【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第二章 人神代理戦争 予兆

二十章 聖女の行進 其の拾弍

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 放たれた矢を目視でありながら吟千代ぎんちよとユースは自身が腰に差していた得物を抜き、弾き落とした。

 鉄と鉄が打つかり、甲高い音が鳴るとそれを合図に先ず吟千代ぎんちよが駆けた。

 吟千代ぎんちよの狙いは彼らに指示を送っていた守衛、その首であり、暗闇を一直線で詰め寄るも彼を守ろうと鎧をつけた兵士が立ち塞がった。

「カラカラ、首落とせば問題になるからな。手加減してやる」

 その一言を残し、彼女は立ち塞がった騎士の腕を切った。精密に言えば、彼が武器を持つことが出来るであろう部位を瞬時に見抜き、鉄をも簡単に切り裂く斬撃であった。

「首は首でももありか。立ち塞がるならも断つぞ」

 手首を切られた兵士が見たのは紛れもなく純粋なまでに向けられる殺意。そこに邪念も、容赦も何も無い。

 自分が切ると言うことに執着され、その殺意にあてられた兵士は後退りするとその背後から他の兵士達が吟千代ぎんちよ目掛けて襲い掛かった。

 それをユースが二本の剣で弾くと彼は吟千代ぎんちよとは違い、手首を狙った無力化ではなく、制圧を目的に得物を振るう。

 ユースは自身の鍛え上げた基礎に加えてバサラが教えた複合武術マルチアーツによる武術と剣術を合わせて兵士達を一人、また一人と圧倒して行った。

 ユースは以前より、師と呼べる人物がおらず、ジータの背中をがむしゃらに追いかけて修練に励んでいた。そして、彼女の背中を追い続けてしまった結果、ズレた戦い方をしていた。

 だが、バサラと出会い、彼の剣と武を学び、ユースは誰よりもバサラかれの剣に合っていた。

 高い身体能力と動体視力を使い、二振りの剣を振るいながら、蹴りを入れ、蹴りを入れた後に剣による蓮撃を生む。この場において、それらを止めることが出来る者はおらず、数分もしない内に兵士達は倒され、あるものは恐れによる失踪、あるものは負傷による逃走、敵前を前に逃亡を余儀なくされ、残りは守衛ただ一人となっていた。

「な、何者だ!? 貴様ら?! ミレニアムの商人だろう?! それなのに何だその強さは!」

「カラカラカラ、去れば切らぬ。そして、バサラ殿に傷一つつければ容赦もしない。それが守れるならば手足は動けるくらいに切ってやろう」

 吟千代ぎんちよが刀を向けると守衛は部下達の誰よりも速く背を向けるとそれに続き、意識のあった兵士達は音を立てて、消えて行った。

「とりあえず、時間は更に短くなりました。急ぎましょう、吟千代ぎんちよ様」

「うむ! 向かおう!」

***

 敵襲に遭って数十分もせずに、ユース達はエイブラハムに出会った。それは決して良い出会い方ではなく、むしろ、最悪と言っていいほどのモノである。

「少年よ、何か言い残す言葉ないか?」

 背後から地面に押さえつけられ、ユースは首に剣を当てられ身動きが取れなくなっており、自身が完全な敗北をきした事を理解すると彼は何としても誤解を解くために全力で脳を回した。

(どうする?! このまま何も言わなければ殺される。出会ってから数秒もしない間に押し切られた。やはり、強い! それよりも、クソ!? 吟千代ぎんちよ様ももう一人の男と戦っているし、この状況を切り開くには)

「カツラギ・バサラ」

「何だ? お前、師匠の知り合いか?」

「自分も、最近、弟子入りした者です」

 顔は見えないがバサラの名前を出すと少しだけエイブラハムの緊張が解け始めるもユースを尋問するために声を上げた。

「嘘だな、師匠はもう弟子をとってないはずだ。俺が師匠の弟子って知ってるのはあの人だけだが、何処からか嗅ぎつけて来たんだろ」

「四護聖ジータ・グランデ! 自分は、彼女の部下であります! それと、先生は最近、ミレニアム王国の剣術指南役として呼ばれ、そこで自分は指導を受けている次第です!」

 ユースの言葉を聞き、エイブラハムは考える。青年の言っていることに嘘を感じ取れず、加えて、バサラを師として仰いでいる妹弟子であるジータの名前を出して来た。

 エイブラハムは立ち上がり、ユースを抑え込んでいたのを解くと吟千代ぎんちよと戦っていたものに声をかける。

「トオル! 止めろ! コイツらは敵じゃねえ!」

 その一言を聞き入れると彼らは戦闘をやめ、暗闇の中から姿を現した。

「カラカラ! お主、トオルと言うのか! 日の本の名の様だ!」

「ハハッ! 俺だけ名前明かされてるの可笑しいからお前も教えろよ侍さんよ!」

 一人はいつもの吟千代ぎんちよ、もう片方は顔を変な仮面で多い、見た事もない武装と、見た事もない質感でピッチリと肌に密着しているものに身を包んだ何かが現れた。

 ユースはそれがこの世界のモノではない事を理解するも、あまりにも自分の知っている範疇から抜け落ちており、思わず、呟いてしまう。

「変態がいる」

「ああん?! 変態じゃねえよ!? 日下部トオル、趣味で英雄ヒーローやってるもんだ!」
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