204 / 311
第四章 人神代理戦争 霹靂
九話 五大王国合同演習 其の弍
しおりを挟む
雑に纏められた黒い髪が風により、靡くも馘無侍吟千代は気にすることなく瞑想した。
全てが静まり返った瞬間、凡ゆるモノにある氣、それを読み解くと徐々に見える世界が変わって行く。
(うむ、常在戦場の身なれば、この世界は見えぬ。感情の凪、その中でしか見えぬとは拙者もまだまだ未熟者。徐々に掴み始めている氣とは違う洗練された世界、これが常に見える様に成れば、拙者はまだまだ強くなれる。だが、どうやって)
ジータの屋敷の木の下で一人瞑想を続ける吟千代の横、そこに急に腰掛けるものがいた。
その瞬間、吟千代は刀を抜き、横に座った者の首に刃を突き付けると彼は両手を挙げて、戦う意志がないことを示す。
「ご、ごめんね、邪魔しちゃって」
横に座った者の正体がバサラとしると彼の首元に迫る刃を仕舞った。
「バサラ殿か! すまぬな、無礼をしてしまい」
「あはは、僕の方こそごめんね。何も言わずに近づいちゃって」
バサラは謝るとそれを吟千代は気にすることなく、再び木の下に座り込んだ。
「吟千代は合同演習参加しないのかい?」
「む、まぁ、な。拙者、基本一人で訓練するのが好き故。まぁ、なんだ、拙者は戦狂いでな、あまり人が居る場所に居ると狂ってその場の大将首を狙いに行きかねん」
「そうなの?! 吟千代からはそんな氣見えないけどなー」
バサラからそう言われると嬉しかったのか吟千代は少し微笑んだ。そして、数分沈黙が流れると、吟千代が口を開いた。
「なぁ、バサラ殿、拙者、氣と言うのが見れると言った」
「そうだね、僕も見えているよ。人の感情の波、物に宿る輝き、纏うオーラみたいな膜、全てが氣だ。でも、それがどうしたんだい?」
「うむ、そうだ、そうだな。全て正しい、全て正解だ。だが、拙者、まだ未熟故に至れていないのだ。バサラ殿が見ているであろう世界を」
吟千代が放った世界という言葉に、バサラはどきりとした。
夢の中、ヴォルガに言われた魂の世界、それのことを指しているのかと思うと吟千代の見ようとしている世界について彼自身も深く掘り下げるべきだと感じて居たからである。
「僕が見ている、世界か。多分、まだ、吟千代と同じだよ。だけど、なんとなく見えてきたから、お互いに情報共有しておかないかい?」
「むむ? もしや、バサラ殿何か知っているな? この凪の視界を」
「あ、うーん、どうだろうかな? 凪の視界か。いいね、それ。魂の世界ってよりも言いやすいや」
「魂? うむ? もしや、バサラ殿もうこれについて全部理解してるのか?!」
「え?! いやいや! 違う! ただ、ちょっと夢の中で昔の知り合いにあってね。彼が魂の世界なんてことを言ってたからそれのことかと」
魂の世界、我ながら何を言っているのだろうかと思ったが、バサラはそれをなんとなく納得していた。
かつて神殺しを成す時に得た絶技、世界を断つ斬撃。相手の氣を捉え、世界を絵として破り、切り裂くと言う物である。
その時見ていた氣、それは明らかに相手の本質に近いものを捉えており、それが魂であると言われと妙に納得がいっていた。
「僕達はもしかしたら氣を更によく観察出来れば、魂と言うものを理解出来るんじゃないかな?」
バサラの言葉に、吟千代もまた、自分の抱いていた疑問への答えが現れたかの様に感じた。
「ふむ、ふむふむ! なるほど! バサラ殿、それはありだ。拙者は相手の動きを氣で読むと同時、相手の氣が薄くなる部位を首として捉えて切っていた。揺らぎが氣であり、その本質が魂か! ならば、そう言うことか! カラカラカラ! バサラ殿、拙者の目指す道、ハッキリと理解した! 最後に一つ質問良いか?」
吟千代はスッキリしたのか立ち上がると最後にバサラに問いかけた。
「ん? 良いよ、僕が答えられるならなんでも」
「バサラ殿、バサラ殿が氣を捉えられる様になったのはいつだ?」
いつから、いつからだろうか。
口が詰まった。
自分が氣を捉えられた、その瞬間、雷神の一撃、自分の命に危機が迫った時。
「命のやり取りをしてた時、かな」
濁しながら答えると吟千代も同じ答えを出した。
「カラカラ、拙者も同じだ。お互い、死に近い場所に居たから見えたのだろうなぁ。カラカラカラ、理解したぞ! バサラ殿! 拙者も合同演習とやらに顔を出す! 場所を教えてくれ!」
