お前がテンプレ

森彬 樹琳楙

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王国編

5-依頼

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翌日

久しぶりの風呂とこの世界の食事を堪能した俺達は依頼を受ける為に冒険者ギルドに来ていた。

「依頼と言っても色々あるんだね」
「依頼って個別に受けるのかな」
「チーム組めるだろ、多分。受付で聞いてくる」

二人を残してトシントさんに色々質問する。

「仰る通りパーティを組む事は可能ですが、最初の3件に関してはメンター無しに組むことは出来ません。これは新人パーティが不慮の事故で全滅しない為です。それと、仮にお三方でパーティを組んだ場合受けられる依頼等級は銀色までになります」
「分かりました。ありがとうございます」

先輩冒険者が必要みたいだが、どうせ都合良く現れるんだろ。ほら。
案の定掲示板の所に戻ると二人が別の冒険者と話してる。一人は大斧を担いだ筋肉質の金髪おっさんと魔法の杖(多分)を持った紫ロングのおっとりお姉さんだ。

「おっ、あんちゃんがソウヤか。俺はファデス。戦士だ。で、こっちが」
「キセルです。支援系魔導士です。よろです」
「おめぇら新人なんだってな。困ってるようなら一緒にどうだ? 丁度暇だったしな」

こういう展開は大体普通に良い感じの先輩か見せかけだけの悪徳冒険者の2パターンだけどどっちだ?
まぁ、成るように成るだろう。

「暇というと?」
「パーティの1人が足をやっちまってな。パーティが欠けてる時は代わりを見つけるか指導係として新人につく以外依頼を受注できねぇんだよ」
「そんなときに俺達を見つけたと」
「そです。たまたまです。よかたです」

俺達が始めて依頼受けることを伝えると二人が良さげな依頼を選んでくれた。いわゆる採取依頼でやることは薬草を採取するだけだが、絶対安全という訳ではなく魔物に遭遇する可能性もあるとのこと。
てかここに来るまでに魔物には一度も遭遇していないな。聞いてみると生息地や縄張りが明確に決まっており、その範囲から出ることは滅多にないそうな。まぁ当然といえば当然か。因みに地球いる動物と似たような動物とは何匹か出会った。
そんなこんなで、王都近くの『ビニグの森』に到着。集める薬草は『ペニシア草』と言って腰痛や頭痛、風邪などの簡単な病や症状を軽減する薬に利用されるペロペロキャンディみたいな形の薬草だ。

数時間後

そこそこにレアアイテムらしく3個集めるだけで夕方になってしまった。美穂達はクタクタといった感じで溶けている。

「ほへぇ~、疲れたぽへ」
「語尾可笑しくなってるよ、美穂。くひょへ」
「お前も大概だぞ。陰葦」
「疲れてんのもわかるが完了報告の仕方も教えてやるから、さっさと戻るぞ」
「そです。帰るまでが依頼です。引き締めです」

特に魔物には出会わなかったけどこれぐらい浅い場所だと珍しくないらしい。なろう系的にはよろしくないが、命あっての人生。俺からすればリアルだからな。
地面に片足突っ込んだ太陽を背に王都へ向かう俺達。

ガシュ
咄嗟に振り返ったそこには、首のないファデスさんとダブルハイデッカー並にデカいドラゴンがいた。

「ファデス!」

キセルさんが水魔法でドラゴンに攻撃するが空振り、一瞬で姿を消したドラゴンの開いた口が眼の前に現れる。ガキン! シールドのようなものに阻まれドラゴンの牙はぎりぎり俺には届かない。

「アースドラゴンです。ギルドに戻って伝えるです!」

キセルさんの言う通りここでボサッとしてても死人が増えるだけだ。

「陰葦。美穂を連れて逃げろ」
「総也は?」
「お前に死なれちゃ世界が困るんだよ。さっさと行け!」
「馬鹿です!? 君も逃げるです」

少し困惑しながらも意を決した陰葦が美穂の手を掴む。

「俺に考えがあります。キセルさん、結界を解い」
「後ろ!」

誰が言ったか、アースドラゴンが大口を開けてエネルギー玉のようなものを破裂させた。
ドゴーン!!
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