【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

幕間 鍛治士と魔王

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 ヴォルガは自分の仕事場で淡々と鉄を打っていた。熱により赤く染まった鉄を見ながらそれだけに心血を注ぎ、ハンマーで音を立てる。

 そんなところに迫る一つの影があり、それはヴォルガの鍛冶場のドアを勝手に開けるとその音に気付いた彼は背を向けながら声を上げた。

「何しに来た、ロンベルグ?」

 名を呼ばれた影はテーブルに酒瓶をおくとその質問に答えた。

「様子見だよ。弟子の心配をしない師匠は居ないだろう?」

「お前が真っ当な師匠だったらな。バサラを殺す気で稽古してる様な奴がそんな心配する訳ないんだよ。本当の目的は何だ?」

「案外察しがいいんだな、お前。何しに来たか。そうだなぁ、例えば、ここに居る神を殺すこと、かな?」

 その一言後、ヴォルガの纏う空気が一変する。それはロンベルグ達が共に過ごして来た時間で一度も見せたこともない殺気であり、ロンベルグはヴォルガの纏うオーラの様なものにあてられた瞬間、彼はいつ間にか手に得物を構えていた。

「いいもん持ってんじゃないの」

 ロンベルグがそう言うとヴォルガは彼を睨みつける。

「何故、俺が神だと?」

「ここから出て、ちょっくら色んな奴らと出会ってな、そこで聞いて来た。ヴォルカヌス、三百年前に消えた一柱、神と呼ばれる存在でありながら人に寄り添おうとした者。ははは! お前、そうだろう? その殺気、これまででも一位、二位を争うゾクゾクさせてくれる様なもんだしなぁ」

「チッ、誰に聞いたか知らんが、俺が神なら殺すか?」

「ははは! 殺すわけ無いだろ! 俺は少なくともお前のことを友達と思っているのに何故そんなことすんだよ!」

 その言葉聞き、急に拍子抜けな表情を見せるとロンベルグは笑顔で再び口を開いた。

「大体、俺はぼんの神殺しなんかにゃ興味がねえよ。今日はこれまでの礼でな、これを渡しに来ただけだ」

 ロンベルグはテーブルに置いてある酒瓶を見せるとヴォルガは彼が本当にそれを置きに来ただけという事を理解し、ため息をついた。

「マジかよ、お前さっきの一言で殺し合い開始の合図かと思ったぞ? と言うより、マジで酒渡しに来ただけかよ。気でも狂ってるのか?」

「ははは、そりゃ気でも狂ってなきゃ他の世界でも魔王なんて呼ばれないだろうよ」

 ヴォルガは呆れながらもロンベルグがいる方へ向かい、置かれた酒瓶の蓋を開けると近くにあったお猪口を取り出し、それに酒を注いだ。

「毒味してけよ」

「はは! 用心深いな。だが、頂く」

 ロンベルグは出されたお猪口を手に取り、口に運ぶとその酒を味わった。それと同時にヴォルガもそれを飲んでおり、同じタイミング飲んでいて毒味もあるかとロンベルグは思いながらもそれを言わずに飲み進める。

「上手いな。こうも上手い酒があるとなれば意外とこの世界も悪くない」

 ロンベルグは自身が持って来た酒に狂いはなかったと喜んでいるとヴォルガもまたその酒を飲んだ。

「なぁ、ロンベルグ、お前は何が目的でバサラに剣を教えた?」

 ヴォルガは彼らと過ごしていた中で一番気になっていた事を今がチャンスだと思い、ロンベルグに質問した。ロンベルグは酒を飲みながら少しの間沈黙し、何かを決めたのかその質問に答えた。

「俺と同じ目をしてたからだよ。アイツは俺と同じ、この世の不条理を壊そうとする目をしていた。数多の絶望を体験し、向ける怒りの矛先がこの世界の道理の通じぬ絶対存在に対しての怒り。俺にとってその目は心地良いものだ。かつての俺がそうした様に仮にこの世界での俺と同じ運命を持つ者が絶対者を殺し、新たな均衡を生み出す事になった時、アイツはどんな立ち位置を取るのだろうなぁ? ははは! 理由はそれだけ。俺は質問に答えたし、次はお前に聞こうかな。ヴォルガよ、何故お前は人を助ける? 何故バサラのために神殺しの武器を作った?」

「そりゃ、人間が好きだからだよ。それ以上でもそれ以下でもない。俺は人間が短い命の中で何かを残そうと輝き続ける姿が大好きなんだ。俺たち神は長命且つ死ぬことの無い存在だ。そんな奴らが人間の短い命を弄び、彼らの運命を弄り回すのが許せなくてな。いつか神を殺すと名乗る者がいたらそいつに手を貸そうと思っていた。だから、バサラには手を貸してる。そこにあるのは損得勘定なんて無視した慈愛みたいなもんだよ」

「ははは! お前面白いな。お前が神と知ったらバサラは殺しに来るぞ? それでもやるのか?」

「当たり前だろ。アイツに殺されるなら本望だ」

 ヴォルガはそう言い切ると一気に酒を飲み干し、ロンベルグに背を向け、鍛冶場に戻って行った。その姿を見て、ロンベルグはいい酒の肴であったと彼もまたお猪口の中に注いであった物を飲み切るとバサラが帰ってくる気配を感じ、その場を後にした。
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