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本編
3.薔薇の離宮と堕ちる心 *
「ここは……」
「ここはお前の終の住処ーー薔薇の離宮だ」
「終の住処って……」
「きみは私のものだ。永遠に可愛がってやろう」
「え……?」
男が指を鳴らすと庭園にいたはずが、室内に移動していた。
広い部屋には大きなベッド、細やかな細工のタンスとテーブルセット、ゆったりとしたソファ、本がたくさん詰まった本棚に大きめの鏡、そして、紅い薔薇の生けられた一輪挿し。
上品で豪奢な部屋にはあるべきものが、なかった。
窓とドアがどこにもない。
空気は澄んで籠ったような湿り気も暗さもないが、どこを見ても外と繋がるものがなかった。
「部屋は気に入ったか」
「は、はい。あの……ここは」
「私たちの部屋だ」
男は嬉しそうに僕の腰を抱き寄せ、髪に口付けた。言動の意味が分からない。
なぜ、僕をこんなところに連れて来たんだろう。
探るように濃紺の瞳を見ると、ぞっとするほど綺麗に煌いている。
「……あ、なたは誰なんですか」
喉から絞り出すようにそう尋ねると、きょとんとした顔をしてにっこりと微笑んだ。
「ウィリアム。ウィルと呼びなさい」
「ウィル……様」
呼び捨てにすることは出来ず、様を付けた。
僕と彼の立場は対等ではない。
僕を生かすも殺すもウィリアム次第。
「いい子だ、リヒト」
リヒト。彼は確かに僕の名を呼んだ。ここに来てから一度も名乗っていないのに。
「どうして、俺の名前を……」
「来い」
問いに答えることはなく、ウィリアムは僕の手を引き、ベッドへと押し倒した。
驚く声に残酷な声が告げる。
「可愛がってやる」
ウィリアムは四つん這いにした僕を後ろから貫き何度も何度も獣のように犯した。
生理的な涙は絶えず流れ続け、啼き過ぎた声は甘く掠れ、腰は感覚さえ無くなっても、ウィリアムは離してくれない。
後孔からは彼の出したものが溢れ、だらだらと僕の足を濡らす。
ウィリアムが一際強く腰を振り、また僕の中に吐き出した。
「ぁあん……」
「ふぅ」
息をつき、ウィリアムの腰が離れる。抜ける間際、わざとらしく敏感なところを剛直が撫でた。
急な刺激に力が入り、締め付けてしまう。
「ぁ……」
「まだ足りないのか?」
腰をゆすり、敏感なところを集中的に突かれる。
「あ、あぁ……ん、んぅ……ウィル、さまぁ……!」
「どうして欲しい?」
赤く腫れた胸の突起をキツく摘まれた。
胸と中を同時に刺激され、出し過ぎて萎れていた僕の中心に熱が集まり出す。
もう出すものもないのに。
「ぁあんんっ」
「答えなさい」
「して……いかせて、ください……」
「もっと」
「抱いて、ください……ぁあン」
繋がったまま身体を半転させられ、向き合い、貪られる。大勢がかわり、感じる場所も変わった。
ウィリアムは僕の頬を撫でながら身体を揺する。
「リヒト、気持ちいいか?」
否とは言わせない支配者の言葉。喘ぐようにただ快感を口にする。
「きもち、ぃい……いい、ぁ、あ、んん」
「愛してるよ、リヒト」
耳に直接吹き込まれる愛の言葉。苦しいほどに口付けられ、息をする間もない。
「……ん、ん、んん……」
唇を舐められ、強い視線が僕を貫く。
「リヒト」
「ぼくも……ぼく、も……あいして、やぁん!」
僕の言葉に機嫌を良くしたのか、薄く笑ったウィリアムは、腰を速め、熱い体液を放った。
急激に意識が遠くなる。
ウィリアムは僕を抱き締めると、耳朶に唇を寄せた。
「おやすみ」
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