6 / 10
王国編
5-依頼
しおりを挟む
翌日
久しぶりの風呂とこの世界の食事を堪能した俺達は依頼を受ける為に冒険者ギルドに来ていた。
「依頼と言っても色々あるんだね」
「依頼って個別に受けるのかな」
「チーム組めるだろ、多分。受付で聞いてくる」
二人を残してトシントさんに色々質問する。
「仰る通りパーティを組む事は可能ですが、最初の3件に関してはメンター無しに組むことは出来ません。これは新人パーティが不慮の事故で全滅しない為です。それと、仮にお三方でパーティを組んだ場合受けられる依頼等級は銀色までになります」
「分かりました。ありがとうございます」
先輩冒険者が必要みたいだが、どうせ都合良く現れるんだろ。ほら。
案の定掲示板の所に戻ると二人が別の冒険者と話してる。一人は大斧を担いだ筋肉質の金髪おっさんと魔法の杖(多分)を持った紫ロングのおっとりお姉さんだ。
「おっ、あんちゃんがソウヤか。俺はファデス。戦士だ。で、こっちが」
「キセルです。支援系魔導士です。よろです」
「おめぇら新人なんだってな。困ってるようなら一緒にどうだ? 丁度暇だったしな」
こういう展開は大体普通に良い感じの先輩か見せかけだけの悪徳冒険者の2パターンだけどどっちだ?
まぁ、成るように成るだろう。
「暇というと?」
「パーティの1人が足をやっちまってな。パーティが欠けてる時は代わりを見つけるか指導係として新人につく以外依頼を受注できねぇんだよ」
「そんなときに俺達を見つけたと」
「そです。たまたまです。よかたです」
俺達が始めて依頼受けることを伝えると二人が良さげな依頼を選んでくれた。いわゆる採取依頼でやることは薬草を採取するだけだが、絶対安全という訳ではなく魔物に遭遇する可能性もあるとのこと。
てかここに来るまでに魔物には一度も遭遇していないな。聞いてみると生息地や縄張りが明確に決まっており、その範囲から出ることは滅多にないそうな。まぁ当然といえば当然か。因みに地球いる動物と似たような動物とは何匹か出会った。
そんなこんなで、王都近くの『ビニグの森』に到着。集める薬草は『ペニシア草』と言って腰痛や頭痛、風邪などの簡単な病や症状を軽減する薬に利用されるペロペロキャンディみたいな形の薬草だ。
数時間後
そこそこにレアアイテムらしく3個集めるだけで夕方になってしまった。美穂達はクタクタといった感じで溶けている。
「ほへぇ~、疲れたぽへ」
「語尾可笑しくなってるよ、美穂。くひょへ」
「お前も大概だぞ。陰葦」
「疲れてんのもわかるが完了報告の仕方も教えてやるから、さっさと戻るぞ」
「そです。帰るまでが依頼です。引き締めです」
特に魔物には出会わなかったけどこれぐらい浅い場所だと珍しくないらしい。なろう系的にはよろしくないが、命あっての人生。俺からすればリアルだからな。
地面に片足突っ込んだ太陽を背に王都へ向かう俺達。
ガシュ
咄嗟に振り返ったそこには、首のないファデスさんとダブルハイデッカー並にデカいドラゴンがいた。
「ファデス!」
キセルさんが水魔法でドラゴンに攻撃するが空振り、一瞬で姿を消したドラゴンの開いた口が眼の前に現れる。ガキン! シールドのようなものに阻まれドラゴンの牙はぎりぎり俺には届かない。
「アースドラゴンです。ギルドに戻って伝えるです!」
キセルさんの言う通りここでボサッとしてても死人が増えるだけだ。
「陰葦。美穂を連れて逃げろ」
「総也は?」
「お前に死なれちゃ世界が困るんだよ。さっさと行け!」
「馬鹿です!? 君も逃げるです」
少し困惑しながらも意を決した陰葦が美穂の手を掴む。
「俺に考えがあります。キセルさん、結界を解い」
「後ろ!」
誰が言ったか、アースドラゴンが大口を開けてエネルギー玉のようなものを破裂させた。
ドゴーン!!
