【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

三十六話 人神代理戦争 其の弐拾 双英悪魔⑦

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 ベルトに差していた端末を手に取り、画面に映る数字、1を4回押すと端末から音がした。

「final Blake!」

 端末の声と共に、レイブンの足に熱が宿る。
 変形はしない。
 だが、それはかつて第六階層悪魔を祓った時よりも遥かに上回るモノ。

 それを受ければ一撃で、自分が倒されるのは必然であり、当然と感じた辺獄マリーは十二の翼、全てを防御に回そうとしていた。

 封印されていた十二の翼の悪魔を全て解放し、迎え撃とうとした、その時、辺獄マリーは感じ取る。

 もう一つ、自分に迫る殺気、自身の命を脅かすと攻撃を察すると辺獄マリーは防御に回していた四つの翼をその方向へ向けた。

 しかし、そこには何も無かった。
 本当に何もなく、ただ、その先にはラビ・ダリア、彼が三つの矢を番えて立っていた。

殺意の気配ハンティング・ゾーン

 ラビが鍛え上げたのは殺意の具現化。
 得物を無くして、相手に気を惹きつける本物同様の殺気を放つ。

 広げられた四つの翼、それに向けてラビは迷いなく、三つの矢を放ち、貫いた。

 四枚の羽が磔にされると無防備にさらされたラビに向けて、彼の体を焼き払わんと辺獄マリーは再び腕を上げ、光線を放つ。

 それに対して再びユースがアレックスを挟んだ。

「まだ、やれる! 俺は!」

 彼の言葉に呼応して、アレックスによる守護の本質が最大限に発揮されていた。今のユースの何がなんでも勝ちを取りに行くという意志に呼応して、アレックスもその能力が限界を突破した。

 アレックスの本質は守護、それは確固たる意志がある場合にのみ、痛みを和らげ、まだ、戦士として戦おうとする者を立ち上がらせるために少しでも盾と剣を持つために回復させる。

「グロウ! 行くぞ!」

 剣に喋りかけ、ユースはアレックスで光線を逸らし、彼は何かを仕掛ける構えを取った。辺獄マリーは翼による防御、それをユースに回すのは些か不毛であると考え、彼が何をするのか踏み込めば、残った四枚の羽を使い、切り裂いてやろうとした。

 だが、その予想は外れる。
 ユース・ダリア、四護聖ジータ・グランデの右腕であり、ミレニアム王国剣術指南役カツラギ・バサラの弟子。

 ユースが選んだのは全身に及ぶ闘志の運命の強化とグロウの体内の熱を上げ、運動能力を向上させる二つを織り交ぜ、放つ、全力の投擲。

「うおらぁ!!!!」

 ボロボロの腕でありながらもそれはしっかりと辺獄マリーを捉えており、それは師であるバサラが良くやる戦法でもあった。

 バサラに、彼にいつか認められたい、そんな思いと限界を越えるために叫びながらユースはグロウを放つ。

 グロウは炎を纏っており、その赤い刃を燃やしながら辺獄マリーの翼を貫き、それもまた壁に突き刺した。

「おのれ、おのれ、おのれ、おのれ!?」

 声を荒げ、翼を動かそうとするが合計八枚が十字架に突き刺され、辺獄マリーは怒りをあらわにするも、その時、既に勝敗は決していた。

 忘れていた訳ではない。
 しかし、二人の騎士達が辺獄マリーの意識を割いた結果、防御は疎かになり、大きな隙が生じたことに彼女は気づけなかった。

 音も無く分子レベルに肉体を分解し、再構築するとレイブンは辺獄マリーの間合いを無視して現れ、その体に渾身の蹴りを入れた。

「吹っ飛べ、壱天倶利伽羅超重撃クリカラ・ブレイク!」

 相手に反撃の隙を与えぬほどの速度、そして、黑鎧武装コクガイブソウの強制排出による敵の肉体に対して、レイブンが与えたい威力が決まる。

 レイブンが願ったのは一撃必殺、もう二度と立つことない程の威力を願い、倶利伽羅クリカラは彼の思いに応えて辺獄マリーの肉体を焼いた。

 ドンと重く鈍い音が鳴り、ぶつかると同時に辺獄マリーは痛みにより、叫び声を上げていた。

「カラスゥ! 助けろ! 俺を! 死ぬぞ! お前のマリーが! 死んでしまう、ぞ? おい、カラス? カラス・クロウ! 貴様! まさか、最初から!? 許さん! 許さんぞぉ!」

 焼かれる中、辺獄マリーの声は悪魔祓いエクソシストには届かない。何故なら、辺獄マリーの三段階解放を行った際、悪魔祓いエクソシストは彼女に肉体を渡すために、自身の魂を焚べた。

 故に、彼は死んでいた。

 レイブンは足に込めている力を更に強めると辺獄マリーは燃え盛り、叫び声が無くなった瞬間、彼女の体をその蹴りが容赦無く貫く。

「眠れよ、悪魔祓いエクソシスト

 レイブンはその死体には目を向けなかった。
 悪魔祓いエクソシストに哀れみなどは向けず、彼と彼女が勇敢で、そして、優しい敵であった事だけを胸に刻んだ。

 レイブンの鎧が解け、そこからトオルが現れると彼は自身、いや、ユース、ラビ、そして、自分の三人の勝利を祝い、その手を空に翳す。

 そんなトオルをラビは眺めながら笑顔を浮かべた。

「あら、おじ様、そんな簡単に勝ちなんてあげないわよ」

 その声を聞くまでは。
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