【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

二十八話 誰を英雄と讃えるか 其の弍拾捌

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 互いに自身の得物をぶつけるも、実力差は明らかであった。ぶつかったナイフは簡単に破壊され、ロキの腕を切り裂くとそこからバサラは止まることなく彼に目掛けて剣を振るう。これまでの神々、そして、神の間に座っていた主神達を殺し尽くしてバサラは完成されていた。

 剣は光速と剛腕による蹂躙、加えて凡ゆる神との経験で得た、神に対しての見識。それらは真っ向からロキは対峙するものの勝負にならず、ただただ、一方的に切り裂かれるのみであった。

「くくく! いいね! バサラ! 楽しいなー! 二年ぶりの再会だろう? もっともっとお話ししながらろうよ! それともー、今すぐ僕を殺したいのかい? ならもっと、もっと早く打つけろよ!」

 ロキは煽ると自身が刻まれる最中、バサラに勝つ唯一の方法を見出していた。

 神という種族、それは出自不明の存在である。生まれた時から成長はせど、自然な死があり得ない。その命は外的要因以外で尽きる事はなく、高い再生能力を有している為、傷つくことも知らない人類よりも遥かに優れた種族。彼らは生まれた時から自身に課せられた役割があり、それを真っ当する為に生きて行く。故に、人類よりも自身の運命というモノに精通しており、彼らは人の運命を弄ることが出来た。

 ロキの役割、それは戯神、トリックスターというモノ。ロキはその役割を拡大解釈し、それを自身の神技グランスキルと混ぜ合わすことでとある答えを導き出しており、それを今バサラに見せつける。

 ロキの切り裂かれていたはずの両腕が唐突に刃状になると彼はそれを無作為に振り回し始めた。切れ味は良く、振り回した刃がぶつかった地面は抉られるほどであったが唐突な変化にもバサラは柔軟に対応し、それを簡単に防ぐも次に前を向いた時にはロキの腕はいつの間にか再生していた。

 次の瞬間、ロキの腕が巨大化し、伸びると一直線にバサラへとぶつけられる。普段通りであればそれを涅槃静寂ニルヴァーナを用いて切り裂けたものの今のバサラは度重なる戦闘による負傷、加えてロキの想定外の動きにより、直撃はしなかったものの彼は受け身を取ってしまった。

 その受け身という行動、それがロキの攻撃を加速させてしまう。巨大化した腕を変化させ、腕に刃を生やすとそれを高速回転させながら縦横無尽に振り回した。

 バサラにとってそれは防ぐ事自体は難しくない。ただ、攻撃を当てにくくさせ、バサラの体力を削るような動きであった。

(鬱陶しい。速度は無いが威力はあるし、下手に受ければ最悪動きを悪くさせる。嫌がらせ、あいつが好きそうな攻撃方法だな)

 ロキの目的、それはバサラが考えていたものと殆ど一致している。嫌がらせ、バサラの動きの鮮やかさを削る、全て正しく、唯一外れているのは彼を本気で殺そうとしていることのみ。

 バサラはロキを前にして、彼の目的が自身への嫌がらせで動いていると思い込んでおり、その考えの甘さ、それが命取りとなる。

狂宴の切り札ジョーカー幻影毒多重接種ファントム・トキシン!」

 ロキは今までバサラと対峙している間の攻撃全ては自身の幻覚の神技グランスキルを自身の肉体にかけて行なっていたものであった。自分にかけた幻覚、それは自身の肉体は限りなく自由に変化出来ると言うもの。本来であれば不可能なはずの肉体の変化、それを彼は神の肉体である利点、再生能力と不死性を生かし、その強度を限界まで捏ねて多種多様な技を放っていた。

 そして、今、ロキはそのギアを引き上げる。これまではバサラへの嫌がらせ、そして、一種の時間稼ぎ。

 自身の肉体変化、幻覚に対する感度調整の時間が終わり、ロキはバサラを本気で殺すために動き出した。

 足を四つに変える。
 腕を筋肉で覆い、顔は仮面の様なものを作り出し、見えなくするもバサラを煽るためににやけてた口だけは顕にさせる。

「第二ラウンドダァ! バサラ! 僕と君! いや、神と人との生存競走! 今から始めよう! 僕と! 君トォデェ!」

 怪物、その言葉が正しい容姿であり、バサラとの間合いは筋肉で覆いつくした腕を急に伸ばし詰めた。

 唐突な変化、バサラは動揺しておらず、冷静であったにも関わらず、ロキの攻撃に一瞬、反応が遅れると彼は涅槃静寂ニルヴァーナ諸共吹き飛んでしまう。
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