【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

五十七話 五大王国会議 其の弐拾参

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 黒い焔がジータの視界を遮り、戦況を見えなくすると無闇に矢を放たずにいた。

(またもや分断。私も中に入ってしまいたいのですが、それをした場合、色んな予備プランが全て消えることになる。火を散らすには私の風では逆に盛らせてしまうかも知れない。ならば、今は我慢の時、グランとエイブラハム様なら必ず戻って来れるはず)

 ジータの背後にはミカが自身の体を動かせる様に息を整えており、それは徐々に元に戻って来ていた。

「ミカ、申し訳ないですけど立てますか? 御師様が共鳴器の解放をしました。ここからが本番です」

「勿論、でも、今は待ちですね。無闇に突っ込めばこちらの手札が切れてしまう。何としても、御師様に勝つためには」

 二人は黒い焔の中のグラン達を信じて、ミカとジータはその場で迎撃の準備を始める。

***

 黒い焔の中、バサラとグラン、そして、エイブラハムの三人が立っている。バサラの服装が黒いロングコートの様なものを身に纏い、先ほどのマントと同じく涅焔カーラの焔が生み出したものであったが、それは明確に形を帯びており、以前とは全く質の違うものになっていた。

「ダッサイコートだな! 師匠!」

「そうだね、でも、お前達を倒すには必要な物だから仕方ない」

 エイブラハムは会話と共にバサラに目掛けて走り出すと間合いに入った瞬間に大剣を振るう。

空間捕食IIIプレデターブレイク・サード

 共鳴器・天空交響曲スカイシンフォニー、ヴォルガが生んだ六天崩剣の一つであり、その本質は捕食。空間を喰らい、その喰らった空間を歪める能力を持つ。

 空間を歪めた箇所は見た目が歪むが実際には変わっておらず、手に馴染んでいる武器の刃渡や、間合いを正しく認知出来なくする。バサラの両方の武器に行い、慣れる前に全員で畳み込もうと言うのがエイブラハムの作戦であり、グランドと二人であっても彼はそれを遂行しようとした。

 再び空間を喰らいバサラの得物を歪めようとするもバサラはそれを平然と防いだ。

(チッ! 黒い焔を服として纏うことで全身にその能力を纏ってる様になるのか。どんな戦法だよ!)

 空間を喰らうのを失敗せど、エイブラハムは果敢に大剣を振るいながらバサラと撃ち合う。そんな中、エイブラハムの上からグランが剣と槍を携え、参戦するとバサラは二対一の状況に追い込まれた。

 グランとエイブラハムの蓮撃、一瞬の瞬きすら許されない其々の共鳴器の応酬。バサラも氣を読んでいながらも頬に擦り傷を作られ、燃え盛る黒い焔はそろそろ尽きる寸前であり、それを感じ取ると彼は一気にギアを上げた。

 エイブラハム目掛けて涅槃静寂ニルヴァーナを投げつける。それをエイブラハムが防ぐもその瞬間、バサラはグランに距離を詰めた。

「大紅蓮」

 グランが自身の強化により生み出す斬撃を放とうとした時、振り翳した隙に、バサラは彼の体に右腕で突きを入れた。胸には鎧をつけていながらもその一撃はハンマーで殴られた様な衝撃が全身に走り、グランは思わず体勢をよろめかしてしまう。

(ま、ずい!?)

 紅蓮御旗・不沈太陽ミネルヴァ・サンシャインの強化の能力を全身に纏わせるとそんな彼を狙ってバサラの腰にいつの間にか差されていた涅焔カーラに手を添えた。

「抜刀、涅焔両断エスパーダ

 手を添えると同時に涅焔カーラを抜く、その動作が終えると同時にその場にいたエイブラハムとグランの体から血が溢れた。

 黒き焔を纏い放たれる斬撃をエイブラハムはグランの間に挟まろうとするよりも近づいたことでその殺傷範囲に入ってしまい、彼の体に傷がついてしまう。そして、それはグランの鎧を切り裂き、彼の胸と両腕から出血させた。

 一瞬の間でありながら、二人の騎士を倒すとそれと同時にバサラの起こしていた黒い焔が収まるとジータ、ミカの目の前には二人が倒れ、血を流している姿が現れる。バサラはエイブラハムにより、弾かれた涅槃静寂ニルヴァーナを手に取り、再び両手に得物を手にした。

 師により、倒された二人を見て、ジータは彼らを心配するよりも早く、隣にいるミカに声をかけた。

「ミカ! 共鳴同化レゾナントユナイトを! プランを変更します!」

 ジータがそう言うと同時に、ミカは既に準備が完了していたのか、普段の彼女からは見せない大声で叫んだ。

「了解! 我、運命は豊穣。促すは調和、握るは拳。奏でるは大地の四重奏。共鳴器・母なる大地ヨルズよ! 我が運命と歩め! その一撃を打ち込むために!」

 詠唱の後、ミカ・イゾルデが見せるのは鍛え上げられた肉体であり、師であるバサラを打ち砕こうとする覚悟の示し。

共鳴同化レゾナント・ユナイト! 母なる大地・四重奏フレイヤ・クインテット!」

 両足にアーマーに包まれ、ミカはそれに力を入れると一気に踏み込む。一瞬でバサラの目の前に現れ、彼が認識するよりも早く、その黄金の拳を叩きつけた。
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