久しぶりの風呂とこの世界の食事を堪能した俺達は依頼を受ける為に冒険者ギルドに来ていた。
「依頼と言っても色々あるんだね」
「依頼って個別に受けるのかな」
「チーム組めるだろ、多分。受付で聞いてくる」
二人を残してトシントさんに色々質問する。
「仰る通りパーティを組む事は可能ですが、最初の3件に関してはメンター無しに組むことは出来ません。これは新人パーティが不慮の事故で全滅しない為です。それと、仮にお三方でパーティを組んだ場合受けられる依頼等級は銀色までになります」
「分かりました。ありがとうございます」
先輩冒険者が必要みたいだが、どうせ都合良く現れるんだろ。ほら。
案の定掲示板の所に戻ると二人が別の冒険者と話してる。一人は大斧を担いだ筋肉質の金髪おっさんと魔法の杖(多分)を持った紫ロングのおっとりお姉さんだ。
「おっ、あんちゃんがソウヤか。俺はファデス。戦士だ。で、こっちが」
「キセルです。支援系魔導士です。よろです」
「おめぇら新人なんだってな。困ってるようなら一緒にどうだ? 丁度暇だったしな」
こういう展開は大体普通に良い感じの先輩か見せかけだけの悪徳冒険者の2パターンだけどどっちだ?
まぁ、成るように成るだろう。
「暇というと?」
「パーティの1人が足をやっちまってな。パーティが欠けてる時は代わりを見つけるか指導係として新人につく以外依頼を受注できねぇんだよ」
「そんなときに俺達を見つけたと」
「そです。たまたまです。よかたです」
俺達が始めて依頼受けることを伝えると二人が良さげな依頼を選んでくれた。いわゆる採取依頼でやることは薬草を採取するだけだが、絶対安全という訳ではなく魔物に遭遇する可能性もあるとのこと。
てかここに来るまでに魔物には一度も遭遇していないな。聞いてみると生息地や縄張りが明確に決まっており、その範囲から出ることは滅多にないそうな。まぁ当然といえば当然か。因みに地球いる動物と似たような動物とは何匹か出会った。
そんなこんなで、王都近くの『ビニグの森』に到着。集める薬草は『ペニシア草』と言って腰痛や頭痛、風邪などの簡単な病や症状を軽減する薬に利用されるペロペロキャンディみたいな形の薬草だ。
数時間後
そこそこにレアアイテムらしく3個集めるだけで夕方になってしまった。美穂達はクタクタといった感じで溶けている。
「ほへぇ~、疲れたぽへ」
「語尾可笑しくなってるよ、美穂。くひょへ」
「お前も大概だぞ。陰葦」
「疲れてんのもわかるが完了報告の仕方も教えてやるから、さっさと戻るぞ」
「そです。帰るまでが依頼です。引き締めです」
特に魔物には出会わなかったけどこれぐらい浅い場所だと珍しくないらしい。なろう系的にはよろしくないが、命あっての人生。俺からすればリアルだからな。
地面に片足突っ込んだ太陽を背に王都へ向かう俺達。
ガシュ
咄嗟に振り返ったそこには、首のないファデスさんとダブルハイデッカー並にデカいドラゴンがいた。
「ファデス!」
キセルさんが水魔法でドラゴンに攻撃するが空振り、一瞬で姿を消したドラゴンの開いた口が眼の前に現れる。ガキン! シールドのようなものに阻まれドラゴンの牙はぎりぎり俺には届かない。
「アースドラゴンです。ギルドに戻って伝えるです!」
キセルさんの言う通りここでボサッとしてても死人が増えるだけだ。
「陰葦。美穂を連れて逃げろ」
「総也は?」
「お前に死なれちゃ世界が困るんだよ。さっさと行け!」
「馬鹿です!? 君も逃げるです」
少し困惑しながらも意を決した陰葦が美穂の手を掴む。
「俺に考えがあります。キセルさん、結界を解い」
「後ろ!」
誰が言ったか、アースドラゴンが大口を開けてエネルギー玉のようなものを破裂させた。
ドゴーン!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる