240 / 311
第四章 人神代理戦争 霹靂
四十四話 人神代理戦争 其の弐拾漆 魔導博士⑤
しおりを挟む
「信じない、それは僕には無いからな」
ツツジの答えをシンクは知っていたかの様な素振りを見せ、再び口を開いた。
「くくく、そうか。なら、お前が持っている苛立ちも殺意もそれは全て、お前の中にある人工知能とやらが作り出した人の模倣にすぎないと言う認識でいいか?」
「そうだよ。私は共鳴器・ 鳩摩羅什。その本質は模倣だ。人工知能はあくまで私の脳内の計算を補うだけで、その人工知能を模倣し、人の様に振る舞っているのが模倣の能力だ」
ツツジはシンクから目を離さず、彼が何かをしようと一歩でも動こうならすぐに攻撃を放てる様に身構えていた。
「実はな、ロイドが最後に研究していたデータ、それは君には渡っていない。俺はお前がロイド・ハイランダーの娘であると勝手に想定しているから、このデータからお前と言う存在に魂が宿ることを証明しようと思っている」
「それが僕に攻撃しないのと何の関係がある? お前を殺そうとする相手に対して、証明のために殺さないでくれと命乞いするのか?」
「違う、違うぞ、ツツジ。俺がお前を殺そうとしないのはお前がロイドの最高傑作だからだ。あいつは俺の敵として最後立ち塞がった。だが、お前はあいつが残した者だ。俺にはそれを壊すなどと言うことは出来ない」
「はは! 何だそれ! お前は父さんを殺したんだろう? なら、僕も殺せるはずだ! 殺さなければ止まらない、止めようが無いだぞ? 僕が操作している三万の機械兵達は僕を殺さなければ相手を蹂躙するまで動き続けるそれでも殺さないのか? それでも照明とやらをするためだけに前に立つと言うのか!」
怒り、怨讐、それら全て、ツツジは自身の体に編み込まれている人工知能が人であろうとする計算の中で生まれた物だと考えている。
故に、この怒りも、悲しみも全て自分の物ではない。それが答えであり、以上のものなど求めたくも無かった。
機械であれば悲しみに暮れなくて済む、機械であれば感情を捨てた合理性のせいにできる、それがツツジが出した物。
しかし、シンクは全て見抜いていた。
彼女が自身を機械に落とし、機械であるがために下せる合理性と言う物を盾にして、ロイドが出した結論に辿りつかない様にしていたことを。
「そうだ、俺は四護聖という肩書きを持つが、それ以上に科学者なんだ。そんな俺が魂を主張する。笑い飛ばしていた理想論を、あいつは全てデータで魅せてきた。身勝手ながらロイドの下した結論を俺は証明したくなったんだよ。ツツジ、お前も本当は理解しているんだろう? 魂があると」
「無い! あるとするならば、それは私のものでは無い! 他の人間の魂を模倣した物だ!」
「ほーう、なら、お前は他者の魂の模倣までも可能となるぞ?」
「それ、は、そうだ! そうだよ!」
「なら、その魂は誰の模倣だ?」
「う、く」
魂の模倣、それは本当に可能なのか?
博士は、答えれない。
「それは、ロイドの娘、の」
「違う」
「じゃあ、」
「違う」
ロイドは博士の言葉の全てを悉く否定する。そこに容赦などなく、博士は何故、彼がそこまでするのか理解ができなかった。
「そうじゃないだろ。お前は知っているのに嘘をついたな? 人らしいな、ツツジ。お前は人だ。機械に魂が宿るか? 答えはイエスだ。俺はダラモスをターニャと作ったが、彼にも魂があった。製作者が時間をかけて作り上げた機械の戦士だ! そこには俺とターニャが無意識のうちに注いだ魂があった。だがな、そこから自我を産み、自分の存在意義を見出した! ならば、お前は共鳴器でありながら魂を持っている! さぁ、ツツジ・ハイランダー、これだけの証明を持ってお前を、人とする。否定したいなら否定しろ! それであれば俺はお前とは戦わん。ロイドの作品、壊すのは些か申し訳ない。だが、お前が認めるというのであれば、俺はお前を敵として相手してやる」
シンクはそう言うと博士に選択肢を与えた。人として認めれば敵として対峙してくれる。それは本当であり、シンク・ホーエンハイムという人間を知っているからこそ、博士は回答を迫られた。
「僕、は。僕、は」
ツツジの答えをシンクは知っていたかの様な素振りを見せ、再び口を開いた。
「くくく、そうか。なら、お前が持っている苛立ちも殺意もそれは全て、お前の中にある人工知能とやらが作り出した人の模倣にすぎないと言う認識でいいか?」
「そうだよ。私は共鳴器・ 鳩摩羅什。その本質は模倣だ。人工知能はあくまで私の脳内の計算を補うだけで、その人工知能を模倣し、人の様に振る舞っているのが模倣の能力だ」
ツツジはシンクから目を離さず、彼が何かをしようと一歩でも動こうならすぐに攻撃を放てる様に身構えていた。
「実はな、ロイドが最後に研究していたデータ、それは君には渡っていない。俺はお前がロイド・ハイランダーの娘であると勝手に想定しているから、このデータからお前と言う存在に魂が宿ることを証明しようと思っている」
「それが僕に攻撃しないのと何の関係がある? お前を殺そうとする相手に対して、証明のために殺さないでくれと命乞いするのか?」
「違う、違うぞ、ツツジ。俺がお前を殺そうとしないのはお前がロイドの最高傑作だからだ。あいつは俺の敵として最後立ち塞がった。だが、お前はあいつが残した者だ。俺にはそれを壊すなどと言うことは出来ない」
「はは! 何だそれ! お前は父さんを殺したんだろう? なら、僕も殺せるはずだ! 殺さなければ止まらない、止めようが無いだぞ? 僕が操作している三万の機械兵達は僕を殺さなければ相手を蹂躙するまで動き続けるそれでも殺さないのか? それでも照明とやらをするためだけに前に立つと言うのか!」
怒り、怨讐、それら全て、ツツジは自身の体に編み込まれている人工知能が人であろうとする計算の中で生まれた物だと考えている。
故に、この怒りも、悲しみも全て自分の物ではない。それが答えであり、以上のものなど求めたくも無かった。
機械であれば悲しみに暮れなくて済む、機械であれば感情を捨てた合理性のせいにできる、それがツツジが出した物。
しかし、シンクは全て見抜いていた。
彼女が自身を機械に落とし、機械であるがために下せる合理性と言う物を盾にして、ロイドが出した結論に辿りつかない様にしていたことを。
「そうだ、俺は四護聖という肩書きを持つが、それ以上に科学者なんだ。そんな俺が魂を主張する。笑い飛ばしていた理想論を、あいつは全てデータで魅せてきた。身勝手ながらロイドの下した結論を俺は証明したくなったんだよ。ツツジ、お前も本当は理解しているんだろう? 魂があると」
「無い! あるとするならば、それは私のものでは無い! 他の人間の魂を模倣した物だ!」
「ほーう、なら、お前は他者の魂の模倣までも可能となるぞ?」
「それ、は、そうだ! そうだよ!」
「なら、その魂は誰の模倣だ?」
「う、く」
魂の模倣、それは本当に可能なのか?
博士は、答えれない。
「それは、ロイドの娘、の」
「違う」
「じゃあ、」
「違う」
ロイドは博士の言葉の全てを悉く否定する。そこに容赦などなく、博士は何故、彼がそこまでするのか理解ができなかった。
「そうじゃないだろ。お前は知っているのに嘘をついたな? 人らしいな、ツツジ。お前は人だ。機械に魂が宿るか? 答えはイエスだ。俺はダラモスをターニャと作ったが、彼にも魂があった。製作者が時間をかけて作り上げた機械の戦士だ! そこには俺とターニャが無意識のうちに注いだ魂があった。だがな、そこから自我を産み、自分の存在意義を見出した! ならば、お前は共鳴器でありながら魂を持っている! さぁ、ツツジ・ハイランダー、これだけの証明を持ってお前を、人とする。否定したいなら否定しろ! それであれば俺はお前とは戦わん。ロイドの作品、壊すのは些か申し訳ない。だが、お前が認めるというのであれば、俺はお前を敵として相手してやる」
シンクはそう言うと博士に選択肢を与えた。人として認めれば敵として対峙してくれる。それは本当であり、シンク・ホーエンハイムという人間を知っているからこそ、博士は回答を迫られた。
「僕、は。僕、は」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる