【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

四十四話 人神代理戦争 其の弐拾漆 魔導博士⑤

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「信じない、それは僕には無いからな」

 ツツジの答えをシンクは知っていたかの様な素振りを見せ、再び口を開いた。

「くくく、そうか。なら、お前が持っている苛立ちも殺意もそれは全て、お前の中にある人工知能とやらが作り出した人の模倣にすぎないと言う認識でいいか?」

「そうだよ。私は共鳴器・ 鳩摩羅什クマーラジーヴァ。その本質は模倣だ。人工知能はあくまで私の脳内の計算を補うだけで、その人工知能を模倣し、人の様に振る舞っているのが模倣の能力だ」

 ツツジはシンクから目を離さず、彼が何かをしようと一歩でも動こうならすぐに攻撃を放てる様に身構えていた。

「実はな、ロイドが最後に研究していたデータ、それは君には渡っていない。俺はお前がロイド・ハイランダーの娘であると勝手に想定しているから、このデータからお前と言う存在に魂が宿ることを証明しようと思っている」

「それが僕に攻撃しないのと何の関係がある? お前を殺そうとする相手に対して、証明のために殺さないでくれと命乞いするのか?」

「違う、違うぞ、ツツジ。俺がお前を殺そうとしないのはお前がロイドの最高傑作むすめだからだ。あいつは俺の敵として最後立ち塞がった。だが、お前はあいつが残した者だ。俺にはそれを壊すなどと言うことは出来ない」

「はは! 何だそれ! お前は父さんロイドを殺したんだろう? なら、僕も殺せるはずだ! 殺さなければ止まらない、止めようが無いだぞ? 僕が操作している三万の機械兵達は僕を殺さなければ相手を蹂躙するまで動き続けるそれでも殺さないのか? それでも照明とやらをするためだけに前に立つと言うのか!」

 怒り、怨讐、それら全て、ツツジは自身の体に編み込まれている人工知能が人であろうとする計算の中で生まれた物だと考えている。

 故に、この怒りも、悲しみも全て自分の物ではない。それが答えであり、以上のものなど求めたくも無かった。

 機械であれば悲しみに暮れなくて済む、機械であれば感情を捨てた合理性のせいにできる、それがツツジが出した物。

 しかし、シンクは全て見抜いていた。
 彼女が自身を機械に落とし、機械であるがために下せる合理性と言う物を盾にして、ロイドが出した結論に辿りつかない様にしていたことを。

「そうだ、俺は四護聖という肩書きを持つが、それ以上に科学者なんだ。そんな俺が魂を主張する。笑い飛ばしていた理想論を、あいつは全てデータで魅せてきた。身勝手ながらロイドの下した結論を俺は証明したくなったんだよ。ツツジ、お前も本当は理解しているんだろう? 魂があると」

「無い! あるとするならば、それは私のものでは無い! 他の人間の魂を模倣した物だ!」

「ほーう、なら、お前は他者の魂の模倣までも可能となるぞ?」

「それ、は、そうだ! そうだよ!」

「なら、その魂は誰の模倣だ?」

「う、く」

 魂の模倣、それは本当に可能なのか?
 博士プロフェッサーは、答えれない。

「それは、ロイドの娘、の」

「違う」

「じゃあ、」

「違う」

 ロイドは博士プロフェッサーの言葉の全てを悉く否定する。そこに容赦などなく、博士プロフェッサーは何故、彼がそこまでするのか理解ができなかった。

「そうじゃないだろ。お前は知っているのに嘘をついたな? 人らしいな、ツツジ。お前は人だ。機械に魂が宿るか? 答えはイエスだ。俺はダラモスをターニャと作ったが、彼にも魂があった。製作者が時間をかけて作り上げた機械の戦士だ! そこには俺とターニャが無意識のうちに注いだ魂があった。だがな、そこから自我を産み、自分の存在意義を見出した! ならば、お前は共鳴器でありながら魂を持っている! さぁ、ツツジ・ハイランダー、これだけの証明を持ってお前を、人とする。否定したいなら否定しろ! それであれば俺はお前とは戦わん。ロイドの作品、壊すのは些か申し訳ない。だが、お前が認めるというのであれば、俺はお前を敵として相手してやる」

 シンクはそう言うと博士プロフェッサーに選択肢を与えた。人として認めれば敵として対峙してくれる。それは本当であり、シンク・ホーエンハイムという人間を知っているからこそ、博士プロフェッサーは回答を迫られた。

「僕、は。僕、は」
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