全てが静まり返った瞬間、凡ゆるモノにある氣、それを読み解くと徐々に見える世界が変わって行く。
(うむ、常在戦場の身なれば、この世界は見えぬ。感情の凪、その中でしか見えぬとは拙者もまだまだ未熟者。徐々に掴み始めている氣とは違う洗練された世界、これが常に見える様に成れば、拙者はまだまだ強くなれる。だが、どうやって)
ジータの屋敷の木の下で一人瞑想を続ける吟千代の横、そこに急に腰掛けるものがいた。
その瞬間、吟千代は刀を抜き、横に座った者の首に刃を突き付けると彼は両手を挙げて、戦う意志がないことを示す。
「ご、ごめんね、邪魔しちゃって」
横に座った者の正体がバサラとしると彼の首元に迫る刃を仕舞った。
「バサラ殿か! すまぬな、無礼をしてしまい」
「あはは、僕の方こそごめんね。何も言わずに近づいちゃって」
バサラは謝るとそれを吟千代は気にすることなく、再び木の下に座り込んだ。
「吟千代は合同演習参加しないのかい?」
「む、まぁ、な。拙者、基本一人で訓練するのが好き故。まぁ、なんだ、拙者は戦狂いでな、あまり人が居る場所に居ると狂ってその場の大将首を狙いに行きかねん」
「そうなの?! 吟千代からはそんな氣見えないけどなー」
バサラからそう言われると嬉しかったのか吟千代は少し微笑んだ。そして、数分沈黙が流れると、吟千代が口を開いた。
「なぁ、バサラ殿、拙者、氣と言うのが見れると言った」
「そうだね、僕も見えているよ。人の感情の波、物に宿る輝き、纏うオーラみたいな膜、全てが氣だ。でも、それがどうしたんだい?」
「うむ、そうだ、そうだな。全て正しい、全て正解だ。だが、拙者、まだ未熟故に至れていないのだ。バサラ殿が見ているであろう世界を」
吟千代が放った世界という言葉に、バサラはどきりとした。
夢の中、ヴォルガに言われた魂の世界、それのことを指しているのかと思うと吟千代の見ようとしている世界について彼自身も深く掘り下げるべきだと感じて居たからである。
「僕が見ている、世界か。多分、まだ、吟千代と同じだよ。だけど、なんとなく見えてきたから、お互いに情報共有しておかないかい?」
「むむ? もしや、バサラ殿何か知っているな? この凪の視界を」
「あ、うーん、どうだろうかな? 凪の視界か。いいね、それ。魂の世界ってよりも言いやすいや」
「魂? うむ? もしや、バサラ殿もうこれについて全部理解してるのか?!」
「え?! いやいや! 違う! ただ、ちょっと夢の中で昔の知り合いにあってね。彼が魂の世界なんてことを言ってたからそれのことかと」
魂の世界、我ながら何を言っているのだろうかと思ったが、バサラはそれをなんとなく納得していた。
かつて神殺しを成す時に得た絶技、世界を断つ斬撃。相手の氣を捉え、世界を絵として破り、切り裂くと言う物である。
その時見ていた氣、それは明らかに相手の本質に近いものを捉えており、それが魂であると言われと妙に納得がいっていた。
「僕達はもしかしたら氣を更によく観察出来れば、魂と言うものを理解出来るんじゃないかな?」
バサラの言葉に、吟千代もまた、自分の抱いていた疑問への答えが現れたかの様に感じた。
「ふむ、ふむふむ! なるほど! バサラ殿、それはありだ。拙者は相手の動きを氣で読むと同時、相手の氣が薄くなる部位を首として捉えて切っていた。揺らぎが氣であり、その本質が魂か! ならば、そう言うことか! カラカラカラ! バサラ殿、拙者の目指す道、ハッキリと理解した! 最後に一つ質問良いか?」
吟千代はスッキリしたのか立ち上がると最後にバサラに問いかけた。
「ん? 良いよ、僕が答えられるならなんでも」
「バサラ殿、バサラ殿が氣を捉えられる様になったのはいつだ?」
いつから、いつからだろうか。
口が詰まった。
自分が氣を捉えられた、その瞬間、雷神の一撃、自分の命に危機が迫った時。
「命のやり取りをしてた時、かな」
濁しながら答えると吟千代も同じ答えを出した。
「カラカラ、拙者も同じだ。お互い、死に近い場所に居たから見えたのだろうなぁ。カラカラカラ、理解したぞ! バサラ殿! 拙者も合同演習とやらに顔を出す! 場所を教えてくれ!」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる