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王国編
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こいつ主人公だろ。
そう思ったのは朝のHR前、左隣に座る田中陰葦に対してだ。
よく見る中肉中背黒髪の少年だが、その生活はどっかの主人公ばりにリア充している。
「それでね。昨日妹がリビングで~」
彼の目の前にいるのは幼馴染だという鈴木美穂。肩にかかるほどの茶髪に明るくフレンドリーな性格をしている。あと、恐ろしくかわいい。
本人達は付き合ってないらしいがクラスでは恋人判定をくらっており、入学から2年半経った今では男子生徒ですら応援している。まぁ俺もその一人だけど。
さて、興味無いだろうが形式上俺の自己紹介をしておこう。俺は高校二年生河守総也。家から一番近いという理由でこの高校に入ったただの一般人さ。容姿はご想像にお任せするよ。
授業準備をしながら先生を待っていると、突然教室の床が眩い光を放つ。
何か書いてあるみたいだけど眩しすぎてよくわからん。同級生達が「うわ!」「何だ!?」「愛してるぞ皆ー!」とか色々叫んでいるのを聞きながら意識を手放す。
どれ程時間が経ったか分からないが気がつくと真っ白な空間にいた。いや、なんの比喩もなくただただ真っ白な空間にいた。することもないので取り敢えずボケーっとしてみる。
1分経過
2分経過
5分経過
遅くない?
まだ5分しか待ってないけど、いや5分も待ったんだけど、ずーと真っ白のままだ。
おかしい。下の教室が爆発して死んだにせよ、異世界に召喚されたにせよ、女神か老神が現れてテンプレしてくれる筈。
もしかして一生このままなのか? いや既に死んでるなら永遠にこのままということもあり得る。
「・・・あ・・」
「・れ・・・・」
叫び声を上げるか散策するか迷っていると背後から微かに話し声が聞こえる。
振り向いても相変わらず真っ白のままだが、することも無いので声のする方まで近寄ってみる。
怖いなー怖いなーと思いながら歩み寄ると、
「このち・・があな・・・・に・・・」
「・・そんな・・・できな・・」
少しづつ鮮明に聞こえてくる。
更に近づくと見えない壁にぶち当たった。
「いでっ」
遠近感を測る基準が無かったから気が付かなかった。有限なのなこの空間。
「ですからその力を使えば世界を救うことも可能なのです」
「いやだから無理ですって」
声は鮮明になったが姿形は相変わらず見えない。しかしながら壁の向こう側にいることは確かだ。
片方は女性の声(多分女神様)、もう片方は男性(多分陰葦)の声に聞こえる。
「何度でも説明しますよ。これから貴方が現れる世界の名は『リバタミス』。貴方はこの世界で二人の超越者の死を見届ける必要があります。その最後にはアナタの望む世界が待っていることでしょう」
なるほど分からん。リバタミスという世界に転移して強そうな奴二人ぶっ飛ばしたら願いを一つ叶えられるってことか?
「何で僕がそんなことしなきゃいけないの?」
「それが神から与えられた役割だからです」
ふむ。つまり陰葦は主人公ってことだな(適当)。
「リバタミスで主流となる力は2つ。魔法と異能です。魔法とは魂の具現化。つまりはイメージそのもので、貴方に出来る範囲で貴方の想像し得る全てを実現する力です」
よくわからんが皆よく知る「魔法」ってことだろ。
「そして異能。これは魂の具体化。つまりは意志そのもので、誰にも負けぬ想いがあれば全てを貫く力になります」
これまた抽象的な説明だけど、皆がよく知る「スキル」みたいなもんだろ。
「本来、魔法と異能は一人に一つずつ備わっていますが、貴方には特別に異能を三つ与えましょう」
「いやだから数の問題じゃなくて、戦った経験もないのに大それた使命果たせませんよ」
諦めろ陰葦。君にその気がなくたってどうせ無自覚無双とかしちゃうんだろ。チート持ってるんだし、なろう系だし楽勝でしょ。恨むなら主人公として選ばれた自分を恨むんだな。
「ありがとうございます、陰葦様。お受けしてくれるのですね」
「いやだから、そんなこと」
「もうすぐ時間です。貴方の旅に幸があらんことを」
「だからまだ、」
そして誰もいなくなった。
え?俺は?
マジでこのままなのかと思ったけど、時間差で体が光の粒になっていく。
心配なんだけどこのまま消滅とかじゃないよね。召喚されるんだよね。誰もいないなら誰か何か言えよ(錯乱)
「ようこそ勇者達よ!」
誰?
