私の居場所

AKO

文字の大きさ
18 / 58

018 こうちゃんのつらい日々

しおりを挟む
こうちゃんの側は、つらい日々を送っていた。

しかし、いつの間にか手紙を書くことが無くなった。

そしてある日、学生時代の共通の友人であるさだおから聞いた。

「こうちゃんさ、そろそろオレとなら話せるかな。」
「なんのこと?」
「みーたんのこと。」
「ああ、、、」

「正直さ、見てられなかった。あんなに理路整然としたリーダーのお前がさ、あんなにも人格破壊されてしまうとは。」
「そんなだった?」
「それだけ愛してたってことなんだろうけどな。」
「うーん、あんまり覚えてないんだけど。」
「おっと、、いいんだ、いいんだ、思い出さなくて!折角ここまで来たんだから。」
「はぁ。。。」
「まだ完全復活ではないんだなとは思う。でも後で知る方がつらいから知らせておくね。みーたん、結婚することになったよ。」

彼はこうちゃんの目をしっかりと見た。
何かあれば支えるつもりだった。

「ふーん。」

その日は反応が薄いままに終わった。

翌朝、目覚めたこうちゃんは、ひさしぶりに「生きて」いた。

「あれ?もうすぐ年末?」
最初に考えたことはこれだった。

こないだクリスマスイブからの別れ話をしたばかりの感覚はある。
周りを見てもみーたんのものは何もない。

「まあいいや。」
出勤する。
昨日までも出勤していた気がする。

勤務表見ると普通に働いていたようだが、かなり断片的な記憶しかない。

財布を見てもそれらしきものは無いから、病院に行ったことは無さそうだ。

まるでタイムマシンに乗って未来へ来たような感覚だった。

8年先輩の女性社員が声をかけてくれた。
いつもこうちゃんの隣にいるもっとも身近な先輩。

「あれ?なんか雰囲気違うね、今日は。」
「あ、お久しぶりです。」
「え?(笑)」
「あ、すみません。」
「なんか吹っ切れたような感じするよ。」
「はぁ。。。すみません、自分で自分がわからなくて。」

どうやらこうちゃんは、驚異の精神力で自力で立ち直ることができたようだ。
薬を使っていないこともあり、その手法は「記憶の封印」であったから、これはいつか封印が解かれるかもしれないリスクを内包している。

しかしこうちゃんは立ち直った。
少なくとも立ち直って動き始めた。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

処理中です...