【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

文字の大きさ
274 / 311
第四章 人神代理戦争 霹靂

七十四話 人神代理戦争 其の伍拾漆 神殺魔王⑥

しおりを挟む
 二人の剣は火花を散らし、一挙手一投足全てが互いに死に至らしめる物と成っていた。黒いローブに身を包んだだけではなく、涅焔カーラの能力を帯びており、多少の攻撃ではバサラの体に傷つけることは不可能となっており、公爵デュークの放つ四つの浮遊する剣での迎撃は防ぐことなく、彼は剣を振るった。

 公爵デュークもまた、それを理解すると四つの浮遊する剣をバサラの剣を防ぐために使い、一瞬でも涅焔カーラ涅槃寂静ニルヴァーナの両方を弾いて生まれた隙を突き、バサラへと迫っていた。

 攻防一体の最中、バサラが握る涅焔カーラに異変が走る。涅焔カーラの刃、それが第六天魔王波旬ヴァシャ・ヴァルティンの刃と打つかり合った時、その刃が欠けた。

「!?」

 バサラは涅焔カーラの異変にいち早く気付くもその一瞬の間を潰され、公爵デュークの放った蹴りを受け、吹き飛ばされた。

「くっ!」

 双剣により、その蹴りは防げたものの公爵デュークが二振りの剣を構えると全力の でそれらを振るった。二つの斬撃が放たれ、バサラはそれを涅槃寂静ニルヴァーナ涅焔カーラにより、防ごうとした。

 しかし、涅焔カーラの刃の異変、それが今、如実に顕れる。

 黒き刀のその刃が砕けた。
 アダマンタイトが少量ですら加わることで割れることがない武器へと変化する、それが共鳴器であり、聖遺物レリクイアである涅焔カーラは100%の純度を誇っていた。

 倶利伽羅クリカラや、迷子ノーウェイが使用していた捌大機壊蛇王ナーガラージャ、これらはアダマンタイトの純度が100%になっていることで、破壊が可能な代わりに変形や、充填等が出来る。

 その様な対価が無い限り、共鳴器を破壊することは不可能である。

 それが条理、だが、その条理を壊すのが魔王であり、公爵デュークロンベルグ・ウォースタイン。

「どうしたぁ! ぼん! 何がそんなにおかしい!」

 公爵デュークの言葉に動揺しない様にバサラは前を向き、それに応えた。

「五月蝿いな! ちょっと色々あんだよ! こっちも!」

「その刀が欠けて動揺しているな、ぼん?」

「あんたの共鳴器のせいか?」

「そうかもなぁ!」

 公爵デュークの握る共鳴器・第六天魔王波旬ヴァシャ・ヴァルティン、その本質は変幻自在、それは公爵デュークである彼が決めていた自身に適した得物への変化が能力であった。

 それを今、公爵デュークは解釈を変えた。相手が持つ得物へと第六天魔王波旬ヴァシャ・ヴァルティンの変幻自在の能力を付与すぎることで、その得物に変化を与える。

 涅焔カーラ公爵デュークに握られたことで、その能力が予想よりも早く影響が現れ、結果としてその刃が欠けることになった。

 第六天魔王波旬ヴァシャ・ヴァルティンから振るわれる剣を警戒し、その刃が欠けてく瞬間を感じ取るとバサラは防ぐことに涅焔カーラを使わずに攻めにのみそれを使おうと決めた。

 だが、そんなバサラの選択を嘲笑うかの様に公爵デュークの一撃が容赦無く放たれる。

(クソ! 性格もタイミングも悪いな、本当に!)

 涅焔カーラを使わなければ防げないコースに公爵デューク第六天魔王波旬ヴァシャ・ヴァルティンを無理矢理捩じ込んだ。それは大振りでありながら全力が込められており、防がれれば大きな隙を作り出す一撃であった。

 どちらかを選ばねば、致死に至らしめる一撃をこの土壇場で放つ公爵デュークに腹を立てるも迫る刃は止まらない。

「ごめん、涅焔カーラ

 ギリギリのところで涅焔カーラを挟む。
 バサラの目の前で黒い刃と第六天魔王波旬ヴァシャ・ヴァルティンの刃が重なり合ったその時、バキリとハッキリと音がした。

 火花を散らし、刃が砕ける。
 砕けた黒い刃は、バサラの素顔を照らしながら彼に別れを告げるもそれによりバサラの目の前には大きな隙が出来た公爵デュークが居た。

 涅焔カーラの犠牲を胸に、バサラは涅槃静寂ニルヴァーナを握り締めるとその体に力一杯の一撃を叩き込む。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...