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第四章 人神代理戦争 霹靂
六十話 人神代理戦争 其の肆拾参 英雄迷子⑤
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***
「私、何なんだろう」
アリスはそう言うと側に居たトオルはボンヤリとしながら口を開いた。
「自分が何か、か。難しいな」
「トオルのおじ様は自分が何者か理解してる?」
「してねえよ! 大体、生まれも育ちも全部分からん」
トオルの言葉を聞き、アリスは更にムムッとした表情をして彼に突っ込んだ。
「なら、何でそんなにおちゃらけてるの」
「え、そんな風に見える?」
「そっかー、アリスがそう見るならそうなんだろうなー」
トオルは空を仰ぎ、星を見た。
幾つもの輝ける星々の中、トオルは右腕を前に翳した。
「まぁ! 別にどんなんでも気にしない。気にして良いことなんて何もねえからな! だから、俺はただ人を救う。意味はねえ、理想も、何もない。だけど、その救うって行動に俺の存在意義はあるのかもしれんな!」
「何それ、とってもくだらない」
「アリス、俺に対しての当たり強くない?」
「二人とも、早く部屋に戻りなさい。風邪をひきますよ」
ラビットに呼ばれ、彼らは返事もせずに中に入って行く。
***
アリスを守る者はもう居ない。
それを持っても尚、彼女はトオルを傷つけようと壊されたはずの蛇を自身の力で動かした。
「そうやって、そうやっていつも何でもやってのけて!」
蛇の体を分解し、幾つもの武器を生み出すとアリスはそれらをトオルに放つ。トオルはそれをグロウの刃で叩き落とすと一歩一歩とアリスとの距離を詰めた。
「ものともしない! 私の感情も! 私の憎しみも! 私の苦しみも! 全部、あなたは!」
アリスの言葉を聞きながら、トオルは一歩も引かずにただひたすらに前に進んだ。
「私が、私が機壊の最終兵器で、あなたの大切な物も、人も、全部全部、奪って行ったのに、何一つも文句も言わないで!」
武器が放てる速度は上がるもそれら全てをトオルは見切った。グロウの能力がまだ、体に宿っており、右腕に残った黑鎧武装もまだ健在。
トオルにとって彼女にトドメを刺す、準備は出来ていた。
「私を殺せばよかっただろう! それなのに何で、何で10年も一緒に居たんだよ! 私は、私はあなたの敵でしょ。敵なら、あなたはやり切るべきだった、じゃなければ、あなたは死なずに済んだのに。私はあなたを殺さずに済んだのに」
止まらない。
止まる必要もない。
蛇の体から作り出した武器達は全て弾かれ、地面に刺さる。
ただ、真っ直ぐ進み迷子の手前に立った。
「また、あの時と同じ。ようやく、私は」
トオルはグロウを翳し、迷子目掛けて、それを振り下ろす。迷子は目を瞑り、自身の体が半分にされることを望んでいた。
しかし、望んでいた痛みは来ず、何が起きたのか理解が出来ずに目を開く。グロウは地面に突き刺さっており、トオルは彼女を抱きしめていた。
「何、で」
「未来の俺がどうであれ、助けを望んでる人を助けねえはずがない。なぁ、アリス、未来の俺を殺したか?」
抱きしめられたアリスは彼のその無神経極まりない言葉に怒りを覚えるも、それはかつて時間を過ごした男と全く同じ物であり、思わず涙を溢してしまった。
「何で、そんなこと」
「ダメか? 多分、未来の俺でもこんなん聞くぞ」
「そう、そうよね。私、私ね、あなたのこと殺しちゃったの」
「そうか! まぁ、何があったんだろう、気に病まないでくれよ!」
「そんなの、無理、無理だよ。私は、私はあなたの辿る運命の先、最後に立ち塞がる存在、機壊生命体ALⅰCEなの。あなたの仲間も、恋人も、全員、私が殺した」
迷子は泣きじゃくりながら声を上げるもトオルは気にせず、答えた。
「そんなん仕方ねえだろ! お前はお前の立場あった。それならしょうがない」
「何で、そんなこと言えるの! 私は、あなたに殺されるべきだった。それなのに、あなたは一緒に過ごしてくれた。何も無い空っぽだった私だったのに、一緒にいる内にあなたが満たしてくれた。それなのに自分という存在の正体を知ってから、自分が死ぬべきだったって気づいたらどうして良いか分からなくて」
迷子の涙には後悔ばかりが溢れており、彼女の心を癒すにはどんな言葉も不可能かのように思われた。
「そんなん別にどうもしなくても良いんだよ! ハッキリと分かるぜ。未来の俺はお前を助けたくて助けたんだだって。なら、思い出してみろよ、最後に、未来の日下部トオルが言った言葉をよ!」
「私、何なんだろう」
アリスはそう言うと側に居たトオルはボンヤリとしながら口を開いた。
「自分が何か、か。難しいな」
「トオルのおじ様は自分が何者か理解してる?」
「してねえよ! 大体、生まれも育ちも全部分からん」
トオルの言葉を聞き、アリスは更にムムッとした表情をして彼に突っ込んだ。
「なら、何でそんなにおちゃらけてるの」
「え、そんな風に見える?」
「そっかー、アリスがそう見るならそうなんだろうなー」
トオルは空を仰ぎ、星を見た。
幾つもの輝ける星々の中、トオルは右腕を前に翳した。
「まぁ! 別にどんなんでも気にしない。気にして良いことなんて何もねえからな! だから、俺はただ人を救う。意味はねえ、理想も、何もない。だけど、その救うって行動に俺の存在意義はあるのかもしれんな!」
「何それ、とってもくだらない」
「アリス、俺に対しての当たり強くない?」
「二人とも、早く部屋に戻りなさい。風邪をひきますよ」
ラビットに呼ばれ、彼らは返事もせずに中に入って行く。
***
アリスを守る者はもう居ない。
それを持っても尚、彼女はトオルを傷つけようと壊されたはずの蛇を自身の力で動かした。
「そうやって、そうやっていつも何でもやってのけて!」
蛇の体を分解し、幾つもの武器を生み出すとアリスはそれらをトオルに放つ。トオルはそれをグロウの刃で叩き落とすと一歩一歩とアリスとの距離を詰めた。
「ものともしない! 私の感情も! 私の憎しみも! 私の苦しみも! 全部、あなたは!」
アリスの言葉を聞きながら、トオルは一歩も引かずにただひたすらに前に進んだ。
「私が、私が機壊の最終兵器で、あなたの大切な物も、人も、全部全部、奪って行ったのに、何一つも文句も言わないで!」
武器が放てる速度は上がるもそれら全てをトオルは見切った。グロウの能力がまだ、体に宿っており、右腕に残った黑鎧武装もまだ健在。
トオルにとって彼女にトドメを刺す、準備は出来ていた。
「私を殺せばよかっただろう! それなのに何で、何で10年も一緒に居たんだよ! 私は、私はあなたの敵でしょ。敵なら、あなたはやり切るべきだった、じゃなければ、あなたは死なずに済んだのに。私はあなたを殺さずに済んだのに」
止まらない。
止まる必要もない。
蛇の体から作り出した武器達は全て弾かれ、地面に刺さる。
ただ、真っ直ぐ進み迷子の手前に立った。
「また、あの時と同じ。ようやく、私は」
トオルはグロウを翳し、迷子目掛けて、それを振り下ろす。迷子は目を瞑り、自身の体が半分にされることを望んでいた。
しかし、望んでいた痛みは来ず、何が起きたのか理解が出来ずに目を開く。グロウは地面に突き刺さっており、トオルは彼女を抱きしめていた。
「何、で」
「未来の俺がどうであれ、助けを望んでる人を助けねえはずがない。なぁ、アリス、未来の俺を殺したか?」
抱きしめられたアリスは彼のその無神経極まりない言葉に怒りを覚えるも、それはかつて時間を過ごした男と全く同じ物であり、思わず涙を溢してしまった。
「何で、そんなこと」
「ダメか? 多分、未来の俺でもこんなん聞くぞ」
「そう、そうよね。私、私ね、あなたのこと殺しちゃったの」
「そうか! まぁ、何があったんだろう、気に病まないでくれよ!」
「そんなの、無理、無理だよ。私は、私はあなたの辿る運命の先、最後に立ち塞がる存在、機壊生命体ALⅰCEなの。あなたの仲間も、恋人も、全員、私が殺した」
迷子は泣きじゃくりながら声を上げるもトオルは気にせず、答えた。
「そんなん仕方ねえだろ! お前はお前の立場あった。それならしょうがない」
「何で、そんなこと言えるの! 私は、あなたに殺されるべきだった。それなのに、あなたは一緒に過ごしてくれた。何も無い空っぽだった私だったのに、一緒にいる内にあなたが満たしてくれた。それなのに自分という存在の正体を知ってから、自分が死ぬべきだったって気づいたらどうして良いか分からなくて」
迷子の涙には後悔ばかりが溢れており、彼女の心を癒すにはどんな言葉も不可能かのように思われた。
「そんなん別にどうもしなくても良いんだよ! ハッキリと分かるぜ。未来の俺はお前を助けたくて助けたんだだって。なら、思い出してみろよ、最後に、未来の日下部トオルが言った言葉をよ!」
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