213 / 311
第四章 人神代理戦争 霹靂
十八話 人神代理戦争 其の肆 戦兎復讐① 不死聖女①
しおりを挟む
「き、緊急です! 騎士団長、四護聖、そして、何人かの騎士達が姿を消しました!」
焦る兵とは裏腹に五人の王達は動じない。それを知っていたかの様に、スカンダとジャンは立ち上がると声を上げた。
「了解、俺が指揮を取る」
「私も行きましょう」
既に準備が出来てたのか、自身の共鳴器を握ると彼らは進んだ。
「スカンダ! ジャン! 頑張れよ」
ローズの声を聞き、振り向く事なく手を振るうとスカンダ・アポカリプス、ジャン・ジョエル・ジョッシュ、両名は自ら戦地に足を運んだ。
「そんじゃ、まぁ、俺達もやるか! 王には王の戦いがある! お前らには教えた通り、俺の魔術で組んだ防御結界の手助けをしてもらう。良いか?」
「もちろんだぜ!!!!」
「ええ、お手柔らかに」
三人の王はローズが出した魔術陣に手を付けると彼らは王としての役目を果たそうとする。
(戦地は任せたぜ、スカンダ、ジャン)
ローズは彼らに施した魔術にも気をつけながら、防護壁の操作を始めた。
***
吟千代は一人、山の中にいた。先程まで戦と意気込んでいたはずなのに今、自分が立っているのは見覚えのある山の中。
そして、その背後から迫る殺気に気付き振り向くとそこにはかつての自身と同じ狂気を纏った少年が居た。
「よぉ、吟千代」
「金次か」
「何だよ、その清々しい氣は」
殺意、怨念、それらを隠す事なく、馘無侍金次は吟千代と言う首に目を向ける。
「カラカラ、その氣、その目、昔の自分を思い出すな。お主、何を見た、何を知った、何を斬った。教えろ、この問答によって、拙者はお前に向ける剣が変わる」
「何も、ただ、何も斬っていないさ。俺が見たのはお前に斬られたあの瞬間から何一つ」
「何も斬らずに、拙者への殺意のみでそこまでの怨の氣を育んだのか。そうか、なら、斬ろう。お主の氣、首もしっかり落とす、覚悟しろ」
冷たい目、かつて金次の首を落とした時のあの屈辱を与えた時の目、首を斬ったらその目を抉ろう、両目を抉り、それを持って勝利としよう。金次はそう考え、彼女の目を見た。
しかし、そこにあったのはかつて自分に見せた様な冷酷無慈悲な物ではなく、慈悲に満ちた物。
「何だ、何だ! その目は! 俺を憐んでいるのか!?」
怒りは以前よりも深く、怨みは以前よりも濃い。そんな彼を救える剣、それは吟千代の全力をぶつける事とし、それは自身の得た答えを見せようと構えた。
「違うぞ、金次。これは拙者が得た答え。御託はいいからささっと始めよう。五代目馘無侍流後継者、馘無侍吟千代」
「そうか! そうだな! 俺は斬る、お前を斬って果たすんだ! 形のない復讐に意味を持たせるために! 廃棄孔十一席復讐者馘無侍金次!」
二人の侍、その決闘が始まる。
***
ヴィクターは燃え盛る炎の地に立っていた。そして、その目の前に立ったのはかつて、灼熱に焼かれし、聖処女。
「あら、バサラのおじ様ではないのですね」
聖処女はそう言うとヴィクターは既に共鳴器の解放を済ましており、手に握る大鎌、不死王行進曲を振るった
それを聖処女の騎士であるラヴァルが防ぐも、彼のことを簡単に切り裂き、次は彼女を切り裂こうと大雑把に刃を振り抜いた。
「爆ぜろ」
ほぼ0距離での爆発、ヴィクターの頭の中から破壊され、彼は膝をつくと聖処女はつまらなそうにため息をついた。
「やっぱり、おじ様が」
次の瞬間、死体であった彼の体が動き出し、聖処女のの体に傷をつけた。深くはない、だが、薄皮切られ、血が流れると彼女はラヴァルを動かし、彼を圧殺しようとする。
頭がないにも関わらず、ヴィクターはラヴァルが何処から来るかを知っており、大鎌を振るい切り裂くと再生された口で声を出した。
「良いなぁ! その爆発! もっとくれよぉ! バンコク騎士団長ヴィクター・V・ハルペーだぁ! さぁ! 俺にもっと痛みをくれぇ!」
「廃棄孔三席聖処女ダルク・ラピュセル。その痛み、全て私が与えましょう。二度と立ち上がりたくなくなる痛みを」
