えた口調だったが、助手の目に映る菱川の横顔は真剣そのものだった。
というのも、その画家によるものと思われる贋作はゴッホだけに留まらずピカソやルノアールなど多岐にわたっていたからだ。
偽物を警戒して、本物でも購入を躊躇する者も出てきていた。
「いい機会だ。せっかくだからこの贋作画家のことを調べよう。使用している絵具やキャンバスから手癖まで全てだ。」
「それでこのニセモノをとっ捕まえるんですね。」
助手は拳をにぎったが、菱川はすまして言った。
「何を言ってるんだよ。うちは画商だよ。絵を調べるだけさ。」
菱川たちの鑑定作業が始まった。
絵具のメーカー、キャンバスの年代、筆の動きの特徴、下絵には何が描かれているか……。
時には専門機関に化学的な検査を依頼することもあった。
そしてそれらの鑑定結果から、全国の画商や美大関係者など様々な人に会って、心当たりがないか聞いた。
通常の業務と並行しての鑑定は多忙を極めたが、1年後、ついに贋作画家個人を特定するにまで至った。
ある朝、新聞には贋作画家の逮捕を告げる記事が載っていた。
助手は新聞を畳むと、菱川に言った。
「ちゃんと警察に報告するなんて、菱川さん、やっぱり捕まえる気だったんじゃないですか。」
菱川はやはりすまして答えた。
「捕まえるのは警察さ。だから画商のうちは調べただけだろう?」
助手は笑った。
「ま、今回は相手が未熟だったことも幸いしたな。仲介していた業者にも安く買いたたかれていたみたいだし、前科もつくし、贋作作りなんてマイナスにしかならないんだよ。」
「儲けを夢見た青写真が赤字になって、腹黒な贋作画家は今頃顔面蒼白になってるでしょうね。」
菱川も笑った。
「そうだね。これで美術界の未来もバラ色になるといいんだが。」
~・~・~・~・~
~感想~
腹黒と赤字でどちらも色が入ってるとこから話を考えていきました。
オチとのギャップのために画商をモノクロ写真専門にしようかとも考えてえたのですが、そんあもんあるとは思えなかったので普通の画商にしたら、なんとも唐突なオチになってしまいました。
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