『家族魔法』によって現れた少女に夫扱いされてる

リオロ

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人間界支配者撃滅作戦

欲望の魔法 ハーレムデス

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「あ、いや。今の嘘です」
私は何かを言われる前にすぐに訂正し、恐る恐るプレアのほうを覗いた。
彼女は口をふにゃりとさせ、顔は茹で上がり、ワナワナと身体を震わせている。
「おおお前、レッカな! い、いきなりそういうことを言うのはそそその、なんだ……。恥ずかしいだろうが!!」
「あ、いえ、誤解を解こうと――――」
「黙らんか! そうやって時々、甘い言葉で惑わせておけばこいつなんかチョロイぜ! とかお、思っているのだろ!」
そこまで私は悪人ではない。
まぁチョロイのは事実です。
「いえ、そんなこと思っていませんよ」
けどあそこまでゆでダコみたいになるのでしょうか、いささか疑問です。
「で、ではレッカよ。その、さきほどの発言は嘘か?」
「半分嘘です」
「半分も嘘なのか……」
嘘と言ったらめんどくさそうだし、かといって本当と言っても汚名になるだけですので、これが最善なのです。
理解してください。
「そのぉ……。人の目の前で痴話喧嘩しないでほしいんデスが……」
奇妙な口調……とは言っても私以外全員おかしいのですが、ともかく奇妙な口調で透けている女性は訴えた。
たしかにその通りだ、夜、公園のベンチで男女が仲良さげに座っているのを見ると腹が立つ。
ついつい殺気で妨害してしまうくらいだ。
「あ、すみません。私、霧瑞烈火(キリミズレッカ)と申します。彼女がプレア、そこで寝転がっている少女っぽそうな少年はノワー……いえクロノです」
そういえば名前は知られてたのか、危ない危ない。
「私はえっと勇者って名前デス。気づいたら汚いオッサンに囲まれて、魔王倒して来いとか言われたデス」
もしかして勇者本人でしょうか。
「本当はめんどくさいけど退治すれば毎日八星の最高料理に城3つ、イケメンな執事が100人手に入ると言われたデス。だから殺(や)るデス。そのために魔界への鍵を探す旅に出ているデス」
八星が最高なのか、多いな。
にしても現金というか、いい加減な勇者だ。
まぁ物で釣る王も適当というか手慣れている感じがする。
「失礼で悪いが証拠はあるのか?」
プレアがそう質問すると待ってましたと説明してくれた。
「この聖剣的なやつが身体から離れてくれないのが証拠らしいデス」
腰に掛けていた剣を手に取ると隙の無い剣捌きを見せてきた。
まるで手を動かすかのように自然な動きだ、これをいとも簡単に行うとは……恐ろしい人。
「これでひげ面の魔王を八つ裂きにすれば念願の逆ハーレムデスよ、しかも執事、ショタもいるらしいデス」
さらりと特殊な性癖を暴露する透き通った少女。
勇者と名乗る女に対し危機感を覚えたのか、ノワールは立ち上がりいつでも行動できるように身構えた。
「ん?そういえばもう一人いたデスね。……男?女?どっちデスか?男なら超このみデス」
女と答えればノワールからボロが出る、男と答えたらそれはそれで面倒臭いことになる気がする。
話を変えなければ、しかし何を話せば……。
「なぁ、勇者とやら。お前、前世の記憶は覚えているか?」
「はい?なにを言ってるのデスか?そんなの…………あれ?……酒…………クソ親父、う……頭がデス」
どういうことでしょうか?
 訳が分からずプレアのほうを見ると、彼女は『やはりか』とでも言いたいのか一人でうんうんと頷いた。
「やはりか、ここの世界の魔法と私の世界、つまりプレア様の世界の魔法は全体的に似ているつくりなのとお前と同じ種族を見たことあるのでわかったのだがな……死んでるぞ、勇者」
「なにを……言っているデスか?」
彼女は困惑し、不安そうな表情を浮かべる。
透けているし気づいたらオッサンに囲まれているしで困惑していただろうところにこの発言、つらいだろう。
「勇者よ、お前は降霊術で召喚された憑依霊(ファントム)だ。それも物凄い霊力のだ。強力過ぎて実体化し、憑依しても原型が普通に残っているほどだ。まぁ工夫すれば透明にも、物をすり抜けることも簡単だろうがな」
「……それは具体的にどうすればいいデスか?」
あれ?自分が幽霊扱いされていることはスルーなのでしょうか。
「こう、自分は透明だ!って思えば透明になれる、自分は幽霊だから物体をすり抜けれると思えばすり抜けれるぞ。まぁふつうは憑依できるぞと思えわないと憑依できずにすり抜けるのだがな」
「そんなんで男湯を覗けるデスか……今の無しデス、そんな簡単にできるですか!?」
あぁ、この人……じゃないな幽霊、欲望の赴くままに行動するタイプか。
ちょ、プレア!なんで俺様に不利になることを教えてるんだ!?」
透明化、物体のすり抜け、どれもあれば良いなと思える能力だ。
魔王、勇者の敵である存在なのだから文句を言うのも無理はない。
「大丈夫だクロノ。心配しなくてよい。それより心配すべきなのは勇者だ。勇者よ、もし魔王を倒して城に戻れば……成仏させられる可能性があるぞ」
「なぜデスか?」
「目的を達成すればお前の夢が叶うのだろう。そうすれば満足し、世界から消える」
一瞬なぜかと思ったが想像以上に普通な理由だった。
しかし成仏はするべきことな気がする。
「そんな!それは嫌デス!どうしたらいいデスか!?」
ずっと思っていたことなのだが、勇者というか幽霊、なんでもかんでも人の言うことを信じすぎなのではないだろうか。
「どうしたらいいかって?決まっている!お前の見たオッサンが黒幕だ!そいつの場所に案内しろ、退治するのを手伝ってやる」
さすがにこれは怪しまれ――――
「おぉ!素晴らしいデス!殺るデスそれ!案内するデス、実はつい最近まで城にいたから多分道わかるデス。ついてくるデスよ」
チョロかった。
そんなことで意気揚々と幽霊について行くプレアとノワールをのんびりと眺め、まったく変わらない草原の景色に不安になっていましたができる限り気にせず、しばらく歩いていると
ふと、幽霊は言いました。

「迷ったデス」

こまりました。
四方は視界の隅から隅までまで青々しい草原が伸びていました。
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