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第二章 人神代理戦争 予兆
八章 トキドキカツラギメモリアル 其の漆
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***
10年前、辺境地ラセン。
小さな道場に四人の少年少女とそれに剣術を教える男。
「御師様ぁー、私お腹すいたー」
金髪の少女がそう言うと茶髪の少女も同様に声を上げた。
「私も! 御師様、お腹すいた!」
「あんまり、先生を困らすな、ジータ、ミカ。先生は一人暮らし何だぞ。俺達が食べてしまったら悪いだろう」
その一言を受け、ブーブーとバッシングを受ける少年は気にせずに握っていた木剣を振るった。
「あはは、シンクはよく見てるね。でも、気にしなくて良いよ。僕は一人だから逆に料理は一通り出来るしね」
すると、男は鍋を取り出し、炊事場に向かい、調理を始めた。その日、作ったのは少しだけ弟子達に振る舞うため力を入れたビーフシチュー。
少年少女は目を光らせながらパクパクと食べるとそれを見て男は自分もシチューに手をつけた。
***
「あの何気ない何の記念日でもないのに私達がお腹を空いたと言ったら振る舞ってくれたシチューあれがどうしても忘らなかったのです」
「美味しかったよねー、私も大好き!」
ミカとジータがキャッキャッとはしゃいでいる中、吟千代は気にすることなくシチューを頬張る。
(あれ、そんなに気に入ってたの?! 完全に記憶飛んでた。どうしよう、すごい申し訳ない気持ちになったな?! ううう、ごめんね、ジータ、ミカ、僕との思い出をそんなに大切に覚えてくれたのに)
バサラが申し訳なさそうにしているのに気付き、ジータは彼を励まそうと喋りかけた。
「御師様が忘ていても仕方ありませんよ。あれは御師様とっての日常。その日常の中に私達がいたってことを覚えてさえいてくれれば気にしません!」
「そうですよー、私達は御師様と一緒に過ごせた時間が全て思い出になってるだけなので」
「ううう、ジータ、ミカ、ごめんよ。僕にとっても君たちと過ごした時間はとっても大切な思い出なんだけどね。歳をとったせいか思い出すのに時間がかかっちゃうんだ」
申し訳なさそうにしながらバサラはシチューに口を付け、残りの時間、ゆっくりと過ごした。
そして、夜も更けて月光が煌々と輝きを放つ時間となり、腹一杯に食べた吟千代が微睡んでいた。
そんな中、ミカが改まってバサラとジータの前に座るとゆっくりと喋り出した。
「ところで、御師様、明日のご予定はどうなっていますか?」
「えーと、明日は朝から騎士団へ指導かな。どうかしたの? さっきとは雰囲気が一気に変わったけど」
「実はですね、ミレニアム王国の同盟国であるルーヴェン王国、そちらの教会と連絡を取り合っていたのですがここ数週間から連絡が取れ無くなってしまっているのです」
ルーヴェン王国。
それは創人期5年に建てられた人が初めて自らの手で建国した王国。そこは物流の中心であり、商業が盛んで人の溢れる王国である。
教会は国々で繋がりがあり、ルーヴェン王国にもその連絡網の中にあった。
「我々は祈る者を見つけた、彼女こそ、我々の導き手であり、祈りを捧げるべき聖女。これを最後に連絡が途絶えました。こちらからは何度も連絡を送っているのですが返って来ることはなく、私自身が向かっても良いのですが、私の立ち位置上、動くとなるとそれなりに手順やらを踏まないといけなくて」
「なるほど、剣術指南役って言っても辺りの国にとっては興味がないしね。そっか、確かに、僕であれば外交とか気にせずに入ることが出来る。いいよ、引き受け」
「ダメですよ、剣術指南役としての仕事があるのに勝手に受けてしまったら」
ジータがそう言うとバサラはショボンとした。だが、ミカは食い下がらず、ジータに対して懇願するように頭を下げると再び口を開いた。
「お願いです、御師様、ジータ。私から任務と言う形で頼んだとなれば仕事という形で迎えます。とても、心配なのです。ルーヴェン王国の教会には友人もおります。彼らが今、どんな状況にいるか知りたいのです」
ミカの頼みをバサラは断ることは無い。弟子であるとは別に、困っている人がいるのであれば、誰であろうと助ける。
それがカツラギ・バサラの人間性であった。
「うん、任せてよ、ミカ。僕が教会を見に行く。これを仕事として受けたい。ジータ、お願い出来るかな?」
そして、ジータもまた、師匠であるバサラの頼みを断ることは無い。
