【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

文字の大きさ
288 / 311
第五章 人神異界最終決戦

九話 人神異界最終決戦 其の玖

しおりを挟む
 薄い少女の胸部を貫くは涅槃静寂ニルヴァーナとその持ち主であるバサラ。貫いたまま、彼女を切り裂こうとバサラは力を込めた。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 力の限りを込め、彼女をなんとしても止めようとするバサラであったがその貫いた箇所から動かせなくなることを知った。

(動かせない?! 何でだ?!)

 ナナシはバサラを見ると、その顔には怒りが滲み出ており、彼女は声を上げる。

「君は、本当に私をイライラさせるのが上手いな、バサラ。そんなに死にたいなら殺してあげる、黒の殺戮機構、起動」

 黒の殺戮機構、その言葉を聞いた瞬間、バサラはすぐに彼女が何を放とうとしているのか理解していなくても身体が動き、ナナシの胸を貫いていたた涅槃静寂ニルヴァーナを引き抜いた。

 ナナシは魂の世界にある救世親愛セイヴァー・フィリアをバサラに向けると彼は涅槃静寂ニルヴァーナに自身の魂を纏わせ、防ごうとした。

「バサラ! ダメだ! 避けろ!」

 ロキの声がした瞬間、それは既に放たれていた。救世親愛セイヴァー・フィリアが振るわれていたはずなのに、バサラの肉体を傷つけ、彼の左腕を切り落とした。

 黒の殺戮機構、それは救世親愛セイヴァー・フィリアの魂の世界での斬撃を漆黒の斬撃として現実世界にも反映する、能力の全力解放。

 ナナシは救世親愛セイヴァー・フィリア救世真愛セイヴァー・アガペーの二つに制約をかけている。厳重に重ねることで、その能力を拡張し、魂の世界に救世親愛セイヴァー・フィリアを常に顕現させていた。

 それを解くことで一瞬だけであるものの救世親愛セイヴァー・フィリアの魂の世界と現実世界との垣根を砕くことができ、発動することが黒の殺戮機構である。

 黒き刃は幾ら防ごうが、魂を纏わせようが関係なく、バサラの左腕を切り裂くと彼の体が空から急転直下した。

「バサラァ!」

「白の終焉機構、起動」

 叫ぶロキの腕を切り裂かれ、空から落ちるバサラを拾おうと黒い穴を開こうとするもその時、救世真愛セイヴァー・アガペーが彼の胸元を貫いた。

「?!」

 ロキとは離れていたはずのナナシが突然、目の前に現れ、凶刃が彼の貫くと彼女は冷ややかな笑みをこぼした。

「ああ、君の能力面倒だし、そろそろ見飽きたから死んでもらうよ」

 救世真愛セイヴァー・アガペーにより、貫かれるもロキはその貫かれた胸元を広げて笑った。そこには黒い穴がいつの間にか現れており、それを中心にロキは口に溜まった血を飛ばしながらナナシを煽る。

「は、はは! 痛いなぁ! だけど、一発で首を断たなかったのは失敗だったねぇ!」

 胸の中心から黒い穴が広がるとロキは姿を消し、ナナシはバサラを何としても殺そうとその下で落下していたであろう彼に視線を向けるも同様に姿を消していた。

 一人残されたナナシはつまらなそうに空から降りた。

「はぁー、逃げられたか。まぁ、でも、片腕は貰ったし、次は彼らの国を取ってみようか」

***

「全滅、全滅です! エクレクトスの地にて、四護聖、吟千代ぎんちよ殿、バサラ殿及び廃棄孔アクタール面々、全滅です! そして、目標、現在こちらに高速で移動中! こちらに向かっております!」

「下がれ、そして、家に帰れ」

 スカンダは兵が自身の国の兵であることを知っており、彼に向けてそう言うと兵は礼をするとその場を去った。

 興奮気味な兵とは逆に全く動じることなく、その場にいる五大王国の王達の覚悟は決まっていた。ジャンは自身の腕を切り裂かれたのにも関わらず、ヴィクターによる治療が済むとすぐにその席に戻り、五人の王は互いの顔を見合った。

 ローズ、シャロン、ターニャの三人は防御魔術を隔壁に付与しており、疲労が見えた。スカンダ、ジャンは機兵との戦闘とナナシの強襲により、負傷していた。

 だが、彼らは自らが面に立つ覚悟が出来ていた。何故なら、自分達がこの国を支えるべく王であり、民を守らずして、人の統治など出来ぬと全員が考えていた故に。

「四護聖、俺の友の死を無駄にしたくない。次は俺らの番だ」

「そうだな、スカンダ。四護聖、バサラはどうなってるかわからん。だが、アイツらが止められなかった以上、ここが決戦の地。何が何でも食い止める」

 迫るナナシが目指すのはミレニアム王国。
 決戦の地は、その城壁前。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...