【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

五十三話 人神代理戦争 参拾陸 闘樹富豪②

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 グランとトネリコの蓮撃を、富豪ミリオネアは値踏みする。

「定めた、その攻撃は10,000$買いだ」

 富豪ミリオネアはそう言うと彼らの攻撃を弾く見えない壁が生まれ、グランの剣とトネリコの大樹による突きが弾かれた。

 富豪ミリオネアが持つ指輪型共鳴器・金剛コンゴウ、その本質は創造。金剛コンゴウをはめた人間が今、持っている財力、或いはかつて持っていた財力に応じて装着者の想像力を具現化する。

 富豪ミリオネアリャンはロボット産業により、富を築き上げ、現世では総資産1400億$とまで言われていた大富豪。彼が作り出したロボット達は時代を先取りし、人の仕事を奪うとまでされていた。

 戦争ですら、そのロボットが使われ、徐々に人ではない戦争が始まっており、産業の破壊者と言われながらも巨万の富を得る。

 幾ら罵られようとも、リャンは自分の全てを財を積み上げる事にだけ使った。

 そんなリャンの人柄は、至って普通、狂人のような感性はなく、優しさ、誠実さをしっかりと持っている青年であった。

 ただ、彼はとある事に狂っていた。

 それはギャンブル。
 積み上げた富を全てベットする狂人。
 彼は世界中の賭博場によく入り浸り、そこで毎度の如く、巨万の富などは賭けず、自身の命を投げ売った。

 狂人とも思われるギャンブルの中、彼は毎度の如く、勝ち抜き、そして、生き延びた。

 命の対価で得た金銭を、受け取っては消えていく。

 それ以外は至って普通、狂気に染まるのは自分の命を賭ける時だけ。

 そんな彼の最後は実に呆気ない。
 唐突に、空から放たれた一つの爆弾。
 それは大陸に落とされた破滅の一発。

 それにより、命が終えるはずだった。
 そんな彼は異界ゴルドバレーに飛ばされた。
 
 命を気軽に賭けれる異世界、そこに飛ばされた事でリャンは大いに喜んだ。

 リャンが金剛コンゴウと言う共鳴器を得た彼がした事は一つ。

 自身と相手の賭博。
 自身に迫る攻撃を値踏みし、それに応じた壁を作る。相手が越えれれば自分にダメージを相手が越えなければダメージはない。

「さぁ! グラン! トネリコ! 俺の財産はまだまだある! もっと賭けさせてくれよ! 俺の命を!」

 富豪ミリオネアの一言の後、グランはトネリコに声をかけた。

「トネリコさん、このままじゃ、埒が明かない! 一発逆転狙って、俺の強化全部載せで行こう!」

「ダメです」

 トネリコが断るとグランはやる気満々で槍を構えると少しして、彼女の答えに驚き、戸惑う。

「何で?! 今、ここでやらなきゃジリ貧だろ?!」

「グランさん、考えてください。貴方の能力はとても貴重です。今、使い切れば後々不利なるのは私達」

「じゃあ、どうするんだ? あの見えない壁、ぶっちゃけ越えるのすら難しいぜ。現状、20%の強化如きじゃびくともしなかった」

 その言葉を聞き、トネリコは一人、富豪ミリオネアの前に立った。

「ならば、私にお任せを。シャルル王国騎士団長トネリコ、本領発揮と参ります」

 グランはトネリコが自信満々な姿を見て、何かしらの策があると信じ、一歩引いた。そんな彼らを見て、富豪ミリオネアは嬉しそうに喋りかける。

「いいね! トネリコ、あんたと俺のサシといこうか! 俺は命は奪わねえ。自分が得るものは破壊の兵器であれなんであれ、そこにあんたの命は必要ないからな! さぁ、始めよう! ここからが富豪ミリオネアリャンの大勝負!」
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