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第二章 人神代理戦争 予兆
五十九章 博士の愛した蒸気国 其の拾捌
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その一言はシンクが分析を開始するための合図であり、この状況でジータ、グラン、ミカがやることは一つ。分析までの時間を稼ぐ、シンクの分析完了が勝利への条件となった瞬間でもあり、それと同時にジータ本人が前線に立つ合図となっている。
ジータ・グランデ、彼女が前線に立つと言うことは絶対的な勝利が確約される瞬間でもあり、そのことをジータ自身もある種の誇りとし、理解していた。故に、その絶対を崩さないためにジータは動き出す。
博士は自分を最も楽しませるジータに目掛けて浮遊する腕を襲い掛からせるも彼女に向かった腕は間合いに入り込むとほぼ同時に手が塵となった。
「何だと?! まだ底を見せないか! 四護聖!」
博士が叫ぶも、彼女は止まらない。ジータに対して四つの腕の一つ、豊穣の共鳴器の能力を使い、彼女を押し潰そうとするもののそれはまた同様に自身の間合いに入った瞬間、一瞬にして消え去った。
ジータが持つ共鳴器・無窮壱尽、それは凡ゆるモノを貫く能力を持つ弓であり、彼女の運命と共鳴する事で風の矢が敵を容赦なく貫通する事が出来る最強の共鳴器と名高い一丁。
ならば、その能力は一体どこまで適用されるのか? 風の矢を放った瞬間? それともジータが弓を持っている間? 正解は至ってシンプル、ジータが自身の持つ運命の能力を引き出している間、その風に貫通の能力が付与される。
半形5メートル、それが自身が決めた貫通の能力を持った風を纏いながら動ける範囲であり、間合いに入った凡ゆる攻撃、事象を風化させる。
「嵐纏う夜の王」
それこそがジータが名をつけた絶対防御空間でありながら攻撃へと転じる彼女だけの技術。
アームズファンネルが持つ共鳴器四つの能力が混じえた攻撃すらその対象であり、一切通す事が出来ない。
加えて博士は失念していた。ジータだけに目が行き、目の前にいる者達が彼女同等の存在が四人いたことを。
ミカとグラン、彼らが両脇から迫っており、残り二本の腕を何とか動かし、潰そうと手を向ける。ミカの腕は土を纏い、それの形を変え、硬化させるとあり得ざる程の大きさの拳を生んでいた。
「祈り手、いっきますよー!」
正面からの殴り合いでありながらその力量差は歴然。魔導の共鳴器が埋め込まれた腕はミカに対して雷撃等の攻撃を放つもそれは彼女の肉体を傷つけるに至らず。
ミカが持つ岩の拳を思いっきり振るうと浮遊していた腕の橈骨にあたる部位が二つに分かれ、それは一時機能停止までに陥った。
だが、彼女の岩の拳はもう一つ残っている。それはは再び操縦席を狙うために、残していたものであり、嬉々としてミカは巨兵に向かう。
そして、もう片方、博士に迫る影があった。グランに向かった腕は静謐の共鳴器が埋め込まれたモノであり、時間を稼ぐという一点においてはその能力は最適解である。
グラン・フーガはそれを真っ向から勝負しようと両手に握る剣と槍を前に構えた。
グランはこの戦いが始まり、常に自身が持つ能力を使っている。闘士の能力は身体強化、そして、共鳴器・紅蓮御旗、その本質も同じく強化。ただ、レイル・カラマーゾフが持つ共鳴器・五色の糸と同じ能力でありながら、明確な違いがあり、それは他者への強化を可能としている。
最大で50人までの他人への強化を可能とし、人数が減れば減るほどその効能は上がって行く。そして、他者への強化は最大で発揮されるのが自分を含めて四人。
そのおかげで四護聖全員が博士の攻撃に一切臆することはない。
自身だけでは無く、他者と勝利を分かち合う、そんなグランの考えが織り込まれており、向かい来る突きを槍でいなすと持っていた剣を振るい拳を簡単に切り落とした。
手に握る剣を突き刺しながら腕を登り、駆けるとその箇所が綺麗に切り裂かれる。再生をすると直った箇所から切り裂きに行き、その速度が再生を追い越した。
グランの持つ強化は他の闘士の運命を持つ者よりもその量が多い。また、紅蓮御旗の能力により、自身に対しての強化を手に持っている剣にも付与される。
バサラから卒業時に貰った剣、それをグランは十年間愛用し、少しずつ壊れないように強化を付与した結果、それはアダマンタイトにも匹敵する硬度の得物と化していた。
治癒が追いつかず、腕は最後の足掻きでグランを振り下ろそうと動かすも彼を止めるにそれは意味を成さない。
腕は限界を迎え、事切れるとグランも巨体を目掛けて飛んだ。
(羽虫、そう思っていたが、考えを改めよう。四護聖諸君! 君達は確かに最強だ! 認めよう、私も本気を出すべきだと!)
両脇にはミカとグラン、そして、真正面には矢を番うジータ。
同時に襲いかかる自身の命を喰らう存在達に敬意を称し、声を上げた。
「我が運命は壊滅。至る終焉、来たる破壊者。共鳴器・火葬大黒天よ、我が運命の燈を贄に現せ、新たなる姿を」
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