そう思ったのは朝のHR前、左隣に座る田中陰葦に対してだ。
よく見る中肉中背黒髪の少年だが、その生活はどっかの主人公ばりにリア充している。
「それでね。昨日妹がリビングで~」
彼の目の前にいるのは幼馴染だという鈴木美穂。肩にかかるほどの茶髪に明るくフレンドリーな性格をしている。あと、恐ろしくかわいい。
本人達は付き合ってないらしいがクラスでは恋人判定をくらっており、入学から2年半経った今では男子生徒ですら応援している。まぁ俺もその一人だけど。
さて、興味無いだろうが形式上俺の自己紹介をしておこう。俺は高校二年生河守総也。家から一番近いという理由でこの高校に入ったただの一般人さ。容姿はご想像にお任せするよ。
授業準備をしながら先生を待っていると、突然教室の床が眩い光を放つ。
何か書いてあるみたいだけど眩しすぎてよくわからん。同級生達が「うわ!」「何だ!?」「愛してるぞ皆ー!」とか色々叫んでいるのを聞きながら意識を手放す。
どれ程時間が経ったか分からないが気がつくと真っ白な空間にいた。いや、なんの比喩もなくただただ真っ白な空間にいた。することもないので取り敢えずボケーっとしてみる。
1分経過
2分経過
5分経過
遅くない?
まだ5分しか待ってないけど、いや5分も待ったんだけど、ずーと真っ白のままだ。
おかしい。下の教室が爆発して死んだにせよ、異世界に召喚されたにせよ、女神か老神が現れてテンプレしてくれる筈。
もしかして一生このままなのか? いや既に死んでるなら永遠にこのままということもあり得る。
「・・・あ・・」
「・れ・・・・」
叫び声を上げるか散策するか迷っていると背後から微かに話し声が聞こえる。
振り向いても相変わらず真っ白のままだが、することも無いので声のする方まで近寄ってみる。
怖いなー怖いなーと思いながら歩み寄ると、
「このち・・があな・・・・に・・・」
「・・そんな・・・できな・・」
少しづつ鮮明に聞こえてくる。
更に近づくと見えない壁にぶち当たった。
「いでっ」
遠近感を測る基準が無かったから気が付かなかった。有限なのなこの空間。
「ですからその力を使えば世界を救うことも可能なのです」
「いやだから無理ですって」
声は鮮明になったが姿形は相変わらず見えない。しかしながら壁の向こう側にいることは確かだ。
片方は女性の声(多分女神様)、もう片方は男性(多分陰葦)の声に聞こえる。
「何度でも説明しますよ。これから貴方が現れる世界の名は『リバタミス』。貴方はこの世界で二人の超越者の死を見届ける必要があります。その最後にはアナタの望む世界が待っていることでしょう」
なるほど分からん。リバタミスという世界に転移して強そうな奴二人ぶっ飛ばしたら願いを一つ叶えられるってことか?
「何で僕がそんなことしなきゃいけないの?」
「それが神から与えられた役割だからです」
ふむ。つまり陰葦は主人公ってことだな(適当)。
「リバタミスで主流となる力は2つ。魔法と異能です。魔法とは魂の具現化。つまりはイメージそのもので、貴方に出来る範囲で貴方の想像し得る全てを実現する力です」
よくわからんが皆よく知る「魔法」ってことだろ。
「そして異能。これは魂の具体化。つまりは意志そのもので、誰にも負けぬ想いがあれば全てを貫く力になります」
これまた抽象的な説明だけど、皆がよく知る「スキル」みたいなもんだろ。
「本来、魔法と異能は一人に一つずつ備わっていますが、貴方には特別に異能を三つ与えましょう」
「いやだから数の問題じゃなくて、戦った経験もないのに大それた使命果たせませんよ」
諦めろ陰葦。君にその気がなくたってどうせ無自覚無双とかしちゃうんだろ。チート持ってるんだし、なろう系だし楽勝でしょ。恨むなら主人公として選ばれた自分を恨むんだな。
「ありがとうございます、陰葦様。お受けしてくれるのですね」
「いやだから、そんなこと」
「もうすぐ時間です。貴方の旅に幸があらんことを」
「だからまだ、」
そして誰もいなくなった。
え?俺は?
マジでこのままなのかと思ったけど、時間差で体が光の粒になっていく。
心配なんだけどこのまま消滅とかじゃないよね。召喚されるんだよね。誰もいないなら誰か何か言えよ(錯乱)
「ようこそ勇者達よ!」
誰?
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