「はぁ、分かりました。代わりに、仕事の監査役として私の部下を一人つけます。それと吟千代も連れてって下さい。彼女の実力は認めていますので」
10年前、辺境地ラセン。
小さな道場に四人の少年少女とそれに剣術を教える男。
「御師様ぁー、私お腹すいたー」
金髪の少女がそう言うと茶髪の少女も同様に声を上げた。
「私も! 御師様、お腹すいた!」
「あんまり、先生を困らすな、ジータ、ミカ。先生は一人暮らし何だぞ。俺達が食べてしまったら悪いだろう」
その一言を受け、ブーブーとバッシングを受ける少年は気にせずに握っていた木剣を振るった。
「あはは、シンクはよく見てるね。でも、気にしなくて良いよ。僕は一人だから逆に料理は一通り出来るしね」
すると、男は鍋を取り出し、炊事場に向かい、調理を始めた。その日、作ったのは少しだけ弟子達に振る舞うため力を入れたビーフシチュー。
少年少女は目を光らせながらパクパクと食べるとそれを見て男は自分もシチューに手をつけた。
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「あの何気ない何の記念日でもないのに私達がお腹を空いたと言ったら振る舞ってくれたシチューあれがどうしても忘らなかったのです」
「美味しかったよねー、私も大好き!」
ミカとジータがキャッキャッとはしゃいでいる中、吟千代は気にすることなくシチューを頬張る。
(あれ、そんなに気に入ってたの?! 完全に記憶飛んでた。どうしよう、すごい申し訳ない気持ちになったな?! ううう、ごめんね、ジータ、ミカ、僕との思い出をそんなに大切に覚えてくれたのに)
バサラが申し訳なさそうにしているのに気付き、ジータは彼を励まそうと喋りかけた。
「御師様が忘ていても仕方ありませんよ。あれは御師様とっての日常。その日常の中に私達がいたってことを覚えてさえいてくれれば気にしません!」
「そうですよー、私達は御師様と一緒に過ごせた時間が全て思い出になってるだけなので」
「ううう、ジータ、ミカ、ごめんよ。僕にとっても君たちと過ごした時間はとっても大切な思い出なんだけどね。歳をとったせいか思い出すのに時間がかかっちゃうんだ」
申し訳なさそうにしながらバサラはシチューに口を付け、残りの時間、ゆっくりと過ごした。
そして、夜も更けて月光が煌々と輝きを放つ時間となり、腹一杯に食べた吟千代が微睡んでいた。
そんな中、ミカが改まってバサラとジータの前に座るとゆっくりと喋り出した。
「ところで、御師様、明日のご予定はどうなっていますか?」
「えーと、明日は朝から騎士団へ指導かな。どうかしたの? さっきとは雰囲気が一気に変わったけど」
「実はですね、ミレニアム王国の同盟国であるルーヴェン王国、そちらの教会と連絡を取り合っていたのですがここ数週間から連絡が取れ無くなってしまっているのです」
ルーヴェン王国。
それは創人期5年に建てられた人が初めて自らの手で建国した王国。そこは物流の中心であり、商業が盛んで人の溢れる王国である。
教会は国々で繋がりがあり、ルーヴェン王国にもその連絡網の中にあった。
「我々は祈る者を見つけた、彼女こそ、我々の導き手であり、祈りを捧げるべき聖女。これを最後に連絡が途絶えました。こちらからは何度も連絡を送っているのですが返って来ることはなく、私自身が向かっても良いのですが、私の立ち位置上、動くとなるとそれなりに手順やらを踏まないといけなくて」
「なるほど、剣術指南役って言っても辺りの国にとっては興味がないしね。そっか、確かに、僕であれば外交とか気にせずに入ることが出来る。いいよ、引き受け」
「ダメですよ、剣術指南役としての仕事があるのに勝手に受けてしまったら」
ジータがそう言うとバサラはショボンとした。だが、ミカは食い下がらず、ジータに対して懇願するように頭を下げると再び口を開いた。
「お願いです、御師様、ジータ。私から任務と言う形で頼んだとなれば仕事という形で迎えます。とても、心配なのです。ルーヴェン王国の教会には友人もおります。彼らが今、どんな状況にいるか知りたいのです」
ミカの頼みをバサラは断ることは無い。弟子であるとは別に、困っている人がいるのであれば、誰であろうと助ける。
それがカツラギ・バサラの人間性であった。
「うん、任せてよ、ミカ。僕が教会を見に行く。これを仕事として受けたい。ジータ、お願い出来るかな?」
そして、ジータもまた、師匠であるバサラの頼みを断ることは無い。
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