焦る兵とは裏腹に五人の王達は動じない。それを知っていたかの様に、スカンダとジャンは立ち上がると声を上げた。
「了解、俺が指揮を取る」
「私も行きましょう」
既に準備が出来てたのか、自身の共鳴器を握ると彼らは進んだ。
「スカンダ! ジャン! 頑張れよ」
ローズの声を聞き、振り向く事なく手を振るうとスカンダ・アポカリプス、ジャン・ジョエル・ジョッシュ、両名は自ら戦地に足を運んだ。
「そんじゃ、まぁ、俺達もやるか! 王には王の戦いがある! お前らには教えた通り、俺の魔術で組んだ防御結界の手助けをしてもらう。良いか?」
「もちろんだぜ!!!!」
「ええ、お手柔らかに」
三人の王はローズが出した魔術陣に手を付けると彼らは王としての役目を果たそうとする。
(戦地は任せたぜ、スカンダ、ジャン)
ローズは彼らに施した魔術にも気をつけながら、防護壁の操作を始めた。
***
吟千代は一人、山の中にいた。先程まで戦と意気込んでいたはずなのに今、自分が立っているのは見覚えのある山の中。
そして、その背後から迫る殺気に気付き振り向くとそこにはかつての自身と同じ狂気を纏った少年が居た。
「よぉ、吟千代」
「金次か」
「何だよ、その清々しい氣は」
殺意、怨念、それらを隠す事なく、馘無侍金次は吟千代と言う首に目を向ける。
「カラカラ、その氣、その目、昔の自分を思い出すな。お主、何を見た、何を知った、何を斬った。教えろ、この問答によって、拙者はお前に向ける剣が変わる」
「何も、ただ、何も斬っていないさ。俺が見たのはお前に斬られたあの瞬間から何一つ」
「何も斬らずに、拙者への殺意のみでそこまでの怨の氣を育んだのか。そうか、なら、斬ろう。お主の氣、首もしっかり落とす、覚悟しろ」
冷たい目、かつて金次の首を落とした時のあの屈辱を与えた時の目、首を斬ったらその目を抉ろう、両目を抉り、それを持って勝利としよう。金次はそう考え、彼女の目を見た。
しかし、そこにあったのはかつて自分に見せた様な冷酷無慈悲な物ではなく、慈悲に満ちた物。
「何だ、何だ! その目は! 俺を憐んでいるのか!?」
怒りは以前よりも深く、怨みは以前よりも濃い。そんな彼を救える剣、それは吟千代の全力をぶつける事とし、それは自身の得た答えを見せようと構えた。
「違うぞ、金次。これは拙者が得た答え。御託はいいからささっと始めよう。五代目馘無侍流後継者、馘無侍吟千代」
「そうか! そうだな! 俺は斬る、お前を斬って果たすんだ! 形のない復讐に意味を持たせるために! 廃棄孔十一席復讐者馘無侍金次!」
二人の侍、その決闘が始まる。
***
ヴィクターは燃え盛る炎の地に立っていた。そして、その目の前に立ったのはかつて、灼熱に焼かれし、聖処女。
「あら、バサラのおじ様ではないのですね」
聖処女はそう言うとヴィクターは既に共鳴器の解放を済ましており、手に握る大鎌、不死王行進曲を振るった
それを聖処女の騎士であるラヴァルが防ぐも、彼のことを簡単に切り裂き、次は彼女を切り裂こうと大雑把に刃を振り抜いた。
「爆ぜろ」
ほぼ0距離での爆発、ヴィクターの頭の中から破壊され、彼は膝をつくと聖処女はつまらなそうにため息をついた。
「やっぱり、おじ様が」
次の瞬間、死体であった彼の体が動き出し、聖処女のの体に傷をつけた。深くはない、だが、薄皮切られ、血が流れると彼女はラヴァルを動かし、彼を圧殺しようとする。
頭がないにも関わらず、ヴィクターはラヴァルが何処から来るかを知っており、大鎌を振るい切り裂くと再生された口で声を出した。
「良いなぁ! その爆発! もっとくれよぉ! バンコク騎士団長ヴィクター・V・ハルペーだぁ! さぁ! 俺にもっと痛みをくれぇ!」
「廃棄孔三席聖処女ダルク・ラピュセル。その痛み、全て私が与えましょう。二度と立ち上がりたくなくなる痛みを」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる